格闘家世界チャンピオン、敵なしだったので引退しサバンナに行きジャガーを狩る〜現代ダンジョンが発生したので帰還、美少女になって配信します〜   作:tetois

34 / 63
第三十四話 エヴォラドオークリベンジ

 

 態勢を立て直し、レア種と向き合う。目の目の間に見えない火花が飛び散るかのようだった。相手のオークのはというと俺を睨みながらも完全に獰猛になっているというわけではなく、ただ静かに呼吸を繰り返していた。

 

 "レア種と対決か"

 "場合によっては百階層ボスより普通に強いからな"

 "百階層とプリンの戦い見れてないから期待"

 "いきなり実質ボスやん"

 

 俺が二歩踏み出す、レア種も。そうして互いに近づき、気付けば直ぐに手が触れてしまいそうな程の距離。

 

 ――そして火蓋は切られた。

 

 レア種は予告なく、動く気配を消しながらこん棒を振り上げた。俺は気配を感じるのではなく、目視で避けへ徹した。

 

 そこから子供とは言え巨体に似合わぬ速さでこん棒を振り回す。ダンジョンの中、俺はバックステップを踏みながら回避。俺は連撃を一旦止めるべく、後ろにあった柱を蹴り上げレア種の後ろに回り込み、背中に膝蹴りをお見舞いした。

 

 【ヴォア!?】

 

 レア種の視点が蹴りの反動で自然に上へずれ、隙を生む。そのまま背中に正拳を突こうとした。

 

 "何だあれ!?"

 "は?"

 "これオークだよな"

 "気づけ!"

 

 が、俺は引いた。

 瞬間、追撃しようと動こうとした場所に火の玉が落ち、俺のスカートの先を焦がした。

 

 【ヴォルルル】

 

 振り向いたレア種の口元には僅かながらの火の粉が舞っていた。このエヴォラドオークは物理以外に口から火の玉を吐く属性攻撃を持つ。種族の中では異例も異例のモンスターだった。

 

 レア種の連撃はやまない。次々と火の玉を吐いてくる。その量は際限がなく、回避すれば直ぐに対応をさせられる。

 

「はっ!とっ!」

 

 

 軽快にリズムを刻みつつ回避行動をとるも、距離を詰めなければ体力を削られる。まさに持久戦だった。

 

 そしてこのレア種の戦い。今まで戦ってきた強敵と違う点があった。

 

 【カタカタカタ】

 

 ここはボス部屋ではない。別のモンスターも奇襲するのだ。襲ってきたのはスケルトンの上位種。スケルトンナイト。脆弱な身体を鉄鎧でカバーしつつ、剣を持ったモンスター。

 

「おっと」

 

 俺は後ろを振り向かずして裏拳で顔を砕く。だが、このスケルトンナイト頭を失くそうがアンデッド。動く。

 

 【カタカタカタ】

 

 【ヴォアァ!!!】

 

 雑魚に構っている内もレア種の攻撃は止まない。次なる火の玉がすぐに来る。

 

 ――前転。

 

 "雑魚うぜえ"

 "再生で邪魔するスケルトンごみ"

 "これまあまあきつい"

 

  ――ちまちま遠距離で攻撃しやがって!

 

 少しニヤけながらも心中で早く反撃に転じたいというもどかしい思いがあった。

 

 【カタカタカタ】

 

 邪魔者のスケルトンナイトが頭を無くしたまま来る。火の玉は俺には来ていない。

 

「邪魔しないで――!」

 

 "かわいいけどワンパンすな"

 "何してんの?"

 "キャー痴漢!?(粉砕)"

 "覗き止めます"

 

 俺はマジパンチで破壊した。

 

 が、次の瞬間、地響きにも似た音がダンジョン内に響く。瞬間、上を見る。今にも音を出し倒壊する柱が俺の頭目掛けて落ちてくる。

 

「っと」

 

 冷静に回避する。あのレア種はさっきは俺を狙ってはいなかった。スケルトンナイトに攻撃し、他所見をしている内に狡猾にも火の玉の向かう先を変化させていた。発展途上ながら中々頭も回る。あきたんの時のエヴォラドオークとは大違いだ。

 

 そして柱の崩れ去った音に反応し、他のモンスター、特に臆病な個体が逃げていく。その内の一体。それが俺の反撃の一手だった。

 

「ボールどーん!」

 

 【キュキュ――!!!?】

 

 一体のボムスライムがレア種に向かって飛んでいく。レア種は行動を理解できない様子でこん棒を振り回し打ち込もうとした瞬間――

 

 【ギッ!?】

 

 "ボムスライム!?"

 "お前ボールなをやるな"

 "どゆ使い方してんねん!?"

 

 レア種の視界が歪んだ。――一気に勝負を仕掛ける。懐に潜り込んだ頃、レア種は位置を探すまいと首を動かしていた。

 

「いっけい!プリンアタックスペシャル!」

 

 最初に右ストレートで腹パン。怯んだレア種の足をつかみ、上空に一回転させ、地面に叩き付けた。

 

 【ガアッ!?】

 

 悲鳴が響く。そのまま悶えたレア種に馬乗りになり正拳突きをし続け最後にキックした。

 

 触れた足からレア種の気力が抜け、手がだらんとする。レア種討伐成功。と確信した次の瞬間だった。

 

 

 【……ヴォヴォア――!!!!!】

 

 口から発せられる火の玉。至近距離で発射され、まともにくらった。

 

 "まじかよ!?"

 "プリン!?"

 

 火の玉は爆発し、俺の身体を燃やした。だが助かった。エヴォラドオークのレア種はというとそれが最期のあがきだったらしい。

 

 だが――俺には一つ困ったことがあった。カメラがまだはっきりと俺を捉え映っていない時。

 

 

「ちょっ見ないで!一旦――」

 

 プリンの衣装が全焼し、丸裸になってしまったのである。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。