一人くらい彩葉のクラスメイトにかぐやに脳を焼かれた人が居てもバレない説【完結】   作:カウン

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かぐや誕生日おめでとう!!(滑り込み)

お気に入りと評価ありがとうございます!!

それからこの作品がまた日間ランキングに乗りました!皆さんのおかげです!本当に感謝です!!


座学で出来ても、実際出来るとは限らない

「かぐやとオフコラボですか!?」

 

「そう!今度の休み、彩葉とヤチヨが2人で出掛けるって話でさ〜かぐやちゃん家で一人なんだよねぇ……。それで蓮夏に来てほしいんだ〜」

 

ツクヨミでかぐやとKASSENをしていたある日、かぐやからオフコラボを誘われた。まさかかぐやから誘ってくれるなんて……!正直、かぐやの動画に出るなんて烏滸がましいにも程があるが、推しの配信を真横で見るにはこの方法しかない。恥ずかしいし、申し訳ないのだが……。

 

「是非!コラボさせてください!」

 

私の返答を聞いて、かぐやも嬉しそうに跳ねている。あ、そう言えば一つ頼みたいことがあったんだ。

 

「それとなんですけど、良ければ料理を教えてくれませんか?」

 

実は、ある人に料理を振る舞いたいと思ったが、私は料理を作った経験がほとんど無い。なのでこの際、推しに教えを乞おうと言う考えに至った。私自身、彼女に食べてもらうからには手を抜くことは出来ない。だからこそ、友達の中で一番に料理が上手なかぐやから教わりたいと思った。

私のその頼みを聞いて、かぐやは何かを察したようにニヤニヤし始めた。

 

「ふ〜ん……芦花でしょ?」

 

「な!?なんでそこで芦花が出てくるんですか!?確かに最近仲は良いですけど料理を作る理由にはならないですよね?!」

 

大慌てで取り繕うもしたり顔でこちらを見つめるかぐや。大体、友達のために料理を作ることの何がいけないのだ!日頃のお礼ですから!す……好き、なん、て……。私の頭上からボン、と爆ぜて煙が上がる。

 

「あ、自爆した」

 

私の恥じらいはツクヨミにしっかりと汲み取られていたようで、湯気が出るほど頬を赤らめていたらしい。顔を冷ますためにも左右に振って、どうにか頭を切り替える。

 

「と、とにかく!お願いしますね!」

 

「りょーかい!取り敢えずは、相手倒しちゃおうか」

 

KASSENの待機時間であることを思い出して、リモコンを握り直す。

 

「そうですね、詳しい話はそれからで」

 

私達は武器を構えて、スタートの合図で前に踏み込んだ。ちなみに、この試合は私達の圧勝で終わった。

 

 

 

 

 

 

後日、私はかぐやのマンションを訪ねていた。練習のための食材も買ってきたので、問題はない。にしても、本当に大きいマンションだ。ここにずっと住んでる彩葉すごいなぁなんて感じつつエレベーターに乗り込む。玄関を開けると、待ちきれなかったのか、かぐやがそこで待っていた。

 

「蓮夏!ようこそ!さぁ上がって上がって〜!」

 

わざわざ待っていてくれていた事に、尊さを感じながら家に上がる。にしても何度来ても慣れないなぁ。推しの住んでいる空間に居れる事実が胸をときめかせる。

 

「じゃあ、時間もないし始めちゃおっか!」

 

買ってきた食材を冷蔵庫に詰めさせてもらい、私とかぐやはエプロンをつけた。この後、私に料理を教えてからオフコラボを撮影する手筈になっている。エプロン姿のかぐやに悶えたいが巻きで行く。

 

「そしたら今回は料理の定番!カレーを教えていくよ!」

 

具材をずらりと並べ、作る時に手間取らないように準備をしていく。かぐや曰く、料理は時間との戦いらしい。野菜を水で濯ぎ、ピーラーで皮を剥いていく。これくらいなら私でも出来る、なんて油断していると水でジャガイモが滑り、宙を舞う。そのままピーラーは私の手に押し付けられ。

 

「蓮夏!危ない!」

 

「か、かぐや、ありがとう」

 

「そう言えば割とドジっ子だったね蓮夏……かぐやが気をつけないと」

 

