日が沈み、夜が街を支配していた。一体のヴォイド・ガルスが何かから逃げていた。息を切らしながら街路地へ走って行く。息を整え、後ろを振り返る。しかしそれはゆっくりと確かに追いかけていたのだ。黒い瞳と銀色の顔を持ち、赤と黒の身体を持った人型のそれは一歩一歩、ヴォイド・ガルスへと近づいて行く。ヴォイド・ガルスは自身の能力で手から水流を放つ。人型のそれは左手で受け止める。ヴォイド・ガルスが威力を徐々に高めていくが何事もないかのように距離を詰め、ヴォイド・ガルスの首を右手で掴み、持ち上げる。
「ぐっ、はっ離せ!」
ヴォイド・ガルスは自身の首を掴む腕を必死に叩く。人型のそれは動じず、左手で抜き手を繰り出す。ヴォイド・ガルスの胴体を貫き、そこからヴォイド・ガルスの力を吸い取っているようだった。やがてヴォイド・ガルスの姿が人の姿へと戻り、身動き一つ取らなくなった。動かなくなったその人間をその辺に投げ捨てると空を見上げた。
別の日、サンデットシティの上空で二つの影が戦闘をしていた。一体はザムジェクト結晶を取り込んだことで翼を操る能力を得たヴォイド・ガルス。もう一つは胸のベルトに赤紫色のカプセム『ウイングカウプセム』をセットし、背中から翼竜のような翼を生やしたゼッツであった。ゼッツは右手に自身の専用マルチウェポン『ブレイカムゼッツァー』を持ち、ヴォイド・ガルスが飛ばす羽根を巧みに回避する。
その姿を地上からジオライザーが追いかけていた。ジオキャノンで援護を考えていたが上空では狙いが定まらず、ゼッツに当たる可能性があったため、追跡に専念していた。ゼッツはカプセムを回転させ、翼から複数の短剣を生成し、ヴォイド・ガルスに撃ち込む。羽根で迎撃するが、数発ほどその身体に撃ち込まれ、墜落する。ジオライザーがその場に制止し、ゼッツもジオライザーの付近に着地する。ジオライザーがジオブラスターの発射態勢に入ったその時、地面が大きく揺れる。墜落したヴォイド・ガルスの近くからナニかが這い出てくる。顔が巨大な花冠を持った怪物が姿を現した。
ヴォイド・ガルスは増援を得たとばかりに戦闘態勢を整える。二体二になったとばかり考えていたヴォイド・ガルスを怪物は喰らい始めた。ヴォイド・ガルスを炭化させ、自身の花へと吸収していった。ゼッツは『フィジカムウイング』からフィジカムインパクトへと切り替え、怪物へと向かう。ブレイカムゼッツァーの刃で怪物の体表を傷つける。怪物の身体が傷つくと同時に花から黄色いガス状の花粉を放つ。ゼッツの身体に接触すると同時に、爆発する。ゼッツは爆発の影響で大きく吹き飛ぶ。ジオライザーは距離を詰めてはまずいと考え、ジオキャノンで応戦する。しかし、ジオキャノンで攻撃すると同時に花粉を放ち、爆発する。ジオライザーは攻撃をやめ、ゼッツへ駆け寄る。
「ゼッツさん、大丈夫ですか?」
「あぁ大丈夫。しかし、厄介だな。無闇に攻撃すれば、さっき以上の爆発が起きるぞ」
ゼッツとジオライザーが話し合っているところにガナードが駆けつける。その中にはナイトレイダーの姿もあった。ガナードが攻撃態勢に入った瞬間、ジオライザーとゼッツが慌てて制止する。
「待ってくれ!そいつを無闇に攻撃すれば、花粉が原因で爆発が!」
ジオライザーとゼッツの制止によって、ガナードは手を止めるが本部にいる上層部が攻撃を催促する。加賀は上層部の催促とこの手でスペースビーストを討ち取りたいという感情に負け、スペースビーストに攻撃を仕掛ける。手に持ったアサルトライフルを乱射する。スペースビーストに対してそれほどダメージを負っていないが、攻撃を受けた分、花粉を放ち、爆発を引き起こす。先ほど以上の爆発により、建物は崩壊し、辺りに黒煙が立ち上る。その光景を見たジオライザーはすぐさま逃げ遅れた人々の救援行動に赴く。ゼッツも落ちてくる瓦礫を粉々に破壊していく。ガナードは困惑し、動けずにいる者もいた。ナイトレイダーはスペースビーストの方向に目をやるが混乱に乗じてどこかへ逃げたようだ
加賀はただ呆然とするしかなかった。自身の行動が原因でスペースビーストを逃がし、街に大きな被害を出してしまったのだから。
