転生したら『海賊狩り』に成り代わっていて、先生をする件 作:ワニノコ
(ドカアアァァァァン!)
周囲からは爆撃音や銃声が鳴り響いていた。
・・・本当に、騒ぎを起こしているのは学生なんだよな?
銃や爆弾なんか、学生が持って良いもんじゃないだろ・・・
「なんで私たちが不良たちと戦わなきゃいけないの!?」
「サンクトゥムタワーの制御権を取り戻す為には、あの部室の奪還が必要ですから・・・」
「そうだけど・・・!これでも私、うちの学校の生徒会に所属してて、それなりの扱いなんだけど!なんで私が・・・!」
そう愚痴を言っていると、ユウカに弾丸が当たった。
・・・が、ユウカは『痛い』と言っているが、傷はない。
なるほど、ここにいる学生は頑丈なのか。
「大丈夫か?見た所、弾丸が当たった見たいだが?」
「えぇ、大丈夫ですよ!それより、先生は下がっていてください!」
なんでちょっとキレ気味なんだよ・・・
気が立っているのは分かるが、おれに八つ当たりみたいなことはしないでくれよ・・・
「ユウカの言う通りです。私たちの最優先は先生を守ること。あの建物の奪還はその次です」
「先生はキヴォトスではないところから来た方ですので・・・私たちとは違って、弾丸一つでも命の危機にさらされる可能性があります。その点ご注意を!」
コイツらは優しい奴らだなぁ。
おれに今まで優しさという感情を向けてきた連中なんて、両手で数えれるぐらいだったな。
・・・だが、コイツらの目は節穴のようだ。
何の為に刀を腰に差していると思っているんだか。
「・・・お前たちがおれの身を案じてくれるのはありがたいが、おれは守られる程やわじゃねぇんだよ」
おれは腰から『閻魔』と『三代鬼徹』を鞘から抜き、不良たちに向かって歩き出した。
「先生!?正気ですか!?」
「先生は弾丸一つでも命の危機にさらされる可能性があるって、さっき言ったばかりですよ!」
「銃に対して刀なんて、相性最悪ですよ!」
「バカな真似はやめて、こちらに戻ってきてください!」
誰がバカだゴラ。
まぁ、側から見たらバカで無謀だと思われても仕方ないな。
だが、おれは『ロロノア・ゾロ』に成り代わった身だ。命を落とす覚悟なんて、とっくにできている。
「安心しろ、ガキ共を人殺しにさせる気なんてねぇよ」
そう宣言した。
「バカか、あの男!?」
「構うな、撃ちまくれぇ!」
そうしておれに浴びせられる弾丸の雨。
だが・・・
「ふっ・・・」
(ガキィン!ガキィン!)
おれは弾丸を一つ一つ丁寧に斬り落としていく。
銃火器を持っても、所詮は学生。烏合だな。
「な、なんで一発も当たらねぇんだ・・・!?」
「弾丸を刀で斬り落とした・・・!?」
不良たちはおれのやったことに驚きを隠せてはいないようだ。
さてと、早いとこ建物を奪還したいところだ。
キヴォトスの学生は頑丈みたいだ。
多少は本気を出したところで、死にはしないだろう。
「おい、ガキ共」
おれがそう言うと、不良たちは体を震わせた。
「飛ぶ斬撃を見た事はあるか?」
そう言い、おれは刀を構え
「二刀流」
『ー"七百二十煩悩鳳"ー』
不良たちに斬撃を飛ばし、一掃した。
もちろん、殺してはいない。
まぁ、仮に殺すとしても、今のを耐えられるんなら、かなり骨が折れそうだが。
「せ、先生って・・・あんなにすごい人だったんですか?」
「こ、これが先生の力・・・あの身体能力、私たちと遜色ないどころか、それ以上かも・・・」
「ツルギにも匹敵するか、それ以上かもしれませんね・・・」
