想伝・仮面ライダーガッチャード Unstaked memory   作:ホームズの弟子見習い

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すいません、結果的に嘘ついちゃいました。
次回もこれまでに登場したキャラを纏めようと思うので、本格的に学園祭が始まるのは次々回になりそうです。


本スレシリーズから何名か、名前を変更しています。


閑話2:それぞれの学園祭に向けての準備

 

 

 

 富良洲高校学園祭。学生にとっての一大イベントに向けて、生徒達は準備を進めていた。勿論、宝太郎達がいる三年A組も例外ではない。

 

「かき氷の味のレパートリーは苺、メロン、檸檬、ブルーハワイ味まで決まったが……もう一、二種類程味が欲しいな。何かないか?」

 

 八神兵助が、かき氷の味のレパートリーについて考えを巡らせていた。

 富良洲高校の学園祭は予算が潤沢なのか、一クラスに二〜三店の出店が可能となっているのだ。勿論、一つの催しに絞って出店をするのもアリだ。

 

「う〜〜ん……何か味の候補とかある?」

 

 話を訊いていた千秋俊が、他の味の候補がないのか訊ねる。訊き返された八神は、「そうだな……」と思い返す。

 

「マンゴーとグレープと、みぞれ味と……あと抹茶味だ。出来ればこの中から選びたいところだが……」

「なあ八神、練乳はないのか? 俺練乳味が好きなんだが……」

 

 話を訊いていた緑川和治が、若干照れ臭さを交えながら問いかける。八神は「練乳か」と思い浮かべる。

 

「確かに練乳もありだな……さっき俺が言った味の候補で何がいいとかあるか?」

「僕はマンゴー味! かき氷を頼む時はいつもそれになるんだよね〜!」

「俺はみぞれ味だなぁ」

「あーしは抹茶!」

 

 千秋はマンゴー味、緑川はみぞれ味、瑠李奈は抹茶味と様々な意見が飛び交う中、最終的に決まった味の候補は、抹茶味と練乳味に決まった。

 かき氷は無事に決まったものの、一方で綿飴は一悶着ありそうな気配があった。

 

「うーん……やっぱり形とかアレンジした方がいいような気がする……」

「いやいや、普通の味でいいんだって。刺激を求める必要はないから」

「貴方が味変を企むと碌なことにならないから……ホントやめてくれる?」

「はあ? 俺宝太郎じゃないんだから変に味を不味くする真似なんてしないよ!」

 

 アレンジを求める十津に、康祐と杏那が諌める。そんな二人に、十津は半ギレ状態で返した。

 

「十津〜……その言い方だと俺が望んで不味いをガッチャしてるみたいじゃないか〜……」

 

 十津の声が聞こえてきたのか、宝太郎がズンと沈んだ声色で会話に入る。そんな宝太郎の様子に、康祐と杏那は思わず「あ〜あ……」と声を漏らした。

 

「やっちゃったな十津……」

「一ノ瀬君泣いちゃうわよ?」

「え、あ、いや……ご、ごめんよ一ノ瀬! そうだよな、望んで不味くしてるわけじゃないもんな! 結果的に不味くなってるだけだもんな!!」

「結果的に……不味く………」

 

 フォローの言葉を入れたつもりだったはずが、余計に宝太郎は沈んでしまった。康祐と杏那は駄目じゃんと視線を送り、十津は針の筵状態になってしまった。

 

「大丈夫だよ、一ノ瀬」

 

 そんな状況の中、りんねが沈む宝太郎の肩に手を添える。りんねの優しさが沁みたのか、「九堂……」と呼び返すその声色はどこか安心感を覚えるものだった。

 

「一ノ瀬の料理は不味いんじゃなくて、食べられるけど味付けが微妙なだけだから! だから大丈夫だよ?」

 

 意図せずしてとどめを刺してしまったりんねの言葉に、宝太郎は壁にもたれかかりそのまま座り込んでしまった。一連の光景を見ていた康祐と杏那は思わず顔を引き攣らせてしまっていた。

