進撃の巨人の世界に15m級の無垢(?)の巨人として転生してしまった……   作:感謝君

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第百二十一話

845年の春

 

訓練兵団を卒業したばかりの、延べ200人もの新兵を新たに我々調査兵団へと迎え入れた。

 

 

これにより、団員数は歴史上かつてない規模──遂に1000人を超えた。

 

 

そう、1000人だ。

 

 

……私も、自分が何を言っているのか分からない。

 

 

ただ、この数字すらも我々が抱える異常事態の序章に過ぎないのだ。

 

 

まず、既存の兵士たち約800人。

 

 

彼らは日々の狂気的な実践訓練と死者ゼロの壁外遠征を繰り返した結果、既に『単騎で15m級の巨人を討伐可能』な練度を持ち合わせている。

 

 

……もう一度言う。私も自分が何を言っているのか分からない。

 

 

そして、今回入団してきた200人の新兵たち。

 

 

彼らはただの素人ではない。

 

その超精鋭と化した先輩兵士たちの直接指導の下、入団前から常軌を逸した超実践的な訓練を叩き込まれてきた者たちだ。

 

 

当然のように、安全が確保された壁外での「実践訓練(という名の巨人狩り)」も経験済みである。

 

 

かつての、私が知る絶望的な調査兵団の基準で言えば、今の彼らは「壁外調査を5回以上経験し、死線を潜り抜けて生き残ったベテラン兵士」と全く同等の練度を誇っている。

 

 

 

……私も何を言っているのか意味不明だ。

 

 

 

『新兵』とは一体何だったか?

兵団会議を開き、もう一度その言葉の定義について詳しく議論しなければならないレベルのゲシュタルト崩壊を起こしている。

 

 

 

……話を続けよう

 

 

 

極秘裏にリヴァイ兵長の指導の下、数十名規模で編成された『対人立体機動戦闘』を叩き込まれた精鋭部隊。

 

その中でも更に選りすぐられた超精鋭たちは、今や単騎で兵団の”精鋭”を数十人以上相手に立ち回れるほどの戦力に至ってしまった。

 

 

そして、彼らを指導するリヴァイ自身も、己の力に凄まじい速度で磨きをかけ続け、今では人類最強の鬼神・リーシェ特別班長に比肩しうる戦力に到達している。

 

 

 

これは朗報だ。

 

元々、あの特異点たちに対する強烈なストッパー(楔)として機能させるつもりで彼を地下街からスカウトした訳であるからして、私の目論見は最高の形で実を結んだことになる。

 

 

彼は粗暴に見えて、条件や理屈さえ納得させれば的確に指示に従ってくれるため、非常に扱い易い。

 

 

 

それに仲間意識も人一倍強く、今では兵団の多くの者が彼を慕い、背中を預けている。

 

 

 

偽らざる本音を言えば、今の狂った調査兵団において、彼だけが私にとっての『心のオアシス』だ。

 

 

 

本人が聞けば「気持ち悪い」と一蹴し、ブレードを向けられそうだが、これは紛れもない事実である。

 

 

あの規格外にして全狂気の元凶たるベニア姉妹が、シガンシナ区への長期休暇を取って兵団本部を離れて以降、私の慢性的な胃痛も前と比べれば比較的マシになった。

 

 

 

……もっとも、今度は「世界を容易く滅ぼせる過剰過ぎる兵団戦力」をいかに御し、隠匿するかという別の強烈な重圧が代わりに私を襲っているのだが。

 

 

だが、私もただ執務室で重圧に潰されていた訳ではない。

 

 

私は密偵を経由し、かつての同胞であり、現在は憲兵団に所属するナイル・ドークに向けて協力の要請を秘密裏に行っている。

 

 

王政府の犬であり、腐敗の温床として有名な憲兵団だが、彼は違う。

 

 

表向きは上の指示に従う凡庸な兵士を演じているが、その中身は決して腐っていない。

 

 

近々、彼は出世し、憲兵団師団長の座に就く候補として挙がっているとの確かな情報を得ている。

 

 

私は彼に対し、いざという時には『彼の愛する家族を、我々の超精鋭部隊の命に代えても死守する』ことを絶対の条件として約束し、王政打倒への協力を持ちかけている。

 

 

 

家族を人質に取るのではない。

 

 

 

家族を王政の粛清から完璧に守り抜くという、圧倒的武力を持つ我々にしか切れない最強の交渉カードだ。

 

 

 

彼の心がこちらに傾くのも、もはや時間の問題だろう。

 

 

軍事力は完成した。外堀も埋まりつつある。

 

 

 

王政府の終わりは、近い。

 

 




21時にもう一話投稿しますね
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