時空のおっさん(概念)になったので色々する   作:Revak

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第6話

 魔道具バザーの翌日。

 

「……よし」

 

 透は自宅の居間で大量のマナポーションを机の上に置いていた。

 

「いやー、圧巻ですね。いくらしたんです?」

 

 部屋にもう一人いた。斎藤だ。

 

「ざっと千万です……すみません隊長、私用を頼んじゃって」

「いえいえ。透さんが使い魔を得ればそれは三番隊の戦力増強にも繋がりますからね。これぐらいなんてことないです」

 

 そう。今日は透が使い魔を得る日だ。

 幻獣の卵を買った次の日に即契約を結ぶというテンポが速いことである。

 

「それじゃあ、念のために私が居ますが……基本、使い魔契約はマウントの取り合いです。自分こそが上だという自覚をもって挑むように」

「はいっ!」

 

 今からするのは使い魔の孵化と契約だ。

 

 契約はさっき言った通りで、孵化に関してはやることがある。

 本来強い使い魔にするために大量の魔道具などを部屋に置くことで魔力を吸収させまくるのが孵化の基本だが、今回それは出来ない。

 何故かというと大量の魔道具をそも持っていないし、今から買うにしても資金不足だからだ。

 まだあと約六億残っているがその金全てを使う気は透にはない。

 

 そのため代案として千万だして大量に買い込んだマナポーションを使うという訳だ。

 

 

「では、行きます!」

 

 厳重の卵に透は触れた。

 

 瞬間パスがつながり魔力がどんどん吸われていく。

 

「さぁさぁ飲んで飲んで飲んで! じゃないと死んじゃいますよ!」

 

 それに何かアクションを返す余裕もなく透はマナポーションをがぶ飲みしていく。

 飲んだはしから魔力に変換しそれが吸われるという事が続いて行く。

 

 そうして買ったマナポーションがあと一つになった途端、幻獣の卵がひび割れた。

 

 中からぬるりと成人男性が湧いて出てきた。

 

 身長百八十七と圧倒的高身長。

 黒い髪に赤い瞳。

 そして何よりもその美貌。セラやバアルに劣らぬ美しい顔をしている。イケメンだ。

 男である。執事服を着た男であり骨格もきちんと男だ。

 背中には蝙蝠の翼が生えている。

 

「初めまして、マイマスター」

 

 にっこりと男は笑みを浮かべた。

 

 マナポーションの飲みすぎて腹がちゃぽちゃぽしている透はなんとか尊厳を守りつつ威圧感を出した。

 空間を弄り体がきしむ程度に圧縮する。

 

「今日から俺が主だ、使い魔」

 

 その台詞に男は笑みを浮かべた。

 かと思えば膝をついて透の右手をとった。

 

「貴方こそ我が主です」

 

 そうして手の甲にキスをした。

 

「そうか……ならここに契約はなったな」

 

 こうして契約が結ばれた。

 

「では、私の名前を決めてください」

「名前か……既に決めてあるんだが、いいか?」

「構いません」

「お前は今日から『ジル』だ」

「わかりました。私はジル。大悪魔にございます」

 

 にっこりと、男──ジルは微笑んだ。

 

「いやーすごいの使い魔に出来ましたね」

 

 斎藤がぱちぱちと拍手をする。

 

「すみませんちょっとトイレ行ってきます」

 

 斎藤は飲みすぎて尿意が来たので全力でトイレに走った。

 

 数分後。居間に戻る。

 

 ジルと斎藤は座って何か話していた。

 

「すみませんお待たせしました」

「全然待ってないので大丈夫ですよー。それで今話してたんですが、ジルさんにも給料発生します」

「あ、使い魔にももらえるんですね……ありがとうございます」

「人材には金を出さないといけないですからね! 大船に乗ったつもりでいてください。それで、ジルさんの能力は……本人からどうぞ」

「はい。私は隠密、索敵、探知、妨害に特化しています。ですのでそれ以外は出来ませんが、それらの能力はスペシャリストクラスだと思ってください」

「おお、悪を探知するのに特化している……」

「後は翼を大きくしたり空飛んだり、他者の影に入ったりですね。そういったことが出来ます」

「凄いな、私の使い魔」

「はい。あなたの物なので」

 

 イケメンに笑みを浮かばれると透は何かいけないことをしている気がした。

 取りあえず男二人の共同生活になるし実家でるか……と透は考えた。

 

 

 

 

 

 ■

 

 

 ジルを使い魔にしてから三十年が経った。

 その間、特にこれと行ったイベントは起こらなかった。

 せいぜいが街を魔法で支配しようとした魔法使いを殺したりアマゾンの奥地で呪詛をばらまこうとしていた魔法使いをしばいたりしたぐらいだ。

 透は不老長寿になった。といっても普通の不老長寿とは違う。

 自分の寿命の時間を止めることで老いを完全に無くしたのだ。不死ではない。

 

 そうして三番隊の副隊長にまで上り詰めた透はアーカディアで一戸建ての家を買い、秩序の刃の三番隊隊長として活躍し、二つ名を得ていた。

 

 

 アーカディアの一戸建ての家の居間で。透はある薬を前に戦慄していた。

 

「飲まないのですか?」

 

 変わらぬ容姿のジルが話しかけた。

 

「飲む……が覚悟を決めさせてくれ」

「既に周知させているのに覚悟をくそもないでしょう」

 

 既に身内は亡くなり、親族も居ない透は女になっても問題ない。

 そのため前から女になりたかったのでジルの卵を買った時にもらったTS薬を飲んでくるのだと宣言してきた。

 その訳としては同僚が急に女になったらわけわからんだろという思いと宣言しておくことで逃げ道を防ぎたいの二つの思いがあった。

 

「さっさと飲んでください」

 

