転生したら『海賊狩り』に成り代わっていて、先生をする件 作:ワニノコ
おれがシャーレに勤務して数日が経った朝。
「おはようございます、先生!」
『シッテムの箱』からアロナの挨拶が聞こえた。
「おはよう、アロナ」
アロナが挨拶をしてきたので、挨拶を返す。
「はい!さて、ここ数日間、シャーレに関する噂もたくさん広まっているみたいですし、他の生徒達から助けを求める手紙も届いています。ですが・・・ちょっと不穏な手紙がありまして。これは先生に一度読んでもらった方が良いかなと」
おれはアロナから言われた手紙を開き、読み始める。
手紙の内容は・・・
連邦捜査部の先生へ
こんにちは。私はアビドス高等学校の
今回どうしても先生にお願いしたいことがありまして、こうしてお手紙を書きました。
単刀直入に言いますと、今、私たちの学校は追い詰められています。
それも、地域の暴力組織によってです。
こうなってしまった事情は、かなり複雑ですが・・・。
どうやら、私たちの学校の校舎が狙われているようです。
今はどうにか食い止めていますが、そろそろ弾薬などの補給が底を突いてしまいます・・・。
このままでは、暴力組織に学校を占領されてしまいそうな状況です。
それで、今回先生にお願いできればと思いました。
先生、どうか私たちの力になっていただけませんか?
こんな感じだった。
アビドス高等学校か・・・一体、どんなとこなんだ?
「アロナ、アビドス高等学校はどんなところだ?」
「アビドス高等学校は、昔はとても大きい自治区でしたけど、気候の変化で街が厳しい状況になっていると聞きました。どれほど大きいかというと、街のど真ん中で道に迷って遭難する人がいるぐらいだそうです!」
「それは流石に言い過ぎだろ」
「そうですよね・・・流石にちょっとした誇張だと思いましたが・・・」
そう言い終わると、続けてアロナが「まぁ、迷子センターの常連である先生なら自治区の大きさ関係なく迷いそうですが・・・」と、小声で言っているのが聞こえた。
誰が迷子センターの常連じゃゴラ。
おれはそこまで致命的な程の方向音痴じゃねぇよ。
「それより、学校が暴力組織に攻撃されているなんて・・・ただ事ではなさそうですが・・・何があったんでしょうか?」
「さぁな。ここにいても結論は出ねぇし、アビドスに出張するしかなさそうだな」
「・・・ということは先生!」
「あぁ。必要な荷物をまとめたら出張するぞ。アロナ、アビドス高等学校までの道案内をしてくれ」
「分かりました!」
そうして、アロナの案内の元、アビドスの自治区に着いたのはいいのだが・・・
「マジで・・・どこにあるんだよ・・・」
学校が見つからず何日も迷い続け、街のど真ん中で道に迷って遭難してしまった。
「アロナ、本当にこの辺りなのか・・・?」
「この辺りのはずなんですが・・・迷っちゃいました!」
「おい・・・!」
ふざけるのも大概にしろよコイツ・・・!
おれを迷子センターの常連だとバカにしておきながら、てめェが迷子になってどうすんだよ・・・!
・・・そして、何故だか眠くなってきた。
そりゃそうだ。
途中、休みを入れてはいたが、水を飲んだのは半日前が最後だ。
いわゆる脱水症状ってやつだろう。
おれはその場に仰向けになって倒れ込んだ。
「先生、大丈夫ですか!?」
『シッテムの箱』からアロナの心配そうな声が聞こえる。
だが、そんなことすらもどうでも良くなってきた。
「うるせぇ・・・おれは眠いんだ。寝かせてくれ・・・」
「ダメです!今寝たら死んじゃいますよ!」
アロナの嗚咽混じりの声が聞こえる。
おれだって分かっている。今寝たら死んじまうことぐらい。
だが、人間には逆らうことができねぇものがあるんだよ。
そうしておれが瞼を閉じかけた時、救世主が現れた。
(キキーッ)
「・・・あの・・・」
その救世主ってのはロードバイクに乗っていて、銀髪にケモ耳があり、水色の瞳で瞳孔の色が左右で違う制服を着た少女だった。
「・・・大丈夫?」
「な、なんとかな・・・」
「あ、生きてた。街のど真ん中に倒れてるから、死んでるのかと」
今から死ぬところだよ。
・・・いや、コイツが飲み物を飲んでいたら生き返れる。
「何か・・・飲み物は、ねぇか・・・?」
