僕のヒーローアカデミア:スパイダーウェブ   作:スパイダーキャット

25 / 35
第23話 今回だけ

 

『A組緑谷、爆風で猛追ーーーー!!? っつーか……』

 

 

 ロボットの装甲に乗った緑谷が、爆発の勢いに任せて吹き飛んでくる。どころか──

 

 

『抜いたああああーーーー!!!!』

 

 

「まじか緑谷くん……!」

 

 三人の頭上を緑谷が通過していく。

 

「デクぁ!! 俺の前を行くんじゃねえ!!!」

「後ろ気にしてる場合じゃねえな…!」

 

 爆豪と轟が追走する。

 

「しまった!」

 

 イトも追い始める。が、一歩出遅れてしまった。

 

 

『元・先頭の三人、足の引っ張り合いを止め緑谷を追う!!』

 

 

 勢いが弱まり始めた緑谷に、爆豪と轟が追いつき──

 

 その時、緑谷の全身にスパークが走った。

 

(あれは……!)

 

 合同訓練で見た光。

 まだ不安定で、上手く使えないはず──だが、装甲の上に伏せている今は関係ない。

 

「っ……まだ……!!」

 

(──来る!!)

 

 緑谷が装甲を振りかぶり、地面に叩きつけた。

 

 

 ──大爆発。

 地雷が一斉に起爆し、凄まじい爆風が巻き起こる。轟と爆豪はまともに爆風を食らい、吹き飛ばされた。

 イトだけは爆発の瞬間を捉え、咄嗟に身を低くして爆風の直撃を避けていた。それでも衝撃で体が揺れる。

 

 

『緑谷間髪入れず後続妨害!! なんと地雷原即クリア!! イレイザーヘッドおまえのクラスすげえなどういう教育してんだ!』

『俺は何もしてねぇよ。奴らが勝手に火ィつけ合ってんだろう』

 

 

「はぁ……くっそぉ……やっぱ実力不足なんかじゃないじゃんもう……かっこいいなあ……!!」

 

 煙の向こうで、あのスパークをまとった緑谷が疾走している。

 爆風が収まると同時にイトも駆け出したが、もうとても追いつけそうにない。

 イトは自分の足は止めないまま、小さくなっていく緑谷の背中を見送った。

 

 

『さァさァ序盤の展開から誰が予想できた!?』

 

『今一番にスタジアムへ還ってきたその男────』

 

 

 

『緑谷出久の存在を!!!』

 

 

 

 歓声が轟く。

 

(出久くん……おめでとう!!)

 

 だが感動に浸る暇はない。イトは止まらず、全力で走った。

 轟と爆豪が後方で立ち上がる気配。だが爆発の直撃を受けた二人より、回避に成功したイトの方が早い。

 

(行ける──!)

 

 ゴール。

 

『二位通過!! 安良久根!!!』

 

 直後、轟と爆豪が激しくゴールに飛び込んだ。

 

『三位轟!! 四位爆豪!! 上位は全員1-A!!! すげえなおい!!!』

『経験が活きてるんだろう』

 

 

    *

 

 

 息を整える暇もなく、ミッドナイトが壇上に立った。

 

「上位42名が予選通過よ! おめでとう!!」

 

 予選通過者が発表される。二位だったにも関わらず、イトは思わず自分の名前を探してしまった。

 

(とりあえず生き残った! 上位だし、滑り出しは順調かも!)

 

「次からいよいよ本戦よ!! ここからは取材陣も白熱するからキバリなさい!!」

 

 生徒たちに緊張が走る。

 

「さーて第二種目よ、種目はー……」 

 

 ドラムロール。ホログラムが切り替わる。

 

「騎馬戦よ!!」

 

 ミッドナイトがルールを説明する。二~四人で一組の騎馬を作る。制限時間15分の間に、個性発動ありでチームの合計点数が書かれた騎手の鉢巻を奪い合う。

 攻撃はOKだが鉢巻を奪う目的に限り、崩し目的での悪質な攻撃は退場となる。

 制限時間内に持っている鉢巻のポイントの合計で順位が決まる。

 

「ポイントは予選の順位で決まるわ! 最下位42位が5ポイント、41位が10ポイント……というように下から加算されていくの」

 

(じゃあ私は……二位だから結構なポイントか)

 

「そして……一位のポイントは!」

 

 ミッドナイトが指を立てる。

 

 

「1000万ポイントよ!!」

 

 

 会場が凍りついた。

 

「い、1000万……!?」

 

 全員の視線が、緑谷に集中した。

 

「えっ」

 

 緑谷の顔が、みるみるうちに青ざめていく。

 

(出久くん……!)

