さびしきもの 作:ひまんちゅ
朝、目を覚ましたとき、私は強く「流れの源」という言葉を感じていた。
外から内への流れ。
内から外への流れ。
それらの流れが、ただの循環ではないことを、私は感じている。
それは、何かの源から生まれている。
居間に出る。
彼女がいる。
距離は近い。
だが、どこか遠い。
「おはようございます」
「おはよう」
短いやりとり。
そして、私はすぐに本題に入る。
「新しい流れの源を見つけたい」
彼女は静かにうなずく。
「流れの源ですか」
「はい」
私は答える。
「外から内へ。内から外へ。その源が何かを知りたい」
午前。
私は外へ出る。
石段を下り、林道を歩く。
今日は、いつも通りに感じる町を歩いているわけではない。
その流れの源を探すために、少し違う道を選ぶ。
途中、普段は通らない細い路地に足が向かう。
その先には、小さな川が流れている。
水は透明で、冷たい。
私はその流れをじっと見つめる。
そこに、何かがある。
「……これが、源なのか」
小さく呟いて、私は川のほとりに腰を下ろす。
静かな水の音。
ただ、それだけ。
だが、何かが感じられる。
流れは、ここから始まっている。
目を閉じ、耳を澄ませる。
そのとき、ふと頭に浮かぶ。
――内側にも源があるのだと。
午後。
境内に戻る。
彼女がいる。
その場所に立ち、しばらく黙っている。
「どうでしたか」
彼女が静かに問いかける。
「流れの源は、外にあった」
私は答える。
「でも、内にもある」
彼女は少し驚いたように私を見つめる。
「内にも?」
「はい」
私はうなずく。
「流れは、外だけでなく、内にも根付いている」
彼女はしばらく黙って考えている。
「それは、どういう意味ですか」
私はその問いに少し考える。
「外にあるものが内に影響を与えるように」
私はゆっくりと言葉を続ける。
「内側の感覚が外に影響を与える」
彼女はそれを聞いて、何かを感じ取ったようだった。
「内側と外側が、影響を与え合う」
「はい」
私は答える。
その時、彼女がふっと微笑んだ。
「だから、流れの源は内にも外にもある」
「その通り」
午後が過ぎ、夕方。
私は外へ出る。
先ほどの川へ向かう。
流れの源を再確認するために。
川の水を、今度は手ですくってみる。
冷たく、澄んだ水。
その中に、自分の手が映る。
「……やっぱり」
私は呟いた。
流れは、ここにある。
その先に続く。
そして。
内と外が交わる場所。
その場所が、源だ。
戻る。
石段を上り、境内に戻る。
その瞬間。
結び目が、少しだけ強くなる。
内側の流れが、外の流れに影響を与えている。
そして、逆もまた然り。
「……」
私はその感覚を確かめながら、ゆっくりと目を閉じた。
流れの源。
それは外にあり、内にもある。
その場所を知った今、私はその意味を、少しずつ理解し始めていた。
――流れは、もう止まらない。
そして、私はその流れに乗って、どこまでも進んでいける気がした。
ただ、少しだけ慎重に。
新しい流れが、自分をどこへ連れていくのかを、少しずつ探っていくために。
夜。
布団に入る。
目を閉じる。
結び目は、安定している。
だが、その周囲が少しずつ変化している。
流れが、広がっている。
その中で、私はその流れを感じながら眠りに落ちた。