 

「あ、あれ? 一ノ瀬?」

「結果的に一番九堂さんの言葉が効いているわね……」

「悪意のないフォローって、こんなにもグサっとくるんだな……」

 

 宝太郎のあまりのグロッキーぶりとりんねの天然で生み出した言葉のボディーブローのやり取りに、思わず康祐は頭を抱えてしまった。

 その後、何とか康祐と杏那の説得により、綿飴も普通のものになったのだった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 所変わって、富良洲高校二年B組。こちらもまた、学園祭の準備を進めていた。二年B組はラーメンを出店しようとしていた。

 

「いや〜、やっぱり準備するのは大変だな……」

 

 クラスの一人である、()()(たける)がぼやく。学園祭の準備は二度目を迎えるが、やはり慣れないものだ。その言葉とは裏腹に、どこか楽しげな雰囲気も含まれているのは明白だ。

 

「へっへっへ……そうは言うけど、当日が楽しみなのは明々白々。先生に頼んで推理研の特集雑誌も売らせてもらえるし、良いことづくめなのは間違いないでしょ?」

「まあ確かにそうかも。先生様様かな。出店のラーメンも、二種類で済んだのは幸いだよ。雑誌の方も売らせてもらえるしね」

 

 横から、(うつし)()()()が悪戯っ子のような笑みを浮かべながら話しかけてくる。

 二人は推理小説研究部に所属しており、学園祭一日目は所属している部員が自分の在籍しているクラスの出店と並行して、推理小説研究部が作ったミステリ特集誌を販売する許可を貰っていたのだ。

 

「理解したぞ、和戸尊。お前もミステリの造詣が深いということをな」

「義木須……相変わらずの口調だなぁ」

 

 二人のやり取りを見ていた()()()(くろ)()が訳知り顔で頷く。全てを知っているようでその実何もわかっていない彼の態度に、和戸は乾いた笑みをこぼす。

 

「フフフ……俺に任せておけば、極上のラーメンの製作も売り出しも出来るだろう」

「いや、君は普通に売り子だけやっていればいいから」

 

 尊大な態度の義木須に、麻衣は冷徹にツッコミを入れる。

 

「そこ! しっかりしてください!! 来てくれる方々に申し訳が立たないですよ!?」

「あら〜……隣のクラスから風紀委員の声が訊こえるわねぇ」

「さすが、生真面目さは筋金入りだなぁ」

 

 隣の教室から聴こえる女子生徒…… (あま)()()(づき)の声に、相変わらずの真面目ぶりだと和戸と麻衣は感心するのだった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 一年A組は、無難にお化け屋敷を催すことが決定していた。教室内は、お化け屋敷作成の準備に取り掛かっていた。

 

「ばぁ〜。どうですか〜? 上手く驚かせましたか〜?」

 

 シーツを被りながら驚かそうとする女子生徒。だが、のんびりした雰囲気と声のせいか、どう考えても驚きはないのは明らかだった。

 

「雨宮ちゃん……直接的な驚かし役は向いてないかな〜?」

「泰藤の言う通りだな……やっぱり椎奈は受付担当か、ギミックでの驚かし役を任せるしかないかもな」

「それなら、シロ君と望実さんの言う通りにしますね〜〜」

 

 のんびりした雰囲気の女子生徒、(あめ)(みや)(しい)()に、(かざ)()()(ろう)(たい)(どう)望実(のぞみ)が評価を下す。二人の評価を素直に受け入れた椎奈は、シーツを脱ぎ、綺麗に畳む。

 

「他に何か物を使って驚かすのって何かあったっけ?」

「それなら理科室のピペットを借りて、お客さんの首元めがけて水滴を垂らすというのがある。あとはプロジェクターを使って、幽霊の映像を操作するのとかもだ」

 

 キョロキョロと教室を見回す志朗に、ベニヤ板を運んでいた(すな)西(にし)(せい)()が教える。

 

