弱竹のかぐや、八千代の姫、月へ詠ったいろは唄   作:R,n

8 / 8
(やつがれ)は今回は干渉せん……それでいいのだろう?

うん、ありがとう——も、自由に暮らして良いのですよ?

何を今更言うか、僕は……ただ()のためだけにあるのだから


#8およそ人は誰でも猛虎使いである——

結局は日が暮れて、日曜の朝まで日がな一日中働き、寝こけてしまっていた

 

はたと目が覚めれば、側にいたはずのあの子が居らず

 

結局はおむつを着せ替えて、かぐやの時のような失敗はしなかったのだが

 

 

「あ、いろは〜、起きた?3人分朝ご飯用意してるよ〜?」

 

「ありがと、かぐ——待って()()()?」

 

 

目を擦り、くぁと大きなあくびをしたところで、聞き逃しかけた違和感に気がつく

 

その刹那———

 

 

()()()()()お腹すいた〜……あ、()()()()おはよう」

 

「おはよ〜、いまお姉ちゃんがトースト作ってあげるから待っててね!」

 

 

猫のような白い肌、白樺の様な白い髪、虎のような黄色い瞳の、小柄な少年がそこには立っていた

 

その姿を見て、フラフラとして、私は意識を失ってしまった———

 

 


 

 

こき、と軽く首を曲げ、 大きく伸びをしながら城の中間にある立ち台にて、軽くあくびをする

 

今私がいるのはツクヨミ内にあるKASSENSENGOKUの自陣エリアだ、現在はランダムマッチを行なって、自陣相手陣営のランダムなメンバーで行う、こう言ったゲームではよく()()と呼称されるものだ

 

固定のメンバーを作らず行うため()()()()()()()()()()()()()()が鍛えられる反面、相手によって当たり外れが激しいなどの難点もあるのが悩みだ

 

さて、そのように考えていれば、ぴこ、ぴこと電子音が響き、ドン、と和太鼓の音が鳴り、空から素っ頓狂な叫び声が響き———

 

 

「ぐぇっ!かぐやちゃんマジ最悪〜〜!!」

 

 

大きな桃に包まれた、空からやってきたかぐや姫がそこに居た———

 

いや、何で…?

 

かぐやなら、芦花や真実がいるから、チームアップで固定パーティを組めたのでは——

 

などと考えていれば

 

 

「あれ!?ROKAとまみは!?どこ!?」

 

 

……などと叫ぶので、恐らくは何某かの権限保有者により、パーティを解除されてしまったのだろう

 

ま、推して図るべしではあるが、しかし3人目はと考えていた中で、えっさほいさとエビやタイ、ヒラメやカレイが玉手箱の様な騎乗物を運び上げ

 

 

「じゃっじゃ〜ん!♪」

 

「えっ!?ヤチヨ!?」

 

「……今回はメンバーが集まらなかったので代理ですか?」

 

「その通り!イサミンはやっぱり理解が早いねぇ、流石局長」

 

 

バカンと箱から飛び出して、スポーツウェアの様な様相で、髪に黒一色の櫛を刺し、くるりと骨だけの和傘を回してにっこり微笑んで

 

 

「……まぁ、色々言いたい事はありますが、とりあえず———桃園 イサミ(モモゾノ イサミ)と申します、どうぞよろしくお願いします」

 

「よろしく!かぐやはね!かぐやって言うの!あ、こっちはヤチヨね」

 

「あはは、ご存知ですよ、しばし前に現れた超新星、私も登録していますから」

 

「え、マジ?………え?なんかみんなざわついてるけどそんな有名人なん?」

 

「私自身はそれほど有名とは感じていませんが……その様で」

 

 

謙遜の意を込めて頭に手を当て結びのあたりに手をかければ、視界の端で視聴者のコメントが続々と流れ

 

謙遜乙w

 

局長が有名じゃないならくろ、おにも有名じゃないじゃんw

 

局長こっち見て〜〜!!

