一人くらい彩葉のクラスメイトにかぐやに脳を焼かれた人が居てもバレない説【完結】   作:カウン

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調子乗ったらかなり長くなってしまった……後編はお待ちください……。
あと誤字報告ありがとうございます!助かっております……!

てか本編で前後編分けたことないのに番外編でやるのか……。


復刻!伝説の竹取合戦!【前編】

私は深く深呼吸をしながら前を向く。最近やけに大舞台に立つことが多いが、やっぱり慣れるものではない。それでも、ヤチヨが教えてくれた通り、緊張は楽しむ為の糧だから。一人で心を落ち着けていると、横から声がかかる。

 

「なに緊張してるの?大舞台でハッキングしてたじゃん」

 

「するに決まってるじゃないですか。それはそれ、これはこれです。でも、ありがとうございます」

 

煽るような言葉だが、悪意はない。むしろ、緊張した私の気を紛らわすために声を掛けてくれてるまである。何だかんだ優しい人だ。

 

「……なんでお礼言ってるのさ」

 

私のお礼に対して、当人は少し、恥ずかしそうに頬を赤くしていた。そうして感謝を述べていると、リーダーが指示を出す。

 

「よし、お前ら乗り込め。一夜限りの祭りだ!盛り上げていくぞ!!」

 

「また、祭りが始まる」

 

何だかんだ共闘は何度もあったが、面と向かっての直接対決は今まで無かった。だからこそ、緊張もあるが、わくわくしていた自分に気がつく。私は小さく笑いながら、意気揚々と乗り込む。

 

「やったりましょう!」

 

 

 

 

 

「さぁさぁ!まさかまさかの展開だ!!過去にかぐやと帝が戦った、竹取合戦!それが10年の時を経て、この場に蘇る!観客たち!決して見逃すなよ!これから始まるは、伝説の!竹取合戦だぁぁあ!!!!」

 

オタ公の煽りが決まって客席が沸き立つ声が聞こえる。私達はまだ移動中なので、皆がどんな風に歓声を上げてるのかは見れないが、否定的ではないはずだ。

 

「どもっす〜、実況の乙事 照琴です。今回は以前と違い、4対4のバトルロワイヤルで戦っていくみたいですね」

 

「どうやらブラックオニキス側が今回のみのゲストを呼んだみたいだな!」

 

「それに対して、かぐやいろPチームはヤチヨと人気インフルエンサーのROKA!いやー、総ファン数とんでもないことになってませんか?!すごスンギ」

 

軽い浮遊感と共に、暗闇から抜け出す。すると観客の声援が中にまで響いてくる。

 

「黒鬼、ご来臨〜!」

 

てか、冷静に考えたらこのチームいたら私叩かれるのでは!?に、逃げ場は……あるわけ無いか。私は諦めて前を向く。ここまで来てしまったなら、開き直るしかない!私の決意と共に、牛車が切り飛ばされ、外の光に晒される。すると、待機していた4人が指をさし、声を揃えて驚愕した。

 

『えぇ〜!?なんでレンゲがそっちに居るの!?』

 

ごもっともです……。

 

 

 

遡ること2週間前。彩葉のお兄さんである帝こと朝日さんに偶然かぐやのポップアップストアで再開した。私がかぐやのぬいぐるみを笑顔で抱えてる姿を見られてしまったので少し恥ずかしそうにしていると、朝日さんは無言でかぐやぬいを出し、笑った。その後、私達は買い物をしながら話を続けた。

 

「お、そっちもいいな」

 

「良さげですよ?ランダムですけど、男装かぐやは珍しいですね」

 

「へ〜、どれどれ……おっ、本当だ。それ以外も中々なラインナップだな」

 

「ですよねぇ。これは買いです」

「買い、だな」

 

朝日さんと同意見だったらしく、嬉しくなり、4つほど籠に入れる。流石、私と同等のかぐやファンだ。考えは近いらしい。そんな事がありながら会計を済ませ、店を出た。朝日さんはこれから乃依さんとランチを食べるらしい。店先で別れようとしたら、思い出したように朝日さんが声をかけてきた。

 

「あそう言えば、今度10年前にやったKASSENをもう1回やろうと思うんだが、良ければこっちのチームで出ないか?」

 

「えっ???」

 

そうして、トントン拍子で話が進み、気がつくと私の衣装も用意されており、断れずにここに居るという訳だ。

 

と、誰にも聞こえない現実逃避を話しつつ、向こうのチームを見つめる。かぐやにイロハ、ヤチヨにロカ。錚々たる面々だ。正直この場に私が居るのが信じられない。

 

