RE:対魔忍世界転移憑依物語 ─綴木みこと─ 作:楠崎 龍照
夕方、学生対魔忍たちがそれぞれ、帰路や部活へと向かう中、無事に保健室から出た私は、卯奈、相州さん、上原さん、ふうまさんの護衛の元、綴木みことが住んでる寮へとたどり着いた。
扉が開く。
目に入る机、椅子、ベッド、畳まれた服、充電中の端末、棚に並んだ小物、使いかけのノート、明らかに高そうな高スペックPC。
その当たり前の一つ一つが、私の胸を締めつけた。
ここで、綴木みことは生活していた。
朝起きて、服を選んで、端末を触って、眠って。
何でもない日常を過ごしていた。
その場所に、今から私が入る。
「……あぁぁぁぁぁぁぁぁ」
頭を抱える。
私の部屋じゃない。
私がいていい場所じゃない。
そう思えば思う程、頭痛がした。
「こぉれは無理だろ……」
一般成人男性が、女子高生の部屋を使用する。
なんだこの拷問は……なんなんだこの拷問は……ここが地獄じゃなけりゃなんなんだ……。
これならまだハロウィンみことの……方がまだ地獄か。
これならまだ元いた職場の料理長にネチョネチョ威圧的な物言いを受けてる方がまだマシだ。
「……古寺さん?」
相州さんの声が聞こえる。
私は頭を抱えたまま、床に膝をついた。
「無理です」
自分でも驚くほど、即答だった。
「これは無理です。大変申し訳ないのですが、これは無理です」
「え、えっと……何が?」
相州さんが困惑した声を出す。
上原さんも、部屋の入り口で目を瞬かせていた。
「いや……だって……」
私は震える手で部屋の中を指差す。
「女子の部屋ですよ?」
「う、うん。みことちゃんの部屋だよ?」
「そうです。綴木みことさんの部屋です」
私は頭を抱えたまま、さらに声を低くした。
「そこに、二十代の成人男性の意識が入るんですよ?」
「……あー」
上原さんが、そこでようやく微妙な顔をした。
「それは……まあ、確かに……」
「確かにじゃないですよ。普通に事案ですよ。五車学園の校長先生公認とはいえ、倫理的には完全にアウト寄りのアウトですよ」
私がそう言うと、部屋の前にいた面々が何とも言えない顔をした。
卯奈は困ったように眉を下げ、相州さんは「あー……」と視線を泳がせ、上原さんは気まずそうに頬を掻いている。
ふうまさんだけが、妙に真面目な顔で私を見ていた。
「古寺さん」
「はい」
「言いたいことは分かる」
「分かっていただけますか」
「ああ」
ふうまさんは頷いた。
「けど、ここで廊下に座り込んでても何も解決しないぞ」
「うぐ……」
正論だった。
廊下に座り込んでいても何も解決しない。
……みことを戻したら、土下座して命で償おう。
つぐのひだ。
つぐのひ ─命界の誘い─ の始まりだ。
「いや、命で償うな」
ふうまさんが即座に言った。
「ま、まだ口に出してないんですけど」
「顔に出てた」
「そ、そ、そんなに出てましたか」
「出てた」
ふうまさんはため息をついてから「古寺さんの気持ちも分かる。だけど、入らないと何も始まらないし、ここで居続けると怪しまれるぞ」と言った。
「そ、そうです……よね……」
私は頷いてから、両手で頬をパンパンと叩いて喝を入れる。
「みことさん……本当にすみません。貴女のお部屋をお借りします。事が済めば、どんな償いも致しますので、お借りします……!!」
そのような念仏を唱えてから彼女の部屋へと入った。
「……とりあえず……うーん。とりあえず、みことの物を勝手に使うのは……ダメだから、ダンボールになおすのは……うーむ」
「勝手に片付ける方がダメじゃない?」
卯奈が控えめに突っ込んだ。
「うっ、そ、そうですよね……。因みに女性のお二人に聞きたいんですが、貴女方がみことの立場に立ったとして、勝手に私物を使われた場合、どう思いますか?」
私の問いに、卯奈と相州さんは顔を見合わせた。
「……うーん」
先に唸ったのは卯奈だった。
「正直に言うと、嫌かな」
