艦隊これくしょん「艦これ」―荒海の槍騎兵―2「激闘南シナ海」   作:黒瀬夜明 リベイク

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痛撃

第一次攻撃隊が目標としたのは、深海太平洋艦隊の戦艦部隊の内、ハイナン島沖で撃沈された標準型戦艦棲姫が直率(じきそつ)していた二部隊だった。

真珠湾を出た時は六隻いた戦艦だったが、標準型戦艦棲姫が沈められたことで五隻に減じている。しかも、後方に控えているはずの空母部隊の直掩機はいない。

そんな所へ、艦娘からの攻撃隊が飛来したのだ。

標準型戦艦棲姫の轟沈により、深海太平洋艦隊旗艦の任を引き継いだ「戦艦新棲姫」は、眼前の海域で広がる航空機と艦隊の戦いを遠望していた。

艦娘の放った雷撃機が、輪形陣の外郭を突破し、戦艦ル級へと向かっていく。その上空では、爆撃機が高度三〇〇〇メートルの高度から、逆落としに突っ込んでいく。

雷撃機は艦娘側が使う「ケート(九七艦攻)」。爆撃機は「バル(九九艦爆)」だ。

艦娘との戦いが始まった時から、何度も襲い掛かってきた急降下爆撃機と、雷撃機だ。

しかし戦艦新棲姫が属する部隊は、対空兵装の射程外にあっては、援護したくとも如何ともしがたい現状だった。

戦艦新棲姫は、援護できない無念からか、それとも直掩機を寄越さない空母部隊に向けてなのか、強く歯軋りをしていた。

すると、前方の四隻の戦艦ル級たちが回避運動に入った。海面付近を突っ込んでくるケートに対して、艦首を正対させる動きだ。戦艦ル級たちは、上空のバルよりも、低空のケートの方が脅威度が高いと判断したようだ。

上空へ低空へと撃ち上げられる対空砲火によって、何機かのバルとケートが撃墜されるが、残りの機体は臆することなく突っ込んでいく。

やがて急降下していたバルが引き起こしを掛けた。数秒の間をおいて、戦艦ル級の周囲に水柱が奔騰し始めたがしかし、輪形陣の内側、四ヵ所で爆発光が閃き始めた。

バルが投下した航空爆弾が命中し、上部構造物を破壊している光が連続で瞬いている。

だがほんの数秒の間を開けて、三隻の戦艦ル級に破局の合図とも取れる水柱が奔騰し、やがてそれは真っ赤な火柱へと姿を変えた。

ケートが投下した航空魚雷が、三隻の戦艦ル級の艦底部を直撃した瞬間だった。

三隻の戦艦ル級の元に何本も水柱が奔騰しては、火柱となって戦艦ル級を包んでいく。炎に焼かれた三隻の戦艦ル級は、ぐらりとその体を傾け、海面下へと引きずり込まれていく。

直掩機のない、制空権を失った艦隊は、かくも容易く航空機の餌食となっていくのか。戦艦新棲姫は、唸り声をあげながら前方の海面で巻き起こった戦闘を見つめていた。

艦隊の上空を、攻撃を終えたバルとケートが悠々と飛び去って行く。まるで確実された勝利を、誇示するかのように、戦艦新棲姫の瞳には映っていた。

 

その十五分後、戦艦新棲姫を含む深海太平洋艦隊の上空に、何十機もの「深海棲艦戦」が風切り音を響かせながら、姿を現した。

 

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