艦隊これくしょん「艦これ」―荒海の槍騎兵―2「激闘南シナ海」   作:黒瀬夜明 リベイク

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邂逅、プリンス・オブ・ウェールズ

少しだけ時間は遡り、一航艦が空襲を受け始めた頃、青葉たちの目の前で二航戦の攻撃隊によって撃沈された四連装砲塔搭載型戦艦ル級から溢れ出した光が収まると、そこには――

首元に赤いバラのブローチを着け、白いシャツの上に、金色の房のある肩章が付いたネイビーブルーのダブルブレストジャケットを着込み。

右肩からは斜めの白いサッシュを掛け、金色の紋章が入ったバックルのベルトを腰に巻き、白地で裾には控えめのフリルがあしらわれたプリーツスカートを身に着けた少女が現れた。

 

【挿絵表示】

 

「あれって、まさか!?」

青葉が思わず声をあげた。

姿を現した少女は、腰のベルトで固定されているのであろう艤装は、体を挟み込むように前方へと伸びる左右半分ずつに割った様な船体の上に、俯角を着けた四連装砲塔が左右に一基ずつ、左側の船体には背負い式に連装砲塔が備えられている。

背中の真後ろには細長い煙突が二本、直列に並んでおり、その煙突を左右から挟み込むように両舷に前後を向いて四基ずつ、背負い式の高角砲が装備されている。そして足元は金剛型高速戦艦姉妹の身に着けている、重厚感かつシャープな脚部艤装とかなり似通った艤装を履いている。

そしてその少女の目が開かれた。ライトブルーの瞳が、遠くでその光景を見つめていた青葉たち南遣艦隊残存部隊の艦娘たちに向けられた。

やがてその少女が、波を切って南遣艦隊残存部隊の元へと向かってくる。

南遣艦隊旗艦の鳥海も、青葉たちも、ここが未だ敵地に近い場所だというのに、動けなかった。

やがてその少女は、南遣艦隊の後方に追い付いた。

少女は姿勢を正し、両手を腹の前で組むと、深々と頭を下げた。そして――

「Nice to meet you.僕は、戦艦『Prince of Wales(プリンス・オブ・ウェールズ)』。貴方たちの艦隊と、合流をさせて頂きたいのですが、構わないでしょうか?」

青葉たちは呆気に取られた様子で、「プリンス・オブ・ウェールズ」と名乗った艦娘の少女を見つめていた。

お淑やかで、礼儀正しそうな性格を感じさせるその少女は顔を上げると、青葉たちの表情を見て、首を傾げながら尋ねた。

「あ、もしかして僕の言葉が通じなかったのでしょうか?見たところ、日本の艦娘の方たちとお見受けしますが、間違いだったのでしょうか?」

その言葉を受けて、青葉が慌てた様子で切り出した。

「いえいえいえ!大丈夫です!日本語通じてます!通じてますよー!」

青葉のそんな様子を見て、プリンス・オブ・ウェールズは両手を顔の横で合わせて笑った。

「それは良かった!言葉が通じなければ、どうしようかと思っておりましたから!」

「あはははー!す、すみませんねー!あまりに唐突な事だったから、頭が回らなかったんですよー!あ、自分は青葉って言いますー!」

青葉の作り笑いと、大袈裟とも言えるような台詞回し、そして笑い声に、やがて南遣艦隊残存部隊の空気が緩んでいった。

そして旗艦である鳥海が、プリンス・オブ・ウェールズの前に進み出た。

「私がこの艦隊「南遣艦隊」の旗艦、高雄型重巡洋艦の鳥海です。貴方の艦隊合流を許可します。よろしくお願いしますね」

「貴方がこの艦隊の旗艦の方なのですね!母港まで、お世話になります」

プリンス・オブ・ウェールズはやはり、礼儀正しく鳥海に頭を下げた。

鳥海も頭を下げ、顔を上げると通信員の妖精を呼び出し、以下の内容を連合艦隊主力へ送るよう指示した。

「第一艦隊宛打電。『我、D事案(ドロップ)ニ遭遇ス。遭遇対象ハ、「戦艦プリンス・オブ・ウェールズ」ト判明セリ。南遣艦隊旗艦ハ、機関故障ニヨリ出シウル速力、十四ノット。一二二五(ヒトフタフタゴ)』」

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