 

などと言ったコメントが散見されはぁとため息をこぼせば、ちょいちょいとヤチヨが肩を叩き

 

 

「ご心配なされずとも、試合中のアンチコメは私めにお任せを、ヒッヒッヒ……」

 

「大丈夫ですよ、ヤチヨさ———」

 

「ヤチヨ」

 

「……ヤチヨさ———」

 

「ヤチヨって呼んで」

 

「………さぁかぐやさん、対戦相手に勝つために一緒児頑張りましょうか!」

 

「おー!あ、別にかぐやはかぐやって呼んで良いからね〜」

 

「ではそうさせていただきます」

 

「ヨヨヨ〜、イサミンがヤッチョに厳しいのです〜、かぐや慰めて〜」

 

「えー?今のはヤチヨが悪いじゃん〜、無理に名前呼びさせんの良くないよー?」

 

何故か圧を向けてきたヤチヨが泣き出し、かぐやに泣きつくも、塩辛い一言で一蹴されて、ヤチヨはぺたんと床に足をつけ、胸に抱いたメンダコにしなだれかかり

 

はぁ、と一つため息を溢して

 

 

「———()()()行きますよ」

 

「———っ!うっけたま☆かっしこま☆つっかまっつり〜☆!」

 

 


 

結局は、かぐやとヤチヨをそれぞれ、上部(トップ)レーンと下部(ボトム)レーンに振り分け、自身は自陣の城の前にて待機して、トップボトム、双方をサポート出来る立ち位置につく事になった

 

中央(ミドル)レーンを走っても良いが、いざとなれば占領した櫓へ、此処から飛びあげることができること、合間にある森や山、川などを越えるよりは経路を辿ったほうが早いこと、それらを加味してのことなのだが

 

もっとも———

 

 

『ROKAぁ!?なんでそっちにいんの!?』

 

『ヨヨヨ〜、流石にこのメンバーだとヤッチョは弱体化されてるのです〜』

 

 

《どちらを優先すべきか》が悩ましいのだが

 

 

「ヤチヨ、戦況は?」

 

『んなことよりこっち助けてよイサミぃ〜!うわ爪飛んできた!』

 

『ヤッチョはギリギリ防戦一方……!遠距離技が出せなくて、近距離での戦いなのです〜』

 

「よし、二人とも余裕ありそうだな」

 

『そんな事ないのです〜!()

 

 

そんな二人の言葉を無視して、ヤチヨにある事を尋ねる

 

 

「ヤチヨ、いま戦ってる()()は?」

 

一人だよ〜、相手がね……!っと……!まみまみちゃんやるねぇ〜』

 

『え、まみもそっち居ん——ぎゃ〜〜!!爪が追ってきた〜〜!!!』

 

「かぐや!周囲を警戒!後ヤチヨもかぐやも、櫓を警戒して———」

 

 

そう言葉を紡いだ刹那、眼前より()()を感じ、即座に右腰に差してある短刀・小徹(コテツ)を半ばまで抜いた所で、

 

ガリ

 

そんな空を掻いた様な音が響き、ギャァンと遅れて鉄の音が響く

 

空気を割くような音と共に、 黒い影が跳躍し、自身から4〜5mか少し離れた箇所に飛び降りる

 

その姿は、黒い外套(コート)を被った、髪も瞳も宵闇の様に黒い一人の青年が、手足を黒い鉤爪に変化させて立っていた

 

 

「……弱いやつばっかりと思って居たが、そうか……お前が居たのか」

 

「……確かに、全速力でミドルを走ればたどり着くでしょう、しかし何故?トップやボトムには牛鬼が——」

 

「つまらないだろう」

 

「……つまらない?」

 

 

男の言い回しに違和感を覚え、カチ、と両刀に手をかけて抜き切ってしまう

 

おそらく相手の武器はグローブ型か徒手格闘系、武器効果で射程が伸びる可能性があるゆえ、上位層でも小細工を弄するプレイヤーがよく使う武器だ

 

つまり素手が強い上に小細工に対応でき、遠距離に関する小技がある可能性がある

 