「ま、まぁ、連邦生徒会長が選んだ方だから当たり前か・・・」
後ろからはそんな声が聞こえる。
おれは『閻魔』と『三代鬼徹』を鞘に戻し、ユウカ達のところに戻った。
「それで、次はどうすればいい?」
「このままシャーレの建物に向かいます」
「そうか・・・んじゃあ、さっさと終わらせるか」
そうしておれは走り出した。
「はい!・・・って先生!そっち逆です!」
「何!?」
それからおれたちは、道中にいた不良たちを蹴散らし、シャーレの建物の目の前に来た。
そして、リンから連絡が入った。
連絡の内容はこの騒ぎを起こした主犯格の生徒の名前と大まかな情報だ。
名前はワカモ。
百鬼夜行連合学院って学校を停学になった後、矯正局を脱獄した生徒らしい。
似たような前科がいくつもあり、リンからは「気を付けてください」と言われた。
そして、おれたちの目の前には、リンから言われたワカモって生徒がいる。
「フフッ、連邦生徒会の子犬たちが現れましたか。お可愛らしいこと。・・・相手をしたいところですが、ここは任せます」
そうしてワカモはその場から逃げた。
ユウカは追おうとしたが、ハスミに止められた。
おれたちの目標はあくまでシャーレの奪還。ワカモって生徒の確保は二の次でもいい。
まぁ、おれ個人の意見としては、おれだけでワカモを追って、引っ捕えてもいいのだが。
だが、そんな事をしたら、後でうるさく言われるに決まっている。特にユウカとかに。
ここは黙って、シャーレまで前進しよう。
そうしておれたちは不良たちを蹴散らし、シャーレの入り口に到着した・・・が
(ゴゴゴゴゴ・・・)
戦車が来た。
そういや、巡航戦車をどっかから手に入れたって言ってたな。
「クルセイダー1型・・・!私の学園の正式戦車と同じ型です」
「不法に流通された物に違いないわ!PMCに流れたのを不良たちが買い入れたのかも!・・・つまり、ガラクタってことだから、壊しても構わないわ!行くわよ!」
そうして、ユウカ、ハスミ、スズミは巡航戦車との戦いに突入した。
それに対しておれは、辺りを『見聞色の覇気』を使って探ってみた。すると、シャーレの地下から、さっき逃げたワカモの気配を感じ取った。
ユウカ達に加勢して、戦車をぶった斬るってのもいいが、地下に行った方が面白そうだ。
おれは一応、近くにいたチナツに声を掛ける。
「チナツ」
「な、なんでしょうか先生?」
「少し、野暮用ができた。おれは一足先にシャーレに入る」
おれはチナツにそう言い残し、シャーレの入り口に入り、地下を目指した。
「・・・えっ!?ちょっ、先生!?」
後ろからチナツの声が聞こえたが、今はワカモが優先だ。
後でユウカ達に怒られるかもしれねぇが、ワカモの気配を感じ取ったから何かされる前に対処したって言い訳すれば許してくれるだろ。
そうしておれは、若干迷ったが、地下に辿り着いた。
そして、そこには案の定ワカモがおり、手に白い板状の物を持っていた。
「うーん・・・これが一体何なのか、まったく分かりませんね。これでは壊そうにも・・・あら?」
どうやら、おれの存在に気がついたようだ。
「よぉ、さっきぶりだなぁ」
「あら、あらららら・・・」
おれはいつでも刀を抜けるように身構える。
どっちだ?銃で撃ってくるか、それとも銃の先端に付いている短刀をおれに向けて突進してくるか。
「あ、あぁ・・・し、し・・・」
「し?」
「失礼いたしましたー!」
ワカモは地下室から勢いよく出ていった。
「・・・は?」
・・・何が起こったんだ?
