転生したら『海賊狩り』に成り代わっていて、先生をする件 作:ワニノコ
それは、突然の出来事だった。
おれは横断歩道を歩いていたら、赤信号なのにも関わらず、車が突っ込んで来やがった。
不幸中の幸いだったのは、一瞬であの世に行けた事だな。
・・・なんでおれがこんな事を語っているかだって?
それはだな・・・
「・・・い。先生!」
気づいたら転生して、先生をやる事になったんだよ!
しかも、『ロロノア・ゾロ』に成り代わってな!
転生してガキの時に鏡を見た時は驚いて、心臓が飛び出るかと思ったわ。
まさか、『ロロノア・ゾロ』に成り代わって、学園都市『キヴォトス』って所で先生をやる事になるなんてな。
っていうか、おれに先生なんて務まるのか?だってゾロだぞ?
そしておれは、鋭い声の持ち主に起こされた。
「・・・」
「んあ?」
「少々待ってくださいと言いましたのに、お疲れだったみたいですね。なかなか起きないほど熟睡されるとは。ちゃんと目を覚まして、集中してください」
「・・・あぁ、悪かった」
「・・・もう一度、今の状況をお伝えします」
そうして目の前にいる女性は説明を始めた。
まず、この少女の名前は七神リン。
連邦生徒会って所の幹部らしい。
「今はとりあえず、私についてきてください。どうしても、先生にやっていただかなくてはいけない事があります」
「・・・その、"やっていただかなくてはならない事"ってのは何だ?」
「・・・学園都市の命運をかけた大事なこと・・・ということにしておきましょう」
そう言って、リンはその場から歩いていった。
まぁ、言葉は濁してはいるが、悪いようにはされないだろう。
そうしておれは、腰に三本の刀を差してリンについて行き、エレベーターに乗った。
「『キヴォトス』へようこそ、先生」
そう言い、リンは『キヴォトス』についての説明を始めた。
リン曰く、『キヴォトス』ってのは数千の学園が集まってできている巨大な学園都市で、おれが働くところらしい。
結局おれはゾロに成り代わっても、労働の魔の手からは逃れられないのか・・・
「きっと先生がいらっしゃった所とは色々な事が違っていて、苦労するかもしれませんが・・・先生なら、それほど心配しなくてもいいでしょう。あの連邦生徒会長が、お選びになった方ですからね」
リンはおれの腰に差している刀を見てそう言った。
どうやらリンは、人を見る目があるようだ。
それにしても連邦生徒会長か・・・確か寝ている時に夢で、ソイツが語りかけていたようないなかったような・・・まぁ、今は詳しく思い出せねぇからどうでもいいか。
そうしてエレベーターが『チンッ』と音が鳴り、目的の階に着いたようだ。
(ざわざわ・・・)
着いた階はざわついていた。
「代行!待ってたわよ!連邦生徒会長を呼んできて!」
「首席行政官。お待ちしておりました」
「連邦生徒会長に会いに来ました。風紀委員長が、今の状況について納得のいく回答を要求されています」
「トリニティ自警団です!連邦生徒会長に直談判を!」
全員の視線がリンに向いており、リンは鬱陶しそうな表情をし、「あぁ・・・面倒な人達に捕まってしまいましたね」と小声で愚痴っている。
そして、リンはあくまで冷静を装い、良い笑顔で少女達に話し始めた。
「こんにちは、各学園からわざわざ訪問してくださった生徒会、風紀委員会、その他時間を持て余している皆さん。こんな暇そ・・・大事な方々がここまで訪ねてきた理由は、よく分かっています」
一瞬本音が出かけたが、気にしないでおこう。
後が怖いし・・・
「今、学園都市に起きている混乱の責任を問うために・・・でしょう?」
「そこまで分かってるなら、何とかしなさいよ!連邦生徒会なんでしょ!」
リンの質問に、菫色の髪が腰まで伸び、髪をツーサイドアップにしている少女が食って掛かってきた。
その少女曰く、自身の通っている学校にある風力発電所がシャットダウンしたらしい。
そして、混乱が数千の学園自治区が混乱に陥っているのだとか。
その他にも、連邦矯正局で停学中の生徒が一部脱出したとか、不良達が登校中の生徒たちを襲う頻度が急激に高くなっているとか、戦車やヘリコプターなどの出所不明の武器の不法流通が2000%以上増加したとか・・・本当に学園都市なのか?
