転生したら『海賊狩り』に成り代わっていて、先生をする件   作:ワニノコ

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爆発

 

おれたちはアビドスに戻り、書類の確認を行なっていた。

そして、その書類を見て分かったことがある。

まず、アビドスで回収した金を『任務補助金』としてカタカタヘルメット団に提供したということだ。

これには、対策委員会のメンバーも怒りを隠せてはいない。

 

「私たちのお金を受け取った後に、ヘルメット団のアジトに直行して任務補助金を渡したってことだよね!?」

 

「任務・・・まさか、ヘルメット団の背後にいるのは、カイザーローン?」

 

「・・・状況やこの書類を見るに、背後にいるのはカイザーローンで間違いないな」

 

ったく、酷い話だ。

これじゃあまるで、コイツらが出来レースに乗せられてるみたいなもんじゃねぇか。

 

「理解できません!学校が破産したら、貸し付けたお金も回収できないでしょうに・・・どうしてそのようなことを・・・?」

 

「・・・」

 

ノノミの疑問に皆が沈黙する。

ノノミの言う通り、やってることの意味が分からなさ過ぎる。

そもそも、奴らの目的は本当に金なのか?それとも、おれたちが想像もつかないようなモノなのか?

 

「この件、銀行単独の仕業じゃなさそうだね。カイザーコーポレーション本社の息がかかってるとしか思えない・・・」

 

「・・・はい、そう見るのが妥当ですね」

 

結局、おれたちが求めている答えは見つかったが、新たな疑問が生まれた。

そして、全員で頭を捻って考えているうちに、気がついたら夕方になっていた。

ヒフミはトリニティに帰るので、全員で見送ることにした。

 

「みなさん、色々とありがとうございました」

 

「変なことに巻き込んでごめんなさい、ヒフミさん」

 

「あ、あはは・・・」

 

「今度遊びに行くから、その時はよろしくー」

 

「はい、もちろんです。まだ詳しいことは明らかになっていませんが・・・これはカイザーコーポレーションが、犯罪者や反社会勢力と何かしら関連があるという事実上の証拠になります。戻ったら、この事実をティーパーティーに報告します!」

 

やめておけ。

お前がそんなことを報告したら、何で知ってるんですか?って色々と問い詰められるぞ。

それに・・・

 

「・・・まー、ティーパーティーはもう知ってると思うけどねー」

 

「は、はい!?」

 

「それに、ゲヘナやミレニアムも。みんな、遊んでばかりじゃないだろうしさ」

 

「そ、そんな・・・知ってるのに、みなさんのことを・・・」

 

「まぁ、ヒフミの言いたいことは分かる。だが、世の中ってのは理想論だけじゃやってけねぇってことだよ」

 

「そうそう。ヒフミちゃんの気持ちはありがたいけど、知らせたところで、打開策が出るわけじゃないし、かえって私たちがパニくることになりそうな気がするんだよねー」

 

「そ、そうですか・・・?」

 

「あぁ、そうなるだろうな。一応、この件を報告するのは保留で頼む。また何かあったら連絡する」

 

「そうですか・・・分かりました」

 

この件は保留にしてもらった。

仮に、援護という建前で好き勝手やられたら、コイツらに阻止する力はないだろう。

 

「でも・・・ホシノ先輩は悲観的に、先生は現実的に考え過ぎなのではないでしょうか?本当に助けてくれるかもしれませんし・・・」

 

「世の中、単純なことの方が少ないんだよ。それに、大人ってのは常に最悪を想定して動かないといけねぇからな」

 

「うへ〜私は他人の好意を素直に受け取れない、汚れたおじさんになっちゃってねー。・・・『万が一』ってことをスルーしたから、アビドスはこの有様になっちゃったんだよー」

 

「・・・」

 

ホシノの言葉に皆が沈黙する。

 

「では・・・えっと・・・本当に・・・一日で色んな出来事がありましたね」

 

「そうだね、すごく楽しかった」

 

「・・・楽しかったのはシロコ先輩だけじゃないの?」

 

「いや、おれも楽しかったぞ。おかげで今夜は良い酒が飲めそうだ」

 

「程々にしてよね」

 

「あ、あははは・・・私も楽しかったです」

 

無茶振りに付き合ってくれたヒフミには感謝しねぇとな。

 

「いやぁー、ファウストちゃん、お世話になったね」

 

「あぁ、そうだな。流石はファウストさんだ」

 

「そ、その呼び方はやめてください!先生もからかわないでください!」

 

「よっ覆面水着団のリーダーさん!」

 

「みなさん・・・ヒフミさんが困ってますよ」

 

アヤネに止められて、おれたちはヒフミをからかうのをやめた。

そして、ヒフミが別れの挨拶をする。

 

「と、とにかく・・・これからも大変だとは思いますが、頑張ってくださいね。応援してます。それでは・・・みなさん、またお会いしましょう」

 

おれたちはヒフミを見送った。

ヒフミの姿が見えなくなると、アヤネは締めの挨拶をした。

 

