転生したら『海賊狩り』に成り代わっていて、先生をする件   作:ワニノコ

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私は認めない!

翌日。

あれからおれはセリカを説得する方法を考えた。

結論から言おう。

何も思いつかなかった。

そして、考えている間に寝落ちして朝になっていた。

やっぱ、年頃のガキってのは扱いが難しい。

そんなことを思いながら、おれは気分転換にアビドスの住宅街を散歩していると、偶然セリカに出会った。

 

「うっ・・・な、何っ・・・!?」

 

そんな驚かなくてもいいじゃねぇか。

おれたちは偶然会ったんだからよ。

 

「よぉ、おはよう」

 

「な、何が『よぉ、おはよう』よ!馴れ馴れしくしないでくれる?それに、私はまだ先生のことを認めてないから!」

 

手厳しい奴だな。

別に挨拶ぐらいいいだろうが。

それに、最初から全員に認められるなんてこと、思ってねぇよ。

 

「全く、朝っぱらからのんびりうろついちゃって。いいご身分だこと」

 

「それはお前もだろ。それとも、これから学校なのか?」

 

「先生と一緒にしないで!私が何をしようと、先生には関係ないでしょ?朝っぱらからこんなところをうろちょろしてたら、ダメな大人の見本みたいに思われるわよ?」

 

ダメな大人って・・・朝から酒飲んでねぇだけまだマシだろ。

 

「じゃあね!私は忙しいの」

 

そう言い残すと、セリカは砂埃を立てながら走り去っていった。

 

「おい!待ちやがれ!」

 

おれはセリカの後を追ったが、セリカの姿はどこにもなかった。

アイツ、どこ行きやがったんだ?

おれは辺りを見ると、アビドスの自治区ではあるが、知らない場所にいた。

まぁ、今日のところはこの辺にしとくか。

学校に行けば誰かいるだろ。

おれは『シッテムの箱』を懐から取り出した。

 

「アロナ、学校まで案内してくれ。・・・次は迷うなよ?」

 

「は、はい!分かりました!」

 

そうしておれはアロナの案内の元、学校に向かった。

学校に着くと、セリカ以外の対策委員会のメンバーがいた。

それから借金の問題について色々と話し合った後、学校の近くにある『柴関ラーメン』っていう店に行くことになって、着いたのだが

 

「いらっしゃいませ!柴関ラーメンで・・・」

 

セリカがバイトをしていた。

そして、おれたちの顔を見て驚いていた。

もちろん、顔には出ていないが、おれも驚いている。

対策委員会のメンバーから、今日は自由登校だから、セリカはバイトをしているって聞いてはいたが、ここでバイトをしているとは思ってなかったからな。

 

「あの〜☆5人なんですけど〜!」

 

「あ、あはは・・・セリカちゃん、お疲れ・・・」

 

「お疲れ」

 

「み、みんな・・・どうしてここを・・・!?」

 

セリカは顔を赤くしている。

 

「うへ〜やっぱここだと思った」

 

「どうも」

 

「せ、先生まで・・・もしかしてストーカーなの!?」

 

んなわけねぇだろ。

お前が走り去った後、追いかけたけど、すぐに見失ったわ。

それに、ここがバイト先だったなんて初耳だからな。

 

「うへ、先生は悪くないよー。セリカちゃんのバイト先といえば、やっぱここしかないじゃん?だから来てみたの」

 

「ホシノ先輩か・・・!ううっ・・・!」

 

お前知ってたのかよ。

知ってたんならもっと早く言ってくれよ。

おかげでこっちは余計な誤解を生むところだったじゃねぇか。

そんなことを心の中で思っていると、厨房から犬の姿をした店主っぽい人が顔を覗かせていた。

 

「アビドスの生徒さんか。セリカちゃん、おしゃべりはそれぐらいにして、注文受けてくれな」

 

一瞬、ミンク族か、動物(ゾオン)系の悪魔の実の能力者かと思ったが、違うみたいだ。

 

「あ、うぅ・・・はい、大将。それでは、広い席にご案内します・・・こちらへどうぞ・・・」

 