停学中の生徒が一部脱出や不良達に襲われるのはまだ分かる。
だが、戦車やヘリコプターは分からん。しかも、出所不明の不法流通。
もうここ終わりだろ。
「・・・」
事実かどうかは分からないが、リンが黙り込んでいるのを見るに、事実なのだろう。
「こんな状況で連邦生徒会長は何週間も姿を見せずに何をしているの?今すぐ会わせて!」
全く持ってその通りだな。
最初はただのクレーマーかと思ったが、話を聞いてみると、めちゃくちゃまともな事を言ってるな。
おれがそんな事を思っていると、リンが正直に説明を始めた。
「連邦生徒会長は今、席におりません。正直に言いますと、行方不明になりました」
リンの淡々とした物言いに、その場にいる全員が驚きを隠せていないようだ。
そして、リンはその驚きを無視して続ける。
「結論から言うと『サンクトゥムタワー』の最終管理者がいなくなったため、今の連邦生徒会は行政制御権を失った状態です。認証を迂回できる方法を探していましたが・・・先程まで、そのような方法は見つかっていませんでした」
「それでは、今は方法があるということですか、首席行政官?」
黒髪で黒い翼の生えた高身長の少女がリンに尋ねた。
まぁ、方法があるってんなら話は早いな。
「はい。・・・この先生こそが、フィクサーになってくれるはずです」
・・・おれが?フィクサーに?
前言撤回。リンには人を見る目がないようだ。
先生をやるだけならまだ出来るかもしれねぇが、行政関係の事は全く分からねぇぞ・・・
おれを含め、この場にいる全員が驚きを隠せていない。
そりゃそうだ。
腰に三本の刀を差して、着物のようなロングコートを着て、左胸から右腹部にかけて傷があって、左眼に縦一文字の傷で隻眼になって、左上腕に黒い手拭いを巻いて、左耳に雫型のチャームを下げた金色のピアスを三つ付けている男が先生と思える訳がない。
「・・・おれが、か?」
思わず聞いてしまった。
「ちょっと待って。そういえばこの先生?はいったいどなた?どうしてここにいるの?」
「キヴォトスではないところから来た方のようですが・・・先生?だったのですね」
やっぱり先生と思われていない。
まぁ、人は見た目が第一印象になるから、仕方のない事だ。
それに、挽回のチャンスはいくらでもあるはずだ。
「はい。こちらの先生は、連邦生徒会長が特別に指名した人物であり、これからキヴォトスで働く事になります」
「行方不明になった連邦生徒会長が指名?ますますこんがらがってきたじゃない・・・」
頭を抱える菫色の髪をした少女。
とりあえず、挨拶はしとくか。
「おれはロロノア・ゾロ。一応、キヴォトスで先生をやる身だ。おれに対して色々と疑問があるとは思うが、よろしく頼む」
おれは挨拶を手短に済ませると、菫色の髪の少女が挨拶を返した。
「こ、こんにちは、先生。私はミレニアムサイエンススクールの・・・」
「そのうるさい方は気にしなくていいです。続けますと・・・」
「誰がうるさいって!?わ、私は
ユウカを皮切りに他の生徒たちも挨拶を返す。
「ゲヘナ学園風紀委員会の
「トリニティ総合学園、正義実現委員会の
「同じくトリニティ総合学園、トリニティ自警団の
「あぁ、よろしく頼む」
おれは軽く返すと、リンは咳払いと共に説明を続けた。
「・・・先生は元々、連邦生徒会長が立ち上げた、ある部活の担当顧問としてこちらに来る事になりました」
「部活?」
おれはそういうと、リンは静かに頷いた。
「連邦捜査部『シャーレ』。単なる部活ではなく、一種の超法規的機関。連邦組織のため、キヴォトスに存在するすべての学園の生徒たちを、制限なく加入させることすらも可能で、各学園の自治区で、制約無しに戦闘活動を行うことも可能です」