「みなさんお疲れ様でした。今日はゆっくり休んで、明日改めて集まりましょう」

 

「解散〜」

 

おれたちはそれぞれの帰路に着いた。

おれはシャーレに戻り、苦手な書類関係の仕事を終わらせた。

そして、適当に仕事を終わらせて、冷蔵庫でキンキンに冷やした酒を飲むのだった。

 

 

 


 

翌日。

おれは頭を抱えながら教室に入った。

 

「チッ、頭が痛ぇ・・・」

 

教室に入ると、ホシノがノノミの膝の上に頭を乗せて横になっていた。

 

「おはよー、先生」

 

「先生、おはようございます。今日は顔色が悪いですけど、大丈夫ですか?」

 

「気にすんな。昨日、飲み過ぎただけだ」

 

久々にまともな酒を飲んだから、色んな酒に手を出しちまった。

おかげで、昨日買った三分の一の酒がなくなり、おれ自身は二日酔い状態になって、頭痛と吐き気がする。

 

「それより、随分とリラックスしてるな?」

 

「うへ〜ノノミちゃんの膝枕は柔らかくてサイコーなんだよー。私だけの特等席だもんねー」

 

「先生も気分が悪いのでしたら、いかがです?」

 

「・・・気持ちだけはもらっておく」

 

おれはそう言い、刀を壁に立てて椅子に座った。

 

「そういえば、他の奴らは?」

 

「んー、シロコちゃんはきっとトレーニングでしょうし、アヤネちゃんは多分勉強をしに図書館でしょうか・・・」

 

「ノノミちゃんは学校の掃除と教室の整頓をしてくれたよねー。うへ〜、みんな真面目だなー」

 

「そういうホシノは?」

 

「ん?私?うへ〜、私は当然ここでダラダラしてただけだよー」

 

「だったら、ホシノも何かやったらどうだ?おれと一緒に筋トレでもするか?」

 

「無理無理ー、おじさんは年齢的に無理がきかない体になっちゃったもんでねー」

 

年齢はおれよりも下だろ。

その歳で無理がきかない体になったら終わりだぞ。

 

「まぁ、先生も来たし、他のみんなもそろそろじゃない?そんじゃ、私はこの辺でドロン」

 

「あら先輩、どちらへ?」

 

「うへ〜今日おじさんはオフなんでね。適当にサボってるから、何かあったら連絡ちょーだい、ノノミちゃん」

 

そう言い、ホシノは教室から出ていった。

まぁ、何かあったら連絡をくれって言ってるんだから、遠くへは行かないだろう。

 

「ホシノ先輩・・・またお昼寝をしに行くみたいですね」

 

「だな。ま、会議はアヤネが進めてくれるから大丈夫だろ」

 

「そうですね。それにしてもホシノ先輩も、以前に比べてだいぶ変わりました」

 

「そうなのか?」

 

「はい。私が初めて出会った頃のホシノ先輩は、常に何かに追われているようでした」

 

あのホシノが?

今のホシノを見ていると、全く想像できない。

 

「追われていたってのは何にだ?」

 

「それは・・・ありとあらゆることに、と言いましょうか。聞いた話ですが、以前とある先輩がいたそうで・・・」

 

ノノミはとある先輩について教えてくれた。

その先輩ってのはアビドス最後の生徒会長だったらしい。そして、とても頼りない人だったとか。

そんで、その人がアビドスを去ってからはホシノが全てを引き受けることになったらしい。

因みに、ホシノは当時一年生だったとか・・・

ノノミは最後に「詳しくは、私も知らないのですが」と言った。

 

「でも今は、先生もいますし、他の学園の生徒たちとも交流ができますし・・・以前だったら、他の学園と関わること自体を嫌がっていたはずが・・・かなり丸くなりましたね」

 

「話を聞く限り、今のホシノはだいぶ成長しているな」

 

「きっと先生のおかげですよ☆」

 

「・・・そうだな」

 

 

 


 

一方その頃、便利屋68は朝一番にある場所に爆弾を設置し、アドビスの生徒を誘い出して一網打尽にするという計画を立て、柴関ラーメンで食事をしていた。

 

「来た!いただきまーす!」

 

「ひ、一人につき一杯・・・こんな贅沢してもいいんですか?」

 

「アビドスさんとこのお友達だろ?替え玉が欲しけりゃ言いな」

 

「・・・!?」

 

その時、アルの脳内にアビドスを襲撃する作戦が頭によぎった。

なぜ今回の依頼は今までと違って、何か引っ掛かると思ったことがあったのか?

