星光の魔法戦士   作:あさぼん

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愛の力

避難所へ子どもたちを届けた陽菜はワカバウォークへ向かおうとしていた。

 

なりたての自分ではそこまで役に立てないかもしれないが手助けくらいはできるはず…!

 

そう思ってた刹那、建物から爆発のような音が聞こえる。

 

 

 

「あっ…。」

 

ふと、嫌な予感がした。よくよく考えてみれば、今あの二人が戦っているのはネームド級の魔獣二体である。ネームド級は、弱い個体でも二、三人で相手をするものだ。

 

それなのに、あの二人が戦っているのはかなり強い部類の個体。それも、二体同時―――。

 

苦戦していないと考える方が難しかった。

 

 

 

「急がないと…!」

 

その事に気づき、私はスピードを早める。あの二人が助からなければ、優地も助けられない。

 

私は一直線にワカバウォークへ向かった。

 

 

 

 

 

そして私は壁を突き破って建物へ入り、追い詰められた二人を見つけた。すぐ横を見ると二体の魔獣が彼女らにとどめを刺そうとしていた。放たれたブレス攻撃を止めるため、私は咄嗟に光弾を放った。

 

 

 

ブレス攻撃は私の放った攻撃によって相殺され霧散した。

 

突然の乱入に魔獣たちが怯んだ、その隙を逃さず、私はありったけの光弾を叩き込む。

 

 

 

魔獣は飛び退いて回避する。だが、突然現れた私を警戒しているのか、すぐには攻撃してこない。

 

その隙に私は二人の元へ降り立った。

 

「大丈夫ですか!?」

 

 

 

二人は呆気にとられていたが、私がなんとか変身したことを話したら、

 

「…そうですか。」

 

「びっくりだね…」

 

と、驚きを隠せないようだった。そのうえで、今の状況と魔法戦士のことについて教えてくれた。

 

援軍がしばらく来ないこと。長時間の戦いで限界を迎えてしまったこと。

 

私が使っている力は“魔力”と呼ばれるものらしい。

 

それにはある程度の上限があり、使いすぎれば尽きてしまう。

 

そして、頭の中で思い描けば、ある程度は自由に攻撃を形にできる―――そんな説明を、私は手短に受けた。

 

同時に先程の攻撃は少し魔力を使いすぎだとも叱られたが…。

 

 

 

ひとまず、技の使い方のコツを聞いた私は戦闘を再開した。

 

 

 

―――その戦いぶりを見て、徳姫と天音は息を呑んだ。

 

陽菜は向かってくる魔獣に向けて光弾を放ち続ける。

 

「彼女…初めて戦うはずなのに、びっくりするくらい使いこなしてますね…。」

 

「あれ…最早才能の域だよね…」

 

魔法戦士には、それぞれ自分だけの力―――がある。

 

だが、それを最初からここまで扱える者を、二人は見たことがなかった。

 

 

 

徳姫も、天音も、最初は力の制御に散々苦しんだ。

 

それなのに陽菜は、まだ詳細すら分からない自分の力を、まるで最初から知っていたかのように使いこなしている。

 

そのうえ、魔力による攻撃の扱いまで上手い。

もはや、天性の才能としか言いようがなかった。

 

そんなことを考えていると、体力の回復した天音がよろめきながらも歩き始める。

 

「…まだ戦いに復帰するには早いよ。」

徳姫は天音に声をかける。

 

 

 

「戦いはしませんし…この状態じゃしばらくはできませんよ。それより…」

そう言って天音は瓦礫の山を指差す。

 

「せっかく彼女は彼を助けるために戦っているのに、彼を助けられなかったとなったら、その身を犠牲にして戦った意味がありません。ならせめて…どれだけボロボロでも彼を生かしてあげないと…」

 

未だ瓦礫に埋まっている彼女の恋人。戦いに集中していてしばらく様子を見てなかったが、幸い脈は止まっていなかった。

 

「瓦礫ぐらいなら…なんとか退けられるよ…!」

 

そう言うと、徳姫は瓦礫を地道にだが退け始める。その横で天音は優地の回復を始める。

 

「戻ってきてあげてください…彼女さんのために…!」

 

 

 

 

 

 

 

一方の陽菜。

ネームド級魔獣二体を相手に、互角以上の戦いを行っていた。

 

(やっぱり…さっきも感じたとおりだ、優地の事を考えたら力がどんどん湧いてくる!)

 

 

そう思いつつ、私は追い打ちをかける。

先程まで二人が戦ってたおかげだろう。魔獣たちは、かなり消耗していた。

 

 

 

だが、それでも決着には程遠い。

互角に渡り合えているだけでも十分なのかもしれない。

それでも―――これ以上、彼女たちを戦わせたくなかった。

 

 

拮抗した状況がしばらく続く。

私も、魔獣も、一歩も引かない。

だが―――先に限界が近づいてきたのは、私の方だった。

 

 

 

そもそも、魔力の扱いに慣れないまま迎えた初めての実戦だ。

力に対して、体が追いついていなかった。

少しずつ、焦りが募っていく。その隙を突くように、魔獣が突進してきた。

 

「きゃっ…!」

 

片方はなんとか飛んで回避したものの、着地の隙を狩るようにもう一体の魔獣が襲いかかる。

こちらは避けきれず、まともに弾き飛ばされた。

なんとか空中で体勢を立て直し、よろめきながら着地する。激突された脇腹に鋭い痛みが走る。

 

呼吸は荒く、視界がぼやけ始める。

 

(やっぱり……私じゃ……)

 

 

駄目かもしれない。

そう心が折れかけた、その瞬間―――

 

ふいに、昔の記憶が脳裏をよぎった。

 

 

 

 

 

高校に上がる直前の受験の時期のこと。私は自宅に優地を呼んで一緒に勉強していた。現在通ってる高校は県内でもかなり上位の学校で、対する私は担任からは別の志望先を検討しろと言われてしまうほどだった。だが、どうしても行きたかった。理由は勿論、優地の希望校だからだ。

 

「なぁ…やっぱり俺がお前の学力にあう高校行けば良いんじゃないか?それだったら俺余裕だし…」

「それじゃあ優地、定期代とか大変じゃん。優地のためなら私、どれだけでも頑張れるから!」

 

 

 

 

 

 

 

そうだ。

 

私は―――優地のためなら、どこまでも頑張れる……!

 

立ち上がった瞬間、不思議なくらい体が軽かった。

さっきまで軋んでいたはずの全身に、もう一度力が満ちていく。

 

 

 

魔獣がブレスを放とうと口を開く。

けれど、それよりも早く―――私は一気に間合いを詰めた。

もう一体も割り込んで攻撃してきたが、すぐに対応し、二体の魔獣を一気に追い詰め始める…!

 

 

 

そして私は手元を重ね、力を込める。

 

手元に収束した光は、これまでの光弾とは比べものにならないほど濃く、眩しかった。

 

まるで、私の想いそのものが形になったみたいに―――。

 

魔獣たちが、本能的な危機を察したように後ずさる。

 

それでも、もう遅い。

 

「はぁぁぁっっ!!!」

陽菜は特大の光のレーザーを放った。

 

 

立ち上がる気配は、もうない。

魔獣たちはそのまま紫色の粒子となって崩れ、静かに消滅していった。

 

「やっ…たぁ…」

そう言うと、陽菜の意識は途絶えるのだった―――。

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