想伝・仮面ライダーガッチャード Unstaked memory 作:ホームズの弟子見習い
注釈にBGMのリンクを貼っています。直接リンク貼れないのは何故なのか……('◇'`)
グラウンドに、歓声と拍手が鳴り響く。昭兵は照れ臭そうに頭を掻きながら、ぺこぺこと軽く頭を何度も下げていた。
「モータースポーツ同好会は四年前、衰退しつつある学生バイクの文化を広めるために結成されました。創部当初からしばらくの間、部員も少なく寂しい日々を送っていました。が、そんなある日、救世主が現れました……」
直後、「どこだ、どこだ……?」と大袈裟な身振り手振りで件の人物を探す。そして昭兵はその人物を見つけると、「いたーーー!! そこだーーー!!」と指差した。
「三年生の一ノ瀬君!! 愛車は……今日は展示限定だけどアフリカツインオリジナルカスタム!! 彼は週二、三の頻度で学校へバイクで通い!! 家業の手伝いで出前を運び!! 休日は彼女を乗せツーリング!! 我々バイク男子の憧れる生活!! 彼のおかげで、なんと部員は過去最低3人から過去最高の三十人へアップ!! ありがとう! ありがとう!!」
昭兵による宝太郎の紹介に、見物客はおお〜、と唸る。宝太郎は立ち上がり、思わずぺこぺこと会釈する。その直後、宝太郎は「ん?」とどこか釈然としない表情に変化した。
「なあ立花ー、俺に彼女なんていないけどー?」
「まあまあ、ここはスルーしておけ。つーかモーターサイクル同好会って、今部員が三十人もいるんだな……」
宝太郎の反論に、康祐が抑える。反対にりんねは、どこか浮かない表情を見せていた。
「一ノ瀬って彼女いたんだ……」
「え〜っと、九堂さん? その彼女って貴方のことを言っていると思うの……」
「りんりんちゃん、一緒にイッチー君とタンデムする機会ないの?」
「何度かしてるけど……え? だ、だから立花は……」
沈んだ声のりんねに、杏那が補足する。瑠李奈の問いかけにりんねは返すと、次第に耳を赤くさせた。それを見た杏那と瑠李奈はニヤニヤと笑みを浮かべた。
「今回のショーでは我が高校初の実技走行演技を行います!!メンバーは僕三年の立花! 二年の鳴海! 一年の本郷と一文字! さあ、気合い入れて行きましょう!! まずは僕と鳴海による走行演技です!! 音楽はa-haの『Take On Me*1!」
昭兵の宣言とともに、ノルウェーのバンド“a-ha”の曲である“Take on me”が流れ、そのメロディに合わせて二人のバイクが走行する。二人のバイクテクニックは高校生にしては相当なもので、メロディと走行音のハーモニーがグラウンドに響いていた。
「おお……見事なものだな」
「凄い凄い! 練習の甲斐があったね!」
静かに感嘆する八神とは対照的に、瑠李奈は自分のことのようにきゃあきゃあと喜びを見せていた。
スピーカーから流れる音楽が終わると、昭兵がヘルメットを脱ぎマイクを和治から受け取った。観客席からの歓声は大きく鳴り響き、昭兵達はそれを一身に受けていた。
「ハァ……ハァ……。ありがとう……ありがとう……」
マイクを受け取った昭兵が息も絶え絶えに、礼を言う。グラウンドの隅には後輩の
「続きまして、一年の藤郷君と一文字君による演技!! 今回はとあるお話をモチーフにした演技です」
藤郷と一文字のスタンバイを確認すると、昭兵は再び口を開く。
「スケートやダンスも、神話や漫画のお話をモチーフにしてるのあるでしょ? それと一緒です! 舞台は70年代の日本。人々は社会の変容の中、闇に怯えていました。その闇は人々をさらい、喰らい、新たな闇に被てしまう。しかし、その闇の中の2人は正義に目覚め反旗を翻しました。もう二度と光に戻れぬ悲しみを隠し、正義のために戦う闇の男たち………! 去年大ヒットした映画の原案でもありますね。ではみんなで2人を呼びましょう!!………仮面ライダー*2!!」