 

 1000万ポイント。それはつまり──緑谷の鉢巻を奪えば、他に何もしなくても優勝できるということ。全チームが緑谷を狙う。

 

 上を行く者には更なる受難を……いつもの雄英だった。

 

 

「チーム決めの時間は15分よ! 好きに組みなさい!」

 

 解散の合図と同時に、会場が一気に騒がしくなる。

 

 ──そして、緑谷の周囲から人が引いていった。

 

 1000万の鉢巻をつけた騎手のチームに入れば、全方位から狙われる。リスクが高すぎる。誰もが緑谷を避けている。

 

(……どうしよう)

 

 イトは緑谷に声をかけるか迷っていた。

 

(でも……私情で声をかけるのはなんか…これは真剣勝負なんだし…いやでも)

 

 足が止まる。進んで、止まる。

 

(ああああ何やってんの私、友達なんだから声くらい普通にかければいいじゃんもう!!)

 

 もう一度歩き出した──が。

 

「デクくん! 組も」

「麗日さん!!!」

「わっ」

 

 麗日が、まっすぐに緑谷の元へ走っていった。

 

「いっ…良いの!? たぶん僕1000万故に超狙われるけど…」

「ガン逃げされたらデクくん勝つじゃん」

「そ、それ過信してる気がするよ麗日さん…」

「するさ! 何より、仲良い人とやった方が良い!」

 

(……麗日さん、すごい)

 

 イトがまごついている間に、麗日は迷いなく動いていた。あの真っ直ぐさが、眩しい。

 

「どうしたの不細工だよ!?」

「直視出来ないくらいうららかで…」

 

(……今からでも、私も…)

 

「よう安良久根!」

「わあ!」

 

 声がした。振り返ると、切島が立っていた。

 

「まだチーム決まってねえか?」

「え? う、うん」

「間に合ってよかったぜ! 俺らと組まねえ?」

「切島くんと? えっと…他には誰が」

 

 切島が親指で背後を指した。

 

「爆豪と芦戸」

 

「──え」

「あァ!?」

 

 その方向を見ると、爆豪が腕を組んでこちらを睨んでいた。

 

「フザけんな切島!! なんで蜘蛛女なんだよ!!!」

「だってよ爆豪、安良久根だって強ぇぜ。強ぇ騎馬が欲しいんだろ?」

「知るかこいつァ俺がブッ殺すンだよ!! 組んだら殺せねえだろうが!!!」

 

 爆豪が荒れに荒れている。イトをチームに入れるのは死んでも嫌だという顔だった。

 

「戦うなら次の種目でもいいだろ! 俺は安良久根が良いと思うぜ」

 

 爆豪が歯を食いしばって黙った。まだ納得はしていないという顔だ。

 

「あ、あの、私は別に……」

「私も賛成!」

 

 芦戸が手を振っている。

 

「一緒にやろうよ! 楽しそうじゃん!」

「芦戸さん……」

「ほら芦戸も言ってっしよ! 勝ちてえだろ爆豪!」

「……チッ」

 

 爆豪が舌打ちした。

 

「……今回だけだ」

「よっしゃ決まり! 安良久根、よろしくな!」

「う、うん。切島くんありがとう」

「忘れんなよ、テメェは俺ん敵だからな。次の種目じゃ障害走の分の借りごと返してやる」

「は、はい……がんばります……」

 

(爆豪くんのチームに入っちゃった……)

 

 チーム決定。爆豪(騎手)、切島、芦戸、イト。

 

 イトは小さくため息をつきながら、緑谷チームの方を見た。緑谷がこちらに気づいて、少し申し訳なさそうに手を振っている。

 

(……いや、やるからには全力でやるんだ。轟くんにも、出久くんにも……勝つ)

 

 イトは手を振り返した。

 





イトは爆豪チームです。なぜって? トーナメント参加者の調整がだるかったからです(本音)

いやでも割とちゃんとした形で入れたと思うからゆるしてほしい…ありがとう切島くん。

マジな話仮に緑谷麗日発目イトの緑谷ハーレムを形成しちゃうと強すぎるんですよ。
まず発目麗日コンビにより元々あった高い機動力に加えて、イトの吸着のせいで多少無茶な動きしても騎馬は崩れなくなるし、その状態でイトが騎手になりでもしたらほぼ誰も鉢巻奪えないし……というわけで原作の瀬呂くんの位置にそのまま収まりました。

ちなみに現在の緑谷のフルカウルですが
・立ち止まった状態で数秒集中しないと発動できない
・発動後も動き出したら長く保たない
というくらいの習熟具合です。原作体育祭よりは強くなってますが保須の頃には及んでません。

中学編、USJ編みたいな章区分あった方がいいですか?

  • あった方がいいかも
  • なくてもいいかも
  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。