僕のヒーローアカデミア:スパイダーウェブ 作:スパイダーキャット
『A組緑谷、爆風で猛追ーーーー!!? っつーか……』
ロボットの装甲に乗った緑谷が、爆発の勢いに任せて吹き飛んでくる。どころか──
『抜いたああああーーーー!!!!』
「まじか緑谷くん……!」
三人の頭上を緑谷が通過していく。
「デクぁ!! 俺の前を行くんじゃねえ!!!」
「後ろ気にしてる場合じゃねえな…!」
爆豪と轟が追走する。
「しまった!」
イトも追い始める。が、一歩出遅れてしまった。
『元・先頭の三人、足の引っ張り合いを止め緑谷を追う!!』
勢いが弱まり始めた緑谷に、爆豪と轟が追いつき──
その時、緑谷の全身にスパークが走った。
(あれは……!)
合同訓練で見た光。
まだ不安定で、上手く使えないはず──だが、装甲の上に伏せている今は関係ない。
「っ……まだ……!!」
(──来る!!)
緑谷が装甲を振りかぶり、地面に叩きつけた。
──大爆発。
地雷が一斉に起爆し、凄まじい爆風が巻き起こる。轟と爆豪はまともに爆風を食らい、吹き飛ばされた。
イトだけは爆発の瞬間を捉え、咄嗟に身を低くして爆風の直撃を避けていた。それでも衝撃で体が揺れる。
『緑谷間髪入れず後続妨害!! なんと地雷原即クリア!! イレイザーヘッドおまえのクラスすげえなどういう教育してんだ!』
『俺は何もしてねぇよ。奴らが勝手に火ィつけ合ってんだろう』
「はぁ……くっそぉ……やっぱ実力不足なんかじゃないじゃんもう……かっこいいなあ……!!」
煙の向こうで、あのスパークをまとった緑谷が疾走している。
爆風が収まると同時にイトも駆け出したが、もうとても追いつけそうにない。
イトは自分の足は止めないまま、小さくなっていく緑谷の背中を見送った。
『さァさァ序盤の展開から誰が予想できた!?』
『今一番にスタジアムへ還ってきたその男────』
『緑谷出久の存在を!!!』
歓声が轟く。
(出久くん……おめでとう!!)
だが感動に浸る暇はない。イトは止まらず、全力で走った。
轟と爆豪が後方で立ち上がる気配。だが爆発の直撃を受けた二人より、回避に成功したイトの方が早い。
(行ける──!)
ゴール。
『二位通過!! 安良久根!!!』
直後、轟と爆豪が激しくゴールに飛び込んだ。
『三位轟!! 四位爆豪!! 上位は全員1-A!!! すげえなおい!!!』
『経験が活きてるんだろう』
*
息を整える暇もなく、ミッドナイトが壇上に立った。
「上位42名が予選通過よ! おめでとう!!」
予選通過者が発表される。二位だったにも関わらず、イトは思わず自分の名前を探してしまった。
(とりあえず生き残った! 上位だし、滑り出しは順調かも!)
「次からいよいよ本戦よ!! ここからは取材陣も白熱するからキバリなさい!!」
生徒たちに緊張が走る。
「さーて第二種目よ、種目はー……」
ドラムロール。ホログラムが切り替わる。
「騎馬戦よ!!」
ミッドナイトがルールを説明する。二~四人で一組の騎馬を作る。制限時間15分の間に、個性発動ありでチームの合計点数が書かれた騎手の鉢巻を奪い合う。
攻撃はOKだが鉢巻を奪う目的に限り、崩し目的での悪質な攻撃は退場となる。
制限時間内に持っている鉢巻のポイントの合計で順位が決まる。
「ポイントは予選の順位で決まるわ! 最下位42位が5ポイント、41位が10ポイント……というように下から加算されていくの」
(じゃあ私は……二位だから結構なポイントか)
「そして……一位のポイントは!」
ミッドナイトが指を立てる。
「1000万ポイントよ!!」
会場が凍りついた。
「い、1000万……!?」
全員の視線が、緑谷に集中した。
「えっ」
緑谷の顔が、みるみるうちに青ざめていく。
(出久くん……!)