「悪いな、砂西。うーん……一番マシなのは水滴垂らしか?」

「かもねー。一応一日目は水滴垂らし、二日目は一日目のお客さんの反応次第では受付ってところかな? んぐんぐ……」

 

 思案する志朗に、望実がワイシャツの胸ポケットから取り出した棒付きキャンディを咥えながら意見を出す。彼女のマイペースぶりに、砂西は溜息を吐いた。

 

「いいのか泰藤? こんな時間に飴なんて咥えて」

「うーん、大丈夫でしょ? 冴島先生ついさっき教室から出て行ったばかりだし、戻るまであと三十分かかるって言ってたじゃん? それにちょっと考えすぎて脳が糖分を欲してんの。これくらい許してよー?」

 

 咥えながら悪戯っ子のように笑う望実に、砂西はこれ以上何も言わない事にした。ならば自分もそれに乗っかることにしようと、ベニヤ板をその場に置き左手で添えた。

 

「なら、俺も一本貰おう。コーラ味はあるか?」

「ん……ちょ……勝手にあたしの胸ポケットをまさぐるんじゃない! 馬鹿!?」

 

 ごく自然な流れで望実の胸ポケットに手を入れた砂西に、思わず拳骨を喰らわせる。頭を殴られた砂西は殴られた箇所を抑え、「ぐおおお……」と唸った。

 

「す、すまん……何も考えずにお前の胸ポケットに手を突っ込んでしまった………おお………痛え……」

「砂西、本当アンタ抜けてるとこあるよね……はい、御所望のコーラ味」

 

 無意識にやってしまったと弁解する砂西に望実は呆れながらも、コーラ味の棒付きキャンディを差し出す。

 

(距離が近いですね〜〜。あれでただのじゃれ合いなんですよねぇ)

(な、なんつう気心の知れたやり取り……俺もいつか、椎奈と……)

 

 一連の流れを見ていた椎奈は微笑ましげに、志朗はいつか自分も好きな人とそういう風になりたいと思うのだった。

 

 

 

 

 

 

 

 午後二時十三分。この時間帯は部活動や同好会に所属する生徒が主立って、催し物をそれぞれ出す準備に取り掛かっていた。

 グラウンドでは、リハーサルとしてモーターサイクル同好会が、コースを流すように走っていた。

 

「おお〜……みんなバイクカッコいいな!」

 

 宝太郎が、走行するバイクを見ながら感嘆の声を出す。自分達も負けていられないな、とゴルドダッシュを撫でる。撫でられたゴルドダッシュは気持ちよさそうに「ダ〜ッシュ……」と鳴き声をあげる。

 

「ん? 一ノ瀬、何か言ったか?」

「ああいや、なんでもないよ、うん!」

 

 ゴルドダッシュの鳴き声が訊こえた緑川が、宝太郎にどうしたのかと声をかける。

 流石にゴルドダッシュの素性がバレてしまってはマズいと思った宝太郎は誤魔化すが、その様は下手としか言いようがなかった。だが緑川はさして気にすることなく「そうか」と返すと、そのまま同好会のメンバーが走っているグラウンドに視線を戻した。

 

「じゃあ一ノ瀬、このコースを流しで走ってくれないか?」

「わかった、よーし、行くぞ!」

 

 宝太郎がゴルドダッシュに跨り、指定されたコースを走行する。

 走行時、ゴルドダッシュが張り切ったのか同好会の面々よりも速いスピードで走ってしまい、宝太郎の走行を同好会は唖然と見ていたのはここだけの話である。

 

 

 

 

 

 一方、推理小説研究部。部室内では部員達が纏めたミステリの特集雑誌を五十部刷り終えたところであった。

 

「ふう、部長、売れますかねこれ」

 

 特集雑誌をどかっと机の上に置いた部員の一人、(せい)(どう)(りゅう)(すけ)が不安そうに漏らす。ミステリというメジャーなジャンルとはいえ、纏めたのは一高校生達。実際に売れるかどうかはやはり不安が残るのだ。

 