今回の場合は———

 

 

「味方が敵を倒せば、リスポーン地点はここになる、だからこそここでリス狩りをしようとした、と……」

 

正解(その通り)……貴様、名は?」

 

「……神仙組(シンセングミ)局長、桃園(モモゾノ)イサミ……貴方は?」

 

 

短刀を構えた左半身を前に出し、右半身を後ろに引いて、両刀を下げて構えながら、そう尋ね返す

 

 

(やつがれ)は………黒虎(こっこ)……黒に虎と描くゆえ、好きに呼べ——」

 

 

瞬間、ガリ、と地面から音が響き、咄嗟に短刀を横に構え、刀の腹を向ける

 

刹那、男が、黒虎が眼前まで迫り切り、片手で短刀を握りギリギリとおとをたてていた

 

長刀の切先を上に向け直し、 即座にしたから切り上げれば、ギャンと空いていた左手で刃先を受け止められ、ギチギチと軋む音が響く

 

 

『イサミ!? どしたの!?くっそ……!ねぇROKAさぁ!手加減してくん……無理ですかそーですか!!』

 

「厄介な相手にで———いや……!かぐや、ヤチ———」

 

 

ふとアイデアを思いつき、それを味方に伝えようとした瞬間、左手で構えていた短刀を押し上げられ、咄嗟に両手から、武器を手放し距離を取る

 

数瞬の瞬きが視界で起こり、自身の胴があった場に()()()()()()()()が振りかぶられていた

 

 

「チ……読まれていたか、目が良いのだな、貴様は」

 

「いいえ、ただ……貴方の武器の特性は、概ね把握できましたよ……何故接敵するまで気がつけなかったのかと言う謎も」

 

「ほう、ではなんと?」

 

()()()()正確に言えば攻撃時、あるいは特定条件時()()()()()()()()()()()()()()()でしょう……騎乗物に乗り、姿を消せば悠々と来れるはずだ、そうでしょう?」

 

 

「———正解だ、故に僕は消える間際を見たと思ったのだが——」

 

「——()ですよ」

 

「……なに?」

 

「恐らくはレア種武器、ハイランカーで出回っている物でしょうが、弱点が幾つかあるはずです、彼女は平等性には煩いですからね……まずは音、透明化の際に、起動を示す異音、また相手に接触、あるいはダメージを負えば透明化は解除されるのでしょうね」

 

「そこまで分かったのは素晴らしい、初見でソレは初めてだ、だがしかし、武器が無い貴様では———」

 

「——弱点その2は、恐らくは複数相手は不利を被るのであろう点、貴方は頭が良い、敵陣に誰も居なければそのまま人数の少ない方へ行く、ミドルでで会えばそこでやり合う、ミドルに複数来た場合、味方を呼び寄せ戦闘を行う予定だった———」

 

だが、油断しすぎですね

 

 

私が一歩足を引く、刹那、トップレーンから轟音が響き、私の背にだるまが出現し——

 

 

「うぉらぁ!」

 

「なっ……!」

 

 

かぐやが勢いよく横から黒虎の頭を振り抜き、吹き飛ばす

 

武器はその場に置き去られ、黒虎は残機を消耗して自陣に戻ってゆく様に花びらを散らす

 

 

「ありがとうございます、かぐや」

 

「いーのいーの!それよりこっからは!?」

 

 

何故、かぐやが居るのか?

 

結論から言えば彼女は芦花に大敗を喫した、わざと

 

自身が死亡した場合、数秒間の間をおいて、自陣へのリスポーンを行うことができる

 

彼女は芦花に負け、リスポーンして背後を取るまでの間、私は時間稼ぎのために語りを交えていたのだ

 

 

「かぐやはヤチヨを支援、私は来るであろう芦花を対処します、現状では1:1交換で、こっちが———いや!かぐやはすぐにトップレーンへ!私はヤチヨの支援に向かいます!」

 

「え!?あ、うん、倒せばいいの!?」

 

()()()です!」

 

 

このままでは——コールド負けのリスクがある……!

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