「ですよねぇ」
「でも、今の状況だと、使わないわけにもいかないよね」
「ですよねぇ……!」
分かっていた。
分かっていたが、改めて言われると胃が痛い。
相州さんも困ったように腕を組む。
「勝手に引き出しを開けたり、端末の中を見たりするのは嫌かなぁ。でも、ベッドとか机とか、生活に必要なものは仕方ないと思う」
「生活に必要なもの……」
「服とか、洗面道具とか、学校の教材とか」
「うぐっ」
服。
その言葉で心が折れかけた。
「服……服かぁ……」
私は視線を、綺麗に畳まれた服の方へ向ける。
綴木みことの服。
綴木みことが着ていた服。
それを私が選び、私が着る。
「……持病の仮病を使って休みたい」
「持病の仮病って何だよ」
上原さんが即座に突っ込んだ。
「仮病が持病なんです」
「最悪の持病だな」
「ええ。高校時代からたまに発症していました」
「発症すんなよ」
上原さんのツッコミが、少しだけ場の空気を軽くする。
卯奈が小さく吹き出しかけて、それでもすぐに口元を押さえた。
「……古寺さんって、変なところで真面目なんだね」
「変なところで、は余計では?」
「ごめん。でも、ちょっと安心した」
「ど、どこらへんが?????」
私が本気で困惑すると、卯奈は少しだけ口元を緩めた。
「だって、普通ならもっと変な反応するかなって思ってたから」
「変な反応」
「うん。みことちゃんの部屋だーって、勝手に物色したりとか」
「まぁ、そ、そう言われたらそうですね。でも流石に気が引けますよ。もし、みことがこれを見てたとしたら終わりですからね」
それを聞いた卯奈は少し考えて「じゃあ見てなかったらしてたってこと?」と言った。
「………………………………………………………よし、まずは私服に着替えますね」
私は即答した。
「(……逃げた)」
卯奈の小さな呟きが聞こえた気がしたが、私は聞こえなかったことにした。
聞こえていない。
何も聞こえていない。
「えっと……では、着替えますので、男性陣は外へ」
「あ、ああ」
ふうまさんはすぐに頷いた。
上原さんも「そりゃそうだな」と言って、気まずそうに視線を逸らす。
「何かあったらすぐ呼べ」
「はい。ありがとうございます」
ふうまさんは一度だけ私を見る。
その目には、心配と警戒と、まだ整理しきれていないものが混ざっていた。
けれど、何も言わずに部屋を出ていった。
上原さんもそれに続く。
扉が閉まる。
部屋の中には、私と卯奈と相州さんだけが残った。
「……」
沈黙。
改めて、視線が服へ向く。
畳まれた私服。
制服。
下着類が入っているであろう引き出し。
「(ごめん……開けます……!!!)」
タンスを開けると同時に人として超えてはいけないラインを超えた気がした。
しかし、これはこの身体やみこととしての未来の為だと心の中で言い聞かせて、丁寧に彼女の私服に触れる。
比較的にラフな服装を選んだ私は、卯奈と相州さんに背を向けてもらいながら、できるだけ何も考えないようにして着替えを済ませようとする。
考えるな。
これは生活に必要な行為だ。
これは綴木みことの身体を守るために必要な行為だ。
これはやましいことではない。
これはやましいことではない。
これはやましいことではない。
「……終わりました」
どうにか着替えを終えた私は、魂が抜けたような声でそう告げた。
卯奈と相州さんが、恐る恐るこちらを振り返る。
「……大丈夫?」
「大丈夫ではないですが、大丈夫です」
私はそう答えて、深く息を吐いた。
精神的には全然大丈夫ではない。
だが、最低限、生活に必要な一線は越えた。
いや、越えてしまった。
越えざるを得なかった。
「みことさん……本当にすみません……」
小さく呟く。
誰に聞かせるわけでもない謝罪だった。
だが、卯奈には聞こえていたらしい。
「……古寺さん」
「はい」
「たぶんだけど、みことちゃんが今の状況を見てたら、怒るより先に困ると思う」
