昼下がり。
給餌が終わった五人は、遅めの昼食を楽しんでいた。
「にしてもさー」
固いパンをスープに浸しながら、麻美が口を開いた。
「特別組は、相変わらずだよね」
戦闘組や補助組と違い、特別組はその呼び名の通り未だ特別待遇を受けていた。
訓練はほぼ免除。
食事は相変わらず食堂奥の貴賓室を貸し切り、好き放題やってる。
羨ましい事ですわ、と麻美はホホホと声をあげた。
だがその目は欠片も笑ってはいない。
「チヤホヤされちゃってさあ……なんでもかんでも我儘通し放題し放題」
「URって事だろ」
吐き捨てるように帆が言う。
「あいつらが
最近の扱いの変容で理解した。
補助組の五人も、おそらく戦闘組と補助組の者達も。
そう、理解せざるを得なかった。
「人の人生でガチャすんなよ……」
そんな帆の嘆きが、南那の胸に突き刺さる。
勇者ピックアップガチャを回してアウレリア達が欲しかったのは「最強のチート能力」というSSR(当たり)であって、私たちという人間そのものではない。
自分達は無作為に回された乱数テーブルの、ただのハズレ枠(コモン)。
それだけの話だった。
「だったら何、私ら合成素材にでもされちゃうっての?」
麻美はけらけらと笑いながら、そんな冗談を言う。
「いやー堪りませんわ。引いた以上責任持って面倒見て欲しいよね」
「そもそも勝手に人をガチャに入れないで欲しい」
せめて同意を取ってやってよ、と南那は心の底から思った。
最も同意する人間が居るかどうかは疑問だが。
いや、夢見がちな思春期の人間なら案外乗るかもしれない。
「俺はせめてレアくらいの価値は有ると思うんだけどなァ~」
おかしくね?と琉覇が愚痴る。
「レアリティ重要なんだ……」
「そりゃ安く見られるよか良いだろ」
まあどうせなら高い価値を付けてほしいと南那も思わないでもない。
平凡な人間だという自負は有るが、だからと言って安く見積もられるのはそれはそれで嫌だ。
「じゃあ私はアンコモンくらいかな」
「なんとも言い難いレアリティ指定してきますね未来さん」
「私は大きくURくらいで」
いつの間にか話題がレアリティ談義に移り、五人は無邪気に騒ぐ。
ただこの時だけは、元の高校生のように。
五人の男女はただ、未来に憂い無く楽しい時間を共有していた。