その答えが、アルは分かったような気がしていた。

 

「・・・じゃない」

 

「社長?」

 

カヨコがアルに尋ねると、アルは叫んだ。

 

「友達なんかなんかじゃないわよーーー!」

 

アルは大声を上げて叫び、机を叩いて立ち上がった。

 

「分かったわ!何が引っ掛かったのかが分かったわ!問題はこの店、この店よ!」

 

「どゆこと!?」

 

「私たちは仕事をしにこの辺りに来てるの!ハードボイルドに!アウトローっぽく!なのに何なのよ、この店は!お腹いっぱい食べられるし!あったかくて親切で!話しかけてくれて、和気あいあいで、ほんわかしたこの雰囲気!ここにいると、みんな仲良しになっちゃう気がするのよ!」

 

「それに何か問題ある?」

 

「大アリよ!私に必要なのは冷酷さと無慈悲さと非情さなの!こんなほっこり感じゃない!」

 

そう言い切り、肩で息をするアル。

それを聞いて、呆れているカヨコとムツキ。

だが、ハルカは目を輝かせていた。

 

「それって・・・こんなお店はぶっ壊してしてしまおうってことですよね、アル様?」

 

「・・・へ?」

 

「良かった、ついにアル様のお力になれます」

 

ハルカはそう言い、今朝仕掛けた爆弾を起爆する起爆装置だった。

起爆装置を見て、三人はハルカを凝視する。

 

「ハルカ!?ちょ、ちょっと待っ・・・」

 

カヨコはハルカを止めようとしたが、少し遅かった。

そして、ハルカは恍惚とした表情をして、起爆装置を使うのだった。

 

 

 


 

(ドゴゴゴゴゴーーーーン!)

 

おれは二日酔いの影響で気持ち悪くなっており、机に突っ伏していると、少し遠くの場所から、爆発音が聞こえてきた。

あの場所は確か・・・

 

「前方、半径10km内にて爆発を検知!正確な位置は・・・柴関ラーメン!?」

 

何であの店が爆発した?

・・・まさか、襲撃されたのか?

 

「はぁ!?何であの店が狙われるのよ!」

 

「一体誰が・・・」

 

「ま、まさか私を狙って・・・?」

 

「憶測は後でも遅くない。まずは何か手を打たないと!」

 

「そうですね!向かいましょう!」

 

「ホシノ先輩には私から連絡します、出動を!」

 

「大将・・・どうか無事でいて・・・!」

 

セリカはそう言い、銃を持って教室から出ていった。

 

 

 


 

辺り一面に爆発の影響で転がる瓦礫や宙を舞う砂埃。

アルは瓦礫をどけ、砂埃を手で払いながら起き上がる。

 

「ゴホン、ゴホン・・・う、うあぁ・・・」

 

アルは辺りを見て、頭の中で情報を整理する。

 

「(な、何これ!?何が起きたの!?)」

 

「・・・アルちゃん・・・マジで?マジでぶっ潰しちゃったの?」

 

「え・・・え?」

 

アルはムツキの言った現実を受け入れきれていない。

 

「情にほだされるからって、あんなに優しくしてくれたラーメン屋さんを吹っ飛ばしたの?やるじゃーん!これぞまさに、血も涙もない大悪党!そんじょそこらのザコには到底できない鬼畜の所業!これがハードボイルドなアウトローってやつだね!すごいよ、アルちゃん!見直したよ!」

 

「へ・・・あ・・・?」

 

アルは未だに状況を理解しきれていないが、体裁を保つために不適な笑みを浮かべた。

 

「・・・あ、あはははは!と、当然でしょう!冷徹無比!情け無用!金さえもらえれば何でもオッケー!それがうちのモットーよ!」

 

「そういうことだったのね!」

 

アルたちを呼ぶ方を振り向けば、アビドス高校のシロコ、ノノミ、セリカが鋭い眼光で睨んでいた。

 

「あんたたち・・・!よくもこんな酷いことを!」

 

「・・・」

 

「・・・」

 

シロコ、ノノミ、セリカはアルたちを睨み、銃を構えていると、アヤネから通信が入った。

 

『大将の無事を確認できました!幸い軽傷だったので、近くのシェルターに案内済みです!』

 

「・・・ってことは、大暴れしてもいいってことよね?」

 

『はい。私は先生を叩き起こしてから、援護に回ります!』

 

「分かったわ。あんたたち、許さない。ぜっーたいに許さないから・・・!」

 

セリカはそう言い、銃を構え始める。

シロコやノノミも同じく、銃を構える。

そして、便利屋68に向かって一歩を踏み出そうとした時だった。

 

(ドゴゴゴゴゴーーーーン!)

 

(ズガガガガガーーーーン!)

 

(ドッカーーーーーーーーーン!)

 

「な、何・・・!?」

 

突如、空から銃弾爆撃のように砲弾が飛んできて、辺りに降り注いだ。

 

「この音は・・・」

 

『砲撃を確認!3kmの距離に多数の擲弾兵を確認!50mm迫撃砲です!標的は私たちではなく便利屋の方みたいですが、もう少し確認を・・・』

 

「迫撃砲、ですか・・・?」

 

「50mm迫撃砲といえば・・・」

 

『兵力の所属、確認できました!ゲヘナの風紀委員会!一個中隊の規模です!』

 

「風紀委員会・・・!」

 

便利屋68と交戦し、決着を付けるだけだったのが、ゲヘナの風紀委員会の乱入により、事態は混沌を極めるのだった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

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