弱竹のかぐや、八千代の姫、月へ詠ったいろは唄   作:R,n

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イサミン!

イサミ……!

桃谷先輩……!

……さようなら、3人とも……()()()()()()()()()()()()()()


#9Gambit

その後、順当にあの男は中央(ミドル)レーンを進み、私達は下部(ボトム)レーンの櫓を占領した瞬間

 

自陣のダルマを落とされて敗北

 

状況で言えばこちらは残機を一人減らされて負け、相手は残機を二人ほど減らされて勝ち残った

 

もう少し上手くやれば、勝てた試合だった

 

いや、今からでも二試合勝ち続ければ、勝ち越しに捲れるだろうが———

 

 

「……かぐや、ヤチヨ、私の作戦ミスでした、すみません」

 

「おやおや〜?天下の局長イサミンがお謝りを〜?」

 

「イサミは別に間違ったことやったわけじゃないじゃん、てかわたしもイサミンって呼んで良い?」

 

「……ええ、構いませんよ」

 

 

二人の様子を目にかけて、私は薄く笑い、上で結んだ長い髪をたなびかせて

 

そして二人に警戒すべき相手の情報を伝える

 

 

「現状、戦力差で言えば五分五分です、私と黒虎と名乗る男、かぐやヤチヨと芦花と真実、これらは均等な戦力差、戦術差でしか勝敗を捲れないでしょう」

 

「そこなんだよねぇ〜、ROKA手加減してくんなかったし〜、なんか『そっちの方が楽しいし、楽しもう?』って言ってたし」

 

「うーん、黒虎くんは中々に強い猛将みたいですなぁ〜、ヤッチョが当たると負けちゃいそう」

 

 

そう、負けるのだ、現時点で3人に分かれるのは得策ではない、だがしかし、かぐやとヤチヨをまとめたとして、恐らくは先の二の舞になるのが目に見える……ならば———

 

 

「かぐやは先ほどと同じく上部(トップ)レーンの櫓を占拠、ヤチヨはボトムレーンの櫓を占拠を狙ってください、私はミドルレーンを先行——狙い通りなら、やつは私が居たのを確認すれば接敵するでしょう」

 

「なんで?確証あんの?」

 

「奴は面白さを第一として語っていました、であるなら、私の策で奴を倒した時点で、ある程度目はつけられている可能性は高い、と考えた方が戦略的には良いので」

 

「それで、トップあるいはボトムレーンで発見したら、イサミンに連絡をして待てばよろしいのですな〜?」

 

 

ヤチヨのその言葉にこくりとうなづいて

現状、これが待ちの形体での最善手になるはずだ……

 

ここで一度でも勝てれば——

 

次の試合で狙いを持ち込めるはずだ——

 

 


 

 

「でー、黒虎さんはどうすんの?さっきと同じ作戦で行く?」

 

「いいや、先ほどと同様ではかの桃園イサミに策を講じられてしまうだろう」

 

「も、ももも、桃園!?も、もしかして、きょきょきょ、局長!?」

 

「ほらほら、まーみ、落ち着いて?」

 

「で、ででで、でもぉ!ROKAぁ!」

 

「はいはい、わかってるから」

 

ぽんぽんと背中を叩き、相方を宥める鹿角を横目に、(やつがれ)は空舞う透明な海蛇のような、さりとて鯨の様な容貌の魚を呼びつけ、かりと爪の音を立てて乗り上がり

 

 

「貴様らはトップレーンを、奴は総じて攻め手は変えんだろう、あの杵使いは厄介だ、疾く仕留め、達磨を落とせ……良いな?」

 

「はいはい、ほ〜ら、まみも行くよ?」

 

「あばばば、きょきょきょ、局長が……」

 

 

鹿角が、壊れあげた鼯鼠を連れ、トップレーンへと駆け出してゆくのを見守り、僕はそのままボトムレーンへと、愛魚を連れて向かい出す———

 

僕は捨て駒とし、あの二人を本命とする、仮にかの男がトップレーンに移ったとて、ボトムレーン程度、一人で落とす事も容易だろう

 

 


 

 

『げぇ〜!まみまみにROKA……!イサミン助けてぇ〜!っぶな!まみもちょっと手加減——は?ズルい?独占するな?何言っ——本気で殺しに来てるし!!』

 

『ヤッチョはまだまだ誰とも会敵してないですぞよ〜?これはつまり———』

 

 

