ラ・ピュセル生存記録 ―魔法少女育成計画Bloopers―   作:神谷萌

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えっちぃの(R-18)を別シリーズでやってます
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後日談 その02 +オマケ

「ん…………」

 気がつくと、側帯を含めても軽自動車同士がすれ違えない程の、幅の狭い道の上にいた。

 そんな道なのに、左右は垂直に近い擁壁(ようへき)がそびえ立っている。

 夜なのか、周りは暗い。

「そうか……小雪を家に送った後だったんだっけ」

 見たこともない場所のはずなのに、意識はそう認識していた。

 しばらく、そのまま道を歩いていく。

「ん……」

 すると、視線の先に、自分が向かっていた道路の彼方から、強い光が現れた。

 段々と近づいてくる。

「クルマだ……」

 避けないと、と思うが、道路の側帯は狭く、クルマの方が自分に気づいてくれないと接触しそうだった。

 エンジンの音が聞こえてくる。低回転型ガソリンエンジンの音。それを判断する知識はなかったが、経験的に、軽自動車のような小さいクルマではない事を感じる。

「大丈夫かな……」

 そう思いつつも、エンジンの音から乗用車だと感じた。多分相手が気づいてくれるだろう、と、自分もできるだけ道の脇によりつつ、歩き続ける ────

「えっ!?」

 ヘッドライトの光源が、左右の2つに分かれて見えるようになったところで、その車種がトラックだと気がつく。

 所謂2トン車と呼ばれる車種。その知識はないが、トラックとしては小型の部類に入っても、この狭い道を通るにはかなり窮屈に見えた。

 暗さとヘッドライトの光源で本来極めて見えにくいはずが、運転台(キャブ)の後ろに荷物を満載しているように見えた。

 にもかかわらず、トラックはかなりの速度で迫ってくる。自分に気づいてなさそう、気づいて貰えそうになかった。

「避けないと」

 慌てて立ち止まり、左右を見回すが、擁壁が圧迫感さえ感じる程に、その空間を塞いでいた。

「そうだ、跳んで躱せば……」

 見上げる。天井があるような場所ではなかった。

 路面を蹴って、跳び上がろうとするが ────

 ピョン

「あ、あれ!?」

 いつもの跳躍力が出ない。何度も、ピョン、ピョンと繰り返すが、まるで普通の人間のようなジャンプ力しか出なかった。

「────!?」

 そこでようやく気づく。

 体型が違う。自分の足元を見下ろした時に視界に入るはずの胸がない。腰も脚も、今となっては心細く感じる程、細いように感じた。

 慌てて自分の頭を触り回す。髪型も違う。先を編んで垂らしている横髪も、左右で編み込んで丸めて纏めた後ろ髪もない。そして何より、ツノがなかった。

「そ、そんな!!」

 鏡はないが、今の姿が()()()()()()()だと確信した。

 そこへ、強烈な光源が迫ってくる。

 トラックは、もう目の前にいて ────

 

「うわぁあぁぁぁ!!」

 掛け布団を弾くようにして、飛び起きた。

「はぁ……はぁ……はぁ……はぁ……」

 上体だけを起こした状態で、荒い息を整える。

「ゆ、夢……か……」

 一度息が落ち着いたところで、そう呟いて、ふうと息を軽く吐き出した。

 枕元の時計を見る。まだ日の出までには2時間以上ある時間帯だった。

 一度ベッドを抜ける。照明を()けた。

 開き直って女性としてのお洒落を楽しむようになってから、父親が買ってくれたと言うか、()()()()()姿見を覗く。

 そこには、ピンクにハート柄のパジャマを着た、()()()()()()()ラ・ピュセルの姿があった。

 

【挿絵表示】

 

 その姿を見て、胸元を押さえながら、ほう、と、安堵のため息を深く漏らしてしまう。

「あー、ビックリした……今更なんて夢を見るんだよ」

 どっと全身の緊張が緩んだような感覚がして、ボヤくように言いながら、ベッドに崩れ込むように仰向けになる。

 スマートフォンとともに、折りたたまれている時のその形状はどちらかと言うとガラケー(フューチャーフォン)に見えるそれ、カバー部分は白地にひし形のパネルラインの入ったエメラルドグリーン、そのエメラルドグリーンに赤い縁取りのついた、マスター仕様のマジカルフォンが、枕元においてある。