翌日、花のスペースビーストは『ラフレイア』と名付けられ、ガナードの健闘空しく街に大きな被害をもたらしたことを公表していた。しかし、現場を目撃していた人々がガナードの一人の隊員が原因だと糾弾していた。ハルトはゼインにラフレイアについて自身が待つ情報を伝える。
「攻撃するごとに顔の部分にある花から花粉が発生し、瞬時に爆発する。これは厄介な性質ですね」
「どこで戦うにしても花粉が原因で被害が発生する。どうすればいいんだ」
「一つ手があります。我々が以前会った光の戦士を覚えていますか?」
「覚えてるけど・・その人がどうにかできるんですか?」
「博士から聞いた情報によりますとその戦士、ウルトラマンが特殊なフィールドを生成し、戦ったそうです」
「そのフィールドなら街に被害が出ないと。でも連絡の取れない人にどうやって伝えるつもりなんです?」
「連絡を取らずとも彼なら来ますよ。今回はタイミングが悪かっただけです」
「だといいけどな」
その晩、コードナンバーVIIは街を歩いていた。何か手がかりになるものが残っていればと考え、ラフレイアによって破壊された場所に向かっていたのだ。現場に足を踏む込んだ瞬間、コードナンバーVIIの足が止まる。振り返ると再び地中からラフレイアが姿を現す。
「どうやら、探す手間は省けたようだな。そっちもあれだけ人がいたのに食べれたのがたった一人となるとまだ食べ足りないか」
コードナンバーVIIはゼッツドライバーを胸に装着する。手元には青色のカプセムが握られていた。カプセムをゼッツドライバーの中央部にセットし、ボタンを押す。右手を正面へと軽く突き出し、掌を開いたまま腕を二段階に分けて捻る動作を取る。
「変身!」
左手の親指でカプセムを回転させる。ラフレイアはゼッツに向け、花粉を放つが青黒いもやの状態になったことで爆発を避けられる。真っ黒な身体が形成されると再びラフレイアが花粉を放つ。ゼッツに接触する瞬間、身体から竜巻が発生し、上空へ花粉が運ばれ、爆発する。胴体、腕、脚が青くなった新たなるゼッツの姿、『テクノロムストリーム』はカプセムを回転させ、能力を解放する。ゼッツが殴ると同時に竜巻が発生し、ラフレイアに命中する。竜巻によってラフレイアにダメージが発生する。花粉によって更なる被害が起こるはずだった。ゼッツはすぐさま竜巻をもう一度生成し、花粉を上空へと運ぶ。テクノロムストリームは大気を操る能力を保有しており、大気操作による竜巻の生成によって花粉の被害を最小限に抑えようとしていたのだ。
ゼッツが竜巻でラフレイアを足止めしているところにネクサスがやってくる。ネクサスはすぐさまジュネスへと形態変化し、メタフィールドを生成する。ラフレイアを隔離したことを確認したゼッツはブレイカムゼッツァーをソードモードからガンモードへと切り替える。エネルギー弾を撃ち込み、確実にダメージを与える。ネクサスもパーティクル・フェザーで射撃戦を行う。
ラフレイアが花粉をまき散らしながら怯んでいる隙に、ゼッツはブレイカムゼッツァーにストリームカプセムをセットする。カプセムを回転させ、銃口にエネルギーをチャージする。引き金を引き、竜巻をまとったエネルギー弾をラフレイアの頭頂部に撃ち込む。ラフレイアの体内に蓄積されていた花粉が連鎖的に爆発を引き起こす。ネクサスがゼッツを庇うように前に立つと両手を間に突き出し、円状のエネルギーシールドを生成し、爆発から身を守る。ラフレイアの完全消滅を確認するとネクサスはメタフィールドを解除し、ゼッツに向き直る。
「あんたのおかげで助かったよ。ありがとう、ウルトラマン」
ゼッツがネクサスに手を伸ばす。ネクサスが握手に応じようとしたその時、ゼッツに光弾が放たれる。ゼッツは大きく吹き飛び、変身が解除される。ネクサスが光弾が放たれた方向に視線を向ける。そこには黒い瞳を持った赤と黒のそれが立っていた。それが腕を大きく広げると、辺りの空間が歪み、灰色の空に禍々しい岩のようなものが存在する空間へと隔離された。ネクサスのメタフィールドと対をなす空間『ダークフィールド』を形成したそれはネクサスに格闘戦を挑む。両者ともに譲らない攻防戦が繰り広げられた。しかし、ダークフィールドの影響かそれの方がネクサスよりも上を行き、胸に右ストレートを受け、ネクサスが怯んだ隙に、蹴りを入れる。
