進撃の巨人の世界に15m級の無垢(?)の巨人として転生してしまった……   作:感謝君

3 / 110
第三話

巨大樹の森に到着した俺は、誰の目にも触れないよう、早速鬱蒼と茂る森のさらに奥深くまで潜り込んでいった。

 

陽の光が遮られ、ひんやりとした静寂が支配する空間。ここなら思い切り暴れても問題ないだろう。

 

俺は一本の、ひと際太くそびえ立つ巨木を標的に定め、その前に立つ。

 

両足を肩幅に開き、巨大な右拳を固く握り締めた。

 

(ただ力任せに殴るだけじゃダメだ。身体の構造をフルに使え……)

 

脳内で明確なイメージを作り上げる。前世でYo〇Tubeの暇つぶしに穴が開くほど見ていた、格闘技の解説動画。

 

基本中の基本となるストレートの動作。

 

踏み込む脚、回転を生み出す腰、力を伝播させる背中、そして肩から腕へ。

 

各パーツの連動を意識し、順番に、完璧なタイミングを合致させて一息に振り抜く。

 

──俺の巨大な肉体は、驚くほど精細に、脳内のイメージと寸分違わぬ動作を完璧に再現してみせた。

 

 

ズドガァァァァァァンッ!!!!

 

 

結果。

 

標的となった巨木には、拳を打ち付けた箇所から木屑が爆散し、メリメリと深く抉れたような巨大な窪みが形成された。

 

森全体を揺るがすほどの凄まじい轟音が周囲に木霊し、上空にいた鳥たちがパニックを起こして一斉に飛び立つ。

 

(よし、威力は十分……って、おっと)

 

しかし、俺の身体のほうは無事では済まなかった。

 

視線を落とすと、俺の右手首から先がシュウシュウと高温の蒸気を噴出させながら完全に消失していたのだ。

 

どうやら、あまりのデタラメな衝撃と反作用に、俺自身の拳が耐えきれずに弾け飛んでしまったらしい。

 

(……だが、不思議と痛みはないな)

 

痛覚が完全にカットされているのか、それともアドレナリン的な何かが分泌されているのか。

 

不便ではあるが、恐怖で動けなくなるよりはマシだ。

 

俺は失われた手首の断面に、グッと意識を集中させてみた。

 

───ブシュウウウウッ!

 

すると、断面からさらに凄まじい勢いで熱い蒸気が吹き上がり、肉と血管、そして骨がまるで意思を持っているかのように高速で編み込まれていく。

 

ものの数秒で、傷ひとつない真新しい右拳が完全に再生された。

 

(……流石は巨人。ふざけた回復力だ)

 

改めて自分の異常性を実感する。

 

ただ、勿論メリットばかりではない。明確なデメリットもしっかりと実感していた。

 

拳を再生させた瞬間、身体の奥底から「何か」がごっそりと抜け落ちていくような、奇妙な疲労感……いや、喪失感を覚えたのだ。

 

体力というよりは、生命力やスタミナの根源的なタンクのようなものだろうか。

 

恐らく、この体内にある謎の「エネルギー」が完全に空っぽになった時、俺の無敵に思える再生能力も打ち止めになり、動けなくなるのだろう。

 

(自分の肉体がぶっ壊れるほどのパワー。……となれば、やっぱりアレを習得するしかない)

 

防御力を高め、同時に自身の破壊力にも耐えうる絶対的な武装。

 

(次は大本命……"硬質化"の実験だな)

 

  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。