ミドルレーンを走り、背に()()()()()()()()と描かれた幟旗を背に、モブを無視して地を駆ける、上空を見やるも相手は目視できず———

 

 

「——私はミドルレーンに移ります!ヤチヨは周囲を警戒を!かぐやはその櫓を奪われぬように耐えてください!」

 

『はぁ!?無理無理無———ったぁ〜〜!ROKAぁ!まみぃ!もうちょい手加減——』

 

『了解なのです〜、ヤッチョは最推しのイサミンと一緒に居られると思うと胸がドキドキ土岐公園——』

 

『ヤチヨうっさい!』

 

 

騒がしい二人の声を耳に聞き流し、即座に右手にある山を駆け、一足飛びに崖を数段上り上げ、即座にミドルレーンの櫓に到着し———

 

 

「……来ると思ったぞ!」

 

 

瞬間、上空より唸り声が響き、咄嗟に左回転を起こしてローリングをし、その場から身を捩って

 

自身がいた空間に、漆黒の黒い塊が飛び込み、土煙を起こして姿が隠れ———

 

 

「——ヤチヨっ!」

 

「分かっていますとも」

 

 

即座にヤチヨが間に入り、和傘を広げて前に向ければ、ガスガスと小さく、和傘に黒い爪が突き刺さる

 

3本、恐らくはこれが遠距離攻撃手段、不意打ちに使うには良さそうな武器だが……

 

 

「正面ばかりに意識を割くのは愚策だぞ」

 

「っち……!」

 

 

右側から声が聞こえ、咄嗟に右手で長刀・長袖(ナガソデ)を抜き、切り掛かれば、黒虎の髪を薄く割き、ひょいと身を屈めて飛び上がり、回転をかけて地面に両足で着地する様子が見える

 

 

「お声がけとはとてもお優しいではないですか」

 

「ふん、()と貴様が揃ったのだ、であれば言おうが言うまいが、どうせ防がれると思ったまでよ」

 

「ちょ、黒虎———」

 

 

珍しく、ヤチヨが焦るようなそぶりを見せて……あぁ、前々から想定していた最悪のパターンが脳を過る

 

ここは、原作ではない(未知の世界なのだ)

 

 

「………さて、姫とは——ああ、ヤチヨの事ですかね?確かに彼女は電子上の姫と呼ぶに——」

 

()()()()()()()()()()()()()()()

 

「黒虎ッ……!」

 

 

黒虎の声を聞いた瞬間、言い切る前に私は音声をミュートにする

 

視聴者達は

 

なになに?知ってるって何?

 

相変わらずだっさいなぁ

 

ヤチヨなんか焦ってない?

 

などと言った声が溢れている、危ない……今の音声を遺してしまう訳にはいかないのだ——

 

即座に『少しプライベートなことを言いかけたので音声をミュートにさせていただいています、申し訳ありません』とコメントを電子キーボードで打ち、即座に配信画面をクローズドにする

 

そして———

 

 

「……まさか、月人が二人も居るとは想定していませんでしたが……とは言え、可能性自体は、想定していましたよ」

 

「……認めたな、 桃園イサミ——()()()めが」

 

「黒虎……!あ、あはは、ごめんね〜、イサミン、実はヤッチョと彼は古馴染み———」

 

「……良いですよ、良いです……あぁなるほど、概ね意図や、どういう事かは把握しきりました……ははは、成程——」

 

 

私は頭に手を当て、笑ってしまう

 

そうか、そうですか——

 

 

「……貴方も転生者か?」

 

「貴様もだろう、桃谷金次(モモヤキンジ)………以前の貴様は、強く強く、愚かだったぞ」

 

 

()()()()()()()()()()()()()()()()()()()のだ

 

愚かで、そして嘲笑すべきだ……あぁ、なるほど……()()()はダメだったか

 

 

「……い、イサミン……?大丈——」

 

「大丈夫ですよ()()()……こう言えば、私がどういう存在か、分かるでしょう?」

 

「……っ」

 

 

ヤチヨにそう声を上げれば、想定していた反応とは違い、何かを堪えるような、思い返すような表情をし、概ね何があったかを理解して、私は顔から手を離し、するり、と短刀も抜き上げて

 

 

「……積もる話もあるでしょうが、今はKASSENです、話すにしても()()()を終わらせてからにしましょう……かぐやもそれで良いですね?」

 

「う、うん、ヤッチョはそれで良い……よ?」

 

「……ふ、それで良い……来い、()()

 

 

私は剣を構えて、即座に体を傾けて駆け出した——-

 

