ゼノ・クライシス(Xeno-CRISIS)   作:gp真白

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第十五話

瓦礫が舞い散る中、クライムは空中で姿勢を制御し、左目の数式を加速させました。視界には、カプセルに囚われたアニマの結晶と、それを見下ろすマーニャ、そして異様な圧を放つ「特殊個体のグノーシスレアリアン」が映ります。

 

「……その目、やはり『神の庭』の断片を宿しているのね」

 

マーニャの傍らに立つ少女——レアリアンが、感情の欠落した声で呟きました。彼女が右手を軽く振り上げると、背後の虚空から突き出したグノーシスの巨大な腕が、鞭のようにしなってクライムを叩き伏せようと襲いかかります。

 

「……っ、そんなもん、網にかけるだけだ!」

 

クライムは落下の勢いを利用し、両手で虚空を掴む動作をしました。ムサシから教わった「目に見えない網」に、左目から溢れ出す蒼い数式が絡み合い、物理法則を無視した『事象干渉の投網』へと進化します。

 

ドォォォォンッ!!

 

実体化していないはずのグノーシスの腕が、クライムの網に絡み取られ、凄まじい火花を散らして硬直しました。

 

「……なっ!? グノーシスを『捕獲』したというの!?」

 

マーニャが驚愕に目を見開きます。本来、ヒルベルトエフェクトなしにグノーシスに干渉することは不可能なはずでした。

 

「クライム! そのままじゃ……その子の『観測』に捕まるわ! 逃げて!」

 

カプセルの中でアニマの結晶が叫びますが、クライムの足は止まりません。

 

「……無意味。事象を固定(フリーズ)します」

 

レアリアンの瞳が、不気味な紫色に発光しました。彼女の能力は、対象の存在確率を強制的に固定し、実数領域に引きずり出す「絶対観測」。ナノマシン化したカレルレンを蹴り飛ばしたあの力が、今度はクライムを標的に定めます。

クライムの身体が、まるで見えない重しを乗せられたように重くなり、空中で身動きが取れなくなります。

 

「……がっ、身体が……動かない……っ!?」

 

 

 

「そのまま塵に帰りなさい、不法侵入者!」

 

マーニャが勝ち誇ったように叫び、レアリアンにトドメの指示を出そうとしたその時、背後から冷ややかな声が響きました。

 

「……やれやれ。僕を忘れてもらっちゃ困るな、マーニャ」

 

床に倒れ伏していたはずのカレルレンが、フラつきながらも立ち上がっていました。彼の周囲には、散らばったナノマシンの残骸が集まり、再び不気味な輝きを放ち始めています。

 

「君たちが作ったその『レアリアン』……グノーシスの力を制御しているのは、王宮のメインサーバーからの演算支援(ブースト)だろう? ……だったら、その供給源を叩き潰せばいいだけの話だ」

 

カレルレンが血に染まった指でパチンと音を鳴らすと、王宮全体の照明が一瞬で消え、緊急用の赤い非常灯が点滅し始めました。

 

「……っ!? システムがダウンしている!? カレルレン、貴様……っ!」

 

「僕を侮辱した代償だよ。さあ、新人さん! 今ならその『観測』は緩んでいる! アニマを助け出せ!」

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