「おーっと!ブラックオニキスのゲストはレンゲだったようだ!服装も黒鬼仕様に変わっている!」

 

そう、衣装は乃依さんが考えてくれた。ツクヨミで通常時のアバターは白に青の入った、改造巫女服の様な物を着ているが、今回は逆。黒ベースに青の差し色、【サラシ】と言う胸の大きさを誤魔化せるアイテムで男装チックに仕上げてある。正直露出はこっちのほうが少ないので落ち着く。ちなみにツノもちゃんとついている。

 

オタ公が私の衣装について解説していると、かぐやが一歩前に出て声を張る。

 

「おら帝ぉ!今度は負けないからなぁ!!」

 

対してリーダーも前に出て、かぐや近づいて話しかけ、そのまま話を進める。

 

「やっぱり前傾姿勢可愛すぎ。今回は勝ったらサインでも貰おうかな?」

 

「え?求婚は?」

 

かぐやは拍子抜けといった感じに目を開いて顔を見つめる。イロハも武器を振るう構えだったが、驚いてよろめいてた。

 

「んー、まぁ俺はかぐやちゃんの幸せを応援したいからね」

 

そう言いながらイロハとかぐやを見て優しく笑うと、帝さんはこちらに振り返る。少し呼吸を整えてから、何時もの調子に戻った帝さん。振り向きながらキメ顔で語りかけた。

 

「ま、元から負けるつもりはないから。サインは頂くよ、かぐやちゃん」

 

もう既に勝ちを確信したような言い方に向こうのチームからお怒りが飛んでくる。まぁ怒って当然よな……。

 

「望む所だおらぁ!」

 

「勝手に負けって決めつけるな!」

 

「そーだそーだ!」

 

「このヤッチョが負けるとでも?」

 

そんな空気感の中、両者開始地点に飛ばされた。

 

 

 

 

 

 

「ところで、いつも作戦とかって考えてるんですか?」

 

天守閣の下にて、私は普段はどんな風に戦っているのかを確認しようと聞いていた。が、返ってきた返答はプロは伊達じゃないと実感させられるものだった。

 

「えっ、そんなのないよ?俺たち強いから」

 

「ま、普段は実力でねじ伏せるからそう言うのは考えないな」

 

皆当然と言ったように話していて、私はすげぇと感心していた。あと雷さんは無言でピースしてる。ノリいいなこの人。ただ、と言いながら帝さんは顎に手を当てながら呟く。

 

「今回はあのイロハ達が相手だ。だからレンゲ、お前にだけは作戦で動いてもらう」

 

作戦を聞いた私は責任重大過ぎて、額に手を当てた。

 

「……私には荷が重すぎません?」

 

 

 

 

 

 

オタ公の試合開始の合図とともに、全員が虎のバイクに跨り、地を駆る。全員が3方向に別れていくのを見届けてから、私は遅れて直進した。

 

「おっとこれは……トライデント!トライデントっすね!バトロワでも戦略を変えるつもりはないようです!ただ……レンゲのみが後方で少し遅れてのスタート。これは何か意図があるのでしょうか」

 

「ゲストだから自由に動いてるのか……もしくは作戦なのでしょうか」

 

実況と解説が入り乱れるように舞台を彩る。私はミニオンを蹴散らしながら、帝さんの後を追う。すると前方から激しい爆発が。どうやら既に戦いが始まっているらしい。バイクのスロットルを絞り、加速する。そのままバイクを踏み台に跳躍。イロハに向かって薙刀を振り抜いた。

小耳の良い金属音が後方で鳴り響く。まぁ、一撃でやられる訳ないか。姿勢を直しながら、後ろに振り向く。

 

「来たね、レンゲ」

 

「待たせましたか?」

 

口角を上げながら、武器を構える。私は身体を前に倒し、距離を詰めた。下から薙刀を振り上げるが、イロハの刃に防がれる。素早く真ん中で薙刀を分離させ、もう片方の刃を突き立てようと振り下ろすもそれも受け流された。横に飛び、仕切り直しだ。すると影が私を覆う。

 

「かぐやも混ぜてっ!!」

 

ジェットエンジンにより加速したハンマーが叩き降ろされる。私は薙刀で真横に跳ね、爆心地から距離を取った。そこに向かって帝さんが銃撃を撃ち込む。

 

「させるかっての!」

 

それをイロハさんが前に出ることで防ぎ切る。その時、イロハの雰囲気が変わる。これはあの時と同じか!

