長生きしすぎは体と心に良くない   作:ババン

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超かぐや姫!二次創作増えて嬉しいです
でも自分のと比較するとみなさんクオリティ高くて震えてます




一巻目

 ★月〇日

 

 吾輩は転生者である。性は忘れた、名は弥勒(ミロク)、18歳学生。クラクションの音を聞いたのと、最期に見た光景がトラックの前面。多分即死だったんだろう、死の直前からの記憶が飛んでる。性を忘れたのも事故のせいだと思う、ファッキン運ちゃん*1

 

 目が覚めると砂浜に打ち捨てられていたし、起きたら男の子と少しデフォルメされた白いウミウシが倒れていた俺を覗き込んでいた。しかもそのウミウシ、なんとびっくり人語を理解できるし喋れる(・・・・・・・・・・・・)ようだ。なんでも男の子と一緒に過ごしてる内に、発話ができるようになっていたんだとか。

 

 男の子とウミウシ―――かぐや(実は元々人だったらしい。諸事象でウミウシの身体になってしまってるそうだ。)は遊びの途中で俺を見つけたらしい。それに俺も混ぜてもらい、一緒に遊んだ。一旦ここがどこなのかとかを置いといて気分転換したかったからだ。18歳という年齢でガキのようにはしゃいだのは久しぶりでめっちゃ楽しかった。

 

 寝床は近くの洞穴。かぐやと共に野宿をして、その日の夜はお互いのことを話し合った。

 話を聞くと、かぐやは月からやってきた宇宙人だそうだ。正確には肉体を持たない思念体らしい。ことの詳細は結構長かったので省くが『酒寄 彩葉(さかより いろは)』なる少女に会うためにタケノコ型の宇宙船『もと光る竹』に乗ってもう一度地球に降りる際、隕石にぶつかり墜落。気が付けば何もない砂浜にいたんだとか。かぐやが話すことができるのも、イヌドウジとかいうお供がウミウシの身体を得て、そのイヌドウジを介しているからだそうだ。

 元人間というのは何かの冗談かと思っていたがまさかの宇宙人だったとは予想外だ。

 

 兎も角いろいろ話し終えて今日は寝ることになった。現代っ子の俺には割と過酷な環境の中での生活が始まった。寝る際ウミウシの身体が冷たいのも相まって夜がファッキンCold.

 

 

 

 

 

 

 ☆月\日

 

 男の子とかぐやとまた遊んだ。今回は海で泳いだのだが、タケノコが水底に沈んでいたのを見つけた。そのタケノコは意外と大きく、ついでに重かった。多分かぐやの言っていた『もと光る竹』だろう。光ってないけど。

 

 重い重いと言いながら海からなんとか引き揚げ、タケノコを回収。引き揚げ最中、何故かキレたかぐやに腕を嚙みつかれた。血は出なかったものの、跡が残るぐらい強めに噛まれたので割と痛い。

 

 

 

 

 

 

 

 おそらく%月●日

 

 ちょっと日付感覚狂い始めてる今日この頃。多分1か月ぐらい過ぎたと思う。その日は仲良くなった男の子が急に来なくなった。

 いつもの砂浜で待っても来なかったので、二人(1人と一匹)で男の子に会いに行った。ちなみにかぐやはウミウシの身体で頑張って這って行こうとしたが、小さい上に時間がかかるため、肩に乗せて行った。ウミウシの身体だからちょっと冷たかった。

 

 男の子を見つけたが、横に倒れ顔色も悪かった。男の子のほかには家族も誰もいない。どうやら一人孤独に生きていたらしい。

 かぐやが俺に助けを求めたが、医学のことをよく知らない上に、医者どころか薬すらない。俺にはどうすることもできない、けど見過ごすつもりもない。自分にできる限りのことを尽くし、男の子を看病した。といっても、自分のズボンの裾を少し千切って濡れタオル代わりにすることぐらいしかできなかったが。けど男の子の容態は寧ろ悪くなる一方。

 

 男の子はうわ言のように言葉を漏らしていた。どうやら歌ってほしいそうだ。

 

 かぐやは、ウミウシの身体で精いっぱい歌い、男の子は少しだけ笑ってくれた。口パクで何かを言っていたが、同じ言語ではないので何を言ったかわからない。おそらくは『ありがとう』だと思う。

 

 

 

 そのあと男の子は安らいだ顔でピクリとも動かなくなった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 きっと#月$日

 

 人の死を目の当たりにしたショックがデカくて長期間じっとしてたと思う。かぐやもかける言葉数が少し少なかった。

 あの後、男の子の遺体を土の中に埋めて、簡単なお墓を作った。この時代が土葬か火葬かがわからなかったことと、そもそも火葬できるほどの火がないので消去法で土葬にした。

 

 お墓の前で手を合わせ黙祷したとき、男の子の弱弱しくも優しい最期の笑顔を思い出す。

 

 俺がもっとちゃんと勉強できていれば、あの時助けられたかもしれないのに…

 