「まあ売れ残ったら、知り合いや親戚に渡せばいいでしょ。わざわざ一日目は各教室前で売らせてもらえるんだし、これでも御の字よ」

 

 部長を務める杏那が、マイペースに返す。元々、自分と康祐が居場所が欲しくて創った部活動だ。今でこそ定期的にちゃんとした活動を行なっているが、創部当初はのんびりと閑散したものだった。

 

「確かに推理研(うち)のモットーは緩く、のんびりですからね。部長達が作ってくれた空気感は俺も好きですよ」

「そうそう、緩くのんびりが一番だよ。そういえば砂西、お前泰藤にセクハラかましたって訊いたぞ? 真面目なお前らしくないな」

「ははは……もう知られちゃいましたか。俺もわざとやった訳じゃないんですよ……? つい無意識で……」

 

 ばつが悪い顔で弁明する砂西に、副部長の康祐は苦笑いしか出なかった。望実も呆れの表情を隠していなかった。

 

「本当、馬鹿ですよコイツ。さも当然のようにアタシの胸ポケットに手を入れたんですからね?」

「砂西君、やっちゃったね……まあ先生としてはこの程度で済んでよかったと言うべきかも」

 

 顧問の(あさ)(ひら)(ふみ)()が、砂西に向けてやや白い目で見る。砂西は申し訳なさげな顔で、小演劇用の衣装の準備を進めていた。そんな彼を見かねたのか望実は「アタシはもう許してますよ」と、話を切り上げた。

 

「じゃあ話を変えて、二日目の小演劇について話しましょうか。二日目の小演劇は、午前は康祐がコナン・ドイル役。わたしが担当編集役でいくけど……ナレーションは誰が担当しましょうか?」

 

 話題を変えて、杏那が役当てを思案する。小演劇の内容は、コナン・ドイルがシャーロック・ホームズを生み出した経緯をアレンジしたものだ。役当ては午前・午後ともに決まったものの、ナレーションはまだ決まっていない状態だった。

 

「じゃあ午前は僕がやりますよ。その代わり、午後は自由時間くださいよ?」

「そりゃ勿論。午後のナレーションは誰がやるかだけど……」

 

 手を挙げたのは竜介だった。提示された条件にも、康祐と杏那は頷く。後は午後のナレーション担当だ。

 

「午後は俺がやります。特に予定もないですし」

「じゃあよろしくね、砂西君。小演劇の役当てはこれで終わりね」

 

 真っ先に手を挙げたのは、砂西だった。推理小説研究部の学園祭に向けての準備は、つつがなく進まれていくのだった。

 

 

 

 

「よしよし、明日の学園祭はよろしくねー♪」

 

 襟草ホースセンター乗馬部。そこに所属している滝瑠李奈が、愛馬であるツイスター号の頭を撫でていた。乗馬部には彼女の他にも二人おり、(なる)()(ゆう)()(けん)(ざき)()()()が入部している。今日はこの三人だけではなく、もう一人の女子生徒がいた。

 

「ふふふ……よしよし。明日はよろしくね」

 

 九堂りんねが乗馬部のゲスト部員として招かれて、ホースセンターにいる馬に牧草をあげていた。襟草ホースセンター乗馬部は昨年に引き続き、学園祭とのコラボイベントを開催予定であり、りんねはその乗馬部のゲストとして、一緒にイベントを行う予定だ。

 

「ありがとねー、クドーさん! 乗馬部のイベントに付き合ってくれて!」

「ううん、こちらこそありがとう。うちのユニコン、結構人の悪意に敏感だから多少は耐性をつけておいた方がいいと思ったから……ちょっと打算もあるよ?」

 

 礼を言う瑠李奈に、りんねは苦笑いを交えながら返す。瑠李奈はりんねの返答に、「いいっていいって」と手を小さく振る。

 

「世の中の環境って、慣れが必要じゃん? 学園祭は人が多いけど、わざわざ悪い事をそこでしようなんて人は滅多にいないから多分大丈夫だよ!」

「ありがとう。ユニコンも、明日はよろしくね?」

「ユニ〜♪」

 