 そこから、ポンッと音でも立てるかのように、電脳妖精ネクが姿を表す。

「なにかあったぽん? 今、心拍数の急激な上昇を感じたぽん」

「あー……いや、変な夢見ちゃって……」

 訊ねてくるネクに、ラ・ピュセルは脱力したままそう答える。

「夢?」

「うん、トラックに撥ねられる夢」

「トラックぽん?」

 ラ・ピュセルの答えに、ネクは怪訝そうにする。

「トラックぐらい、ラ・ピュセルならどうとでもできるはずだぽん。避けるのなんて簡単だし、どうしても避けられないなら剣や槍で破壊すればいいぽん。それぐらいは緊急避難だぽん」

「それがさ、夢の中じゃ、()()ボクの姿だったんだ」

「前の姿ぽん?」

 ラ・ピュセルの言葉を聞いて、ネクはまるで人間が小首を傾げるかのように身体を傾けつつ、問うような声を返した。

「ネクは知ってるんだっけ? 前のボクの姿……」

()()()()()()()()としてなら保持してるぽん。()()()()ファヴからの回収データだけど……」

 逆に問い返すようにラ・ピュセルが言うと、ネクはそう答えた。

「姿だけじゃなくて、能力も元に戻っちゃっててさ、それで、避けようもなくて」

 ラ・ピュセルの疲労感を感じさせる口調の言葉に、ネクは、慰める口調で、

「夢は内容次第で不合理な状況が再生されるぽん。気にしてもしょうがないぽん」

 と、そう言った。

「それともなにか心当たりがあるぽん?」

 少し怪訝そうな口調になったネクに、

「いや……うーん、多分ないと思うけどなぁ」

 と、ラ・ピュセルは僅かに逡巡した後、そう答えた。

「それにしても…………ネクって、ボクの心拍数まで測れるんだ」

 気まずいというわけでもなかったが、話題を切り替える。

「もちろんだぽん。マスターの安全を管理するのがネク、そしてゆくゆくは “NEシリーズ” の役目だぽん」

「へぇ……」

 どこか誇らしげに言うネクに、ラ・ピュセルは、感心したような表情になり、そのように声を出した。

「さてと……ちょっと寝なおそうかな」

 ラ・ピュセルがベッドに収まり直しながら言うと、

「了解だぽん。いつでも待機してるぽん」

 と、そう言って、ネクの姿も消えた。

 

 

 ─☆──☆──☆─

 

「前から思っていたんだけど」

「え?」

 ある日のデートの最中。

 アニメの映画を観て(内容はラ・ピュセルが選んでる時点で察してほしいっス)、ウィンドゥショッピングをして、書店に立ち寄って、小腹が空いたねと、入ったカフェでの事。

 怪訝そうなと言うか、困ったと言うか、そんな微妙な表情で、華乃が切り出した。

 

【挿絵表示】

 