 余計な事を書いてしまったから消した。というか筆で書かせないでほしい。墨汁もないのにちゃんと書けるのも謎だ。紙も巻物だし。

 

 

 

 

 

 

 

 

  にげろやばいやばいやばい

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 たぶん!月%日

 

 生きていて命の危機を初めて感じた。最初の死の時は感じる間もなかったのでノーカンである。

 男の子を埋葬した後、心の整理もついて旅を始めることにした。目的は『酒寄 彩葉と再会すること』。厳密にいえば俺ではなく、かぐやの目的であるが。

 

 旅を始めて数日ぐらい。もと光る竹を抱えながら浜辺を歩き続けて、3人の子供を発見した。そこまではよかった。

 子供が一人居なくなったかと思えば、子供が告げ口やらしたのか仲間らしき集団を大人の一人が引き連れてきたのだ。槍と弓矢を持って叫びながら。さらにその集団の中から槍が飛んできて足元に刺さっていた。あと少しでも位置がズレていたら身体に、そうでなくとも足に槍が貫かれていたことだろう。俺は驚いて、抱えていたもと光る竹を落としてしまい、拾う暇もないまま逃げることになった。必死のあまり、振り落とされたかぐやに気づくこともできなかった。

 

 森の茂みに隠れたり木の上に上って難を逃れ、日が少し傾き始めた辺りか。敵意がなくなった複数人を引き連れてきたかぐやに、振り落として放置してしまったことへの謝罪を済ませた。どうやら彼女の説得のおかげで俺は敵ではないことをわかってもらえたらしい。そのあとかぐやと共に集落へと案内してもらえた。衣食住のうち2つを同時に獲得できたのは大きい。ただ俺のことをなんて話したのか知らないが、『神の子』と呼ぶのはやめてほしい。転生したとはいえども俺にはそんな特別な力なんて持っていない。

 

 

 

 ちなみにだが集落の家の形とそこに住む人たちの服装と長らしき人の話(もちろんかぐや翻訳付き)を根拠に、今俺とかぐやがいる時代はどうやら縄文時代、西暦にしてだいたい8000年前ぐらいということが分かった。

 

 

 

【悲報】目標達成まで8000年待たなければならないことが確定。

加えて8000年経つ前に寿命で死ぬかもしれん模様。


 

 

 

 

 

 「………」

 

 冷たい潮風が波の音とともに運ばれてくる夜の砂浜。水に濡れたミロクは座り込んでぼーっと水平線の向こう側を眺めていた。かくいう私もミロクの肩に乗り、同じように水平線の向こうをぼーっと見つめてる。ミロクの隣には、彼に引き上げてもらった『もと光る竹』があった。

 

 男の子と出会って翌日、砂浜にミロクが倒れているのを見つけた。意識が戻った彼の話を聞くと、ミロクは現代に生きた人だった。でも事故で死んで目覚めたらここだったそうで、ミロクは自分のことを転生者(・・・)と言った。

 久しぶりの現代人との出会いに私は嬉しくて興奮して、ミロクにたくさんのことを話した。私のことや、彩葉と出会ってからのこと、ツクヨミでの出来事。そして地球へ向かってから現在の状況まですべてを。

 

 それからはミロクの提案で、皆でいろんなことをして遊んだ。「辛いことは、楽しいことをして忘れよう」、そう言いながら。

 海での素潜りの時に、ミロクが水底に沈んでいたもと光る竹を「重い重い」って言いながら持ってきてた。女の子に『重い』は禁句なんだぞー!くらえ噛みつきっ!

 

 男の子とミロク、私の三人での日々は楽しかった。彩葉に会うどころか身体を失って絶望して、彩葉との思い出の歌のワンフレーズを頭の中でずっと繰り返しながら、何日も何ヶ月も何年も、孤独を誤魔化していた私にとって二人の出会いはとても嬉しいことだった。

 

 死。月人であり思念体でもある私には無縁の出来事。でも先日、男の子が亡くなったことで他人の死というものを感じた。ウミウシとなった『犬DOGE(イヌドウジ)』の身体越しからでしか外を認識できず何もできない私は勿論、医学なんて知らないミロクも、男の子が衰弱していく姿になにもできなかった。亡くなった男の子を土の中に埋めるミロクの顔は、泣き叫びそうなのを必死にこらえるように、唇を嚙んでいた。

 私は思った。ミロクは自分が死ぬときどうだったのかな…、苦しかったのかな、それとも痛かったのかな…。

 そして同時にこうも思った。ミロクも私を残して死んじゃうのかな…。やだよ…また一人にはなりたくない…。

 

 「かぐや、大丈夫だ」

 

 「……ぇ?」

 

 「かぐやを置いて死んでたまるかってんだ。あ、これ告白とかじゃないからな…?」

 

 私の心中に気付いたのか、ミロクはそう言って微笑み、私の…ウミウシの背を優しくなでた。

 この身体になってから何も感じなかったのに、不思議とミロクの手の温かさを感じることができた。ただの気のせいかもしれない…けれども久しぶりの感覚に、私は言葉が出なかった。

