格闘家世界チャンピオン、敵なしだったので引退しサバンナに行きジャガーを狩る〜現代ダンジョンが発生したので帰還、美少女になって配信します〜   作:tetois

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最終話

 

 俺は目を覚ました。

 

「うーん……」

 

 見覚えのある部屋。配信後に倒れた後、救護室に再び来たらしい。だが、今回は勝利だ。それだけで俺に満足感が満ちた。

 

「傷も……治ったようだな。よし!」

 

 俺はあのドラゴンにリベンジ成功したことを喜びつつ、次の相手はどんなのがいるのか――、そこに視点を移していた。俺のダンジョン配信は終わらない。ダンジョンに強敵がいる限り。

 

「に、しても――鈍痛が……まさか」

 

 俺は頭を激しく振った。

 

「きゃん!」

 

 予想は的中した。振り回した頭から一人の見覚えのある女性が転がり落ちた。

 

「やはり……」

 

 耳を恐らくまた齧り付いていたであろうダークネスエンペラーがいた。彼女は修行の時のバトルで救護室にいたんだった。にしても偶然は怖い。

 

「くくっ。私の闇エネルギーは……どうだ?プリンティス……隣とはな」

 

「まじですか……」

 

「やはりこれで証明した。われわれは同志として、互いに闇の引力に落ちて惹かれあっている。ふふふふふ……」

 

 身体に飛びつき距離を詰め、嬉しそうに語るダークネスエンペラー。この奇妙な縁もここまでくると笑うしかない。心中は苦笑いにあふれていた。

 

「プリン!ドラゴンリベンジおめでとう!」

 

 またまた見覚えのある女性が来る。あきたんがどこから聞きつけたのか救護室に来た。

 

「ありがとうございます」

 

「これ見た?滅茶苦茶伸びてる」

 

 あきたんが見せたのは俺のチャンネルだった。かつて登録者0だったチャンネルは今回で40万人を記録。大躍進していた。ドラゴンの配信も話題になり、アーカイブの再生数も含めると100万回以上再生されている。

 

「はは……!」

 

 嬉しさとあまりの現実感の無さについ、乾いた笑みを浮かべた。かつて底辺だったチャンネルがここまでエンタメを周りに届けられている。それだけで嬉しかった。

 

「ほんとにおめでとう!ちなみにこれからもやるの?」

 

 あきたんから質問が投げかけられたが、そんなのはノータイムで答えられる。

 

「はい!ダンジョンで強敵と戦いエンタメを届けますよこれからも!」

 

 決意を強くそう表明した。

  

 

 

 

 暗闇を照らす月が綺麗な夜。こんな時にこそ裏切り者を始末するのに相応しい。

 

 訪れたのはダンジョン待機所。誰もいないはずの場所に人影が見える。ライが居場所を暴いたあの裏切り者に違いない。

 

「関口ィィィィ!!!」

 

 俺は絶叫した。暗闇に響く声に反応し、男の動きは敏捷になる。

 だが、関口の実力は俺から見るとカスに他ならなかった。身体能力の差で直ぐ様追いつき、クズの逃走経路の目の前に立つ。

 

「だ、ダンジョン管理局!?ぼ、僕は何もしていない!そうだ金と役職のポストは全部やる!」

 

 クズは俺のことをメッセージ上でしか知らない。ダンジョン管理局のやつが嗅ぎつけて来たのだと盛大に勘違いしている。だから俺は言った。

 

「管理局?俺はキラーだ」

 

「き、キラー!?メッセージを一方的に断ち切ったあの裏切り者の――」

 

 裏切り者とか言いやがる。そもそも俺の復讐を邪魔にしたのは貴様だ!

 

「関口!俺は精算しにきた。お前を正義の処刑台に挙げてやる!」

 

「まっ――、グボァ!」

 

 関口が何か言い終える前に俺は頬をぶん殴った。拳に伝わる骨が砕ける感覚。そこから俺の独壇場だった。俺は何が正義では無かったのかを一からクズに説明する。

 

「お前はっ!クズの分際で俺のプリンティスへの復讐を妨害し!あわよくばプリンを始末しようとドラゴンを出しやがった!よくもそんな陰湿な作戦をっ!実行しやがって!」

 

 恨み言とともに溢れ出す暴。お前には死の間際まで復讐を妨害したことを後悔させる必要がある。徹底的に断罪をするべきだ。

 

「プリンが死んだら俺の復讐が果たせなくなるだろうがっ!クズがぁ!」

 

 殴る蹴るの応酬。とっくに関口は失禁し、白目を剥き、血塗れになっていた。既に事切れてはいるものの俺はさらに容赦なく暴力を振るい続けた。

 

 だが、その処刑は思わぬ方向で止められることとなる。耳に響く数多のサイレンの音。そして男の声が静寂を打ち破った。

 

「止まりなさい!」

 

 振り向くとそこにはサツがいた。面倒な相手が。俺は思考を既にただ一つに固定していた。

 

「邪魔するな!」

 

 死体になった関口を投げ飛ばし、サツの視界を防ぎ、関口の身体毎殴る。ダンジョン外ではユニークスキルは使えない。早急に殺さなければ。

 

 しかし気づけば既に遅かった。周囲には既に応援の警官が俺を取り囲んでいた。

 

「抵抗をやめなさい!細山隆!あなたを現行犯と阿部由紀恵殺人事件の犯人として逮捕する!」

 

 阿部由紀恵――。ババアのことか!

 

「どけぇ!」

 

 俺はけたたましく叫び、強行突破にかかる。だが警官はその瞬間、とある事を宣言した。

 

「抵抗するならやむを得ない。発砲準備良し!」

 

 瞬間、耳に響く轟音。視界が紅に染まる。何発もの弾が俺を貫いたらしい……。

 

「な、なん……だ……と……」

 

 俺は意識を手放した。そして二度と目覚めることは無かった。

 

 

 (完)

 

 

―――――――――――――――――――――――――

 

 ここまでありがとうございました。

 

 

 

 

 

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