後ろに下がったネクサスのコアゲージが青色から赤色へと点滅を開始していた。ネクサスは自身及び誰かが生成した不連続時空間で活動する際、自身の身体を空間に適応するために多くのエネルギーを消耗している。コアゲージは空間内での活動限界を示すものであり、ネクサスに残された時間は限られていることを知らせていた。ネクサスは左肘を腰に当て、左手と右手を平行に構える。両手の間に青色の電流が発生する。腕で十字を組み、右手から青色の光線を放つ。ネクサスがどの形態でも使用することができる必殺技『クロスレイ・シュトローム』であった。現在のエネルギーではコアインパルスを撃つことがかなわないため、比較的エネルギー消費量ガ少ないこの技を選択したのだった。それは左手から円状のエネルギーシールドで防ぐ。
ネクサスとそれがにらみ合っている中、苦しそうにコードナンバーVIIが身体を起こす。
「お前は何者だ」
「我が名は『ファウスト』。光を飲み込む、無限の闇だ」
ファウストはダークフィールドを解除すると闇夜に溶け込み、どこかへ消えていった。ネクサスは片膝をつき、光が剥がれ、一人の男性が姿を現す。男性は呼吸を整え、立ち上がるとどこかへ歩き出す。コードナンバーVIIはその男性の姿に驚きを隠せなかった。立ち去ろうとする男性に慌てて声をかける。
「待ってくれ!あんたに聞きたいことが山ほどある!」
コードナンバーVIIが叫ぶが男性は歩みを止めることはなかった。それでもコードナンバーVIIは叫び続けた。
「教えてくれ!あんたはこの七年間、何をしていた!答えてくれっ!弧門一輝!」
名を呼ばれた男性が歩みを止める。そう彼は七年前の招来の日、唯一の生き残りのガナード隊員、弧門一輝だったのだ。振り返り、彼に一言伝えた。
「先に伝えなきゃいけない人がいるんだ」
弧門は再び歩み始める。コードナンバーVIIはただ見届けるしかなかった。彼の意思を尊重するために。
とある森林にて当てもなく、森深くへと歩いて行く人影があった。対スペースビースト部隊の加賀であった。彼は自身の行動で大勢の被害を引き起こしたことで、自身を見失っていたのだ。このまま消えてしまいたいと考え、森林へと足を踏み込んでいたのだ。加賀は何者かの気配を感じ取り、歩みを止める。目の前の茂みから黒いローブの男が姿を現した。
「誰だお前は?」
「君と話がしたくてね」
黒いローブの男は加賀へと近づく。加賀は警戒態勢に入り、すぐさまハンドガンを構える。構えた瞬間、目の前から黒いローブの男が消えていたのだ。加賀は辺りを見渡す。すると後ろから声をかけられる。
「君は力を欲しているね?それも目の前でたった一人でスペースビーストを倒したネクサスのような力を」
「ネクサス?それが奴の名前か?」
「私はネクサスが目障りでね。君がネクサスを消してくれると約束するなら君に力を上げよう」
加賀は葛藤していた。確かに力が欲しいと心のどこかで思っていた。しかし、力を得ることに迷いも抱えていた。また大勢の犠牲を出すのではないかと。
「何を迷う必要がある?君は力を欲しているんだよ。それに従えばいいんだ。さぁこれを」
黒いローブの男は黒い棒状の何かを取り出す。加賀は震えながらもその黒い何かへと手を伸ばす。加賀がそれを掴んだ瞬間、黒い霧が現れ、加賀の中へと入り込んでいく。最初はもだえ苦しむ加賀であったが徐々に抵抗をやめ、完全に黒い霧が加賀へ入り込み終えると加賀は黒い棒状の何か『ダークエボルバー』を引き延ばす。再び、加賀の身体から黒い霧が加賀の身体を覆う。霧が晴れ、そこからファウストとはまた違う姿の闇の戦士が誕生した。
「今日から君は『ダークメフィスト』だ」
黒いローブの男がその光景を眺め不気味に笑う。ダークメフィストが自身の姿を見回し、大きな雄叫びを上げるであった。
翌日の夜、ハルトとゼインはラフレイアの捜索の続きを行っていた。ゼッツとネクサスの戦闘の数時間後に現場へ赴いていたが手がかりがなく、別の場所に移動したのだろうと考え、別の場所の捜索を開始していた。ゼインが辺りを見回しているとどこからか火球がゼインに向かって発射される。ゼインの腕をかすめるが回避に成功する。火球はどこかへ命中し、爆発する。その爆発音を聞きつけ、ハルトが合流する。ゼインの目の前には三つの顔を持った怪物がその姿を現していた。ゼインとハルトはすぐさま変身し、戦闘を開始する。
