なんで私⁉ 野球知識皆無のJKが戦国時代で野球を広め、信長の恋女房になってしまう件~   作:ハムえっぐ

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第217話 長谷川真昼、教如と正信の叛乱に頭を抱える

 私たち織田と本願寺の和睦交渉。

 顕如さんが石山退去に合意しかけたんだけど、世の中は私が口先動かしただけで解決させるわけねえだろと、嫌がらせのように横槍を入れてきやがった。

 顕如さんの息子の教如が殺意オーラMAXで乱入して、こう告げてくる。

 

「父上、下間の坊官たち、織田の諸将よ。今日から俺が本願寺の宗主だ。織田に屈するゴミは追放する。引き取って石山から出て行け」

 

「なっ⁉ 狂われたか教如様! 父を追放する息子なぞ、門徒の誰が信じるというのです!」

「身の程を弁えていただきたい。教如様に従う門徒なぞ一割にも満たぬ。それで顕如様と我らを追放? 片腹痛いわ」

 

 仲孝さんの絶叫と頼廉さんの恫喝を、顕如さんが指パキポキさせて制する。

 

「よい。そこまで言ったんだ。教如の始末は俺がやる。ツルオカ!」

 

『おうよ』

 

 英霊ボール『ツルオカ』から緑色の光が溢れ、顕如さんの闘気と混ざって上半身の法衣が破裂するほど筋肉が膨れ上がる。

 

 ゴクリ。私も見えたよ。刺青の阿弥陀如来の顔が阿修羅になったのを。

 って! ヤバいヤバいヤバい。このままじゃこのヤクザ、自分の息子を殺しちゃうよ!

 光秀さんと貞勝さんは、そのほうが織田に都合がいいって顔して止めようとしないし、勝三は次の対戦相手はそれがしって顔してやがるし、妙向尼さんに血飛沫浴びせるわけにいかない。

 ここは私が止めなきゃ!

 

「父を敬わぬ奴は死ね」

 

 くっ! ツルオカのバフで近づけない!

 センイチめ! ツルオカに遠慮して闘志バフ出さないとは!

 

 顕如さんの拳が教如の顔面に向かう。

 オーラと風圧で、お堂にある阿弥陀如来像にヒビが入っていく。

 私は目を閉じた。教如さんの顔が貫通するのを見たくなかったから。

 

「なっ……⁉」

 

 驚愕声は顕如さん。

 血飛沫があがらないことに恐る恐る目を開けた私も驚愕した。

 なんと教如さんの顔面に3つの英霊ボールが浮遊し、顕如さんのパンチを防いだのだ。

 

『おんどれらあああああ! なんの真似じゃああああああ! アナブキィィィィィィ! トクジィィィィィィ! ヒロセェェェェェェェェェ!』

 

 ツルオカの激昂に、そいつらは涙声で叫び返す。

 

『大親分、ホークスの縁で側に置いてもらい、ありがとうございやす』

『英霊ボール大戦、ここまで生き延びれたのは大親分のお陰でっせ』

『せやけど回収に付き合うつもりあらへん。大親分、儂らはここで抜けさせてもらいまっせ』

 

「フフフ、そういうわけだ。父の……いや、顕如恐れるに足らず。今後本願寺は、この3体の英霊ボールと俺で運営していく」

 

『喝だ喝! 大親分、顕如! 今度は儂の力も使え! ……⁉』

 

 教如の勝ち誇った顔に、頼廉さんが英霊ボール『ポッポ』のバフで真っ赤に発光した——んだけど。

 

「はいそこまで。織田の皆様の前でみっともない。負けを認めましょうよ? フフフ、教如様に」

 

 本多正信が頼廉さんの首筋に背後から刀を突き付けていたのだ。

 

「貴様!」

 

 仲孝さんが立ち上がろうとし、英霊ボール『アキヒロ』も浮遊するが、ノビタが立ちはだかる。

 

『こっちに来なよ。顕如の下なら僕ら織田に回収だよ? なら教如をエースピッチャーに育てたほうがよくない?』

 

「断る! 拙僧の主は顕如様のみ!」

『僕はここでまたややこしくしたら、センイチさんに逆さ磔されるから遠慮しとくよ』

 

「ふ~ん? 頼廉様は?」

 

「当然、貴様の筋書きなんぞに乗らん」

 

「ちっ。どいつもこいつも。……織田の皆様、出ていってくれませんか? 顕如様と下間の坊官連れて」

 

 正信の冷たい言葉に、私たちはまだ誰も動かない。

 

「ちっ……母上に襲ってくれたら暴れられるんでござるが」

 

 勝三が悔しそうに金属バットを握りしめる。

 信長様に、母の危機以外暴れるなって釘を差されたこと覚えてるとは、こいつも成長したな。

 いや、だからお母さん襲ってくれないかな? って思考、ヤバない?

 

「教如殿、正信殿。籠城に何の意味がある? 顕如殿がいなくなった石山に、戦意など上がらぬぞ」

 

 冷静に説得しようとする光秀さんだけれど、教如は高笑いしてこう告げてくる。

 

「俺たちが殉教する。町を道連れにな。……そうすれば反信長感情は一層高まる。全土にいる我らの門徒が死ぬまで信長の命を狙うだろう。裏切り者の顕如もな。フフフ、アッハッハッハ」

 

 あかん破れかぶれじゃん。

 

「正信殿。徳川家康殿から、戻ってきてほしいと言伝を頼まれております。過去は忘れ、重用すると!」

 

 貞勝さんが必死の表情で叫ぶけど、正信さんは薄ら笑いした。

 

「は? 死んでも嫌ですよ。あいつの下で働くなら死んだほうがマシだ」

 

 三河一向一揆に寝返って、以降ずっと本願寺で私たちと戦い続ける正信さん。……一体なぜそこまでして戦うんだろう?

 

「前久様、顕如様。ここは一旦天王寺砦まで撤退し、対策を練りましょう。このまま睨み合いしても埒が明きません」

 

 妙向尼さんの囁きに、顕如さんは舌打ちした。

 

「……これだけは言わせろ。貴様はもう俺の息子じゃねえ。義絶だ。もう親子面してくんじゃねえぞ」

 

「上等だ。二度とその面を俺に見せるな、顕如」

 

 うわぁ。どんどん状況悪くなるよ。

 

「仕方がおまへんなあ。教如はん、ほなまた」

 

 前久様はさっさと出ていってしまった。

 

「仕方ないから一旦私も去ります。……私は教如さんと正信さんが死のうが、ここまでしたんですから擁護しません」

 

「ちっ。小娘が何を抜かしやがる」

 

 教如が嘲笑うけど、知ったことか。

 

「でも、町の人たちを巻き込むなら、死んでも許しません」

 

 それだけ言って、私は勝三君たちと前久様の後を追っていった。

 

「うーん。教如はともかく、正信さんって自爆選ぶ人なのかなあ? 長島も越前もヤバくなったらいなくなる前科あるのに」

 

 私が唸ってると、センイチとイシイも囁いてくる。

 

『死のうって顔じゃないわな。ノビタもよ』

『配球で裏をかくの上手かったんだよね。その時のしてやったり顔してたかも……ノビタパイセン』

 

 配球の裏? してやったり? 死ぬ気はない?

 

「まさか!」

 

 私はハッとして、顕如さんに本堂の隠し通路の場所を訊ねた。

 

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