予想外の行動をされて、脳の処理が追いついていない・・・
しばらくして、脳の処理がようやく追いつき、もう一度『見聞色の覇気』で辺りを探ってみたが、近くに気配はなかった。
足速すぎだろ。
それから少し時間が経ち、リンが地下に入ってきた。
「お待たせしました。・・・?何かありましたか?」
「・・・まぁ、色々と。だが、問題ない」
「そうですか。ここに、連邦生徒会長の残したものが保管されています。・・・幸い、傷一つなく無事ですね」
リンはさっきまでワカモが持っていた白い板状の物を手に取り、おれに渡してきた。
「・・・受け取ってください」
おれはリンの渡してきた白い板状の物を受け取る。
「これは・・・タブレット端末か?」
「はい。これが、連邦生徒会長が先生に残した物。『シッテムの箱』です」
『シッテムの箱』・・・どこかで聞いたことがあるような名前だな・・・
「普通のタブレットに見えますがら実は正体の分からない物です。製造会社も、OSも、システム構造も、動く仕組みのすべてが不明。連邦生徒会長は、この『シッテムの箱』は先生の物で、先生がこれでタワーの制御権を回復させられるはずだと言っていました。私たちでは起動すらできなかった物ですが、先生ならこれを起動させられるでしょうか、それとも・・・」
「・・・さぁな」
「・・・では、私はここまでです。ここから先は、全て先生にかかっています。邪魔にならないよう、離れています」
そう言い、リンは部屋から出ていき、おれは『シッテムの箱』の電源ボタンを押し、起動させる。
電源ボタンを押し、起動させると、『システム接続のパスワードをご入力ください』と出てきた。
知るかそんなもん。
・・・そう思っていたんだが、脳裏に言葉が浮かんできた。
まぁ、ダメ元で入力してみるか。
『・・・我々は望む、七つの嘆きを。
・・・我々は覚えている、ジェリコの古則を。』
そう入力したら、おれの身体を光が包み込んだ。
そして、おれの目の前の光景は、さっきまでいた地下室ではなく、教室だった。
「ここは・・・」
おれは辺りを見渡してみると、一人の少女が机に突っ伏して眠っていた。
「くううぅぅ・・・Zzzz・・・くううぅぅ・・・Zzzz・・・むにゃ、カステラにはぁ・・・いちごミルクより・・・バナナミルクのほうが・・・Zzzz・・・えへっ・・・まだたくさんありますよぉ・・・」
どうやら幸せそうな夢を見ているみたいだ。
だが、ここがどこなのか分からない以上、おれよりも先にいるであろうこの少女に聞かなければならない。
気持ちよさそうに寝ているところ悪いが、無理矢理にでも起こさせてもらう。
「おい起きろ」
おれは少女が突っ伏している机を軽く手で揺らした。
(ガタッ)
「むにゃ・・・んもう・・・ありゃ?ありゃ、ありゃりゃ・・・?」
少女は起き、俺の顔を見るなり、目を見開いた。
「え?あれ?あれれ?せ、先生!?この空間に入ってきたっていうことは、ま、ま、まさかゾロ先生・・・?!」
「あぁ、そうだ」
「う、うわあぁ!?そ、そうですね!?もうこんな時間!?・・・えっと・・・その・・・あっ、そうだ!まず自己紹介から!私はアロナ!この『シッテムの箱』に常駐しているシステム管理者であり、メインOS、そしてこれから先生をアシストする秘書です!」
どうやら、この少女・・・アロナは見た目に反してすごい存在みたいだ。
「やっと会うことができました!私はここで先生をずっと、ずーっと待っていました!」
「寝てたんじゃねぇのか?」
まぁ、寝るのは自由だし、寝る子は育つって言うから構わないが。
「あ、あうぅ・・・も、もちろんたまに居眠りしたりしたこともあるけど・・・」
「まぁ、別に構わない。それより、これからよろしく頼む」
「はい!よろしくお願いします!まだ身体のバージョンが低い状態でして、特に声帯周りの調整が必要なのですが・・・これから先、頑張って色々な面で先生のことをサポートしていきますね!」
そう、アロナは意気込んでくれた。
何故かよく分からないが、とても頼もしく思える。
「あ、そうだ!ではまず、形式的ではありますが、生体認証を行います。うぅ・・・少し恥ずかしいですが、こちらに来てください」
何故恥ずかしがるのかは分からないが、おれはアロナに近づく。
そして、アロナはおれに向けて人差し指を向けてきた。
「さぁ、この私の指に、先生の指を当ててください」
おれは言われた通り、アロナの指に自分の指を当てた。
これ、本当に生体認証なんだよな?