おれたちはセリカに席に案内された。

席に着き、おれは腰に差していた刀を空いている席に立て、席に座った。

 

「セリカちゃん。バイトのユニフォーム、とっても可愛いです☆」

 

「いやぁーセリカちゃんってそっち系か。ユニフォームでバイト決めちゃうタイプ?」

 

「ち、ち、ち、違うって!関係ないし!こ、ここは行きつけのお店だったし・・・」

 

ここをバイト先にした理由はどうでもいいが、ユニフォームが似合ってるのは確実だな。

 

「ユニフォーム姿のセリカちゃん、写真撮っとけば一儲けできそうだねー。どう?一枚買わない、先生?」

 

「おれは買わねぇが、一儲けはできそうな価値があるな」

 

「変な副業はやめてください、先生、先輩・・・」

 

「バイトはいつから始めたの?」

 

「い、一週間ぐらい前から・・・」

 

「そうだったんですね☆時々姿を消していたのは、バイトだったということですか!」

 

「も、もういいでしょ!ご注文は!?」

 

おれたちがからかい過ぎたせいか、セリカの顔が赤くなっている。

コイツ、おもしれぇ女だな。

 

「『ご注文はお決まりですか』でしょー?セリカちゃーん、お客様には笑顔で親切に接客しなくちゃー?」

 

「あうぅ・・・ご、ご注文は、お決まりですか・・・」

 

セリカがそういうと、対策委員会のメンバーは注文を言い始めた。

 

「私は、チャーシュー麺をお願いします!」

 

「私は塩」

 

「えっと・・・私は味噌で・・・」

 

「私はねー、特製味噌ラーメン!炙りチャーシュートッピングで!先生も遠慮しないで、ジャンジャン頼んでねー。この店、めちゃくちゃ美味しいんだよー!アビドス名物、柴関ラーメン!」

 

ホシノが珍しくハイテンションだな。

それぐらい、美味いラーメンだってことだろう。

 

「・・・ところで、みんなお金は大丈夫なの?もしかして、またノノミ先輩に奢ってもらうつもり?」

 

「はい、私はそれでも大丈夫ですよ☆このカードなら、限度額までまだ余裕がありますし」

 

「いやいや、またご馳走になるわけにはいかないよー。きっと先生が奢ってくれるはず。だよね、先生?」

 

結局、奢られる前提なのは変わんねぇのかよ。

まぁ、賞金首を狩っていた時の金は十分あるから構わねぇが。

 

「・・・初耳だが、それでいいぞ」

 

「やったー!ありがとう、先生!」

 

それからおれもラーメンを頼み、全員の会計を済ませた。

 

「いやぁー!ゴチでしたー、先生!」

 

「・・・あぁ」

 

ホシノ、お前はもっと遠慮というものを知れ。

まぁ、他人の金で食う飯は最高に美味いってのはおれも知ってるから、人のことは言えないが。

 

「ご馳走様でした」

 

「うん、お陰様でお腹いっぱい」

 

「早く出てって!二度と来ないで!仕事の邪魔だから!」

 

おいおい、余計に怒らせちまったじゃねぇか。

ただでさえ、どうやって説得するかを考えてるのによ・・・

 

「あ、あはは・・・セリカちゃん、また明日ね・・・」

 

「ホント嫌い!みんな死んじゃえー!」

 

そう言い残し、セリカは店内に戻っていった。

 

「あはは、元気そうで何よりだー」

 

「だな。そんじゃ、腹も膨れたことだし、帰るか」

 

そうしておれたちは帰路に着くのだった。

 

 

 


 

「お疲れ様でしたー!」

 

セリカはバイトが終わり、店を出ると辺りは暗くなっていた。

 

「はぁ・・・やっと終わった。目まぐるしい一日だったわ。みんなで来るなんて・・・騒がしいったらありゃしない。人が働いているってのに、先生先生って、チヤホヤしちゃって。ホント迷惑、何なのアレ。ホシノ先輩、昨日のことがあったからってわざと先生を連れてきたに違いないわ!・・・ふざけないで。私がそう簡単に折れると思ったら大間違いなんだから」

