進撃の巨人の世界に15m級の無垢(?)の巨人として転生してしまった……   作:感謝君

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第五十七話

いや待って待って待って、え? 何この超絶美少女は?

 

 

 

頭の中で警鐘がけたたましく鳴り響く。

 

 

目の前に立つ、陽光を透かすような純白のワンピースを纏った超絶美少女。

 

 

肩甲骨まで届く艶やかな黒髪、神秘的なアイスブルーの瞳、そして神が計算し尽くしたかのような黄金比の顔立ち

 

 

 

アトラス? え? これが、あの重低音で私を優しく包み込んでくれた、15メートルの彫刻のように美しい男性の巨人?

 

 

 

いやでも、「私も、まさかこうなるとは思わなかったんだ……」って……

 

 

 

つまり、そういうこと? 人間に戻る過程で、何か致命的なバグが起きて、性別が反転して受肉してしまったということ?

 

 

 

……というか、何その、恥じらいに揺れる瞳と赤く染まった頬はッ!

 

 

 

不安げにワンピースの裾をギュッと握りしめ、上目遣いで私を見つめてくるその仕草は!

 

 

 

今にも「食べて?」と言わんばかりの、圧倒的な美貌から無意識に撒き散らされる扇情的なフェロモン。

 

 

 

誘ってるの? 私を誘惑しているの?

 

 

 

女相手に欲情してどうするんだって? 笑わせないで。

 

 

 

15メートルの人食い巨人(外見)相手に一年以上も本気でガチ恋を拗らせ、兵団の総力を挙げてまで迎えに来た私にとって、性別の違いなんて、ただの些細な「誤差」でしかない。

 

 

 

むしろ、こんな極上の美少女になって私の前に現れたのだから、これは神が私に与えた最高の褒美だと言っても過言ではない。

 

 

 

思考が完全にショートしかけながらも、私は何とか理性を繋ぎ止め、震える声で目の前の可憐な少女に問いかけた。

 

 

 

「……アトラス……よね?」

確認するようにそう言うと、彼女(彼)はビクッと華奢な肩を揺らし、

「……うん」

 

 

 

頬……いや、顔全体、首の根元までを林檎のように真っ赤に染め上げ、消え入りそうな、鈴を転がすような高く透き通った声で小さく首肯した。

 

 

 

そのあまりの破壊力に、私の脳内の理性のストッパーが一つ、また一つと弾け飛んでいく。

 

 

 

 

 

「抱いて良い?」

 

 

 

 

完全に、物理的なハグの域を超えた、獣のような本能剥き出しの「そういう意味」で発言してしまった。

 

 

 

 

「え!?」

突然の直球すぎる「抱かせろ宣言」に、アトラスはアイスブルーの瞳をウルウルと潤ませ、文字通り頭から超高温の蒸気が噴き出しそうなほど顔を真っ赤にしてパニックに陥った。

 

 

 

「あっ……あー、いや! ハグだよハグ! 再会の感動のハグ!」

 

我に返った私は、咄嗟に自分の爆弾発言を両手を振って必死に誤魔化した。

 

 

危ない。三百人の部下とエルヴィン団長の目の前で、再会したばかりの(元)巨人を押し倒すところだった。

 

 

 

いくら鬼神でも、それは兵団の風紀的にアウトすぎる。

 

 

「あっ、どうぞ……」

完全に呆気に取られ、私の勢いに押されたアトラスは、恐る恐る、控えめに両腕を広げ、私を受け入れる体制を整えた。

 

 

 

……えっ? 今から、この超絶美少女のふんわりとした胸の中に飛び込むの?

 

 

 

私、死ぬの? 幸せすぎて心臓が破裂して死ぬの?

 

 

 

ドクン、ドクンと、私の心臓が、多分これまで生きてきた人生の中で今この瞬間こそ最も激しく、痛いほどに脈打つ。

 

 

 

私は震える足を踏み出し、ゆっくりと、壊れ物を扱うようにそっと両手を伸ばした。

 

 

 

そして──彼女の華奢な身体を、優しく、愛おしむように強く抱きしめた。

 

 

 

「あっ……」

アトラスの小さな吐息が私の耳元を撫でる。

 

 

 

柔らかい。温かい。巨人体だった時の、あの硬く分厚い肉の鎧とは全く違う。

 

 

人間の、女の子の、信じられないほど柔らかくて甘い匂いのする身体。

 

 

私の胸に、彼女の純白のワンピース越しに、ささやかながらも確かな自己主張をする双丘の柔らかな感触が、むにゅっと押し付けられる。

 

 

 

「アトラス……アトラス……っ」

私は彼女の背中に腕を回し、その絹糸のような黒髪に顔を埋めながら、何度も何度もその名を呼んだ。

 

 

 

一年と三ヶ月分の孤独と、不安と、狂おしいほどの愛しさが、すべてこの小さな身体の中に溶けていく。

 

 

 

(ああ、ダメだ。理性が……理性が飛ぶ……!)

背後で、三百人の兵士たちが完全に状況を理解できずに石像と化し、エルヴィン団長が頭を抱えている気配がしたが、今の私にはどうでもよかった。

 

 

 

ただ、この世界で一番美しく、一番愛しいバグ(彼?彼女?)を、もう二度と離さないと。

 

 

そう心に誓いながら、私は彼女の甘い匂いに酔いしれ、意識を手放しかけていた。

 

 

 

 

 




更新ペースについて

多分これからは平日18時投稿になりそうです
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