他の野菜を剥いていたかぐやが咄嗟に腕を取り止めてくれた。あ、危なー……私の流血入りカレーになってしまうところだった……。そんな誰も得しないものを作るつもりはない。そんな事件もありながら、私達は皮むきを完遂した。

 

「よし!それじゃあ野菜を切っていこう!」

 

お次は野菜を食べやすい大きさに切り分けていく。かぐやが手渡してくれたまな板と包丁を前に置く。すると、かぐやは心配そうに私を見てくる。

 

「包丁握る前に確認!切るときの手は?」

 

「猫の手、ですよね」

 

ふふん、知識だけはあるから座学には自信があった。私は猫の手を作って身体の前に出す。かぐやが閃いたように目を見開く。

 

「そしたら、両手で構えて〜」

 

「こうですか?」

 

「にゃ〜」

 

「にゃ〜……って何やらせるんですか!」

 

促されるままにやってしまった……てか猫かぐやでは!?後から恥ずかしさより嬉しさがこみ上げてきた。そんな騙してきた張本人は私の猫が見れたのを楽しそうに笑っている。とまぁ、そんな風に笑い合ってから、野菜をきり分け始めた。

そしてすぐに実感した。野菜は丸みを帯びてることが多いため、切るときに安定しないのだ。そんな野菜たちをどうにか抑えながら切っていく。

 

「結構……難しいですね」

 

「慣れないと手こずるよね〜。まぁかぐやちゃんにはお茶の子さいさいなんだけど!」

 

そんな軽口を叩きながら、かぐやは手早く担当の野菜を切っていた。やっぱり私の推しはすごいなぁと感じつつどうにかこちらも進めていく。ジャガイモに刃を当て、グラグラするため顔を顰めていると、かぐやが後ろに立つ。

 

「じゃあ、かぐやがサポートしてしんぜよう。ここを持って〜こう!手にはあんまり力は入れないで」

 

後ろから抱き着くようにかぐやが手伝ってくれた。刃物を持ったこんな状況じゃなきゃ横転している。だが、これは自分のためだ。かぐやが手伝ってくれる力加減をしっかり覚えながら、ジャガイモに刃を入れて行く。

 

「よっし、これで完成!蓮夏やれば出来るじゃん!」

 

「えへへ、かぐやのお陰ですよ」

 

その後、無事に野菜を全てきり終わり、お次にお肉を焼いていくとのこと。私は何も考えずにパックから出したお肉を鍋に入れようとした。お肉が鍋に飛び込む直前、かぐやが慌てて駆け寄ってきた。

 

「わ〜!蓮夏ストップ!油しかないと焦げ付いちゃう!」

 

「えっ、そうなんですか?!」

 

お肉を急いでUターンさせると、かぐやが油をしいていく。その後でお肉をいれると、気持ちのいい音を立てながら色が変わっていく。

 

「ふっ……今日のかぐやはツッコミ担当」

 

「なんかごめんなさい」

 

「大丈夫だよ〜」

 

なんてアクシデントも起こりかけたが、野菜も入れて、ルーも入れて、後は煮込むだけとなった。一息ついてお茶を飲んでいると、かぐやが私を呼んで手招きしていた。

 

「蓮夏、ここで最強の隠し味を教えよう」

 

「最強の……!」

 

「それは……」

 

そんな物があるのか……まだまだ料理を知らない私はどんな物が出てくるのかわくわくしながらかぐやを待つ。すると、かぐやは両手でハートを作って満面の笑みで言い放つ。

 

「愛情だよ!!」

 

それを聞いて、ズルっと椅子から滑り落ちた。かぐやが言うからには間違いないのだろうが、それで本当に美味しくなるのだろうか。半信半疑になりながら、かぐやの元へ向かい横に立つ。

 

「それじゃあかぐやに続いて!彩葉大好き〜!」

 

「い、彩葉大好き〜!!」

 

ハートを手で作りながら、念を送るように力を込める。は、恥ずかしいが、かぐやが隠し味と言うなら間違いないだろう。

 

「「ヤチヨ大好き〜!」」

 

続けてヤチヨへの愛情も入れていく。すると、かぐやが私の目を見ながら悪戯に笑った。

 

「蓮夏大好き〜!」

 