 

そう不満を口にし、帰路についていると

 

「・・・!?何よ、あんたたち」

 

物陰からカタカタヘルメット団が飛び出してきた。

 

「黒見セリカ・・・だな?」

 

「・・・カタカタヘルメット団?あんたたち、まだこの辺をうろついてんの?ちょうど良かった。虫の居所が悪かったの。二度とこの辺りに足を踏み入れないようにしてやるわ・・・!」

 

セリカは愛銃である『シンシアリティ』を構え、前方のカタカタヘルメット団にぶっ放そうとしたのだが

 

(ダダダダダダダッ!)

 

「くっ、ううっ!」

 

背後から隠れていたカタカタヘルメット団の不意打ちを受けてしまった。

 

「(背後にも敵!?・・・こいつら、最初から私を・・・)」

 

「捕らえろ」

 

(プシュウーーーー!)

 

ドドドドドーーーーン!

 

赤いヘルメットを被った者がそう言うと、前方から何かが地面に落ち、凄まじい爆音が鳴り響いた。

 

「ケホッ、ケホッ・・・」

 

「(対空砲・・・?違う・・・この爆発音は、Flak41改・・・?火力支援?どこから・・・?ち、違う、これは・・・まさか・・・こっ、こいつら、ハンパじゃない・・・ヤバい・・・意識が・・・)」

 

(ドサッ)

 

セリカは煙を吸い込み、意識が朦朧になり、倒れてしまった。

 

「続けますか?」

 

「いや、生かさなければ意味がない。この程度でいいだろう。車に乗せろ、ランデブーポイントへ向かう」

 

セリカはトラックの荷台に連れ込まれてしまうのだった・・・

 

 

 


 

おれは一度シャーレに戻り、与えられた自室で眠りに着こうとしたら、アヤネから連絡があった。

どうやら、セリカが帰ってきていないらしい。

アヤネ曰く、こんなことは一度もなかったとのこと。

おれは急いでアビドスに戻り、その道中でアロナに、権限を使って、連邦生徒会が管理するセントラルネットワークにアクセスするように頼んだ。

もちろん、バレないようにこっそりとな。

アロナが言うには、バレたらかなり面倒らしい。

 

「だ、大丈夫なんですか、先生?」

 

「問題ねぇよ。セリカの身の安全が最優先だからな」

 

「先生・・・」

 

「連絡が途絶える直前のセリカちゃんの端末の場所、ここだったよー」

 

ホシノは机の上にあったアビドス自治区の地図を指差す。

 

「ここは・・・砂漠化が進んでいる市街地の端の方ですね?」

 

「住民もいないし、廃墟になったエリア・・・治安が維持できなくて、チンピラばかりが集まってる場所だね」

 

「このエリア、以前危険要素を分析した際にカタカタヘルメット団の主力が集まっていると確認できた場所です」

 

カタカタヘルメット団の主力か。

セリカが好き好んでそんなところに行くわけがねぇから、ほぼほぼ拉致られたと見ていいだろう。

 

「なるほどねー、帰宅途中のセリカちゃんを拉致して、自分たちのアジトに連れて行ったってことかー」

 

「学校を襲うくらいじゃ物足りなくて、人質を取って脅迫しようってことかな」

 

「考えていても仕方ありません!急いでセリカちゃんを助けに行きましょう!」

 

「うん、もちろん」

 

「よっしゃー、そんじゃ行ってみよー!」

 

「あぁ、さっさと終わらせて寝てぇからな」

 

そうしておれたちはセリカを助けるために、カタカタヘルメット団の主力が集まっている場所に向かうのだった。

 

 

 


 

(ガタン、ガタン)

 

「う、うーん・・・」

 

セリカはトラックの荷台で目を覚ました。

 

「私は確か、バイトから帰ってる途中にヘルメット団に襲われて・・・」

 

