星光の魔法戦士   作:あさぼん

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激変する戦場

陽菜たちが戦っているエリアから少し離れた神社の駐車場。ここでは優地とレオが戦闘を行っていた。

レオは、付近に乗り捨てられている車を軽々持ち上げ、優地に向けて投げる。

投げられた車は優地の横を次々とすり抜け、彼のすぐ後ろで爆発する。

 

「車を投げるのは流石にズルだろ…っ!」

 

そんな優地の指摘を無視して、レオは立て続けに攻撃を仕掛けてくる。

 

「どうした?この前の威勢はどこに行ったんだよ」

「んなこと言ったって…よ!」

 

優地はそう言うと近くにあった石を投げつける。

石はかなりの勢いをつけてレオの顔面へ投げられるが、レオはなんなく石をキャッチし、粉砕する。

 

(こっからどうすりゃいいんだ…?)

 

斬撃を飛ばせるレオと違って、優地には素手で戦う以外の方法がない。

かと言って、下手に距離を近づければ彼から強烈な一撃を受けることは確実だろう。

そう考えたところで1つだけこの状況からなんとかできそうな案を思いつく。しかし…

 

「まーた病院行きか……いや、下手すりゃそれで済まねえか」

 

そう割り切ったところで優地は息を整える。

そして―――全速力でレオの懐へ突っ込む!

レオは対抗するように爪を立てて受けようとする。しかし―――

 

(なんだこの動き…!さっきまでと違う!?)

 

レオがそう感じるまもなく、優地がレオの腹部に一撃を入れる。

 

(いいジャブだ…だが、まだあまいな)

 

レオは受けた攻撃に動じることなくカウンターをくらわせ、逆に優地の体勢を崩す。そしてそのまま―――体勢を崩した優地の腹部に爪を突き刺す。

優地は辛うじて心臓への直撃だけは避けたが、攻撃自体を回避することはできず、右脇腹のあたりにレオの爪が突き刺さり、皮膚を貫通する。優地の背中に、血に染まった爪の先が突き抜ける。

 

「あっけなかったな」

 

レオはそう言って、もう片方の手でとどめを刺そうとする。

 

「待ってたよ、この時をな!」

 

そう言うと、なんと優地は突き刺してきた腕を持って全体重で倒れる。

 

(正気かこいつ!)

 

下手すれば傷口をさらに広げかねない危険な行為である。しかし、そんなのお構い無しに優地は全体重で倒れ、レオを宙に浮かす。そして、渾身のパンチをレオの顔面にくらわせた。

 

 

 

「痛ってぇ…」

 

優地は血のあふれる腹部を押さえながら、息を切らして倒れたレオへ近づく。

 

「悪いな、今回は俺の勝ちだ」

 

レオは頭を抱えて動かない。おそらく、今のパンチで軽めの脳震盪を起こしているのだろう。

動かないレオを横目にスマホを起動し、写真を撮る。

 

「これでよし…っと」

 

これさえあればみんなにも信じてもらえる。彼らの目的は正直わからないが、一般人を襲ってる時点でろくでもない奴なのは確かだろう。

正直、連れて帰って詳しいことを聞きたいが、今の自分じゃとてもじゃないが運べないし、万が一連れて帰る途中で彼が回復して襲いかかってきたら元も子もない。近くにいるであろう陽菜たちに頼んで運んでもらおう。

そう考え、戦闘音の聞こえる方へ向かおうとする。

 

「まだ…終わっちゃねえぞ」

 

声のした方へ優地は目を向ける。レオが意識を取り戻したのだ。

 

「げっ、お前結構タフだな…でも俺がボコボコにしちまったからな、そこで悔しそうにしながら待ってろよ」

 

優地はレオを煽り、陽菜の元へ向かおうとする。

 

「たしかに俺は負けたな…でも、()()()はまだ負けていない」

 

俺たち…?その発言が正しければ、こいつと似たような奴がまだいるのかもしれない。そう考えたときだった。

 

突如、背筋にとてつもない悪寒を感じる。

―――空気が、重い。

呼吸を一瞬忘れてしまうレベルの威圧感。

音が、遠のいた気がした。

少し前にレオと対峙した時とは比べ物にならない悪寒。今すぐここから逃げなくてはならない。そう考え走り出そうとした時だった。

 

目の前に突然変な仮面を被った男が現れ、優地の前に手を出す。

何をされたのか理解する前に、体が吹き飛ぶ。

優地の体は背後の建物のコンクリートでできたに叩きつけられ、鈍い音が響いた。

 

 

 

 

その頃、陽菜たちの戦闘もクライマックスを迎えていた。

徳姫の攻撃により、魔獣の目は左上を除いて見えなくなっている。

 

「途中途中暴れられるの本当に困ったけど…これで最後だよ!」

 

そう言うと、徳姫は再び手元に水を集め、圧力を高めていく。

そして、魔獣目掛けて攻撃を放つ。攻撃は魔獣の左上の目に的確に命中し魔獣が今までで一番でかい咆哮を上げる。

 

「これで目は完全に潰した…あとは陽菜ちゃん、お願い!」

「はい!」

 

そう言うと、陽菜は手元に魔力を集中させ、力を込める。

あの魔獣を倒すためには、徳姫さんの攻撃よりもっと鋭く、突き通す攻撃が必要だ。

頭の中でそう考えると、魔力はどんどん圧縮されていく。

そして、極限まで圧縮されると同時に、陽菜の手元から、圧縮された魔力が一筋の光の矢となって放たれる。

 

「―――貫け、プラグマ・ルーチ!」

 

レーザーは魔獣の体のしなやかな体を貫いた。まもなく、魔獣は唸り声をあげて消滅した。

 

「…やっぱり陽菜ちゃんはすごいね。私だけじゃ倒しきれない相手をいとも容易く倒しちゃった」

「そんなことはないですよ!徳姫さんのアシストがなかったら倒せなかったし、さっきの技も徳姫さんのを参考にしたんですから!」

「え、そうなの?ちょっとうれしいかも…」

 

二人でそんな会話をしていると、司令からの通信が入る。

 

『魔獣は無事に討伐したようだな、天音と合流し、帰還してくれ』

「「はい!」」

 

司令からの通信に、私たちは返事をして応答する。

そうして帰還しようとした…その時だった。

 

『司令…!これ見てください…!』

『…これは!』

 

通信機越しに青田さんの戸惑いが混じった声が聞こえる。状況を確認している赤井さんも、かなり動揺しているように感じる。

 

『陽菜くん、徳姫くん、今送った座標の位置に、大至急向かってくれ』

 

そう言うと、通信機からマップが開かれ、現在地から少し離れた場所に赤い印がつく。

 

「司令、これは一体―――」

『落ち着いて聞いてくれ』

 

徳姫さんの質問に対し、赤井さんは息を整えて言う。

 

『優地くんが、正体不明の二人組に襲われている』

 

その言葉を聞いた瞬間、私の体は凍りついた。

 

(優地が……?)

 

心臓が嫌な音を立てる。

嫌な予感が、全身を駆け巡る。

 

 

――間に合って。

 

 

そう強く願いながら、私は走り出した。

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