さながらヒーローショーにて、ヒーローを呼ぶMCのように二人を呼びかける。藤郷と一文字は頷き、始まりの仮面ライダー“1号”と“2号”を模したヘルメットを被ってグラウンドに出た。
「仮面ライダーって、そんな昔からいたんだ……」
「でもよく考えたら、英寿達が変身する仮面ライダーも俺達とは全然違うもんな……。ミナト先生も言ってたけど、世界各地に仮面ライダーの都市伝説が伝わってるらしいし」
「こんなに昔からいるんだね……」
感慨深く話す宝太郎とりんねをよそに、康祐達は感心の声を出していた。“1号”と“2号”をそっくりに模したヘルメットとバイクスーツを着ながら走行演技をしていたのだ。この時期の暑さも考えると、相当汗だくになっているに違いない。二人がヘルメットを脱ぎ、バイクスーツを上半身だけ開けると汗でビシャビシャの状態なのが見えた。
「本郷くんお疲れ様!一文字くんも!さあ、ラストは本日のメンバー入り乱れてのイルミネーション走行!!クラッシュ寸前のハラハラ演技で、運営の審査では落ちるギリギリだったとか!?」
昭兵の話す裏話に、笑い声や「おお〜」という肝を冷やすような声がちらほらと流れる。反応としてはどちらもあながち間違っていないと言えるのが、同好会会長の和治にとって溜息も吐きたくなる程だ。
「では参ります!! 曲は先程の“シン・仮面ライダー”のテーマと同じく、“シン・仮面ライダー”*3から!!」
音楽が流れると同時に、四人の乗るバイクが一斉にグラウンドへ駆け出した。時に一周し、時に台を使ってジャンプする様は観客に感嘆をもたらしていた。
「そういえば一ノ瀬。一ノ瀬に彼女っているの?」
同好会の走行演技に盛り上がる中、唐突にりんねが、宝太郎の交際相手の有無について口火を切った。
「いや、俺にこれまで彼女なんていないからね?」
「だよね……ちょっと安心した。寧ろ私達の間でそれ隠してたら引くから」
宝太郎の否定に、ほっとするりんね。
「よかった〜、信じてもらえて!」
「立花は私のこと、一ノ瀬の彼女と見ているみたいだけど……別にそんなんじゃないのに」
「俺の彼女が九堂かぁ……う〜ん……」
「何その反応? 私じゃ一ノ瀬の彼女に相応しくないの?」
「いやいや、別にそんなことはないよ! それよりさ、ほら、モーターショー楽しもう!」
強引に話題を変える宝太郎に、りんねは釈然としなかったが、今はとりあえず目の前のモーターショーを楽しむことにした。
五分程経つと音楽が終了し、走行演技を終えた四台のバイクが並んだ。一寸の狂いもなく綺麗に止まったバイクに、子供の観客は大はしゃぎだった。
「ありがとう!ありがとう! これをもちまして、本日の実技走行演技を終了いたします!! これからも引き続き展示を行なっていますので、よければこちらへお越しください!! 富高モータースポーツ同好会をよろしく!! では撤収!!」
昭兵がマイクで声を響かせると、和治にマイクを渡して四人はそのままバイクをグラウンドの隅へ走らせた。
「モータースポーツ同好会の実技走行演技をお楽しみいただきありがとうございます。引き続き富高祭をお楽しみ下さい。第一体育館では軽音部による演奏が行われますので是非見に行ってみてください」
昭兵からマイクを受け取った和治が、モーターショーの進行を終えた。
「皆、ありがとう!! ……やば、オレ死んじゃいそう。興奮がさ、やまないの。自分が仮面ライダーになった気分。あのテーマ流しながらバイク乗ってみ? あ、オレ今戦ってる! ……って錯覚するから」
