進撃の巨人の世界に15m級の無垢(?)の巨人として転生してしまった……   作:感謝君

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第百二十七話

 

 

あの夜の告白から一週間後

 

 

 

シガンシナ区にある我が家の広々とした庭には、絵に描いたような平和で暖かな光景が広がっていた。

 

 

 

初夏の陽射しが緑を照らし、心地よい風が吹き抜ける中、イェーガー一家とアルミン、そして俺たちベニア姉妹が和気あいあいと寛いでいる。

 

 

 

芝生の上では、グリシャさんの妻であるカルラさんとミカサが並んで座り、可憐なシロツメクサを編んで花冠を作っていた。

 

 

 

「ミカサ、手先が器用ね。すごく上手よ」

 

「……ありがとうございます、カルラさん」

 

 

 

カルラさんに褒められ、ほんのりと頬を染めるミカサ。

 

 

 

その尊い義母と娘の絆のような光景を、エレン少年は少し離れた場所からイーゼルを立てて、カンバスに向かい猛烈な勢いで描き出している。(最近の彼は百合だけでなく、純粋な『美と平和』の具現化にも情熱を注いでいるらしい)。

 

 

 

さらにその木陰では、アルミンが自身の両親が残したという分厚い本(おそらく外の世界について書かれた禁書だろう)を膝に広げ、子供とは思えない真剣な眼差しで何事かの考察に耽っていた。

 

 

 

一方、庭の隅に設えられた木製のガーデンテーブルでは、俺とリーシェ、そしてグリシャさんの三人が、その微笑ましい光景を温かい紅茶と共に眺めていた。

 

 

 

「本当に……夢のような時間です」

 

 

グリシャさんが、自身の妻と子供たちの穏やかな姿から目を細め、しみじみと呟いた。

 

 

 

その表情には、以前のような何かに急き立てられる焦燥感や、暗い強迫観念は微塵も残っていない。

 

 

 

ただ家族を愛する、一人の穏やかな父親の顔があった。

 

 

「ふふっ、良かったですね。カルラさんもミカサちゃんも、とても楽しそうです」

 

 

俺が女神スマイルで相槌を打つと、隣に座るリーシェも

 

 

「ええ、本当に。うちの庭が随分と賑やかになったわね」

 

 

と、刺のない、本心からの柔らかな声で同意した。

 

 

 

リーシェにとっても、俺が笑顔で過ごせるこの空間は心地よいのだろう。

 

 

 

だが、ただ平和を享受しているだけで終わらせるわけにはいかない。

 

 

 

俺はティーカップをソーサーにコトリと置き、グリシャさんに向けて少しだけ声のトーンを落とした。

 

 

 

「さて……グリシャさん。皆が楽しんでいるところに水を差すようで申し訳ないのですが、今後の行動について少しすり合わせをしておきたいんです」

 

 

俺の言葉に、グリシャさんの表情がスッと引き締まった。

 

 

 

「ええ、もちろんです。アトラス様には命と未来を救っていただいた。私にできることなら、何でも聞いてください」

 

 

 

「今年の秋にやってくるという、マーレの戦士たちによるシガンシナ区の壁の破壊。……グリシャさんは以前、進撃の巨人の能力で『未来の記憶』を見ていたはずですよね?」

 

 

 

俺が核心を突くと、グリシャさんはゆっくりと頷いた。俺が彼の『道』を上書きしたことで、これからの新しい未来からの干渉は途絶えたが、かつて視ていた凄惨な記憶そのものが脳裏から完全に消え去ったわけではないはずだ。

 

 

 

「彼らが襲撃してくる正確な日時を、覚えている範囲で構いません。教えていただけませんか?」

 

 

原作知識がガバガバな俺にとって、一番の懸念材料は「いつ来るか正確に分からない」ことだった。

 

 

ずっと一日中張り込みをするのも精神的に疲れるし、何より迎撃の確実性に欠ける。

 

 

 

グリシャさんは顎に手を当て、かつての呪わしい記憶の深淵をそっと覗き込むように目を閉じた。数秒の重い沈黙の後、彼は静かに目を開き、確信を持った声で告げた。

 

 

 

「……845年、9月10日です。時間は……夕方頃だったはずです。あの日、巨大な雷鳴と共に、シガンシナ区の門にあの超大型巨人が顔を出しました」

 

 

845年9月10日、夕方頃

 

 

明確な「運命のデッドライン」が提示された。あと約4ヶ月だ。

 

 

「ありがとうございます。日時さえ分かれば、こちらは完全に先手を打てます」

 

 

俺が力強く頷くと、グリシャさんは安堵したように息を吐いた。

 

 

「私は、当日どう動けばいいのでしょうか?」

 

 

「グリシャさんは今まで通り、お医者さんとして皆の生活を守っていてください。

襲撃の当日、彼らが壁を蹴り破る直前に、私が彼らを無力化して『呪い』を解き、こちら側に引き入れます。被害も、物理的な衝突も最小限に抑えるつもりです」

 

 

「……承知いたしました。アトラス様、どうかご武運を」

 

俺たちは視線を交わし、静かに頷き合った。

 

 

庭に目を向ければ、カルラさんが完成したシロツメクサの花冠をエレン少年の頭に乗せてからかい、ミカサが微かに微笑み、アルミンが本から顔を上げて笑い声を上げている。

 

 

 

この、どうしようもなく尊くて、愛おしい平和な日常。

 

 

 

俺の愛する人たちと、この世界の人々が笑い合える未来。

必ず守り抜いてみせる。

 

 

 

俺は、決戦の日付を心に深く刻み込みながら、初夏の穏やかな風を胸いっぱいに吸い込んだ。

 

 

 




メタい話になりますが、日程は正確な情報が見当たらなかったので独自解釈としてこの日程にしました。

投稿ペースについて(※結果次第では実際の投稿ペースに反映されるかも)

  • 今まで通りで大丈夫
  • 少しペース落としても良いよ
  • 土日も投稿しろ
  • ストック全部引き摺り出しやがれ
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