時空のおっさん(概念)になったので色々する   作:Revak

5 / 9
第5話

 

 数日が経った。

 その間平和そのものだった。

 秩序の刃全体で見れば一度出動があったが全十番隊もあるのだ。他の部隊が出て行ったので三番隊は出て行かなかった。

 

 金曜の午後四時四十五分。透は隊舎の執務室でレポートを入力していた。

 執務室には隊長の机が一つと隊員の机が四つある。

 だがそのうちの一つは使われていない。理由は単純で隊員が透含め三人しかいないのだ。

 秩序の刃の部隊は基本百人から二百人で構成されているが三番隊は特殊だ。

 隊長である斎藤が強すぎるがゆえに少数精鋭でもなんとかなっているのである。

 秩序の刃全体で見ても百かける十で千人程度だが魔法世界では基本自衛なのでこれでもどうにかなっているし、魔法世界最大の街も四千人ぐらいしか住んでないので問題ない。

 

 そうして入力をしていると斎藤が透に話しかけた。

 

「透さん、バザーに興味ないですか?」

「バザー、ですか?」

「はい。十月の十日に東京ビッグサイトでバザーがあるんです。いろんな魔道具売ってるんですよ」

「それは……興味ありますね」

 

 魔道具の店自体には一度行った事がある。

 一応体力回復と魔力回復のポーションを三つほど買っただけに終わった。

 それでも魔道具へのあこがれは止められなく、いろんなものがあるというのなら見てみたいという感情がある。

 

「ぜひとも行きたいです。何時からですか?」

「朝の九時から午後四時までです。ただ魔道具は高いので結構お金持って行った方がいいですよ」

「そうですか……千万ぐらい用意しとけばいいですかね?」

「その五倍は用意した方が思い切って色々買えると思いますよ。あ、ただ注意点として魔法の方位磁石買っておいてください」

「なんでですか?」

「誰もかれも好きに空間弄って店を出すので方向感覚が狂う上、店の配置によって迷路のようになるので一度入ったら出れなくなるので方位磁石は必須です」

「わかりました、買っておきます」

「それじゃあ十日の日、一緒に行きましょ!」

 

(バザーか……何があるんだろう)

 

 ワクワクとしながら透は一日の仕事を終えた。

 

 

 

 ■

 

 

 十月十日。ビッグサイト前で。

 

「人多いっすね」

「まぁ、魔法世界最大のイベントともいえるんで、人は多いですね~」

 

 東京ビッグサイト前は人が多かった。

 といってもコミケのように何十万と人は来ない。多く見積もっても四千人程度だ。

 サークル、売る側は二百程度だ。

 

 周りを見れば臨時の両替所も立っている。あれ法律大丈夫だろうかと透は心配した。

 

 透と斎藤はビッグサイト内に足を踏み入れた。

 

 透にとっては二度目のビッグサイトだ。夏のコミケに何気参加している。客として。

 

 会場に入るとアナウンスが響く。

 

「魔道具バザー二千二十六、開催です。皆さん節度を守って楽しみましょう」

 

「まずはどこ行きます? 私おすすめのところあるんですがそこ行きます?」

「じゃあまずはそこに行きましょう」

 

 という訳で二人は会場内を歩く。

 

(こうしてみるとコミケとはまるで別だな)

 

 会場何は何かの屋台や露店、リヤカー式の屋台なんてものもある。

 売っているのはもちろん魔道具だ。そのどれもから魔法の力を感じさせる。

 

 少し歩く事で目的地に到着する。

 

「神殿かなにかか?」

 

 着いたのは思わずそう呟いてしまう場所だった。

 神聖な雰囲気がこれでもかと出ている玉座に机が幾つか置かれ魔道具が売られている。

 

 玉座に座るのは死だった。

 

 

 二メートルほどの長身。肉も皮膚もない、死者の到達点たる白い骨の姿。

 豪華絢爛なローブを纏い、眼孔には青い炎が灯っている。

 

「──さて、諸君今年も参加してくれて感謝しよう」

 

 その死、アオス・シュテルベン・モルトは口を開いた。

 

「知を停滞させないというシエロの意見に私も賛同しよう。我が英知の欠片に触れ、魔法を発展させるがよい」

 

 アオスがそういうと奥から二人の美女が出てきた。

 

 一人はアオスにも劣らぬ長身の美女だ。

 銀髪碧眼の絶世の美女。美という概念がそのまま擬人化したかのように美しい。

 背中からは白い天使の翼が生えており、頭上には天使の輪がある。

 天使の幻獣であり名をセラという。

 

 もう一人は対照的に黒い女だ。

 こちらもセラに負けない美貌を持っており、セラと大きく違うのはその豊満な胸だ。

 そして露出が激しい服を着ている。コミケでもギリ駄目なタイプの服だ。鼠径部が見えそうであり胸は綻び出そうである。

 背中からは蝙蝠の翼が生え、臀部からは先端がハートマークの黒いしっぽが生えている。

 名をバアルという悪魔だ。

 

 余談だが二人とも天使と悪魔を名乗っているがあくまで自称であり、聖典に記された存在ではない。

 あとから都合がいいからそれ名乗っとくかで名乗っているタイプである。

 

「私が受付をいたします」

 

 セラがそう言うと客が色めき立った。美人というのは得である。

 

「あの人が……」

「はい。四賢人の一人、アオス・シュテルベン・モルト様です。アオス様はアーカディアに住んでないのでお会いできるのはこういった行事の際だけですね」

「へぇ……」

 

