格闘家世界チャンピオン、敵なしだったので引退しサバンナに行きジャガーを狩る〜現代ダンジョンが発生したので帰還、美少女になって配信します〜   作:tetois

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第二四話 新生ウルフと関口

 

 ついに、ついに目の上のたんこぶを処理した。俺は喜びに震えた。血まみれになるカイを見つめては笑いが止まらない。これで正義が実現できるのだと、今日から俺は自由なのだと痛感した。

 

「キラーの言う通りだった。マグマスライムがメタだった」

 

 気の抜けた声でヘルメット越しにライは言った。

 

「だから先輩だっていってるだろう!あ、そうだこいつは惨たらしい死を頼む」

 

「じゃあスライムに食べさせる?」

 

「ああ!」

 

 マグマスライムがカイの身体を体内に取り込み始める。カイの服や杖は熱さで徐々に溶解し、最終的には骨の後も残らなかった。俺は消えるのが非常に嬉しかった。あとはサンドバッグ探しをしながら正義実現をするのみ。

 

「そういやキラー。さっきのは何?」

 

「さっきのて何のだ」

 

「満身創痍の筈のカイに押され気味だった。攻撃が当たったのは一回だけだし、むしろライが頑張った」

 

 無表情で俺は役立たずだったとライは通達する。こいつは実力はあるが何度も俺を苛つかせる通称、空気読み人知らず。喧嘩をすぐに売ってきやがる。

 

「俺も満身創痍だったんだよ。全開ならお前の力を借りずともぶちのめせるさ。それをお前にあえて譲ってやったのよ」

 

「ふーん」

 

 ライには教育がそろそろ必要そうだ。すぐに従順にしなければならない。カイのようなことにはさせない。

 

「次ライ何やる。プリンてやつの始末?」

 

「いやプリンはまだしない。それより先輩である俺の回復と戦闘準備が先だ」

 

「じゃあいつ」

 

「やつにはあえてこのまま放ったらかしにして配信をさせて順風満帆にさせる。カイの名義でスマホもすぐに送る。で、いいところでドカンとやる」

 

 プリン、奴はゴミだ。俺の正義実行のための有難い提案を受け入れなかったどころか、カメラが壊れて配信外になってからは俺をまるで調子ノリのバカとして遊んでいた。

 

 優勢になっていると誤認させた上で良いところで俺の幸せを奪いやがった。ならば俺も同じ事をする。正義実行を遊んでゴミにしやがった恨みは百倍にして返してやる。この俺とライのモンスターがな!

 

「ダンジョンの治安を維持するためには犯罪者は二度と沸かないように徹底的に壊さねばならない。分かるか!」

 

「なるほどー」

 

 あいも変わらずふざけた返事だが理解はしているらしい。カイよりは十二分に役に立つ。そう確信した。とにもかくにもプリンの復讐のために入念に力を入れなければならない。準備期間が必要だ。

 

「いったんダンジョンからは姿を消す。準備の時間というわけだ!」

 

「うん」

 

 プリンよ。おまえには最悪の物語を届けてやろう。

 

 

 ★

 

 僕は関口隼人。またまたまたまたハッキングを今宵やらせていただいた。天才だ。討伐数も徐々に伸びてきている。非常に良い調子だ。

 

 ランキングからはまあまあ上位は消えている。懸念は三から一と、とんでもない戦闘能力を観測できた存在、プリンである。

 

 まあプリンはもうすでに僕の犯罪をなすり付けたことでウルフのエサになっていることだろう。もうそろそろ近いだろうかとメッセージを送信した。

 

 "プリンという歴代最低の輩は退治できましたか?"

 

 しかし、それからだいぶ経ち……待っても待っても一向に返事が来ない。

 

 1時間、2時間、4時間、6時間……いつまで待っても来ない。普段ならば迅速に僕の元にメッセージが来るというのに。

 

 あのカイとキラーがやられたとでもいうのか?僕は幾度となく、待ち続けた。

 そうして待つこと……ついに通知音が作動した。とは言えどもプリンの配信は調べて見たところカメラが途中で乱れ、全てが消えたらしい。

 

 勝ちのルートの可能性が非常に高い。その事実に僕は期待が高まる。

 

 だが、通知音をチェックした所、それがどういうものかがすぐに判明した。僕以外、カイとキラーがグループから消えている。通知音の正体はグループから抜けたことを意味するものだった。

 

 ウルフが僕の情報を当てにしなくなった。これは僕にとってランキングの結果を脅かす要因になり得る。

 そしてそれが発生したのはプリンを依頼してからだ。勝ちルートが高いのに、ウルフが消えたこの状況に僕はドギマギしていた。そして余りにも不義理なウルフが僕は許せなくなった。

 

 明日からの増殖デーの討伐はなんとかなるが他ランカーを成敗できないのは非常に難点。そしてプリンへ勝ったのか、これも分からない。ここから先は自分で戦う必要がある。

 

 しかし、僕一人では彼らには勝てない、ランキングに乗ることは不可能ということは自身が悔しいほど分かっていた。僕は汚いことをしてやっと一人前なのだ。だから、僕はウルフ以外の外部、もしくは謀略で他ランカーを叩き潰す方法を模索しなければならない。

 

「怖いけど……」

 

 僕は電話した剛三に。僕の父に。

 

 

 

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