 

 「んじゃ行こうぜ、かぐや」

 

 「行くって…?」

 

 「ンなもん、『彩葉と再会する』以外ないだろ」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆

 

 

 

 

 

 

 

 

 ミロクは私とは違ってちゃんとした人間なのでお腹も空く。空腹時は海辺の脇に置いたもと光る竹を目印に森へ向かって、そこらの木の実を齧ったり落ちていた栗のようなものを食べながら飢えを凌ぎ、水分補給は近くに流れていた小さな川の水を飲んで喉を潤した。それが終われば、また海辺に戻りそこからずっと歩き続ける。野生動物、特に肉食類に遭遇した時はミロクも私も危なかった…。

 とにかく数日はずっとそれを繰り返した。それまでミロクは切り傷や引っかかれた跡を残しながらも、体調を一切崩していなかったから意外と逞しいんだと思う。ミロクが死ななくて私はホッとした。

 

 しばらく歩いていると遠くのほうで3つの人影を見つけ足を止める。目を凝らしてよく見ると、どうやら子供のようだ。

 

 「人だ!」

 

 「おっ、ホントだ」

 

 3人の子供の一人もこちらに気づき、口を動かしながら指をさした。残る2人もこちらを見て3人で話し込んだ後、子供の一人がその輪から外れてどこかへ向かって行った。

 疑問に思ったがまず対話を試みなければならない。ミロクも同じ考えか、近づいてみることに。…もし言葉が通じなくてもこのかぐやが通訳してあげるからミロクは安心していいよ!

 

 子供たちのところまであと数十歩ぐらいの距離まで来たところで、大人数の雄たけびと足音が聞こえてきた。しかもそれは段々と大きくなっていることから近づいてきてるということがわかる。その方角を向くと、さっきの子供たちの親か仲間らしき集団が槍やら弓矢やらの武器を持って駆けてきていた。

 そしてその集団の中から槍が投げ出され、ミロクの足元に刺さった。それが確実にミロクを殺しに掛かっていることがわかり、私は息を呑んだ。

 

 「──ッ! マジかよ…!」

 

 「あ、ミロk───うわぁ⁉」

 

 槍が投げられ足元に刺さったこと、それが明確な殺意を持って放たれたものであることを理解して顔を蒼褪めたミロクは、驚いてもと光る竹を落としてしまい、振り落とされた私に気づかないまま逃げてしまった。

 このままじゃミロクが死んじゃう…!なんとか、なんとかしなきゃ…!

 

 「ま、待って待って!ミロクは敵じゃ無いし、私も食糧なんかじゃないよ!」

 

 私は集団の前に立ち(ウミウシだから立つという表現は正しくないかも…?)、お得意のボディランゲージと発話機能をフル活用する。ウミウシが跳ねる、喋るという奇怪な行動を取ったことに驚いた集団はその足を止めた。

 

 そこからは、その集団のリーダーらしき人と話し合って説得することになった。私が空から落ちてきたことや訳あってウミウシの身体になったこと、同行していたミロクの事をどうにか掻い摘んで説明し、なんとか矛を収めてくれた。その結果、私は神様と崇められることになったけれど。ついでに「ミロクは1度死んで生まれ変わった」という私の説明から、彼らの間で「神の子」と呼ばれるようになってしまった。…まぁ兎に角、説得は成功し、ミロクは死ぬことはなくなったので一安心だ。

 

 「かぐや…振り落としてごめん…。それとタケノコも…」

 

 「気にしないでよミロクっ。ミロクだって命の危機だったんだから、必死になるのは仕方ないことだよ。はい、この話はこれでおしまいっ!」

 

 落としてしまったもと光る竹を回収し、抱え歩きながらミロクが謝ってきた。誰だって自分の命が危なくなったら必死になっちゃうんだから、さっきも言ったけど仕方ないことだよ。それにもと光る竹も奇跡的に無事だからね!

 

 暫くして集落に到着。集落をまとめてる長らしき人の家に厄介になることになった。

 

 長との話の内容と集落に住む人たちの服装や狩りの方法から、ミロクはここが『だいたい8000年前の縄文時代』だろうと推測を立てた。…私が見てきた人や景色が何もかも2030年と全く合わないから多分ミロクの推測は当たっているかもしれない。

 

 「…これ詰んだか?」というミロクのちいさな呟きが、静寂になった長の家内に響いた。

 

*1
トラック運転手の呼び方の一部。









ミロク:18歳学生、事故死による転生者。ただの人間(?)。日記として記している筆と巻物は、無から出し入れができる便利道具としか思っていない。そもそもただの筆と巻物なので「なにか絵を描いて具現化」みたいなことはできない。



かぐや:みなさんご存知かぐやちゃん。8000年前の地球にタイムスリップしてしまったところまで原作通り。現代人のミロクに会えたことで原作より心の沈みはない。




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