「困る」
「うん。だって、古寺さんがずっと謝ってるから」
卯奈は少しだけ苦笑した。
「みことちゃん、たぶんそういうの苦手だよ。にししって笑って誤魔化すと思う」
「……にしし、ですか」
私はその言葉を反芻する。
綴木みことが、困ったように笑う姿が脳裏に浮かぶ。
軽く肩を竦めて、にしし、と笑って。
そして多分、こう言うのだ。
『もー、そんなに謝られると、こっちが悪いことしてるみたいじゃないですかぁ』
……言いそうだ。
ものすごく言いそうだ。
私は少しだけフフッと笑みを浮かべて「いいそうですね」と言った。
私は時計をチラリと見る。
時間は6時になっていた。
夕方。
普通なら、そろそろ夕食の時間だ。
綴木みことは、この時間に何をしていたのだろう。
寮の食堂へ行くのか。
部屋で何か食べるのか。
それとも、友人と一緒に過ごすのか。
そんな、当たり前の生活情報すら、私は知らない。
「……卯奈」
「うん?」
「みことさんって、夕食どうしてました?」
「えっと……寮の食堂で食べることが多かったかな。たまに購買で何か買って、部屋で食べたりもしてたけど」
「食堂……かぁ……」
私は頭を抱える。
ここから本腰入れて綴木みことに成らなければならないと考えると、目眩がしてくる。
「……にししっ!」
私はみことらしい笑みを浮かべる。
「さぁ、ここからみことちゃんの本領発揮っ! ってところですね! 5年間綴木みことを見てきた古寺智樹の真骨頂舐めないでくださいっ!」
私は胸を張ってそう言った。
完璧だ。
今の私はかなり綴木みことっぽかった。
にししも入れた。
語尾の軽さも意識した。
表情も明るめ。
多分、外から見ればかなりそれっぽい。
「……」
だが、卯奈と相州さんは、何とも言えない顔で私を見ていた。
「……え、何ですかその顔」
「いや……」
卯奈が困ったように笑う。
「みことちゃんっぽいんだけど」
「はい」
「みことちゃんっぽいんだけど……」
「はい」
「なんか、みことちゃんを一生懸命真似してる人って感じがする」
トールハンマーを食らったような一撃が全身を走る。
魂が抜けたように肩を落とす私を見て、卯奈は慌ててフォローを入れる。
「あっ、違うの! 変って意味じゃなくて! えっと……その……」
卯奈は両手をわたわたと動かしながら、必死に言葉を探していた。
「似てるよ!? 似てるんだけど、なんていうか……みことちゃんって、もっと自然に変というか……」
「自然に変」
「違う違う違う! 悪口じゃなくて!」
卯奈が慌てて首を横に振る。
相州さんは横で苦笑していた。
「たぶん、卯奈が言いたいのは、頑張りすぎてるってことだと思うよ」
「が、頑張りすぎ……」
「うん。古寺さん、今のみことちゃんを完璧に再現しようとしてるでしょ?」
「……それは、まぁ」
私は視線を逸らす。
「完璧に再現しないと、綴木みことさんの日常を壊すことになるので……」
「……それが逆に変かも」
卯奈が、少し言いづらそうに言った。
「みことちゃんって、いつも全部完璧にやってるわけじゃないよ。眠そうな時もあるし、変なこと言う時もあるし、たまに何考えてるか分かんない時もあるし」
「……それは綴木みことさんへの評価として大丈夫なんですか?」
「大丈夫だよ。褒めてるもん」
「ほ、褒めてる……?」
私が困惑すると、相州さんが苦笑した。
「たぶんね、古寺さんが思ってる“綴木みこと”って、かなり綺麗に整理された綴木みことなんだと思う」
「綺麗に整理された……」
「うん。知識としてのみことちゃん。画面越しに見ていたみことちゃん。台詞とか、仕草とか、そういうのはすごく知ってるのかもしれないけど」
相州さんは、部屋の中を軽く見渡した。
「実際のみことちゃんは、もっと普通だよ。部屋でぼーっとするし、疲れてたら返事も雑になるし、たまに変なところで意地張るし」
「……」
それは、私が知らない綴木みことだった。
