弱竹のかぐや、八千代の姫、月へ詠ったいろは唄   作:R,n

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……ありがとう、彩葉さん、記憶が無い中で、育ててくれて——

あんたと、あんたとかぐやは……!———

でも俺は、結局人の子じゃなく、獣を身に飼う白い虎(李徴)だったんだよ


#6月から生まれた——!!

 

夜空に輝く白銀の月

 

その月の、影の影

 

月の裏から、多くの光が飛び上がる

 

 

「あ!流星群!」

 

「帝様が優勝しますように!ブラックオニキスが優勝しますように……!」

 

 

既にヤチヨカップも始まって、かぐやは配信活動を始めているのだけれど———

 

うん、この調子なら、ヤッチョが不正しなくても、ちゃんと勝ってくれそうだね

 

ヤッチョは一安心なのです———

 

だから、ヤッチョはただ、見守るだけ、たとえそれが()の望まぬ結末に歩むとしても——

 

 


 

 

乱雑にパチパチと電極の光る電子空間の中、自身の意識のみで多くの()()()()を操作する

 

恐らくは、既に捕捉されているだろう、仕込んでいた熱源探知機構がアラートを発生する

 

だが、その多くは近くを飛んでいる元光る竹に反応しているだけ——

 

 

『くそ!10機破壊された……!また地球の衛星軌道まで16万kmあるぞ……!』

 

 

外縁部にて、周辺状況を観察していた10機の反応が消失し、その為数機も深刻なエラーを吐き始める

 

やはり姫のように一機だけで行けばよかったかと考えて、その考えを振り払う

 

 

『狙いは割れている……まだ、数で本体を隠した方が効果的だった、そう考えよう』

 

 

そう考えて、チャフに換装した外装を外そうとして、アラートが鳴り響く

 

——ケイコク、ケイコク、コウホウ、()()ヨリ——

 

()()()()()()()()()()()()()キドウヲカクニン——

 

タダチニカイヒウンドウヲ——

 

瞬間、轟音と共に、右翼展開を行なっていた機体が薙ぎ払われる

 

半数が熱線により消滅し、本機にも重大なダメージが発生した

 

 

『統治個体……!二型迎撃装置を起動させたか……!』

 

 

A()n()t()i()-()m()e()t()e()o()r()i()t()e() ()s()y()s()t()e()m()

 

日本語では()()()()()()()と言う、その名の通り、巨大なサーバーシステムと化した月を守るため、隕石の被害より月を守衛するシステムだ

 

物理的媒体、ミサイルなどによる迎撃が一型迎撃装置

 

熱線による非物理的媒体による二型迎撃装置

 

重力場操作による圧壊を行う三型迎撃装置

 

現在は月の裏には三型迎撃装置が配備され、隕石から身を守っていたが——

 

その熱戦により、機体の制御を失い、咄嗟に左翼展開中の機体を右翼へと流し、その際本機に数機をぶつけさせ、機体運動の制御を行う

 

ないよりはマシだが、その際にシステムの大分にダメージを受けてしまう

 

チャフを巻くことも出来ず、都度、2度の迎撃を受け

 

損壊した舟13機、それらが地球の重力圏に到達した頃、アラートは止む

 

——だが

 

ケイコク、ケイコク——

 

システムノオーバーヒートヲカクニン

 

 

『……クソ!主幹システムの冷却に回せ………!』

 

 

構成された電子空間が綻びを見せる、自身の思考メモリーにも深いダメージが発生する

 

頭が痛い、これが痛みか……!永らく感じることはなかった……!

 

この()()()()で忘れていた、生の記憶……!

 

必死に、期待の冷却維持に思考を割き、自身のデータ保持に手が回らない

 

大気圏に突入し終え、各機が散開する——

 

そこで、この(データ)意識を失った(損壊を起こした)

 

 


 

 

今日も、私はアルバイト先のBAMBOO cafeから帰宅をし、ヘトヘトになりながら帰路を歩んでいた

 

 

「全く……かぐやのバカ、 いきなり配信始めるとか言って……」

 

 

第一、そんな簡単に配信者になれるわけ無いじゃない、それにいきなり人の道具を引っ張り出して——

 

そう考えながら、アパートの前にたどり着く、そこには——

 

元七色に光り輝く()()()()()()()があった

 

 

「……ッスゥーーーーー」

 

 

私は顔を青くして、そろりとその電柱の脇を潜れば

 

がんがらと以前聞いた、厭に耳馴染みのあってしまう音楽が聞こえ、いつのまにか電柱にこさえられていた扉が小さく開き始めていた

 

 

「む、むむ!無理無理!無理だって!これ以上子供を養う余裕はうちにはありません!!」

 

 

こんな夜中に何を言っているのか、下手したら変人として救急車を呼ばれるだろうか、そんな疑問は野に捨てて、私は前に失敗したにもかかわらず、手で扉を閉めようとして——

 

 

「そうでしたよね!無理ですよね!知ってましたよ……!」

 

 

ぎぎぎ、と扉が押し開かれ、私が情けない声を上げる中、その中には白い赤ちゃん着を着込んだ、白い髪の赤ん坊が眠っていた——

 

私は、周囲に誰か居ないかと顔を回し、頼りになりそうな大人も誰もいないことに、今の現代社会の憂いを口から吐きあげて

 

諦めたように、抱き上げる、ふと、扉はバタンと閉まり

薄々分かっていましたよと考えながら、かつ、かつと金属音を立てて、私は部屋へ戻ることにした

 

扉を開けて、自宅に戻れば、部屋の奥でかぐやは配信をしているようで——

 

 

「あ、ごっめ〜ん!みんな!今日私が晩御飯作らなきゃ行けない日だったのかぐや忘れてたっ!☆」

 

「ってことで、今日の配信はここまでね!」

 

 

パソコンでの配信を停止して、勢いよくかぐやは私に近づき

 

 

「い、彩葉!その赤ちゃんどうしたの!?」

 

若干の興奮の色を見せて、かぐやは楽しげにそう尋ねてきてしまった——

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