「一応聞くが、生体認証で合ってるんだよな?」
「はい!これで生体情報の指紋を確認するんです!安心してください、すぐ終わります!こう見えて目は良いので」
本人がそう言ってるんなら合ってるか。
わざわざ嘘をつく理由もねぇからな。
「どれどれ・・・うぅ・・・」
何やら手こずっているみたいだ。
「(うーん・・・よく見えないかも・・・まぁ、これでいいですかね?)」
「・・・」
アロナが何を思っているかは分からないが、『見聞色の覇気』使って感情を読み取ったから、適当にやったってのは分かる。
それで大丈夫なのか?
「・・・はい!確認終わりました!」
「そうか・・・これは確認だが、真面目にやったか?」
「も、もも、もちろんですよ!」
アロナは明らかに動揺している。
これはクロ確定だな。
もう少し揺さぶってみるか。
「最近の機械は自動で、一秒もかからないが?」
「わ、私にはそんな最先端の機能はないですが・・・そ、そんな能力なくてもアロナは役に立ちますから!?目でも十分確認できますから!」
アロナは必死の弁明をしている。
そして、アロナはいじけてしまい、涙目になってしまった。
流石にやりすぎたな。
「すまん、おれはアロナを悪く言うつもりはなかったんだ。だから、機嫌を直してくれないか?」
そう言い、おれはアロナの頭を優しく撫でる。
しばらく撫で続けると、機嫌が直った。
・・・ちょろいな。
そして、おれの事情を一通り話した。
「なるほど・・・先生の事情は大体わかりました。連邦生徒会長が行方不明になって、そのせいでキヴォトスのタワーを制御する手段がなくなった・・・」
「あぁ。アロナ、連邦生徒会長のことは知ってるか?」
「私はキヴォトスの情報の多くを知ってはいますが・・・連邦生徒会長についてはほとんど知りません。彼女が何者なのか、どうしていなくなったのかも・・・お役に立てず、すみません」
そう言い、おれに謝るアロナ。
どうやら、連邦生徒会長のことはキヴォトスの情報の多くを知っているアロナでもほとんど知らない謎の人物らしい。
となると、詳しく知ってそうなのはリンや連邦生徒会の幹部クラスぐらいか。
今度、時間があったら聞いてみるか。
「・・・ですが、サンクトゥムタワーの問題は私が何とか解決できそうです」
「じゃあ頼む、アロナ」
「はい!分かりました。それでは、サンクトゥムタワーのアクセス権を修復します!少々お待ちください」
そう言い、アロナはサンクトゥムタワーのアクセス権の修復を始めた。
そしておれは、アロナに言われた通り、終わるのを待った。
「サンクトゥムタワーのadmin権限を取得完了・・・先生、サンクトゥムタワーの制御権を無事に回収できました。今のサンクトゥムタワーは、私の統制下にあります。先生が承認さえしてくだされば、サンクトゥムタワーの制御権を連邦生徒会に移管できます。でも・・・連邦生徒会に制御権を渡しても大丈夫ですか?」
「あぁ、構わねぇ。おれはキヴォトスを支配する野望なんてねぇからな」
「分かりました。これよりサンクトゥムタワーの制御権を連邦生徒会に移管します!」
そう言って、アロナはサンクトゥムタワーの制御権を連邦生徒会に移管した。
「それでは先生、私が今やれるのはここまでです」
「そうか、ありがとう。今度来る時は、手土産でカステラを持ってくる。それじゃあな」
「はい!」
おれはアロナに別れを告げると、おれの身体が再び光に包まれる。
意識が戻ると、おれはシャーレの地下室にいた。
サンクトゥムタワーの制御権を取り戻したおかげで、電気が点いていた。
そして、部屋の外にいたリンが地下室に入ってきた。
「お疲れ様でした、先生。無事にサンクトゥムタワーの制御権の確保を確認できました。キヴォトスの混乱を防いでくれたことに、連邦生徒会を代表して深く感謝いたします」
続けてリンは、シャーレを攻撃した停学中の生徒と不良たちに討伐隊を出して追跡すると言った。
その討伐隊に加わりたいという本音は隠しておこう。
口は災いの元って言うからな。
「最後に連邦捜査部『シャーレ』をご紹介します。ついてきてください」
そうしておれは、リンの後に続く。