私は綴木みことを知っているつもりだった。
台詞も、表情も、イベントも、性能も、回想も。
何度も見てきた。
でも、そういう、何でもない日常の綴木みことを、私は知らない。
「……そっか」
思わず、そんな声が漏れた。
綴木みことの事を知っているつもりでいたが、何も知らないのだと、痛烈に感じた。
「ただ、それでも……いま前に進まないといけないですね。綴木みことさんの為にも」
そう言って、私は無理矢理に背筋を伸ばした。
食堂へ行き、綴木みこととして振る舞う。
周囲に違和感を持たせないように、いつも通りの綴木みことを演じる。
「……よし」
私は自分の頬を軽く叩いた。
「では、食堂へ行きましょう。綴木みこと、初陣です」
「いや、行かないぞ」
扉の向こうから即座に声が返ってきた。
「え?」
振り返ると、ふうまさんが扉の外からこちらを覗き込んでいた。
もちろん、部屋の中へ勝手には入ってこない。
扉の横に立ったまま、呆れたような顔をしている。
「今日は休めって言われただろ」
「……ですが、綴木みことさんの日常を守るためには、早急に通常行動へ移行する必要が」
「それっぽい言い方しても駄目だ」
ふうまさんはばっさり切った。
「昨日、拉致されて暴行を受けたんだぞ。今日くらい部屋で休んでも不自然じゃない」
「つまり……」
私は静かに口を開く。
「持病の仮病を使って休んでもいい、と」
「持病じゃないし仮病でもないよ」
上原さんの声が扉の向こうから飛んできた。
「普通に怪我人だよ」
「正論が痛い……」
「腹も痛いだろ」
「そこは本当に痛いです」
私が腹を押さえると、卯奈が慌ててこちらへ近づいてきた。
「ほら、やっぱり無理してる! 今日は部屋で休も? 食堂は私たちが何か持ってくるから」
「いえ、そこまでしていただくわけには」
「そこまでさせて」
卯奈の声が、少しだけ強くなった。
「みことちゃんのためにも、古寺さんのためにも。今日は休んで」
その言葉に、私は返す言葉を失った。
その二つを並べられると、どうにも弱い。
「……わ、分かりました」
「じゃあ、私たちが食堂で何か持ってくるね」
卯奈がそう言うと、相州さんも頷いた。
「食べられそうなものの方がいいよね。お腹痛いなら、重いものは避けた方がいいかも」
「ありがとうございます……」
そう言い終わると、卯奈と相州さんも、食事を取りに行くために部屋を出ていった。
扉が閉まる。
「……」
部屋の中に、静けさが落ちる。
いや、正確には完全な一人ではない。
扉の外には、ふうまさんと上原さんがいる。
けれど、それでもこの部屋の中にいるのは私だけだった。
綴木みことの部屋に、私一人。
その時、私はまだ気づいていなかった。
腕に、小さな蚊のようなものが止まっていることに。
そしてそれが、静かに私の血を吸っていたことに。
「(お、落ち着かんな……)」
私はキョロキョロと辺りを見渡す。
意識して気がついたのだが、みことの香りが私の鼻腔をくすぐり、脳内で変な感情が湧き出てしまう。
「(い、いかん……これは不味い事態だ……)」
私は首をブンブン振って、クソみたいな煩悩を振り払う。
その時だ、ズキっと腹部に痛みが走る。
「イタタタ……やっぱりまだ痛むなぁ……」
そう言ってお腹を摩っていると、右腕に蚊にかまれたような、小さな赤い点が、肌の上に残っているのに気がつく。
「蚊……?」
思わず呟く。
この時期に蚊か。
いや、五車学園なら森も多いし、普通にいるのかもしれない。
そう思い、私は深く考えずに赤くなった部分を軽く掻いた。
それでも少し痒いので田んぼの田を爪で付けて痒みを抑える。
そんなことをしていると、扉が開いた。
「おまたせ、みことちゃん。食堂から持ってきたよ」
卯奈と相州さんが、食事を乗せた盆を持って戻ってきた。
後ろには、廊下側に立つふうまさんと上原さんの姿も見える。
二人とも中には入ってこない。
その辺りは徹底してくれているらしい。
