進撃の巨人の世界に15m級の無垢(?)の巨人として転生してしまった……   作:感謝君

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R-15の限界……


第百六十三話

あのカオス極まる修羅場の後、なんやかんやでユミルはとりあえず我が家に居座ることとなった。

 

 

 

「始祖ユミル」なんて存在をそのまま公表するわけにもいかないので、戸籍や身分証明については、追々エルヴィン団長かピクシス司令あたりの権力(コネ)をフル活用して適当にでっち上げてもらおう、という風に決まったのだ。

 

 

そして、嵐のようだった昨晩から一夜明けた、翌日の朝。

 

 

「……んん……」

 

意識が浮上し、重い瞼をゆっくりと開けた俺の脳は、起床開始わずか一秒で完全に理解の範疇を超えた事態に直面していた。

 

 

両脇──────

 

俺の右腕と左腕に、それぞれ極上の美少女ががっちりとホールドし、密着している。

 

 

 

右からはリーシェの、左からはユミルの、女性特有の驚くほど柔らかな感触と温もりがダイレクトに伝わってくる。

 

 

 

さらには、それぞれから漂う甘くていい香りがブレンドされ、寝起きの頭をクラクラと麻痺させていく。

 

 

「おはよう、アトラス」

 

「おはよう、お姉様」

 

 

至近距離で、金髪の愛妻と鈍色の金髪の妹が、とろけるような笑顔で俺の顔を覗き込んできた。

 

 

(……ギャルゲー、いや、状況的には百合ゲーでも、今時こんなベタなテンプレもうないぞ……)

 

 

俺が内心で盛大にツッコミを入れた、その瞬間だった。

 

「んっ……」

 

「ちゅっ……」

 

朝イチの挨拶代わりとばかりに、二人からの熱烈なキスが、俺の唇や頬、首筋へと雨あられのように降り注いできた。

 

 

柔らかな感触と吐息が絡み合い、寝起きの脆い理性がドロドロに溶かされていく。

 

「お姉様……んっ……好き……」

 

「アトラス……ユミルばっかずるい……私にも……っ」

 

待って待って! 妹分に対抗意識を燃やしたリーシェの様子がおかしい!

 

 

今まで、俺の「超絶美少女ボディに対する羞恥心」をある程度察してくれて、ここまで直接的で濃厚なことはしてこなかったのに!

 

 

 

ユミルという強力すぎるライバルが現れてから、完全にタガが外れてしまっている!

 

 

「ちょっとストップ! 二人とも落ち着いてよ!」

 

 

俺が真っ赤になって制止の声を上げるも、二人の耳には全く届いていない。

 

 

「ほら、着替えるのを手伝ってあげるから」「お姉様、私が脱がせてあげるね?」という強引な口実のもと、二人の手がスルスルと俺の寝巻きの下へと滑り込んでくる。

 

 

「……ひゃっ…!? ちょ、そこは……っ…///」

 

 

朝から俺の可憐な悲鳴がシガンシナ区の家中に響き渡ることとなった。

 

 

 

そして、地獄は家の中だけでは終わらなかった。

 

 

昼前。三人で連れ立って、市街へと買い出しに出た時のことだ。

 

 

両手にはもちろん、リーシェとユミルがそれぞれガッチリと腕を組んで離れない。

 

 

美少女三人が密着して歩くその光景は、ただでさえ目立つのに。

 

「お姉様……ちゅっ……」

 

買い物の途中、周囲に大勢の街の人々が居るにも関わらず、ユミルが堂々と、俺の頬に背伸びをしてキスをしたのだ。

 

 

当然、周りの人達は驚愕の目でこちらを振り返る。

 

 

シガンシナ区の住民にとって、俺とリーシェは「死者ゼロの英雄にして、いつも仲睦まじいベニア姉妹(夫婦)」として認知されている。

 

 

そのアトラスが、氷の鬼神と恐れられるリーシェを他所に、見知らぬ極上美少女にほっぺにキスされているというドロドロな光景なのだから。

 

 

「おいおい、浮気か? 大丈夫かこれ?」

 

 

「……これは修羅場な予感……」

 

 

「あの娘、死んだな(リーシェ班長に解体されるぞ)」

 

 

ひそひそと、しかし確かな戦慄を帯びた噂話が耳に届く。

 

 

俺も「あ、終わった」と冷や汗を流し、リーシェの顔色を窺った。

 

 

しかし……

 

「はい、次私ね」

 

 

────ちゅっ……

 

 

リーシェは怒るどころか、ユミルに張り合うように、俺のもう片方の頬に躊躇いなく濃厚なキスを落としたのだ。

 

 

(えぇぇぇぇぇ!?)

 

 

 

「……場所考えてよ……っ」

 

俺はこの公開処刑じみた恥辱に顔を真っ赤に茹で上げ、両手で顔を覆ってその場に立ち尽くすことしかできなかった。

 

 

 

鬼神リーシェが容認したという事実に、周りの人々はさらにざわめき、「公認の愛人が出来たらしい」「あそこの家は遂に百合ハーレムを築きあげた」などと、好き勝手な噂を尾ヒレをつけて広めていく。

 

 

俺の社会的威厳が音を立てて崩れ去っていく。

 

 

 

さらに昼食のレストランでも、二人の猛攻は止まらない。

 

 

 

「アトラス、あーん」「お姉様も、あーんして」と、俺の左右から次々と料理が差し出され、俺は自分でフォークを持つことすら許されない。

 

 

 

果てには、ユミルが口に含んだ果実を「お姉様、口移しで……」と迫り、それに負けじとリーシェまでワインを口に含んで迫ってくる始末。

 

 

(流石にこの時は、貞操の危機を感じて全力で手で口を塞いで止めた)

 

 

そして極めつけは、夜のお風呂だった。

 

 

逃げ場のない密室。

 

 

当然のように「一緒に入ろう」と背後からついてきた二人に対し、抵抗する気力すら残っていなかった俺は、ただ湯船の隅で小さくなっていた。

 

 

「アトラスの肌、本当に真っ白で綺麗……」

 

 

「お姉様、どこを触ってもすべすべ……」

 

 

俺の、神が黄金比で設計したというありのままの超絶美少女ボディを、二人は獲物を狙う猛禽類のように、目に穴があくほど凝視してくる。

 

 

「身体を洗ってあげる」という下心丸出しな口実で背後に回ったかと思えば、泡まみれの手が背中から腰へ、そして絶対に洗う必要のない際どい前方の部位へと、ぬるりと這い上がってくる。

 

 

「ひゃぁっ……! だ、だから自分で洗えるってば……っ!」

 

 

「ダメ。二人で隅々まで綺麗にしてあげるから、大人しくしてて」

 

 

「ふふっ、お姉様の声、すっごく可愛い……」

 

ほぼ一線を越えかけている濃厚なスキンシップ。

 

 

 

前世の男としての本能が暴走しそうになるのを必死に抑え込みながら、俺は湯気の中で顔を真っ赤にして身悶えし続けた。

 

 

 

風呂上がり、俺は完全に生気を吸い取られた抜け殻のようになって、ベッドに突っ伏した。

 

 

 

重度のお姉様大好きっ娘の始祖ユミルと、リミッターを解除したヤンデレ妻(自称)であるリーシェ。

 

 

 

この二人の暴走が掛け合わさった結果、今日たった一日だけで、俺の『羞恥心のHP』は完全に底抜け状態になり、マイナスへと突入してしまったのだった。

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