「わかります、立花先輩。あのヘルメットとライダースーツを着ていると本当に仮面ライダーに変身した気分になりますよね!」
「流石に最近見かけた仮面ライダーは無理でしたけどね……でもやっぱり、こういうシンプルなのが一番なんですよね」
「だな! ああ〜、暑っちい…………カルピス飲みてえ〜!」
ライダースーツを脱いだ昭兵達が語り合っていると、瑠李奈が「おーい!」と同好会の皆を呼びかけた。
「みんなお疲れ様〜! 今なるちゃんがキンキンに冷えた飲み物持ってくるから待っててね〜!」
「みんなよくやったな。明日は俺が参加して、藤郷と一文字は進行役を任せる」
瑠李奈の後ろから、和治が二日目の進行について話す。部員は口々に「了解でーす!」や「わかりました!」と返事が返された。
「皆さんお疲れ様です! 冷たい飲み物、用意しました!」
「みんなお疲れ! 明日はよろしくな!」
直後、悠姫と宝太郎が飲み物を両手に持ちやってきた。走行を担当した四人は二人から飲み物を受け取ると、一気に喉を潤かす。
「んぐんぐ…………プハァ〜〜! ありがとうな悠姫!!」
「どういたしましてお兄ちゃん。明日は自由時間あるの?」
「ああ、俺はミド先輩から楽しんできていいって言われてるからな。明日は一緒に回るか?」
「うん、お兄ちゃんのクラスの出し物、楽しみだな〜!」
仲睦まじく会話する鳴海兄妹とは別に、昭兵と和治は宝太郎に対してどこか深刻そうな顔をしていた。
「で、一ノ瀬……明日のモーターショーなんだが、黒鋼先輩の方は予定つきそうか?」
「うーん……スパナって堅物だからなぁ……もしかしたらワンチャンあるかもしれないけど、望み薄なのは前提にした方がいいかな」
「そうか……わかった。まあ本来なら俺と立花で組む予定だからな……黒鋼先輩のインターセプターがあれば、目玉を増やせると思ったんだ。期待せずにお前からの結果を待つだけだ」
話を区切り終えると、和治はサイダーを一気に飲み干す。「ぷはーっ」と気持ちよく飲み終えると、直後に大きなゲップが出てしまったのはご愛敬として流された。
「じゃありんりんちゃん、早くイッチー君と一緒に学校祭回ってきなよ!」
「うん。一ノ瀬、一緒に回ろう?」
「…………あ、ああ。うん、一緒に行こっか! じゃあな〜!」
一瞬間を置いて反応した宝太郎にりんねは首を傾げるも、笑顔で頷いてグラウンドから二人は去って行った。
「一ノ瀬のあの反応……どうしたんだ?」
「そりゃー決まってるだろ。上目遣いで迫る九堂に見惚れたんだろう」
普段の宝太郎らしくない反応に八神は訝しむも、和治があっさりと答えを導き出す。八神はなるほどなと納得する。
「意外だな八神。お前って恋愛沙汰に興味ないと思ってたぜ」
そんな八神の様子を見て、昭兵は思わず驚きを見せた。昭兵の言葉に八神は「そりゃ心外だな」とニヒルな笑みを見せた。
「俺だってそういうのに縁がないわけじゃないぜ? ま、今はそういうのは遠慮してるけど」
そう言う八神の表情は、どこか切なげなものになっていた。
周囲の雰囲気がしんみりとしたのを感じた瑠李奈が、両手をパンと叩いた。
「さ! モーターサイクル同好会の方はこれから自由時間でしょ? アタシと和治は一緒に回ってくね!」
和治の背中を押しながら、瑠李奈はこの場を去っていく。康祐も「俺達も行くか」と杏那に訊く。
「そうね。一緒に行きましょう。ついでに、特集雑誌の売れ行きも確認してみましょうか」
「んじゃ、俺達も行くな〜」