・・・案外、悪くはないかもしれない。
戦闘が大好物という訳ではないが、揉め事が起こった時に後から文句を言われねぇのはありがたい。
それに、おれの力がどこまで通じるかを試してみてぇからな。
おれは顔には出してはいないが、心の中では悪人面を浮かべちまっている。
「なぜこれだけの権限を持つ機関を、連邦生徒会長が作ったのかは分かりませんが・・・」
確かにそうだな。
まぁ、使えるもんはありがたく使わせてもらうが。
「シャーレの部室はここから約30km離れた外郭地区にあります。そこの地下に連邦生徒会長の命令で『とある物』を持ち込んでいます」
そう言い、リンがスマホを取り出して電話を掛けた。
「モモカ、シャーレの部室に直行するヘリが必要なんだけど・・・」
『シャーレの部室?・・・外郭地区のこと?あそこは今、矯正局から脱出した停学中の生徒が騒ぎを起こしたの。連邦生徒会に恨みを抱いている地域の不良たちを先頭に、周りが焼け野原になっているみたいなの。巡航戦車までどっかから手に入れたみたいだよ?それで、シャーレの建物を占拠しようとしてるらしいの。まるでそこに何か大事なものでもあるみたいな動きだけど?』
「・・・」
『まぁでも、もうとっくにめちゃくちゃな場所なんだから、別に大した事な・・・あっ、先輩、お昼ご飯のデリバリーが来たから、また連絡するね!』
そうして、(ブツッ)と音を立てて、電話は一方的に切られた。
「・・・」
リンは静かに怒りで震えていた。
はっきり言って、とても話し掛け辛い。
だが、ここは話し掛けないと前に進めないだろう。
「な、なぁ・・・大丈夫なんだよな?」
「・・・だ、大丈夫です。・・・問題が発生しましたが、大したことではありません」
そう言い、リンはユウカ、ハスミ、チナツ、スズミの方を見て、素敵な笑顔を向けて口を開けた。
「ちょうどここに各学園を代表する、立派で暇そうな方々がいるので、私は心強いです」
「「「「・・・えっ?」」」」
成り主のプロフィール
名前:ロロノア・ゾロ
所属:シャーレ
役職:シャーレ担当顧問
覇気:覇王色、武装色、見聞色
武器:『和道一文字』、『三代鬼徹』、『閻魔』
誕生日:11月11日
弱点:方向音痴、書類関係、女性(特に気の強い女性)、所構わず寝てしまう
好きな食べ物:白米、海獣の肉、酒に合う物
嫌いな食べ物:甘いチョコ
得意料理:刺身
趣味:修行、酒
入浴頻度:毎日(前世から)
人物
車に轢かれて転生したらロロノア・ゾロになって、キヴォトスで先生をやる事になった人。
容姿は新世界編からのゾロと変わらない。
成り主がONE PIECEの原作を知っているのは、エッグヘッド編まで。
修行と努力をやりまくった結果、強くなって、覇気を習得した(ただし、覇王色は任意ではまだ使えない)。
『閻魔』は使いこなせている(と成り主は思っている)。
戦いになれば女性だろうと刀を向けられる。
性格は基本的には冷静沈着で、「吉」と「凶」の両方を考えた上で意見を出し、行動を起こす。
ゾロに成り代わってからは、心身共に頑丈に成り、死を伴う苦痛であっても根性で耐え切り、いかなる屈辱であろうと大事な人の為ならば一心に耐える鋼の精神になった。
また、前世から若干捻くれた感性の持ち主であった為、皮肉を込めたジョークを口にする事が多い。特に自身や大事な人に敵意を向ける者に。
価値観は、リアリストに近い。
特に、「不確かな存在」については前世から基本的に信じてはいない。
読んでいただきありがとうございました。
成り変わりってこんな感じで良いのか分かりませんが、続けていこうと思います!