「エナジードリンクならあるけど・・・これでよければ。あっ、でもこれ・・・」
少女はペットボトルに入ったエナジードリンクをカバンから出した。
おれは少女の手から奪い取り、一瞬で飲み干す。
飲み干すと、少女は顔を赤くしていたが、気にしないでおこう。
「助かった、お前は命の恩人だ。恩に着る」
おれは感謝の気持ちを少女に伝える。
人として、他人から受けた恩に感謝を伝えるのは当たり前のことだからな。
「うん。・・・それよりあなたは大人の人みたいだけど、もしかして連邦生徒会の人なの?」
「まぁ、それに近い存在だな」
「そうなんだ、お疲れ様。学校に用があって来たの?この近くだと、うちの学校しかないけど・・・もしかして・・・『アビドス』に行くの?」
ご名答。
察しが良くて助かる。
「あぁ、そうだ。手紙を受け取ったからな」
おれは懐から手紙を取り出す。
すると、少女は嬉しそうな表情をした。
「・・・そっか。久しぶりのお客様だ。それじゃあ、私が案内してあげる。すぐそこだから」
「そうか、助かる」
おれを迷子センターの常連だと言っていたバカとは大違いだ。
お前に言ってるんだぞ、アロナ。
次はねぇからな。
そうしておれは少女に案内されてアビドス高等学校へと向かうのだった。
少女に案内され、アビドス高等学校に着き、校内のとある一室に連れてこられた。
「ただいま」
「おかえり、シロコせんぱ・・・い?って、後ろにいる人誰!?」
「わぁ、シロコちゃんが大人を拉致してきました!」
「拉致!?シロコ先輩がついに犯罪に手を・・・!」
「みんな落ち着いて!体育倉庫にシャベルとツルハシがあるから、速やかに証拠隠滅を!」
この少女・・・いや、シロコ。
お前普段から何やらかしてんだよ。
そんで、おれを埋めようとするな。
お前らが本当に犯罪者になるだろうが。
「いや・・・別に拉致してないから。うちの学校に用があるんだって」
「えっ?拉致してきたんじゃ、なかったんですか・・・?」
「拉致したんじゃなくて、お客さん?」
「そうみたい・・・」
全員の視線がおれに向く。
どうやら、挨拶をした方が良さそうだ。
「おれはロロノア・ゾロ。一応、連邦捜査部『シャーレ』で先生をやっている身だ」
おれがそう挨拶をすると、ここにいる全員が『シャーレ』という単語に驚いていた。
「・・・え、ええっ!?まさか!?」
「連邦捜査部『シャーレ』の先生!?」
「わぁ☆支援要請が受理されたのですね!良かったですね、アヤネちゃん!」
赤い眼鏡をかけた少女はアヤネというのか。
そういや、手紙に奥空アヤネって書いてあったから、手紙を書いたのはコイツか。
「はい!これで・・・弾薬や補給品の援助が受けられます。あ、早くホシノ先輩にも知らせてあげないと・・・あれ?ホシノ先輩は?」
「委員長は隣の部屋で寝てるよ。私、起こしてくる」
シロコと同じケモ耳で、赤い瞳、黒髪をツインテールに結んだ少女は、ホシノ先輩って奴を呼びに、隣の部屋に行った。
そして次の瞬間
(ダダダダダダダッ!)
校舎の外から銃声が鳴り響いた。
おれは窓から校舎の外を見ると、ヘルメットを被った変な集団がいた。
「わわっ!?武装集団が学校に接近しています!カタカタヘルメット団のようです!」
「あいつら・・・!性懲りもなく!」
なるほど。
シロコの言葉から察するに、あのカタカタヘルメット団って集団はアビドス高等学校を何度も襲撃しているのだろう。
そこに、ツインテールの少女がホシノ先輩って奴を連れて戻ってきた。
「ホシノ先輩を連れてきたよ!先輩!寝ぼけてないで、起きて!」
「むにゃ・・・まだ起きる時間じゃないよー」
「ホシノ先輩!ヘルメット団が再び襲撃を!こちらの方はシャーレの先生です」
「ありゃ〜そりゃ大変だね・・・あ、先生?よろしくー、むにゃ」
ホシノは寝ぼけている。
おいおい、学校の側で武装集団が暴れてるんだぞ。
これはただ、本当に寝ぼけているだけか。それとも、強者の余裕というヤツか。
まぁ、今はそんなことはどうでもいいか。
「・・・これも、仕事のうちか」
おれはそう呟き、部屋の扉を開ける。
「あの、先生?どこに行くんですか?」
「どこにって・・・決まってんだろ。アイツらを出迎えに行くんだよ、キヴォトス式でな」
おれはそう言い残し、学校の校門まで向かうのだった。