 

「かぐやっ!行って!」

 

「りょーかいっ!」

 

短い呼び掛けと共にかぐやが空へと飛び立つ。私は瞬時に判断して、かぐやの後を追うべく、地を蹴る。

 

「レンゲ!ノイのフォローを……流石の判断力だな」

 

私の背中にそんな帝さんの声がかかった。そう、あの時私に任された作戦。それは遊撃だ。戦場で人数不利になる部分を補える様に動く、月人戦でロカとマミを助けた私を見て帝さんが適任と判断して指示をくれたらしい。

私は岩場を飛び移りながら、先端の銃口をかぐやに向ける。一撃目を撃つも、外れる。だが今ので空中での機動性からおおよその撃つべき場所が割れた。確かめるように呟きながらトリガーに指をかける。

 

「揺動修正、次弾着弾、距離5000、射撃……今!」

 

「ここでレンゲの狙撃が光るっ!」

 

放たれた閃光はかぐやの背中を掠め、高度が落ちていく。私は落下するかぐやを追いかけ、岩場を滑り降り、木々の間を縫うように走る。かぐやの墜落した場所に近づくと、左隣の木が音を立てて吹き飛ぶ。

 

「気づかれましたか……!」

 

飛来物の方向から位置を特定し、さらに距離を詰める。薙ぎ倒された地点の真ん中でかぐやはハンマーをランチャーに持ち替え、こちらに向けていた。

 

「らっしゃい!」

 

銃口から鰻が射出され、こちらに飛んでくる。それを薙刀でいなし、木の裏に隠れる。隠れている木が鰻によってミシミシと音を立てる。このまま耐えていてもジリ貧だ。そう思って私は銃口を向けようと、影から顔をのぞかせる。が、そこにかぐやの姿は居なかった。

 

「ここだよっ!」

 

いつの間にか、かぐやはハンマーに持ち替えており、上空からこちらに向かって振り下ろして来た。薙刀で受けようものなら、やられるのは明確だ。だが、距離がさっきよりも近い。すぐに走って打撃を避けられない恐れがある。

 

「だったら……!」

 

「なんとここでレンゲ、ハンマーを構えたかぐやに跳躍!空中で迎え撃つつもりか!?」

 

確かに身動の取れない空中だったら良い的だ。だが、速度の乗り切る前のハンマーだったら、普通の武器を受け流すのと大差ない!

 

「レンゲ、逆転の発想でハンマーを受け流したぁ!」

 

「嘘ぉ!?痛ってぇ!」

 

すれ違いざまに斬りつけたが、身を捩られて、躱された。こうなると不味い。先に着地したかぐやがあくどい笑みを浮かべながらハンマーを構えている。

 

「ちゃっくち狩りぃ〜!」

 

やっぱり私の推しは可愛いなぁ。なんて思いながら対応を考える。が、あのかぐやに通用するイメージが沸かず、静かに息を吐き、チーム全体に連絡を入れる。

 

「すみません、かぐやと相打ちで退場します」

 

それだけ言い残し、落下に身を委ねる。かぐやはまだかまだかと武器を構えて待っている。私も薙刀を握り直し、更に加速する。

 

「貰ったぁ!」

 

かぐやが私の落下に合わせてハンマーを振るう。ジェットに火がついているのもあって、一撃で体力をもってかれそうになるも、どうにか石突側を差し込み数秒耐える。そう、この数秒が肝なのだ。

 

「この距離なら、外しはしませんっ!!」

 

ハンマーを受けた薙刀を分割。後ろに吹き飛ぶ寸前で、銃口を突きつけ、至近距離でかぐやにぶっ放した。それと同時に私の体力は0になり視界が暗転してしまう。

 

無事に倒せただろうか。そう思っていると、連絡が入る。どうやら雷さんのようだ。

 

「俺の残機を使え」

 

「良いんですか!?」

 

想定外の申し出に驚いて、置いていたリモコンを持ち上げる。雷さんは静かに淡々と言う。

 

「決着は舞台でつけてこそ、だからな」

 

でも節々から優しさを感じる。やっぱりいい人たちだなぁと思いつつ、お礼を述べながら残機を使わせてもらった。

 

暗闇から浮上して、すぐにマップを開く。どうやら相打ちには持っていけたらしく、相手の残機が減り、かぐやが復活している。ただ、他にもやられた人が居るらしく、互いに残りの残機は一つとなっていた。

 

私は前線に戻ろうと武器を構えて、バイクに乗り込もうとする。そこで、帝さんから指示が飛んできた。

 

「レンゲ!天守閣方面に一人抜けた奴が居る!カバー頼む!」

 

私はその指示を聞いて、バイクのスロットを力強く捻った。

 

 

 

 

 

