格闘家世界チャンピオン、敵なしだったので引退しサバンナに行きジャガーを狩る〜現代ダンジョンが発生したので帰還、美少女になって配信します〜   作:tetois

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第2章 配信の危機
第十四話 はやぶさ✕プリン


 

 薄暗がりのダンジョン待機所にて、僕はいた。パソコンの画面に反射して伊達眼鏡をかけ、七三分けのサラサラヘアーに整えられている如何にも出来るビジネスマンが映った。そう僕、関口隼人である。

 

 僕はとある理由で閉鎖されたダンジョン待機所にいる。それはダンジョン管理局のデータのハッキングだ。

 

 僕ははやぶさtvとしてモンスター討伐ランキングの期待の超大物新人ランカーとして活動中だ。モンスター討伐ランキングとはモンスターのレベル✕討伐数で決まる点と一定の討伐数を記録すると貰えるボーナス点の合計で競うランキングだ。対象階層とは月によって変化し、その階層に応じた能力の攻略者グループ内で競うということになっている。

 

 

 僕はこのハッキングを使ってモンスターがいつどこにどれだけ湧くのかを割り出し、後は得意の演算能力でボーナス点含め、最も効率的な回り方を確立させ、六位、四位と徐々に順位を伸ばしていっている。

 

 この前などバカなダンジョン管理局のセツナとかいうやつが気づいてないのかブログにルーキー候補として載せた。こっちが何をしているかも知らないで称賛している姿はまあ滑稽だ。

 

「あはは!あとちょっとだ!よし……!これで僕はランキングに……!」

 

 解析終了を迎えた。あとはずらかるだけだ。ダンジョン待機所及びダンジョン内部は安全性のために本来進入禁止の令が出されている。捕まれば一瞬で終わりだ。

 

 はやぶさの名の如き早さでダンジョン待機所を去った。

 

 ★

 

 帰路の間に僕はとある所に連絡をとっていた。それはダンジョン攻略者の中でものかなり上位冒険者グループ……ウルフ。ウルフは二人の冒険者で構成されている。

 

 カイとキラー。カイは魔法クラスでも上位の賢者。五つある階級の中でも四つ目だ。氷魔法の専門家。キラーは格闘クラス最上位、マスターブドー。バフ魔法と格闘術の合わせ技が特徴だ。

 

 ……ウルフにはダンジョン攻略者と別の顔がある。それは規約違反者をダンジョンから永久追放する謂わばエージェント組織。僕のランキング入賞に歯向かう者を規約違反者として通報しているってわけだ。僕の方でも色んなところでアンチコメント書いて心を折らせようとしたりするけどそれが通用しないやつもいるからね。

 

 

 僕が信頼されている理由はただ一つ。あのダンジョン管理局副会長……関口剛三の息子だからだ。

 

 彼らのミッションは規約違反者を独自に取締ること、管理局の公認組織ではない分、彼らには信用に値する情報源が欲しかった。そこで管理局副会長の息子の僕の登場てわけだ。信用を半年積んだ結果、彼等は僕と真の信頼関係を結ぶことができた。

 

 今回通報する者は誰かすでに決まっていた。僕はメッセージを送信した。

 

"新たな規約違反者を発見しました!ハッキングを使用し、ゴブリン百体を討伐し、ランキングを乱す輩です!名は……プリンティス!変装スキルをしていると思わしき魔法少女みたいな人です。天誅をお願いします!"

 

"カイ了解"

 

"キラー了解"

 

 ……これで僕の栄光は保たれたままだ!

 

 

 ★

 

"プリンさんプリンさん!これ見ました?"

 

 俺はあきたんからのメッセージを寝ぼけたままの頭で受け取った。口中にミントの濃い味がする。ミントは苦手だ。チョコミントも苦手だ。

 

 メッセージ内にはリンクが貼ってあった。中身はダンジョン管理局広報局セツナの今来ているダンジョン攻略者ルーキー編というもの。

 

 チェックしている最中に画面の上部から新たなメッセージが届く。

 

 "名前あるよ!プリンさんの!三番目!"

 

 下へ下へとスクロールすると確かに名前があった。どうやら推しとけポイントは4らしい。他には以前あきたんが言っていた料理人ヤブキ、そしてはやぶさというやつがいた。

 

 あきたんに俺は返事する。

 

 "これってすごいんですか?"

 "すごいすごい!だって公式が認知したってことだよ?例えば純次からプリンに試合してやるっていってるようなもん!"

 

 俺はイマイチダンジョン配信者界隈とか管理局がどんな所か把握していない。俺の戦いとエンタメをひたすらしていただけだったから。

 

 とはいえあきたんの説明でよく分かった。……俺と俺が戦うのにはツッコミを本来入れたいところだが。

 

 "え!?やばいです!"

 "でしょでしょ?この調子で頑張れ!"

 

 

 やばいですとメッセージを入れる裏腹で俺は少しだけ苦汁を飲むような思いを持っていた。

 

 ――ヤブキに推しとけポイントが負けている。

 

 他人から見れば記事に書かれたらその場でピョンピョン跳ね上がる程嬉しいだろう。だが俺は一番が全て。帝王として。

 

「地道に配信するしかない!」

 

 打倒ヤブキを掲げ、俺は拳を上に掲げた。料理とバトル、ジャンルは違えど俺は勝ってみせる。あとついでにはやぶさにも。

 

 そうと決まれば今度こそダンジョンだ。歯磨きを終わらせて、あきたんへメッセージを送り、オンボロアパートの玄関へ向かう。

 

 いつも愛用しているスニーカーの紐を固く結び、その後、ドアを勢い良く開けた。

 

 ――空は俺を応援するかのように晴れ渡り、巨大な入道雲が目の前に映った。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

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