 あれが魔法世界の頂点の一人か、と透は戦慄する。

 ここからでもわかるプレッシャーにカリスマ性。偉人とはまさしく偉大だからこそだと真に理解する。

 

 二人は机の上の商品を見る。

 

(七日で創れるホムンクルス製造キット。呪い対策のタリスマン。幸運上昇のネックレス……あ、全言語理解のピアスなんてのもあるのか)

 

 面白いな、と思い透は全言語理解のピアスと呪い対策のタリスマン、不老長寿セットを買った。

 五十万した。

 

 余談だが、魔法世界では割と気軽に不老長寿になれる。

 といっても何千年と生きることは出来ず、平均値を言うならば五百年程度になる。

 そこから更に才がある者は千年以上生きることも可能だが、現状二千年を超えて生きているのは四賢人しかいない。

 不老長寿は人によって差が大きく出る。百年老いずにいたから長寿だろうと思っていたら普通に百二十歳でぽっくり死ぬこともある。

 

 この世界で完全な不老不死を成したのはアオス・シュテルベン・モルト一人である。

 

 

 他にもいろいろ見て回ろう、と二人はサークルを見て回る。

 消耗品型の魔道具を買ったり、マナポーション……魔力回復薬が大安売りしていたので大量買いしたり。千万した。

 

 そうして歩いていると斎藤が面白い物を見つけましたよ、と興奮した顔で透に告げた。

 

「なんです?」

「あのお店面白そうじゃないですか?」

 

 斎藤が指さしたのはある眼鏡をかけた少女が開いている店だ。

 今時珍しい丸鏡である。更には魔女のとんがり帽子をかぶっている。

 

 透と斎藤はサークルに近づく。すると店主らしき少女は立ち上がって歓迎してきた。

 

「ようこそいらっしゃいました! 当店ではいろんなクスリなどをそろえています!」

 

 机の上を見れば確かに多種多様な薬が置いてあった。

 

「……これは?」

 

 ラベルにTSと書かれた薬を透はとった。

 

「はい。TS、トランスセクシャル薬です。飲むと性別が反転します」

「じゃあこれは?」

 

 斎藤が別の瓶をとった。

 ラベルにはBFTと書いてある。

 

「そちらは爆乳ふたなり化薬です。クリトリスがちんぽになりますが巨根にはなりません」

 

 斎藤はすっと薬を戻した。

 

「これは?」

 

 透は今度は馬並と書いてある瓶をとった。

 

「それはちんぽが馬並みにでかくなる薬です。精力も相応に上がりますよ」

 

 透は一瞬悩んだ後元に戻した。

 

「この店色物しか売ってないので?」

 

 このラインナップなら人が寄り付かないのも納得であった。

 

「で、でしたら薬ではありませんが当店一押しの商品がございます!」

 

 少女は奥から箱を取り出した。

 厳重そうな箱だ。

 少女が箱を開けて中を見せる。中には赤く脈打つ卵があった。鶏のLサイズの卵並みのサイズである。

 

「うわ、これ幻獣の卵ですか? すごいの持ってますね」

「幻獣の卵……確か時折生まれる幻獣の一種でしたっけ」

 

 幻獣の卵。

 時折自然発生する幻獣の一種。

 生まれてから時間が経つと周囲の魔力を吸収し孵化する幻獣。

 生まれる時周囲の魔力や過去の残留思念などから生まれる幻獣が変わるというレアものだ。

 生まれる確率が低いだけでなく、魔法使いにとっては欲しがるものでもある。

 

 うまいこと卵とパスをつなげばそれはパスをつないだ主と相性のいい使い魔が生まれるのだ。

 

 使い魔は幻獣にとって必要な物の一種だ。

 主と契約を結ぶことで存在維持をすることが出来る。

 といっても使い魔という名の通り使い魔らしく仕事を振られるが。

 

「はい! 一個ぽっきりで一億円です!」

「いちおくえん」

 

 透は提示されたその金額に顎を外した。

 一億など人が生涯かけて稼ぐ金額である。前までの透ならば決して払えぬ金額だ。

 だが、今の透は宝くじを当て七億持っている。一億払えなくもないのだ。

 因みに魔道具バザーに消費税とかはない。

 

「まぁ、最低でも六千万はしますからね……きちんと保管された幻獣の卵ならそれぐらいしますね」

「そうなんです?」

「はい。幻獣の卵は少しでも管理を怠ると勝手に孵化しちゃうんですよ。自己維持のための魔力吸収が出来る程度に封印しておくんですがこれが難しく……少しでも余剰分が出るとすぐ孵化しちゃいますし」

「へぇ……けど一億……一億か……」

 

 透は割と買う気になっていた。

 ドラゴンに乗る己を想像し、顔が似合わないと思いつつけど乗ってみたいと思っていた。

 

「よし、買います。少し待ってください」

 

 透は瞬間移動をした。

 銀行に行き一億引き落とし、五分で会場内に転移して戻ってきた。

 何気ビッグサイト内は空間がめちゃくちゃになっているがさらりと転移を可能にしている分透は能力を磨いている。

 

「これ、現ナマ一括払いでお願いします」

 

 透は自分用の異空間から札束をばたばたと出した。

 

「はり! お買い上げありがとうございましゅ!」

 

 店主の少女はそれはそれは深い礼をした。

 

 こうして透は幻獣の卵を手に入れ、異空間にしまっておいた。

 

「あ、何かおまけとかいります?」

「……………………だったらこのTS薬ください」

 

 女になってみたい願望があるので一本貰っておいた。

 

  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。