進撃の巨人の世界に15m級の無垢(?)の巨人として転生してしまった……   作:感謝君

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第五話

転生してからはや2年。

 

来る日も来る日も岩盤を殴り続け、最早カチカチの岩盤すら自身にとっては「ちょっと硬めの土壁」程度の認識になり始めた頃。

 

俺はふと、硬質化発現のイメージを根本から変えてみることにした。

 

今までは、あの青白いクリスタルを外部から「纏わせる」あるいは「コーティングする」ようなイメージで発現させようと念じていた。

 

だが、もしかしてアプローチが間違っていたのではないか?

 

クリスタルを、鎧のように着込むのではなく「自身の肉体の延長線上」であるとイメージするのだ。

 

例えばそう、吹き飛んだ拳を再生させる時、肉と骨が編み込まれていくあの生々しい感覚。

 

あれの延長として、皮膚の代わりに硬質な結晶を細胞から構築していくように。

 

 

スゥッ、と意識を右手に集中させる。

 

 

すると──右拳の皮膚を突き破るように、ヌルリと青白いクリスタルが「生えて」きた。

 

「……ッ」

 

……こんな、簡単な事だったのか。

 

この1年以上の試行錯誤は何だったんだと、若干自身の発想力の貧困さに悲嘆しつつ、俺はそのまま意識を深く集中させる。

 

ズズッ、と音を立てて左拳にも同じようにクリスタルが生え、両手が強固な鉱物で完全に覆われた。

 

ひどい倦怠感はまだない。

 

ただ、消費される体内の謎の「エネルギー」は、通常の再生を遥かに上回るペースで減っているのが感覚としてハッキリと分かる。

 

ひたすら肉体を壊しては直し、エネルギー上限のタンクを泥臭く成長させ続けてきたのが、ここに来て役立つとはね。

 

拳全体が分厚いクリスタルで覆われたのを確認し、試しに目の前の岩盤に打ち付けてみることにする。

 

今までは、反動で拳が一瞬で消し飛んでしまわないよう、無意識のうちに動作にリミッターをかけていた。

 

だが、今は絶対に壊れない矛が手元にある。

 

今回はリミッターを解除し、15メートルの巨体が生み出す100パーセントの全力で振り抜く。

 

 

 

────ドッッッッゴォォォォォォォォン!!!!!

 

 

 

今までとは比べ物にならない、大気を揺るがす破滅的な衝撃音と振動が森を震わせた。

 

砂埃が晴れた後、目の前にあった強固な岩盤の壁は、直径20メートルほどの巨大なクレーターに変わっていた。それだけではない。

 

あまりに規格外な摩擦と圧縮のせいか、周囲の岩盤は異常な熱を持ってドロドロと赤く染まり、溶け出している。

 

肝心の右拳は……無傷だ。クリスタルは傷一つなく怪しく輝いている。

 

しかし、その代償として右腕の「中身」、肘から肩にかけての骨と肉が、自らの生み出した絶大な反動に耐えきれず、ぐちゃぐちゃにひしゃげていた。

 

(拳は耐えられても、腕の強度が追いついてないか……!)

 

ひしゃげた右腕を瞬時に回復させ、俺は硬質化のクリスタルを左右の拳から、腕を伝って肩まで一気に纏わせる。

 

ズズズズッ、と音を立てて両腕が完全にクリスタルでコーティングされた。

 

流石にここまで広範囲を覆うと、全身に重い倦怠感が出始める。

 

この勢いで両足にもクリスタルを纏わせようと試みる。

 

しかし、足先から上へと侵食していった結晶は、脛の中部まで到達したところでピタリと進行が止まった。

 

今のエネルギーと集中力では、これが限界らしい。

 

未だ赤熱し、凄まじい熱気を放つ岩盤のクレーターへ足を踏み入れる。

 

肩まで硬質化した右腕を大きく引き絞り、俺はもう一度、全力の打撃を振り抜いた。

 

 

 

────ズドゴォォォォォォンッ!!!

 

 

 

さっきよりもさらに巨大で深い穴が形成され、周囲の地形そのものがひどく歪む。

 

……しかし、今度は右腕が丸ごと「ちぎれた」。

 

硬質化のクリスタルに覆われ、完璧な形状を保ったままの巨大な右腕が、クリスタルで覆われていない生身の部分

 

 

───右肩の付け根から、凄まじい反作用によってブチィッ!と無惨に引きちぎられ、後方へと吹っ飛んでいったのだ。

 

 

(……なるほど。いくら剣の刀身を硬くしても、それを振るう柄が脆ければ根元から折れるってわけだ)

 

痛覚がないおかげで、ちぎれた自身の右腕をひどく冷静に観察することができた。

 

だが、とにかく、俺はついに無事に「硬質化」の能力を手に入れたんだ。これでまたもう一段、確実に強くなった。

 

一歩間違えれば自壊する諸刃の剣だが、威力の底上げとしては申し分ない。

 

次の目標は、反動に耐えうるための「全身硬質化」だな。

 

これからの果てしない訓練メニューに、この硬質化能力の維持と範囲拡大を追加しよう。

 

それに、限界までエネルギーを使い切ることで、エネルギー上限の成長効率がさらに上がったのも、今の俺にとってはかなり大きい収穫だった。

 

確かな手応えを感じながら、俺は肩の断面から猛烈な蒸気を吹き出し、失われた右腕の再生を始めた。

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