 学園祭に向けて、一般的な馬に擬態させたユニコンが「こちらこそ」と言わんばかりに優しい鳴き声を返す。

 

「ユニコンちゃんって、ちょっと変わった鳴き声してるよね……」

「え? そ、そうかなぁ?」

「でもこの鳴き声もチョー可愛いよね〜!」

 

 どう誤魔化そうかと思案するりんねだったが、細かいことは気にしない瑠李奈の性格に救われて内心ホッとする。

 

「いい艶並みですね。九堂さん、この子を大事に育ててるんですね」

「うん、見ただけでわかります。めっちゃ良い子やん! ……なーんてね♪」

「もー、テレビ番組の見過ぎだよまなちゃん!」

 

 談話しながらも、それぞれ手を休める事なく四人は愛馬をブラシで撫で続けていくのだった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 日は跨ぎ午前七時二十三分。ポンポン、と小さく煙の打ち上げ花火が富良洲高校に上がる。学生達による学園祭の準備はつつがなく進み、無事に当日を迎えていた。

 

「よし、準備完了! じゃあ母さん、行ってくるね!」

「行ってらっしゃい宝太郎! 母さんも後から行くからよろしくねー!」

 

 キッチンいちのせでは宝太郎が母親の珠美から見送られながら、富良洲高校へ歩いていった。道中「おーい宝太郎!」と彼を呼ぶ声が訊こえた。

 

「おはよう加治木ー! オカルト研究部の出し物はどんな物なんだー?」

「よう宝太郎! オカルト研究部は色んなUFOの模型を展示する予定だ!」

「おおー……楽しみにしてるぞ!」

 

 加治木涼が、宝太郎の肩を組む。二人が揃っただけで道中の雰囲気は賑やかになり、この後の学園祭が楽しみなのがよくわかる。

 

「おはよう一ノ瀬、加治木!」

「おはよう宝太郎、加治木。今日の学園祭楽しみだねぇ〜!」

 

 前を歩いていたりんねと九十九静奈が、宝太郎達と合流する。四人は揃って、富良洲高校へ向かって足を進める。

 

「おはよう九堂、九十九! 今日の学園祭楽しみだな!」

「私は富良洲高の学園祭、初めてだからね……この学校の予算多くない? 一クラスで二、三店は出店が可能なんだよ?」

「加えてトークショーには、あの小説家の神山飛羽真さんが来てくれるらしいからな! あの人の小説、俺も好きなんだよなぁ」

 

 声色から、加治木は彼のファンだと窺える。そんな彼の様子を見て、宝太郎達は微笑ましく思った。

 

「ねえ一ノ瀬、学園祭で空いてる時間はある?」

「うーん、そうだな……一日目なら時間は取れるかも。二日目も時間が取れたら知らせるよ!」

「そっか、良かった。じゃあさ、空き時間が被ったら一緒に回らない?」

「ガッチャ! 俺も九堂と一緒に学園祭回りたいと思ってたんだ。その時はよろしくな!」

 

 仲良く、そして無自覚に宝太郎に学園祭デートの約束を取り付けたりんねに、加治木は「ほぉ〜……」と思わず唸った。

 

「しれっとデートの約束を取り付けたな九堂……。一応聖さんに連絡はしたけど、来てくれるかどうか……」

「いいなぁ、りんね……私にも良い人が現れないかな……」

 

 二人の雰囲気に加治木は遠距離恋愛中の恋人を想い、静奈は羨ましく思った。

 そんな話をしていると、富良洲高校に着いた。

 

「よし、今日は学園祭! 思いっきり楽しもうな! うおおおおお、ガッチャーーーー!!」

「一ノ瀬、廊下は走ったら駄目だよ!」

 

 勢いのままに走る宝太郎に、りんねは注意しながら追いかける。そんないつも通りの二人の様子に、加治木と静奈は微笑みながら追いかける。

 

 

 

 富良洲高校学園祭一日目、開幕────!

 

 

 




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