1000万ポイント。それはつまり──緑谷の鉢巻を奪えば、他に何もしなくても優勝できるということ。全チームが緑谷を狙う。
上を行く者には更なる受難を……いつもの雄英だった。
「チーム決めの時間は15分よ! 好きに組みなさい!」
解散の合図と同時に、会場が一気に騒がしくなる。
──そして、緑谷の周囲から人が引いていった。
1000万の鉢巻をつけた騎手のチームに入れば、全方位から狙われる。リスクが高すぎる。誰もが緑谷を避けている。
(……どうしよう)
イトは緑谷に声をかけるか迷っていた。
(でも……私情で声をかけるのはなんか…これは真剣勝負なんだし…いやでも)
足が止まる。進んで、止まる。
(ああああ何やってんの私、友達なんだから声くらい普通にかければいいじゃんもう!!)
もう一度歩き出した──が。
「デクくん! 組も」
「麗日さん!!!」
「わっ」
麗日が、まっすぐに緑谷の元へ走っていった。
「いっ…良いの!? たぶん僕1000万故に超狙われるけど…」
「ガン逃げされたらデクくん勝つじゃん」
「そ、それ過信してる気がするよ麗日さん…」
「するさ! 何より、仲良い人とやった方が良い!」
(……麗日さん、すごい)
イトがまごついている間に、麗日は迷いなく動いていた。あの真っ直ぐさが、眩しい。
「どうしたの不細工だよ!?」
「直視出来ないくらいうららかで…」
(……今からでも、私も…)
「よう安良久根!」
「わあ!」
声がした。振り返ると、切島が立っていた。
「まだチーム決まってねえか?」
「え? う、うん」
「間に合ってよかったぜ! 俺らと組まねえ?」
「切島くんと? えっと…他には誰が」
切島が親指で背後を指した。
「爆豪と芦戸」
「──え」
「あァ!?」
その方向を見ると、爆豪が腕を組んでこちらを睨んでいた。
「フザけんな切島!! なんで蜘蛛女なんだよ!!!」
「だってよ爆豪、安良久根だって強ぇぜ。強ぇ騎馬が欲しいんだろ?」
「知るかこいつァ俺がブッ殺すンだよ!! 組んだら殺せねえだろうが!!!」
爆豪が荒れに荒れている。イトをチームに入れるのは死んでも嫌だという顔だった。
「戦うなら次の種目でもいいだろ! 俺は安良久根が良いと思うぜ」
爆豪が歯を食いしばって黙った。まだ納得はしていないという顔だ。
「あ、あの、私は別に……」
「私も賛成!」
芦戸が手を振っている。
「一緒にやろうよ! 楽しそうじゃん!」
「芦戸さん……」
「ほら芦戸も言ってっしよ! 勝ちてえだろ爆豪!」
「……チッ」
爆豪が舌打ちした。
「……今回だけだ」
「よっしゃ決まり! 安良久根、よろしくな!」
「う、うん。切島くんありがとう」
「忘れんなよ、テメェは俺ん敵だからな。次の種目じゃ障害走の分の借りごと返してやる」
「は、はい……がんばります……」
(爆豪くんのチームに入っちゃった……)
チーム決定。爆豪(騎手)、切島、芦戸、イト。
イトは小さくため息をつきながら、緑谷チームの方を見た。緑谷がこちらに気づいて、少し申し訳なさそうに手を振っている。
(……いや、やるからには全力でやるんだ。轟くんにも、出久くんにも……勝つ)
イトは手を振り返した。
イトは爆豪チームです。なぜって? トーナメント参加者の調整がだるかったからです(本音)
いやでも割とちゃんとした形で入れたと思うからゆるしてほしい…ありがとう切島くん。
マジな話仮に緑谷麗日発目イトの緑谷ハーレムを形成しちゃうと強すぎるんですよ。
まず発目麗日コンビにより元々あった高い機動力に加えて、イトの吸着のせいで多少無茶な動きしても騎馬は崩れなくなるし、その状態でイトが騎手になりでもしたらほぼ誰も鉢巻奪えないし……というわけで原作の瀬呂くんの位置にそのまま収まりました。
ちなみに現在の緑谷のフルカウルですが
・立ち止まった状態で数秒集中しないと発動できない
・発動後も動き出したら長く保たない
というくらいの習熟具合です。原作体育祭よりは強くなってますが保須の頃には及んでません。
中学編、USJ編みたいな章区分あった方がいいですか?
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あった方がいいかも
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なくてもいいかも