進撃の巨人の世界に15m級の無垢(?)の巨人として転生してしまった……   作:感謝君

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第四話

あれから俺は、狂ったように自身の肉体を破壊し続ける訓練をひたすら続けた。

 

期間にして、およそ1年間。

 

標的とした部位は、実戦で直接的な武器となる箇所だ。

 

拳、肘、膝、脛、そして足の甲。

 

これらを中心に、巨木に向かって全力の打撃を何度も何度も叩き込む。

 

当然、最初は打つたびに自分の肉体が弾け飛び、凄まじい痛覚の欠如と喪失感に襲われた。

 

だが、あの奇妙なエネルギーが空っぽになり、再生がストップするギリギリの限界まで、来る日も来る日も毎日欠かさず繰り返した。

 

超回復、とでも言うのだろうか。

 

結果として、破壊と再生を異常なサイクルで繰り返した部位は、日を追うごとに強度が上がり続けた。

 

今では、生身のまま全力で巨木を打ち続けても、肉が爆ぜることも骨が砕けることもなく、完璧に元の形状を保ち続けることができるようになっている。

 

むしろ、サンドバッグにしていた巨木の方が、俺の打撃に全く耐えられなくなってしまった。

 

最近では軽く一撃を入れただけで幹に大穴が空き、森を破壊するだけの迷惑な木こりと化してしまうため、仕方なく地面を深く掘り進め、地下にある硬い石の層――岩盤を砕き続けるのが日課になっている。

 

もちろん、大本命である「硬質化」の発現訓練も並行して行っている。

 

あの青白い結晶で拳を覆うイメージを限界まで練り上げ、うなじから命令を下すように念じているのだが……残念ながら、今のところ全く使える気配はない。

 

やはり、鎧の巨人の髄液が入った「ヨロイ ブラウ」の小瓶のような、特殊な外的要因がないと発現しない仕様なのだろうか。

 

とはいえ、収穫は十分すぎるほどあった。

 

毎日、重力と質量を乗せた全力の打撃を放ち続けているお陰で、身体機能全体が明らかな進化を遂げている。

 

特に基礎スペックの底上げ、筋力、そして何より巨体らしからぬ瞬発力が飛躍的に向上している感覚がある。

 

更に再生能力の強化、部位欠損からの再生速度が劇的に速くなり、一日に可能な再生上限、枯渇したエネルギーの回復速度も著しく向上した。

 

今の俺なら、もし壁の上の固定砲台から集中砲火を浴びて胴体に巨大な風穴を空けられようが、調査兵団の精鋭に四肢をまとめて削がれようが、10回くらいなら瞬時に、しかも涼しい顔で完全復元できる自信がある。

 

もはや無垢の巨人というより、タチの悪い不死身のバケモノに片足を突っ込んでいる気がする。

 

「……ふぅっ!」

 

そんな自身のチートじみた成長具合を頭の片隅で冷静に分析しながら、俺は今日も今日とて、薄暗い森に掘った巨大なクレーターの底で、カチカチの岩盤に向かって拳を叩きつけていた。

 

 

 

───ズガァァァァァァンッ!!!!

 

 

 

 

もはや聞き慣れた爆音と共に、硬い石の層が粉々に砕け散り、盛大に破片が宙を舞う。

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