格闘家世界チャンピオン、敵なしだったので引退しサバンナに行きジャガーを狩る〜現代ダンジョンが発生したので帰還、美少女になって配信します〜   作:tetois

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第十六話 闇の魔獣を宿す者たち

 

「なんですかそのダサいネーミング!?」

 

 俺は目の前に現れたダークネスエンペラーなる女性にツッコミを入れざるを得なかった。まあ俺も英語訳すると元はエンペラーなわけであるが。にしてもダサい。プロレスラー名なら即却下レベルだ。

 

「ほう!貴様暗黒の力を宿しているというのにこの良さが分からないのか?貴様も飼っているのだろう?禁断の闇の魔獣を」

 

「知りません!!!」

 

「くくく……恥じずとも……!私には分かるぞ……!その右腕!誤魔化せるとでも思ったか?」

 

 ダークネスエンペラーは俺の負傷した右腕、ないし包帯に指を突きつけた。その瞬間の表情からはどこか同類だと思われている節を感じる。

 

 "そういやプリンって別人格あったよな"

 "患者は惹かれ合うのか?"

 "確かにあの包帯前の配信にはなかったよなあ"

 

 ――違うっ!包帯はガチのケガ!別人格は配信上のそういう設定だっ!

 

 俺は心の奥からそう叫びたくなる。

 

 にしてもまずい。俺の選択肢は二つ。1.ダークネスエンペラーを撒く、2.配信を止める。このままだと俺自身の力だけでなるべく成り上がっていく目標がダークネスエンペラーによって文字通り暗黒に葬られてしまう!この時点で厨二コンビ爆誕とかコメ欄に書かれそうだし、影響は最小限にしたい。

 

 配信を止めるのはいやだ。なぜならこれがバズってから二回目の配信。なりよりもこんな奴に邪魔されて今回は終わりですは避けたい。非常に!

 

 

「ええと……私行きますね!配信やっているんで……。あっ……御用があるなら待機所に待っていてください」

 

 俺は速やかにダークネスエンペラーから逃げる。

 

「待て!暗黒の使徒よ!」

 

 後ろからしつこくついてくるダークネスエンペラー。だが俺は仮にも元格闘家。逃げ切る。

 

 だがここはダンジョン。敵はダークネスエンペラーだけでない。モンスターもいる。そう逃走経路を阻むモンスターが。

 

 そこからの配信はダークネスエンペラーを撒きつつ、モンスターを次々と駆除する鬼ごっこへとなった。

 

 前からハイロケットビー!

 ――拳で粉砕!

 

 ゴブリン5体!

 ――跳び箱の要領で跳び越え二体を片手で投げ飛ばす!

 

 スケルトン!

 ――バラバラに!

 

 

 ヘルバウンドの群れ!

 ――地面に叩きつける!

 

 

 柱

 ――破壊!

 

 

 "前回より暴れてて草"

 "よくあるスノボのクソゲー広告?"

 "逃げながらこれって何?"

 "プリン逃走伝説"

 "ハンター百体放出されたレベルの必死さで笑う"

 

 

 俺はダークネスエンペラーから逃走した。

 

 

 

 

 ★

 

 逃走してからどのくらい経っただろうか。気づけば俺は五十三階層から五十八階層。五段も下に行っていた。

 

 とは言えどもここまで来ればいけるだろう。あのダークネスエンペラーはきっと体力的に限界だ。

 

「すみません!こんなグダグタ配信で……。配信中は私としても――」

 

 

「かあ……はっ……かあ……はっ……」

 

 視聴者に謝罪の弁を申し上げていると背後から聞き覚えのある声が聞こえた。

 

 ――奴だ。ダークネスエンペラーだ。

 

「うっわっ……」

 

 俺は思わず素で引いた。多分追いつけたのは速度強化の魔法を使用したからだろうか。拳のみ攻略が拘りの俺もこの時は魔法を使いたいとつい感じた。

 

 にしても逆に奴は俺に何の用があるのだろうか。速度強化魔法を使い、完全にバテテまでも追いかけるとは何か重大な理由があるのだろうか?

 

「はあ……かあ……くくくっ……貴様……何故ここまで付いてくるか……そう思っているだろ?……ツカレタ。………………語ってやる……」

 

 

 俺は冷めた目を向けながらカメラをダークネスエンペラーに映らないように操作する。

 

「あるとき私は闇の住民がいる深淵に潜入していた。ハァ……ハァ……そこで私は闇の住民とコミュニケーションを取り、ある契りを交わした。それが貴様を追いかける理由…………」

 

 ――わけわからん。

 

 闇の住民、契り、一体俺と何の関係がある?もうポエム女とは付き合いきれない。そう思いながらコメ欄の反応をみてみると気になるものであった。

 

 "ダークネスエンペラーダンジョンスレにいたやつです!配信やるとかずっと書き込んでたら虚言扱いされて配信しにきたんだと思います"

 

 "ダークネスエンペラーってあれやん、イキリ発言掲示板でしてて最終的に引くに引けんくなったやつ"

 

 "プリンさん倒せるとか言ってたやつで草"

 

 "虚言癖扱いされてキレたんやろなあ"

 

 

 ――闇の住民って掲示板かい!

 

 俺は心中でツッコミが止まらなかった。ここまでなるとある意味根性ある奴だと俺は逆に感心した。

 

 そして俺はついに決断した。一旦辞めて、2枠にする。じゃないと収束できない。

 

「皆様すみませんトラブルの面――」

 

 そう言おうとした時だった。人の気配を後ろから新たに感じる。

 

 そこには二人の人物がいた。

 

「申し訳ない。そこの二人。通報が入ってな。ダンジョン治安特殊部隊ウルフのカイと申す」

 

 

 

 

 

 

 

 

  

 

 

 

  

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

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