「ありがとうございます……」
私は慌てて右腕を下ろし、蚊に刺された跡を隠すように袖を引いた。
「大丈夫? なんか掻いてなかった?」
「え? あ、蚊です。たぶん蚊に刺されました」
「蚊?」
相州さんが少しだけ眉をひそめた。
「この部屋で?」
「ええ。五車って森も多いですし、まあ蚊くらいはいるのかなぁと」
「うーん……まあ、いるにはいるけど」
相州さんは部屋の中を見渡す。
何か引っかかったような顔だったが、すぐに盆を机の上へ置いた。
「とりあえず、先にご飯食べよ。お腹痛いなら、あんまり重いものは避けた方がいいと思って、お粥っぽいのにしてもらったから」
「お粥……」
湯気の立つ器。
添えられた小さな惣菜。
水と、胃に優しそうな薬味。
……こういう優しさをされると……20代の社会人には致命的だ。
涙が出るのを必死に堪えながら「美味しい」とだけ振り絞り、お粥を食べた。
惣菜もお粥も、今まで食べたご飯の中で1番美味しかった。
優しい味がした。
「ありがとう」
私は笑顔で2人に言った。
卯奈は少しだけ目を丸くして、それから小さく笑った。
「……どういたしまして」
「無理に全部食べなくてもいいからね」
「はい。でも、食べられる分は食べます。体力を戻さないといけませんから」
そう言って、私はもう一口、もう一口と口に運び、食事を終える頃には、窓の外はすっかり暗くなっていた。
「今日はもう寝よ?」
卯奈がそう言った。
「明日からのことは、明日考えればいいよ。今日はもう、いっぱい頑張ったんだから」
「……はい」
私は小さく頷いた。
「今日は、休みます」
卯奈と相州さんは、食器を片付けてくれた。
その間、私はベッドの方を見ないようにしていた。
だが、見ないようにすればするほど、意識はそこへ向かう。
綴木みことのベッド。
綴木みことが眠っていた場所。
そこに、今夜は私が眠る。
「……」
心臓の鼓動が早くなる。
やましい気持ちはない。
やましい気持ちは一切ない。
念仏のように永遠と心の中で唱えながら、私はベッドへ身体を横たえた。
「じゃあ、私たちは一度戻るね。何かあったらすぐ連絡して」
「はい。ありがとうございます」
扉の外から、ふうまさんの声がした。
「古寺さん」
「はい」
「一人で外に出るなよ」
「出ません。流石に今日はもう出ません」
「本当だな?」
「信用がない」
「昨日の今日だからな」
「ぐうの音も出ないです」
ふうまさんは小さく息を吐いた。
「何かあったらすぐ呼べ。俺か卯奈たちに連絡しろ」
「……はい」
私は頷いた。
「おやすみ、みことちゃん」
卯奈が、外向きの呼び方でそう言った。
「……おやすみ、卯奈」
私も、綴木みことの声で返した。
扉が閉まる。
足音が遠ざかっていく。
部屋に、静けさが落ちた。
「……みんな、ありがとう……」
それだけ呟いてから私は眠りについた。
目を閉じた時、涙がポロリと落ちた。
ここはマエサキの地下に設立された、ヨミハラに本拠地を置く、サルヴァミティ・カラメシアの中継地点。
「……対魔忍の血液採取完了しました……が、この対魔忍の血はどうします? どうやら忍法が開花していないようですが……」
「造魔忍に付与する血には向いていないな。DNAを抽出して、その素体にしよう。一応、大倉様に連絡を入れて聞いてみるよ」
続く……か、分からない。
多分続くかない。
RE:対魔忍世界転移憑依物語X ─綴木みこと─を作った方がいい?
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是非見たい。
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旧みことでいい。
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旧みことを残したまま、新みことX見たい。