ひらひらと手を振り、康祐と杏那はグラウンドから歩み去って行った。康祐達が去っていくのを皮切りに、同好会の面々は片付けとバイクの点検を再開し、八神達は遅れてグラウンドから去り行くのだった。
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午後二時二十八分。康祐と杏那は校内を回り、自分達が部長と副部長を務めている推理小説研究部の部員達が、部員総出で作ったミステリ特集雑誌の売れ行きを確認していた。ついでに、各部員が在籍しているクラスの出し物もどんなものかと確認していた。
「う〜ん! 無事に全部売れて万々歳! 真面目に作った甲斐があったわね!」
ホクホク顔の杏那が、廊下を歩きながらうんと背伸びをする。
創部当初は部員が康祐と杏那の二人だけだったために部活動としての出し物はなかったが、いざ部員が増えるとこのような時期は真面目に取り組む必要がある。その最たる例が、学校祭一日目の特集雑誌の販売と、二日目の小劇場だ。
「さすがに三年目は真面目にやらなきゃだしなぁ〜……。にしてもよ、行く先行く先会う奴らが男女ペアなのはおかしくねえか?」
「確かに、言われてみれば多いわね……」
康祐のふとした疑問に、杏那も同意する。続いて「え〜っと…」と康祐が指折りで数えながら思い返す。
「えーっと……緑川と滝だろ。あと加治木と聖さんだっけ。二年は和戸と写家で、一年は砂西と泰藤、成堂と彩木ちゃん。…………多くねえか?」
「明確にカップルなのは緑川君と瑠李奈、加治木君と聖さんの二組だけど……それでも男女ペアが多いのは事実ね」
「でもただの男女ペアのメンツも、妙に雰囲気が甘ったるく感じなかったか?」
「言われてみると……和戸君と写家さんはまだ雰囲気は変わらなかったけど、砂西君と泰藤さんはちょっと初心な甘酸っぱい雰囲気になってたし……」
「成堂と彩木ちゃんの方は……なんか彩木ちゃんが成堂に対して猫のように甘えてたし……」
そこまで歩きながら話し合っていると、突然康祐が辺りをキョロキョロと見渡し始めた。そんな彼に杏那が「どうかしたの?」とチョコバナナを食べながら訊く。
「いや……今まで気にしてなかったけどさ。道中、生徒達のカップルが目に見えて多くなってる気がしないか?」
「え、そう? でも言われてみればそんな気もするかも……」
杏那が立ち止まり周囲を見回すと、ビュンと風を切るように誰かとすれ違った気がした。二人は後ろを振り返ると、見覚えのある後ろ姿が見えた。
「今のって……一ノ瀬と九堂だよな?」
「あんなに急いでどうしたのかしら?」
どこか焦ったように走っていく宝太郎とりんねを、康祐達は不思議そうに見つめていた。
「ミナト先生ーー!」
体育館裏にいたミナトを見つけた宝太郎は呼びかける。振り向いたミナトはどこか沈んだ様子を見せていた。
「だ、大丈夫ですか?」
「き、気にするな九堂……。鏡花達からしこたま怒られただけだ……」
心配そうに話しかけるりんねに、ミナトは沈んだ声で返す。どうやら保乃の叔父をグリオンと見間違えて攻撃してきたことが相当尾を引いているようだ。
「それよりお前達、どうしたんだ?」
気を取り直してミナトが二人に訊き出す。宝太郎は慌てた様子で「それが……」と辿々しく言葉を紡ぐ。
「さっきズキュンパイアがやってきて、クロっちが学校にいる人達に不特定多数魔法をかけたみたいなんです!」
「ズキュンパイアの見解だと、親しい男女同士に互いに甘える魔法をかけているらしいんです」
「何だと!? クロスウィザードも困らせるような真似をさせる……。すぐに銀杏と鶴原を呼びかけるんだ!」
頭を抱えながらも、ミナトは宝太郎達に令する。りんねは早速蓮華の電話番号にかけ、連絡を試みた。