セリカは自分の身に起きた状況を整理し、トラックの荷台の隙間から少しだけ光が漏れているのに気づき、覗いてみると

 

「・・・砂漠・・・線路!?線路がある場所って・・・ま、まさかここ、アビドス郊外の砂漠!?・・・そ、そんな。ここからじゃ、どこにも連絡が取れない!もし脱出できたとしても、対策委員会のみんなにどうやって知らせれば・・・」

 

自分の置かれている状況に絶望していた。

 

「どうしよう、みんな心配してるだろうな・・・このままどこかに埋められちゃうのかな。誰にも気づかれないように・・・連絡も途絶えて・・・私も他の子たちみたいに、街を去ったって思われるんだろうな・・・裏切ったって思われるかな・・・誤解されたまま、みんなに会えないまま死ぬなんて・・・そんなの・・・ヤダよ・・・うっ、ううっ・・・」

 

セリカの目からは涙が落ち、自身のやるせなさに打ちひしがれていると

 

(ザッバアアアアアン!!!)

 

「う、うわああああ!?」

 

突如、自分の目に外の景色が映るのだった。

 

 

 


 

おれたちはセリカを乗せているトラックの近くまで来た。

 

「あれだな、セリカを拉致ったトラックは?」

 

『はい。・・・先生、間違ってもセリカちゃんを斬らないでくださいね?』

 

通信からセリカの身を心配するアヤネの声が聞こえる。

 

「安心しろ。おれはそんなヘマを犯すほど、半端な鍛え方はしてねぇ」

 

おれはそう返し、『和道一文字』を鞘から抜いた。

 

「一刀流」

 

おれは渾身の一振りで直線上の斬撃を放った。

 

 

『ー"三百六十煩悩鳳"ー』

 

 

そして、トラックを一刀両断した。

もちろん、セリカは無事だ。

『見聞色の覇気』で場所を把握したからな。

 

「な、何!?一体なんなの!?」

 

セリカは何が起きたかが理解できず、パニックになっているみたいだ。

だが、そんなことを気にしている時間はない。

 

『セリカちゃん発見!生存を確認しました!』

 

「・・・あっ、アヤネちゃん!?」

 

「こちらも確認した、半泣きのセリカ発見!」

 

「なにぃー!?うちの可愛いセリカちゃんが泣いてただと!そんなに寂しかったの?ママが悪かったわ、ごめんねー!」

 

対策委員会のメンバーはセリカの生存確認を済んだと同時に、セリカをからかい出した。

 

「う、うわああ!?う、うるさい!な、泣いてなんか!」

 

「嘘!この目でしっかりと見た!」

 

「泣かないでください、セリカちゃん!私たちが、その涙を拭いて差し上げますから!」

 

ノノミ・・・多分コイツは善意でそう言ってるんだろうが、その善意が人のプライドを抉ることもあるんだぞ。

そして、案の定セリカは怒って・・・いや、いつもの調子を取り戻した。

 

「あーもう、うるさいってば!違うったら違うの!黙れー!」

 

「ま、元気そうで安心したわ」

 

おれがセリカに声をかけると、セリカは驚いた表情をした。

 

「な、何で先生まで!?どうやってここまで来たの!?」

 

「それはまぁ・・・かくかくしかじかだな」

 

「なるほど、かくかくしかじかで・・・って、そんなんで伝わるわけないでしょ!」

 

「冗談だ、悪かった」

 

「うへ、元気そうじゃーん?無事確保完了ー」

 

『よかった・・・セリカちゃん・・・私、セリカちゃんに何かあったんじゃないかって・・・』

 

アヤネが通信越しでも、涙を流しているのが分かる。

だが、ここは敵陣のど真ん中。

悠長に感動の再会に浸っている場合じゃない。

 

「気を抜くなよ、お前ら。帰るまでが遠足だからな。さっさとずらかるぞ」

 

そうしておれたちは、足早にその場から離れた。

途中、包囲網が構築されかけていたが、無理矢理食い破って帰還した。

そして、学校に着いた時には朝になっており、無事おれの睡眠時間はなくなるのだった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

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