「スノーホワイトに、いつまで『そうちゃん』って呼ばせてるの?」

「あー……うん、それは……」

 それを言われると、ラ・ピュセルにとっては凄く気まずい。

「ラ・ピュセル自身は、私の事は『リップル』と『華乃』を使い分けてるし、スノーホワイトに対しても変身していない時は『小雪』って呼んでるわ」

 責めるというわけではないが、好ましくないことを指摘するかのように、華乃は言う。

「うーん」

 ラ・ピュセルは、苦い顔をして、腕組みをして唸ってしまう。

「最初のうちは()めて欲しかったんだけどね。今はちょっと強く出にくいんだよね……」

「どうして?」

 華乃が訊き返す。

「華乃も知ってるでしょ、ボクがマトモに動けなかった時の話」

「それが……」

 なにか、と、華乃は言いかけて、

「ああ……」

 と、途中で自己解決した声を出した。

「あの時に固定されちゃったんだよ。今の呼び方……」

 ラ・ピュセルは、そう言って、戯け混じりにも深刻さも含めて、大きくため息を吐いた。

「トップスピードから……言っても無理か。一度固定されると動かしにくい所あるし、スノーホワイト」

「そうなんだよねー」

 華乃の言葉に、苦い顔をしていたラ・ピュセルだったが、ふっと気がついたように華乃を見る。

「別に、こうしている時は、華乃もボクをそっちの名前で呼んでもいいんだよ?」

「なっ……」

 華乃は、不意を突かれたように、短く声を漏らす。

 姿が変えられないラ・ピュセルだが、ファヴとクラムベリーの後始末をした時に貰ったアミュレットを、アバターに組み込んでいるおかげで、 “本来、変身を解除しているはずの状態” と “変身している状態” では、魔法少女と自身の近縁者以外には同一人物と認識されない。

「じゃ、じゃあ……」

 別に誰かが見ているわけでもないのに、視線を動かして視界の中を確認してしまってから、テーブルの下で手をぎゅっと握ってしまいつつ、顔を赤らめて、言う。

「そ……颯太」

「うん」

 言ってしまってから、更に顔を紅潮させる華乃を見て、ラ・ピュセルは、返事をしつつ、妙に嬉しそうな笑顔で華乃を見ていた。

 

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 ─☆─ オマケ ─☆─

 

白く小さな魔法少女:

「私、どうしてこんなところにいるんだろう?」

 

もう1人の白い魔法少女:

「私は、どうしても正式な魔法少女になりたいんだ。夢の世界に行ってしまったあの子に会うために……」

 

メルヴィル:

「ゲームをしましょう、お嬢さんたち。楽しい楽しいゲームを……」

 

名深市に再び集められた16人の魔法少女候補生。

本来の姿、健全な “ゲーム” で真の魔法少女を決める。そのはずが ────

 

女王様姿の魔法少女:

「実験場にふさわしい場所。若いマスターに私の深慮は見抜けない」

 

ネク:

「あの子は人造魔法少女だぽん。ホムンクルスをベースに作られた一種の兵器ぽん。そして “NEシリーズ” は本来、彼女達のアシスタントとして開発されていたんだぽん」

 

白く小さな魔法少女:

「違う、私がやったんじゃない! 私がやったんじゃないの! 信じて!!」

 

「それでも……」

 

ラ・ピュセル:

「それでも、ボクはあの子を助ける」

 

ネク:

「それでこそラ・ピュセルだぽん。ネクがここに来た甲斐があったぽん。どうか助けてあげてほしいぽん」

 

リップル:

「人造かどうかなんて、凄くどうでもいい……」

 

トップスピード:

「名深のカルテット、再集合だ! 叛逆の狼煙を上げようぜ!」

 

スノーホワイト:

「──── あの子、泣いてる」

 

 

『魔法少女育成計画ReBirth』

 

 …………って、俺は書けません。ごめんなさい。

 

 




いやマジで書けないから!!
自分が書きますという超・奇特な方がおられましたら構想と現段階の設定、それと「お願い」をお送りします。
【2026/05/16(JST基準)】
書きます!!
ChatGPTとネタの蠱毒やってたらストーリーラインが見えてきた。

ガソリンエンジンの件
今は新車としては全滅してますが、21世紀ごく初期頃までは2トン車には申し訳程度にガソリン車が設定されていました。自分も一度だけ、有人スタンドで洗車を頼んでいる間に、ガソリンのブースに入ってきたアトラス(日産が出してた2トン車)に出会ったことがあります。中古でならまだ()()があるようです。

今回のそうちゃんのコーデ
反転ルパン三世(赤ジャケット)

具体的な感想をいただけると、続きを描くことが捗ります。
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Discordは「一時メンバー」となりますので、私のオフライン時に来られた方は、「エントランス」及び「⁠一時メンバーの連絡用チャンネル」のアナウンスに従って必要事項を書き残してください。
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