「……ダメです先生、銀杏先輩の方は全く出てくれません!」
「じゃあ錆丸先輩なら……」
今度は宝太郎が錆丸に対して連絡を入れてみようと試す。一分程コールを鳴らすと、錆丸側が電話に出た。
「どうしたの〜、宝太郎〜……」
「どうしたのじゃないよ錆丸先輩! 今クロっちが大変なことしてるんだよ! そうだ、蓮華お姉さんはどうしてるの!?」
間延びした声の錆丸に内心不思議に思いながらも、宝太郎はどうしたのかと訊き出す。
「今ね〜、中庭にいるよ〜……」
「どうしたん〜、サビー……」
電話越しに、蓮華の声が聞こえる。
「あれ? もしかしてそこに蓮華お姉さんもいるの?」
「なんやお宝ちゃん〜……おるで〜」
蓮華の声もまた、間延びしたような雰囲気だった。スマホを耳に充てていた宝太郎は、チャキチャキした蓮華らしくない声に面食らった。宝太郎のスマホに耳を近付けていたりんねも、驚いた表情を見せていた。
「銀杏先輩、今何してるんですか!?」
「なんや優等生ちゃん……気持ちいいで〜、サビーの膝枕……」
「ひっひひひひ、膝枕ぁ!?」
「うわっ!? 何だよ九堂……そんなにビックリしてさ……」
あまりにも初々しい反応をするりんねに、宝太郎は思わず一歩飛び退いた。
「だ、だって一ノ瀬……ひ、膝枕って恋人同士でやるものじゃないの!?」
「え? いや……それを言うなら俺も子供の頃、母さんに甘える時に膝枕してたけど……」
初々しい反応を見せるりんねに、宝太郎は幼い頃を思い出しながら言葉を返す。りんねは「え、あ……そ、そっか」と気を取り直した。家庭間のギャップにやられたりんねは思わず顔を引き攣らせてしまっていた。
「九堂は以前に一ノ瀬とラブホテルに入ったことがあるだろうに……妙なところで初心な一面を発揮するな。全く……」
りんねの様子にミナトは思わず呆れてしまう。気を引き締めるように、ミナトは「ウォッホン」と咳をする。宝太郎とりんねは思わずミナトに振り向く。
「す、すみません……」
「お前達はクロスウィザードを探し出してくれ。道中、いつもと違う様子の生徒を見かけたら逐一報告してくれ」
「わかりました、ミナト先生。行こう、一ノ瀬!」
「………九堂…………」
気を引き締め促すりんねとは反対に、宝太郎はどこか虚ろな声でりんねを呼ぶ。
「ど、どうかしたの一ノ瀬?」
「お、俺をビンタしてくれない……?」
どこか気分の悪そうな雰囲気で頼み込む宝太郎に、りんねは思わず「え、いいの?」と訊き返してしまった。
「ビンタでも頭突きでもいいから……頼む!」
「じゃ、じゃあいくよ……」
頼み込む宝太郎に、りんねは彼の両頬に手を添える。傍から見れば高校生同士のカップルのラブシーンだ。だがその直後に起きたことは真逆の出来事だった。
「ふんっっ!!」
「あだっ!?」
りんねは宝太郎の額にめがけて思いきりヘッドバットを叩き込んだ。叩き込まれた宝太郎は額を抑えうう、と唸った。叩き込んだりんねもまた、額を摩って痛みを和らげようとしていた。
「うおおお………いてて……。ありがとうな九堂、おかげで気持ちスッキリだ!」
「ど、どういたしまして……?」
思わず疑問形で礼を返したが、でどうやら宝太郎の気分は晴れたようだ。
「よぉーし! 行くぞ九堂!! ガッチャァーーーーーー!!!」
「あ、待ってよ一ノ瀬!!全力疾走だと人にぶつかっちゃうよ!!」
一気にダッシュしていく宝太郎に、追いかけるようにりんねも走っていく。いつもの調子を取り戻した二人に、ミナトは「ふう」と息を吐いて安心した。
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