二対一で優位な状態であったが、突如としてジオライザーがゼインを攻撃し始める。ジオライザーがゼインを攻撃したことに困惑しているところに怪物が火球を放つ。間一髪のところでサムが駆けつけ、火球をはじく。
「大丈夫ですか?ジオライザー」
「気をつけてくれ、サムさん。気づいたら俺、ゼインさんを攻撃してたんだ。あいつを攻撃していたはずなのに」
サムは現状を確認し、戦闘態勢に入る。ゼインも体勢を整え、水を操るエレメンタリーの能力を使用する。怪物が口から火球を放つ瞬間にゼインが掌から高圧水流を放ち、火球の発射の阻止する。その隙にサムが距離を詰める。その時、上空から何者かが現れる。怪物を庇うようにファウストが立ち塞がった。ファウストが現れた少し後にネクサスが出現する。
ネクサスはサムにアイコンタクトを取り、ファウストへと向かう。ファウストを掴み、怪物と距離を離す。ファウストと怪物を分断し、サムとゼインが怪物に猛攻を仕掛ける。怪物はジオライザーにかけた幻覚を二人にもかけようとする。しかし、二人は幻覚にかからず、怪物をたたみかける。ネクサスの援護のために、ジオライザーはファウストに向けて援護射撃を行った。ファウストが大きく後ろに下がり、膝をつく。
「ハルト君・・」
ジオライザーがジオブラスターの発射態勢を取ったその瞬間、どこからか懐かしい声ガ聞こえた。怪物の幻覚によるものだと考えたジオライザーはエネルギーのチャージを再開する。もう少しでチャージが完了する瞬間、後方から光弾がジオライザーに直撃する。ジオライザーは大きく前方へ吹き飛ぶ。ネクサスがファウストと取っ組み合いながらその姿を確認する。そこにはダークメフィストが立っていた。
「見つけたぞ。ネクサス!」
ダークメフィストはすぐさま、ダークフィールドを生成する。ネクサスはファウストを引き剥がし、ジュネスへと形態以降を行う。怪物はダークフィールドの影響で活性化し、サムとゼインに猛攻を仕掛ける。二人はフィールドの影響によって動きが鈍くなり、状況が一転した。ネクサスはダークメフィストにパーティクル・フェザーを放つ。ダークメフィストは右腕に装備された『アームドメフィスト』からクローを展開し、相殺する。連続でクローの間から光弾を放つ。ネクサスは両腕ではじき返すがジオライザーはリフレクターを貫通して直撃する。ファウストは吹き飛んだジオライザーに向かい、連続で拳や蹴りを叩き込む。ジオライザーは手も足も出ず、大きくダメージを負ってしまう。
怪物に対して、ゼインは地面に左手をつき、怪物の周囲に水柱を発生させ、動きを止める。怪物が火球を放ち、水柱を貫通してゼインに命中する瞬間、ゼインがベルトに装填している『ゼインプログライズキー』を押し込み、高くジャンプをする。右足にエネルギーを集約し、ジャンプキックを繰り出す。ゼインの『ジャスティスパニッシュメント』によって怪物は爆発する。ゼインは変身を維持できず、強制解除されてしまう。ゼインがジオライザーの方へ目をやる。そこにはファウストがより強力な光弾を撃ち込もうとする光景が映った。ゼインが庇うより先に、サムがジオライザーの目の前に立っていた。
ファウストの両手から強い光を放つ光弾が放たれる。動けないジオライザーはその攻撃を受けるしかなかった。死を覚悟したその時、サムが自信を庇い、両腕でなんとか防ごうとしていた。光弾が爆発し、サムが大きく吹き飛ぶ。炎を放ちながら、サムの鎧が解除される。そこには白色の髪の少女が倒れていた。ジオライザーは自身の身体を無理矢理起こし、少女へ駆け寄る。
そこの光景を見たダークメフィストはネクサスを大きく突き飛ばすとダークフィールドを解除し、ファウストとともにどこかへ消えていった。ネクサスはジオライザーの方に顔を向ける。そこにはジオライザーを解除し、少女を抱えているハルトの姿があった。ハルトは涙を流し、叫ぶことしかできなかった。自身の無力さを痛感したのだ。