格闘家世界チャンピオン、敵なしだったので引退しサバンナに行きジャガーを狩る〜現代ダンジョンが発生したので帰還、美少女になって配信します〜   作:tetois

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第四十五話 誓い

 

 目覚めた瞬間。仄かでやさしい蛍光灯の灯が見えた。身体はプリンのまま、嘘のように治っている。起き上がり動かしても平気だ。ただ一点。重いのを除いては。

 

  

「うーん……」

 

 白のベッドにスライド式のドア。机に添えられた花。周囲の景色は無情にも俺にとある事を突き示す。

 

 ――負けた。

 

 あの龍の戦い。俺は意識を失ったのだろう。そしてここにいる。

 

「ハハハ!やっぱダンジョンはすごいな!」

 

 素直に龍に感嘆せざるを得なかった。そしてやはり改めてダンジョンに俺の求める世界があったと強く認識した。

 

「次の配信はリベンジマッチだなあ」

 

 即座に配信の方針を固めた。次は負けないという願いを込めて。

 

  ただ気がかりなのは視聴者だ。彼らには悪いことをした。二回に継ぐ中断はさすがに申し訳ないという思いが勝つ。……何かリクエストに答えるくらいはしなければ。

 

 

 ――そしてもう一つ、俺をここにつれてきた者に関して。俺は転移魔法は使えない。誰かが連れて来なければ物理的にたどり着けないのだ。

 

 龍の情報を聞きつけたダンジョン攻略者なのか、分からない。助けられたことには感謝したいが。

 

 

 

 

 ――にしても身体が重い。意識がはっきりした今でも。

 

 まあいつか取れるだろう。楽観的に考え、ふとスライドドアの反対側を向く。

 その位置には窓があった。問題はその窓に反射した自分の姿。

 

 耳に見覚えのある女性が齧り付いている。

 

「――何してるんですか!?」

 

 黄色い声を上げた瞬間、女性は耳から離れた。

 

「ついに目覚めたか……。闇エネルギーの口内譲渡が効いたらしいな……。代価に髪の毛の回収はした。くくく」

 

 またペースを崩されそうだ。しかもなんか素を見られたような気がする。

 まあこいつのことだし何か勘違いで終わるだろうが。

 

 ――というか連れてきたのはこいつなのか?

 

「ここはどこですか?連れてきてくれたり……?」

 

「貴様の復活の儀式をしていたところ邪魔が入り、そいつがここに。まあ私は漆黒の糸で結ばれた貴様を離したくないが故に同行させないといっていた邪魔者を諦めさせたがな……」

 

 どうやらこいつはいつも通り俺を追いかけ回しただけらしい。邪魔者?という存在が恐らく助けてくれたのだとは容易に理解できた。

 

「邪魔者は?どんな――」

 

 そう言いかけた瞬間、後ろからドアが動いた音がした。目と目が合う。淡い瞳には見覚えがあった。

 

「あっ……」

 

「良かったあ!」

 

 後ろを振り向くとそこにはあきたんがいた。

 

「何とか目覚めて良かったあ!ひっく……」

 

 彼女は安堵感からついに涙を浮かべ、俺に抱きついてきた。

 

「すみません」

 

 ★

 

「で――ここは――」

 

「救護室!ダンジョン待機所の。回復魔法でどうにか戻ってきたみたいだね」

 

 救護室。あまり利用したことはないが中身はこうなっていたのかと思う。

 

「あきたん助けてくれてありがとうございます!あ、でも……百階層よく来れましたね」

 

「――逃げてたよ滅茶苦茶怖かったけど!スマホもほら!」

 

 そう言ったあきたんの笑顔は輝いていた。勇気を持って命を繋いでくれた。本人も怖かっただろうに。

 

「で――横の――」

 

「あー彼女が先にいて……。でずっと離れないから……」

 

「黙れ小娘。今直ぐ引っ込んでろ!私とプリンティスの闇の儀式の邪魔をするな!」

 

「―――こゆかんじで怒るし」 

 

 仕方なく連れてきたという感じなのはあきたんの微妙な表情から読み取れた。

 

「ま、それはほっとくとして――これからどうする予定?」

 

「私を邪魔者みたいに扱うな!不敬罪!」

 

 ダークネスエンペラーが顔をぷくーと怒りで膨らませ、あきたんをポカポカと拳を殴りつけていたが、全く相手にされていない。というか俺から見ても分かる。めちゃくちゃ威力が弱い。あきたんが先生とするならば彼女は幼稚園児といったところだろう。

 

 

「とりあえず……やっぱりドラゴンリベンジですかね」

 

「………………そっか」 

 

「くくっ……。やはり……」

 

 ドラゴンにリベンジする。その一言を発した瞬間、あきたんは意外にも理解を示した。ダークネスエンペラーもあきたんの肩あたりからひょっこり顔を出し、俺の答えに対し腕を組み、深く頷いていた。

 

「それってやりたいことなんでしょ?」

 

「はい。強い者に出会うため。それが私の最大の目的です」

 

 何かと察しがいいあきたんにこれ以上隠す意味もないときっぱりと独白した。

 

 

「プリンって本当に好きなんだね………?そこまでやるって普通の人じゃ、いや――」

 

 

「これは意地悪かな」

 

 

 何か言いたげな表情だったがあきたんはやめた。表情はどこか切なげな雰囲気だった。

 

「ねえ次はドラゴンを倒す修行しなきゃいけないんでしょ?……私も行きたいな」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

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