進撃の巨人の世界に15m級の無垢(?)の巨人として転生してしまった……   作:感謝君

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第百三十話

 

 

エルヴィン団長とグリシャさんを交えた、俺たちの家のリビングでの極秘会談

 

 

 

それは壁内人類の歴史において、最も重要で、最もヤバい計画が立てられた瞬間だった。

 

 

 

俺たちはテーブルを囲み、冷めかけた紅茶を横目に、今後の具体的な作戦と役割分担について明確な指針を固めていった。

 

 

 

まず、エルヴィン団長率いる調査兵団本隊の動きについてだ。

 

 

 

彼らには、これまで通り駐屯兵団のピクシス司令や、訓練兵団のキース教官を中心とした他の兵団のトップとの強固な繋がりを維持、いや、さらに強化してもらう。

 

 

 

そして、各兵団の首領たちと裏で結託し、中央憲兵や王政の目を欺きながら、憲兵団に所属するナイル・ドークを次期師団長の座へと確実に擁立させるための政治的工作を進めること。

 

 

 

これがクーデターを流血沙汰にせず、無血で終わらせるための最大の鍵となる。

 

 

 

次に、実働部隊の任務として、極秘裏に『壁外』での地下牢建設に取り掛かること。

 

 

 

秋に襲来するマーレの戦士三人(超大型、鎧、女型)を捕獲した後、彼らを収容し、王政の目から一時的に完全に隠匿するための絶対的な隔離施設だ。

 

 

 

今や我々の過剰な狩りによって壁外の巨人はほぼ絶滅状態にあるため、壁外での土木作業は拍子抜けするほど安全に行えるはずだ。

 

 

 

そして最も重要なのが、王政に対する革命のタイミングである。

 

 

 

壁破壊の当日、つまりマーレの戦士たちを無力化し、俺が彼らの『呪い』を解いてこちらの駒にするその日まで、調査兵団は一切の牙を隠し、息を潜めること。

 

 

 

その間に、武力による強行突破から、真の王家であるフリーダ・レイスとの接触・交渉を中心とした『無血の権力移行』へと、革命計画を根本から練り直してもらう。

 

 

 

「……承知した。私の方で背後関係は完璧に整えておこう」

 

エルヴィン団長は、一度目を閉じてすべての情報を脳内で整理するように深く頷いた。

 

 

 

この世界がひっくり返るほどの情報量だ。いくら彼でも、一人で抱え込むには重すぎる。

 

 

 

だから俺は、本部に帰還した後、彼が最も信頼を置く限られた側近───リヴァイ兵長、ミケ分隊長、そしてハンジ・ゾエ分隊長の三人にならば、真の歴史やアッカーマンの秘密、そして今後の計画を含めたすべての情報を共有することを許可した。

 

 

 

「リヴァイには自身の力のルーツを。ハンジには巨人の真実を。……奴らがどんな顔をするか、今から胃が痛む思いだがな」

 

 

エルヴィン団長が自嘲気味に笑う。

 

 

ハンジあたりは真実を知って歓喜のあまり発狂するかもしれないし、リヴァイは「チッ、面倒くせぇ」と悪態をつきながらも確実に仕事をこなすだろう。

 

 

 

ミケはいつも通り鼻を鳴らして黙々と従うはずだ。

そして最後に、俺とリーシェの役割だ。

 

 

 

「壁破壊の阻止、および三人の戦士の捕獲については、完全に私とリーシェの二人に一任してください」

 

 

俺は、エルヴィンとグリシャさんを真っ直ぐに見据えて宣言した。

 

 

「調査兵団の精鋭たちを待機させる必要はありません。下手に兵を動かせば、王政や憲兵団に怪しまれるだけです。それに……」

 

 

俺は言葉を区切る。ここから先は、前世の記憶を持つ『特異点』としての最大の懸念だった。

 

 

「グリシャさんの記憶では、襲撃は『9月10日の夕方頃』とのことでしたが……これだけ私たちが介入し、壁外の巨人を狩り尽くすなどして状況を変えてしまった以上、マーレ側の作戦日程にズレが生じる可能性があります。

いわゆるバタフライエフェクトというやつです」

 

 

襲撃が早まるかもしれないし、遅れるかもしれない。

 

 

 

だからこそ、俺たちはこのシガンシナ区の家に引き続き滞在し、いつでも彼らを迎え撃てるよう、24時間態勢でその場に留まり続ける必要がある。

 

 

 

「日程がズレるという緊急事態に備え、我々は常にこの街の最前線に立ちます。いざという時は、私とリーシェの機動力で一瞬にして制圧しますので、安心してください」

 

 

「……頼もしい限りだ。君たちがいれば、人類は必ずこの壁という鳥籠から、真の自由へと羽ばたけるだろう」

 

 

 

エルヴィンの言葉には、これまでにない確かな希望が宿っていた。

 

 

 

こうして、シガンシナ区の小さな一軒家で行われた歴史的な密談は幕を閉じた。

 

 

それぞれの役割を胸に、エルヴィンは王都近郊の調査兵団本部へ、グリシャさんは愛する家族の待つ家へと帰っていく。

 

 

 

残された俺とリーシェは、静かになったリビングで顔を見合わせた。

 

 

「さてと。秋まではまだ少し時間があるけど……気は抜けないね、リーシェ」

 

「ええ。でも、アトラスと一緒にいられるなら、相手が誰であろうと一瞬で片付けてあげるわ」

 

 

 

リーシェが蕩けるような笑みを浮かべて俺の肩にすり寄ってくる。

 

 

 

世界を救うための完璧な盤面は整った。

 

 

あとは、運命の秋に向けて、こののどかでカオスな日常を守り抜くだけだ。俺はそっと息を吐き出し、これからの闘いに向けて静かに覚悟を決めた。

 

 

 







21時にもう一話投稿します。
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