シャーレを見て回って思ったことは、想像以上に大きく、様々な施設があることだ。
そして、最後に案内されたのは、シャーレの部室だった。
「ここがシャーレの部室です。ここで、先生のお仕事を始めると良いでしょう」
「へぇ・・・」
シャーレの部室の中は、長い間放置されていた割には綺麗だった。
定期的に掃除をしていたのだろう。
おれは刀を壁に立て、近くに置いてあった椅子に座った。
「それで、おれはこれから何をすればいいんだ?」
「・・・シャーレは、権限はありますが目標のない組織なので、特に何かをやらなきゃいけない・・・という強制力は存在しません」
「そうなのか?」
「えぇ。面白いですよね。捜査部とは呼んでいますが、その部分に関しては、連邦生徒会長も特に触れていませんでした」
つまり、おれがやりたいことを何でもやって良いってことか。
・・・すごいな。
「・・・本人に聞いてみたくても、連邦生徒会長は相変わらず行方不明のまま。私たちは彼女を探すのに全力を尽くしているため、キヴォトスのあちこちで起きる問題に対応できるほどの余力がありません」
要は、本来連邦生徒会がやらなければならない業務や苦情対応などが、連邦生徒会長が失踪したせいでできないのだろう。
・・・労働はクソだが、おれが代わりにやるしかなさそうだ。
「よし分かった。おれが代わりにキヴォトスで起きる問題を対応する。シャーレには時間が有り余ってるからな」
おれがそう言うと、リンは一瞬だけ安心したような顔になった。
「そうおっしゃってくれて助かります。書類は、先生の机の上にたくさん置いておきました。気が向いたらお読みください」
おれは机の方を見る。
机の上には数え切れない程の書類が積まれていた。
この感じ、前世でブラック企業で働いていたことを思い出すな。
・・・ついさっきの自分を殴りたい。
だが、今更発言を撤回はできないんだから、腹を括るしかない。
「それでは、私はこれで。必要な時には、またご連絡いたします」
リンはおれに会釈をして、部室を後にする。そしておれも、椅子から立ち上がり、刀を腰に差して、ユウカ達に会うためにシャーレの出入り口に向かう。
そして迷った。
あれから数十分が経ち、ようやく出入り口に着いた。
マジでシャーレ広すぎだろ。
一生彷徨うことになるかと思ったわ。
とりあえず、ユウカたちが目の前にいるから、労いの挨拶でもするか。
「お疲れ様」
「お疲れ様でした、先生。それより、これを見てください!SNSは先生の話題で持ち切りですよ!」
ユウカはおれにスマホの画面を見せてくる。
スマホの画面には、おれが不良たちに斬撃を飛ばし、一掃している映像や、連邦生徒会がサンクトゥムタワーの制御権を確保したというニュースが書かれていた。
キヴォトスのマスコミって動くのが早いんだな。
おれはマスコミの早さに感心していると、ハスミとスズミが近づいてきた。
「これでお別れですが、近いうちにぜひ、トリニティ総合学園に立ち寄ってください。先生」
ハスミがそう言い、スズミもぺこりと頭を下げて帰っていった。
「私も、風紀委員長に今日のことを報告しに戻ります。ゲヘナ学園にいらっしゃった時は、ぜひ訪ねてください」
「ミレニアムサイエンススクールに来てくだされば、またお会いできるかも?先生、ではまた!」
チナツとユウカも帰っていった。
そして、おれはシャーレのオフィスに戻る。
今度は迷わないと信じたい。
オフィスに戻る道中、手に持っていた『シッテムの箱』からアロナの声が聞こえた。
「あはは・・・なんだか慌ただしい感じでしたが・・・ある程度、落ち着いたみたいですね。お疲れ様でした」
「あぁ、アロナもな」
「はい!でも、本当に大変なのは、これからですよ?これから先生と一緒に、キヴォトスの生徒たちが直面している問題を解決していくのです・・・!単純に見えても決して簡単ではない・・・とっても重要なことです。それではキヴォトスを、シャーレをよろしくお願いします、先生」
「こっちこそ、よろしく頼む。・・・それと、一ついいか?」
「なんでしょうか?」
「・・・ここは、どこだ?」
おれはまた、迷ってしまった。