指示を受けた場所に向かうと、そこにはこちらに向かって疾走するロカの姿があった。私はバイクを止め、武器を構える。

 

「ここは通せませんよ、ロカ」

 

「レンゲが居たか……ヤチヨの言う通りだなぁ」

 

残念がるような言葉とは反対に、ロカは嬉しそうに武器を構える。

 

「1回ちゃんと戦ってみたかったんだよねっ!」

 

ロカは大きく踏み込むと、腕を振り上げ、爪での攻撃を敢行する。それを前転することで避ける私。背後をとって薙刀を振り抜こうとするも、反対の爪を差し込まれ、受け止められてしまう。

 

「ならっ!」

 

私はその差し込まれた爪を踏みつけて、上空を取る。空中から銃口を向け、連続して射撃をするも爪により防がれる。だがそれは織り込み済みだ。着地と同時に距離を詰め、足元を掬うように刃を振るう。ロカはそれを跳んで避けるが、それも狙い通りだ。

 

「っ!?いつの間に分離を!?まずっ!」

 

分離した薙刀をしてないように持ち、隙が出来たロカを石突側の隠し刃で切裂く。切り飛ばされ、距離が出来てしまう。

 

「やっぱレンゲは強いね……」

 

ロカはゆっくりと顔を上げながらこちらを見据える。その目には力が籠もっていた。

 

「でも負けるつもりはないから!」

 

「おーっと!ここでROKA!ウルトを切るようだーっ!」

 

ウルト、言わば必殺技。ミニオンを倒して溜まるゲージを使う事で使用できる切り札だ。使えば一定時間、移動速度と攻撃力が上がる。すると、ロカの衣装が変わっていく。せっかくの大舞台だから、サプライズでウルトの仕様を弄ったことを思い出した。ロカがあの日、着ていないはずのコラボライブの衣装を身に纏う。驚いたように自分の服装を見て、頬を緩めるとこちらに向かって問いかける。

 

「……似合ってる?」

 

私も頬を緩めながら、返答を返した。

 

「えぇ、とっても!」

 

私の返答が再開の合図となる。先程よりも速く踏み込むロカ。突き立て、引き裂き、叩き付ける。嵐のように武器が振るわれる。どうにか薙刀でいなし続けるも、どんどん体力が減っていく。そこで、ロカの鋭い正拳突きが爪に連動し、私の腹部に突き刺さる。

 

「ぐっ……!」

 

私は地面に投げ出され、転がりながら思考も回す。ここで私もウルトを使えば勝てるが、恐らくヤチヨがこちらに向かってきている筈だ。ヤチヨと一対一で戦っての勝率を上げるためにはウルトは必要条件だ。何が何でも、温存しなければ。

 

「……このままここで倒すっ!」

 

気合を入れ、武器を握り直す。見切るんだ、ロカの動きを。今までロカと居た時間があればそれが出来るはず。目を見開き、動きを予測する。右足踏み込み、上方からの爪、背後に隠すようにもう一方の爪。手前は囮、背後が本命。なら、自分をブラフにそれを吊り出す。

 

「ここでレンゲ、決死の飛び込みっ!」

 

上方から振られた爪を後ろに引き、避けてそれを足場に前に飛び込む。そうすれば当然目論見通りとロカは本命を当てようとしてくる。私は分離させたままの隠し刃を投げつける。

 

「っ!」

 

当然躱されるが意識が反れる。今がチャンスだ。地面を踏みしめ、脚に力を込める。姿勢を低く、ロカから見えるかギリギリの低空で、距離を詰める。

 

「まずっ!下!?」

 

両手で武器を握り締め、身体を思いっきり捻って左下から上に向けて、刃を振るう。

 

「っらぁ!!」

 

私の一撃は、ロカの胸部に大きく斜めの傷を残し、花弁を散らさせる。勢いを殺しながら、ロカへと振り向く。ロカの表情は晴れやかで楽しげだった。

 

「流石レンゲ。私の自慢の友達だわ」

 

「ありがとうございます。私もですよ」

 

そう伝えると、ロカの身体が光となって消える。息を吐きながら、投げた薙刀の片方を拾って背後に顔を向ける。

 

「もう来たんですか、ヤチヨ」

 

「えへへ、来ちゃった」

 

そこには笑顔でこちらを見つめるヤチヨの姿があった。実質ボスラッシュじゃないか。内心頭を抱えつつ、薙刀を接合する。

 

「それじゃあ、やりましょうか」

 

「だねぇ」

 

「ROKAとの戦いを制したレンゲの元へヤチヨが迫る!この戦いどうなるんだぁ!?続報を待てっ!」

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