BRAVE STEP ―小さなお菓子屋さんを夢見て―   作:クレナイハルハ

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STEP30─それぞれの想いを胸に─

ユウリは、シュートシティのホテルにて持ち物を確認していた。

今から始まるのは、ジムチャレンジ最後のチャレンジ。

セミファイナルトーナメント、これを勝ち抜いた人がダンデさんへの挑戦権を手にする。

ホップやマリィも、トーナメントに参加する。

二人の強さは、何度もポケモンバトルをしていたからこそ理解している。

ライバル、そう言うに相応しい友達だ。

もう一人、ライバルがいたが彼女はジムを二つしか踏破できず敗退した。

悲しいけど、バトルが苦手だと話す彼女と少しでもジムチャレンジ出来たことが嬉しくて、楽しかった。

そして他にも戦ってきたジムリーダーの人達も、ジムの時とは違って本気のポケモンバトルをしてくる。

深呼吸して荷物を持って宿泊部屋を出てロビーへ向かう。

エレベーターを降りた先にいたのは、ホップとマリィだった。

 

「ホップ!それにマリィも!」

 

「ユウリ!」

 

「いよいよやね」

 

そんな風に話す二人の顔は、真剣だった。

勿論、ユウリの表情も同じだった。

 

「とうとう始まるね、セミファイナルトーナメント」

 

「ユウリと対戦するまで、絶対に負けないんだゾ!」

 

「私だって、負けんから」

 

三人で静かにセミファイナルへ向け闘志を燃やしているなか、ユウリはそう言えばと寝る前にみたスマホロトムにあった通知を見る。

そこにあったのは、ここにこられなかったライバルからのグループメッセージへ向けて送信された彼女からの応援があった。

 

──────────────────────

                 〔シアン〕

 

『セミファイナルトーナメント進出おめでとう。

三人とも、ジムを全部突破して本当に凄いトレーナーになっちゃったね。

私はバッジ二つしかとれなかったから、三人のように並んで一緒にそこまで行けなかった。

ライバル、そう呼んでくれたのにごめんね。

でもジムチャレンジの最後の最後まで、みんなのこと応援してるから。

全部終ったら、みんなでケーキを食べよう。

作れる限り、大きなケーキを作るから

ジムチャレンジお疲れ様会、したいな。

その、みんなが良いならで、良いから

返事、待ってるね。            』

 

──────────────────────

 

シアンからのメッセージに、ユウリは胸が暖かくなるのを感じた。

ここへこられなかった彼女から、ここへこられた私たちへのエール。

指が、画面の上で止まる。

何かを返そうとして……言葉が、すぐには出てこなかった。

 

「シアン、応援に来てるんだって」

 

「そっか……」

 

「………」

 

その場を沈黙が支配する。

ホップは一度だけ、強く唇を噛んだ。

マリィはスマホロトムの画面をじっと見つめたまま、何も言わない。

ユウリは、もう一度メッセージを読み返していた。

ホップとマリィもシアンがここへと勝ち上がり共にセミファイナルへと挑むことを楽しみにしていた。

そんな彼女はジムを二つ踏破し、心折れて敗退した。

その事実が幼い彼、彼女へと世の中の悲しき現実を知らしめている。

 

「……なんで、謝るの」

 

小さく、ユウリが呟いた。

 

「……なら」

 

ユウリは小さく息を吸い込む。

落ち込んでる時間なんて、きっとシアンは望んでない。

指を動かし、打った文章を送信する。

 

──────────────────────

 

〔ユウリ〕

私がチャンピオンなるから、キョダイダイマックスしたマホイップみたいなケーキを用意してね!味はシアンのお任せで!

 

〔ホップ〕

じゃあ俺が勝ったらイチゴとリンゴの奴がいいんだゾ、勿論キョダイマックスサイズで!

 

 

〔マリィ〕

うちが勝ったらキョダイマックスサイズのチョコケーキね

 

──────────────────────

 

画面に「既読」の文字が並ぶ。

 

「負けないよ、私は二人と……ダンデさんにも勝ってチャンピオンになって、シアンのお祝いケーキを食べるんだから!」

 

「俺だって二人には負けられないし、兄貴に勝つ!そしてイチゴとリンゴのケーキを食べるんだゾ!」

 

「うちが勝って、チョコケーキを食べるに決まってる」

 

全員が、ホテルの出口へと向かう。

 

もう、誰も振り返らなかった。

 

前を、進むべき道を向いて歩き出す。

 

チャンピオンであるダンデへと挑む事が出来るトレーナーを決めるための、チャレンジャーとジムリーダーがぶつかるセミファイナルトーナメントが今始まろうとしていた。

 

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