 ジルはそういうとクスリのふたを開け透に飲ませた。

 透は思わずごくごくと飲んでしまう。

 

「ん、こ、これ、は……」

 

 瞬間体に異変が起こる。

 顔つきが女の者に変わり、胸が大きくなり腰が細くなり足が太くなる。

 骨格が根本から変わり女の物となり、男性器が消えて女性器が生成される。

 痛みは特に感じなかった。ただ、熱いとは思った。

 

 体が変わった。

 

「手鏡です。どうぞ」

 

 ジルから手鏡を渡され透は自分の顔を見た。

 

「……あんまり美人じゃないな」

 

 少なくともナンパなどを受ける顔つきではない。

 美女とは言えないし、かといって不細工とも言えない。

 シミやニキビは魔法の美容セットのおかげでないため肌は綺麗だが、顔つきはそこらにいる女Aといったところだ。

 

「いいえ。貴女はとびっきりの美女です」

 

 ジルがそういうも透は信じず取りあえず鏡を机に置いた。

 

「慰めありがとう。けどこれが女の体か……」

 

 取り合えず早速オナニーするかと部屋に戻ろうとする透の手をジルが掴んだ。

 

「? 何を──」

 

 困惑する透をよそにジルは透の口にキスをした。

 舌を入れ、透の口内を蹂躙する。

 

 たっぷり一分ほどキスをした後、ジルは口を離し、透を抱き寄せた。

 

「じ、ジル、なにを?」

「貴女を抱きます」

「はっはい?」

「初めて目にしたその時から。貴女を抱きたかった。その奥に精を放ちたかった。女になったからには同意ですよね」

「え、いや、あの、その、まだ覚悟が出来てないっていうか」

「という事は覚悟が出来たらいいのですよね? この後どうせエロ本でまんずりこくくらいなら私のおちんぽを入れて楽しみましょう?」

 

 じっくりとジルは透の尻を揉み、胸を揉む。顔を近づける。

 そのつらの良さに透は負け、こくりと頷いた。

 

 

 この後めちゃくちゃセックスした。

 

 

 

 

 ■

 

 

「はーなんか最近面白いことないか?」

 

 アルカナスパイアの塔最上階。シエロの自室にて。

 

「暇だからってうちにたまりにくるなよ。もう三日連続だぞ」

 

 そう返すのは部屋の主人シエロだ。

 

「だって、最近暇じゃん」

 

 そう呟くのは生と死の支配者、アオス・シュテルベン・モルトだ。

 

「なんか最近面白いやつとかいないか?」

「それ芸人的な意味と魔法使い的な意味どっちだ?」

「両方」

「両方……なら、最近だと面白いのいるぞ。板倉透っていう魔法使いだ」

「名前からすると日本人か。何が面白いんだ?」

「そいつ、時空魔法を完全に使いこなしてる。未来に行くも過去に行くも思いのままだ」

「それはすごいな。時空魔法は難度が高い魔法。それを使いこなすとは……特化型の魔法使いか」

「そうだ。といっても魔道具を使えば他の魔法も使えるからまだましな特化型だがな」

 

 特化型魔法使いとはその名の通り何かしらに特化している魔法使いを差す。

 その芸当においては他の追随を許さず、強力な魔法を行使できる。まさに透がそれに該当する。

 他には具現者使いという者もいる。端的に言えばスタンド使いの事だ。

 極まった者は自分が特化した魔法以外一切使えないという者も居る。といってもそれだけで無能扱いされることはないが、基本特化型は他の魔法が使えなくともその魔法が使えるだけで大きなリターンとなる。

 

 そうして二人が話していると部屋にノックもせず女が入ってきた。

 黒髪黒目の女だ。非常に美しい容姿をしている。

 身長は百六十三センチほど。腰まで届く黒く艶めいた髪をしている。

 切れ目であり、顔つきは非常に美しいといえる。

 何故か女子高生のセーラー服を着ている。

 

「お、ヴィクじゃないか。何しに来たんだ?」

 

 ヴィク──ヴィクトリア・フォン・シュタイエル。四賢人の一人だ。

 といってもヴィクトリアは人間ではない。幻獣だ。

 現代の神秘が薄れた時代でも自分だけで自己維持を出来る神話の時代の神の零落した存在だ。

 零落したとはいえ元は神。四賢人最強の存在である。といっても弱点として時空魔法に関する力を使えないがそれ以外は最強と言っていいだろう。

 

「何、面白い奴がいると聖から聞いてな。シエロなら詳しく知ってるかと思ったんだ」

「もしかしてそいつ、いた……なんだっけ」

「板倉透、な。そいつについて聞きに来たのか?」

「ああ、そうそうそいつ。そいつ、新しい賢人にしないか?」

 

 ヴィクトリアの唐突な提案に二人は「はぁ?」と間抜けな声を漏らした。

 

「生と死担当。暴力担当。解析担当。とくれば時間担当も居てもいいだろ」

「なんだそれ。だが面白いな……けど、それは無理じゃないか? 実力が足りんだろ」

 

 四賢人が四賢人足るのはその戦闘能力の高さ故だ。

 誰もがその気になれば単独で地球そのものを壊すことが出来るレベルの実力者だ。

 アオスなんかは死のオーラという半径百キロの生命を問答無用で殺すオーラを纏って地球上を飛び回るだけで地球を死の星に出来る。

 

「だから、私が見定めようと思ってな。そいつの強さを見て、新しい賢人入りだ」

「よし乗った。俺は賢人入りに賭ける」

「じゃあ俺は入れないに一万ペリカ。ていうかそれ聖の許可とったのか?」

「……無論とってあるとも。ではさっそく行こうか!」

 

 れっつゴーと三人はしゃいで塔を出た。

 

 尚もちろん聖の許可はとっていなかった。

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