 


 

 

左手に構えらええて居る剣から飛ぶ剣戟を、体を左に傾けて避け、僕はそのまま左から右へと手で薙ごうとすれば

 

右手で構えた長剣を斜に構え、ギリギリと押し込められ、左手の短刀で喉を突き狙われるのを見て、左手から力を抜き、押し込められる勢いを利用して後ろに駆ける

 

横から傘によって作られた残像を、体を逸らして側転をする要領で避け、距離を作る

 

 

「やはり、貴様らが揃うと強いな」

 

「かぐ——ヤチヨ!ヤチヨは櫓の占領へ……!」

 

「で、でもイサミンは——」

 

「いいからっ!」

 

「う、うん……!」

 

 

ヤチヨは即座に傘を畳み、右手に構えながら櫓へと向かう

 

あの程度の性能だとしても、牛鬼程度は戦うに値しないだろう、つまり——-

 

 

「先ほど負けかけたのに、一人で良いというのか?」

 

「貴方の手札は見切ったのでね、であれば負ける通りはありません」

 

「どうかね、僕しかここに居らん理由を考えた方が良いのではないか?」

 

 

瞬間、通信が割って入りながら()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()

 

 

『黒虎さん!かぐやは落としたけどまみまみが落とされた!私はこのまま相手陣まで向かうから、まみは——』

 

「鼯鼠は自陣を守れ、こちらも姫に抜かれた、局長はこちらで押さえておく、鹿角は達磨を落とせ」

 

『りょーかい……!後鹿角じゃなくてROKAって呼んでよね……!』

 

 

奴の様子を見れば、奴も同様に何か数言指示を出す、恐らくはかぐやと姫それぞれに指示を与えたのだろう、ここでの負け筋は奴を自陣に向かわせること、つまり——

 

 

「さて……やり合いましょうか」

 

「最後の戦いだ、とくと味わうと良い」

 

「まだもう一セットありますからね」

 

「戯言を、勝てると?」

 

「無論だとも」

 

 

互いに手を構え、 幾らかの風が吹く

 

さぁ、 こい、 来い———

 

どう来る……!

 

そう考えた瞬間、 じり、と奴が足を踏みしめたのを見て、剣戟を、居合を避けられるように気を張れば———

 

 

「どうしても、勝たねばならないのです」

 

 

奴は、(やつがれ)の横を抜け、後方へと走り去っていった

 

失態を起こした、奴の狙いは初めからこの試合の勝利……!

 

奴に自陣に向かわれれば、奴か姫が辿り着き勝たれてしまう……!

 

奴がたどり着く前に相手陣にたどり着けるか?

 

否、奴の移動速度と比べれば差は激しい!間に合わぬ……!

 

 

「ケートー!僕を乗せて奴を追え!」

 

 

ならば奴を追い上げ、加勢をするべき、そう考えた所で——

 

 

どごぉん!

 

 

自陣の城で爆音が鳴り響く

 

見やればそこには白い髪が見え、恐らくは奴を見て倒れたのであろう、鼯鼠も視界の端に捉えられた

 

そうか、なるほどな——

 

 

「くくく、ははは……なるほど、なるほどな……僕が見た様なほどの馬鹿では無いようだ、なるほど……これを経て思い知ったぞ、貴様は余程に思考が回るようだ」

 

 

だが、だが桃谷金次よ……この時間での僕は、かなり厳しい相手だぞ?

 

 


 

 

「かぐや、大丈夫ですか?」

 

「っ……!」

 

「かぐやちゃんまじ最悪〜、ほんっとに最悪、まみは落とせたからどうにか勝てたけどさー、ROKAに狙い撃たれて落ちたし、今ので合計二回だから〜」

 

「かぐやちゃんは後1回でも負けたら脱落ですなぁ〜」

 

「うげっ、まじ?」

 

「その代わり、まみまみさんはこちらで落としたので、3対2での戦いになるでしょう……残機もこちらの方が有利、恐らくは3試合目はこちらが勝てるでしょうが……」

 

 

そう話してる中で、目の前にウィンドウが開き映像が映る

 

 

『僕だ、貴様らに提案がある』

 

『ROKAごめぇ〜ん、目の前に本物の局長が出てきてつい……!』

 

『いーのいーの、うちらで挽回するからさ』

 

「うわ!出た黒いの!」

 

「提案とは?」

 

『僕達はトップレーンを狙う以上だ』

 

「……はい?」

 

 

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