「はわっ!?か、かぐや大好き〜!」

 

推しからの急な奇襲に驚いて変な汗が流れる。本当に他のファンから刺されないのが謎だ。

 

「芦花大好き〜!」

 

「芦花大好きっ!?!」

 

勢いに流されてとんでもない事を言わされてしまった。まぁ事実だから別に良いんだが……それでもかぐやの前で言うのは、ぐぬぬ。そんな事を言わせたかぐやは、カラカラと笑いながら親指を立てる。

 

「ま、こんな感じに作れば問題ないよ!」

 

「お、覚えておきます」

 

 

 

 

 

 

 

かくして、カレーが完成した。それに加えて、かぐやは動画の企画のためにほかの料理を作っていく。所々でアドバイスを教えてくれながら、料理を続けて、多くの品が出来上がった。それをテーブルにはなえていると、玄関のドアが開く。

 

「「ただいま〜」」

 

彩葉とヤチヨが帰ってきたようだ。かぐやがすぐに気が付いて、跳ねながらドアに向かっていった。

 

「おかえり!2人とも」

 

「やけにいい匂いじゃん、どういう風の吹きまわ……蓮夏?」

 

私は予め、渡されていたフリップを前に掲げながら挨拶を返す。

 

「お邪魔してます。って事で動画の企画です」

 

そう、実はこのオフコラボ、私とかぐやは仕掛け人となっている。せっかく作るなら企画にしようとかぐやが提案してくれた。

今机に並んだ8品。これのどれが私の作ったものか、それが今回の企画。動画の冒頭は既に撮影済みで、食事をしてから答えを聞くって流れだ。

2人はこういった突然の企画に慣れているのか、フリップの文字を平然と読んでいた。すると、ヤチヨは納得がいったように頷き、席に着く。

 

「それでかぐやは今朝から楽しそうにしてたのか〜。どれが蓮夏の料理かね、ヤッチョなら簡単かな〜」

 

「まぁ、かぐやの料理は食べ慣れてるからね。それくらい簡単だよ」

 

彩葉の方も余裕の表情で座った。それから皆で手を合わせてから食事を始める。かぐやの料理……!何度も食べているが、私は涙を流しそうになりながら食べた。どれも美味しすぎる……!

 

「いつもより気合入ってるね、美味しい」

 

「かぐや、料理本も行けるよ〜。ヤッチョがおすすめってつけていいよー」

 

ヤチヨからの提案を本気で悩んでるかぐやを横目に、私が作ったカレーを恐る恐る、すくって口に運んだ。それを食べて目を見開く。ちゃんとカレーになっている。少しジャガイモや人参が歪な物もあるが、カレーではある。感動していると、2人も口にしていた。

 

「このカレーも美味しいね〜」

 

「だね。野菜もよく切れてるよ」

 

それを聞いて、私は内心ガッツポーズをしていた。不味かったらどうしようって考えていたが、杞憂だったようだ。安心しながら食べ進めて、皆で完食した。

 

「ご馳走様でした……って事で、どれが蓮夏が作ったやつでしょうか!」

 

かぐやからのクイズを聞いた2人は迷うことなくカレーのお皿を指さした。かぐやと私はぎくりと身体を強張らせる。

 

「……理由を聞いても?」

 

私が念の為、理由を聞いてみたら2人は笑いながら答えた。

 

「かぐやがシンプルなカレー作るの珍しいなーって」

 

「そう、ヤッチョもそれは思った!」

 

どうやらこの企画は最初から破綻していたらしい。ジト目でかぐやを見つめると、当人は舌を出しながらあざとく笑った。

 

「ごめんね、蓮夏」

 

「許します」

 

「まぁカレー美味しかったのは本当だから」

 

「ならよかったですよ」

 

彩葉からの感想で尚の事安心して、私は笑った。そんなこともありながら、今日の料理教室は幕を下ろした。

 

 

 

 

 

ちなみに彩葉とヤチヨはかぐやの誕生日を買いに行っていたらしく、後日渡されて大喜びしていた。私もちゃんと渡したが……干し芋リストから選んだフライパンでよかったのだろうか。普通に喜んでいたから問題はないと思うが。

 

 

 

それと、私のカレーを食べた芦花は嬉しそうだった事をここに記しておく。

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