暗部の忍の男はベッドで寝息を立てている少女の監視をしていた。
しばらくするとヒナタは起き上がり、きょろきょろして、そばにいた自分と目があった。
ヒナタには自分以外の姿は確認できないだろうが、自分以外にも3人が監視に当たっている。
「立てるか」とヒナタに声を掛けると頷いたので付いてこいと言いと、後ろを付いてきた。
ヒナタは「4人も監視がついているんですね」と話し掛けてきて、歩く足が止まってしまう。
残りの監視も暗部の忍がしており、下忍ごときに看破されるとは思いもしなかった。
再び歩き出すと「VIP待遇ですねぇ」などと言っていたが、目的の部屋に着くと部屋には口寄せの紋様が書かれている。
ヒナタに紋様の真ん中に行くように言うと、ヒナタと私は口寄せされたのだった。
♢♢♢
口寄せされた部屋に着くと、窓もドアもない部屋だった。
テーブルと椅子があり、上忍の森乃イビキが座っており、その対面の空いている椅子に座るように言うとヒナタは言われるがまま座り、暗部である私はヒナタの後ろに直立した。
「これ、味方に対する扱いじゃないような気がするんですが・・・」
「里は君を危険視していると思ってもらっていい」
ヒナタは「ちょっとやりすぎましたか」と苦笑いしているようだった。
「いくつか聞きたいことがある、拒否権も嘘をいう権利もないと思ってもらおう」
イビキが険しい顔で言うとヒナタは「了解です」と言った。
「まず、君の体を治した術について説明してもらおうか」
「イビキさんって魂って知覚できますか?」
「出来ない、だが干渉する忍術はいくつかあるのはしっている」
「私実は魂見えるんですよって言ったら信じます?」
「白眼にそのような能力があるのは聞いたことはない」
「発現したのは私が初めてですから」
イビキが「見えることは家族に言ったのか」と確認すると「白眼を持たない人間に人権ないんですよ、言っても無駄だと思ったので」と答える。
ヒナタは右側を向き「そうですよね、ヒアシさん」と壁に向かって問いかける。
イビキは「そこには誰もいない」というとヒナタは「なるほど」と言い、イビキを見た。
「それで、魂が見えることとと体を治した術の関係は?」
「魂と肉体には相関関係があり、肉体に傷が付くと魂も傷つきます」
「それで?」
「その逆もしかりだと思いませんか?」
「魂が傷つくと肉体も傷つく」
「魂を知覚出来る私は魂に干渉が出来るんですよ」
「もし仮にそうだとしても、致命傷を受けて死なない理由にはならない」
「簡単ですよ、自分の肉体から魂の干渉を遮断すればいいだけです。肉体のダメージは魂に行きません。魂にはきれいな肉体の情報がありますからそれを体にフィードバックするんですよ」
信じがたい話だが嘘をついている様子もない。
ヒナタの表情は見えない。
「にわかには信じがたいな」
「普通は出来ないと思いますよ、でも一度死ねば出来るようになるかもですよ」
まるで一度死んだかのような言い草だ。
「他人を治すことは出来るのか」
「無理ですね、これは呪いに起因していると思います」
「呪い?」
「えぇ、他人の魂は変質させることしか出来ません」
「他人に試したことはあるのか?」
「ないです、イビキさん、実験台に立候補しますか?」
「遠慮しておこう」
「残念です」とヒナタは言った。
「取り合えず今日はここまでだ、今後も監視は付くのは了承してくれ」
戻って休めとイビキがそう言うとボンッと音を立ててヒナタの姿が消えた。
イビキは私を見て「で、どうだった」と聞いてきたので「嘘は一切ありませんでした」と答えた。
実際、嘘を付いている時特有の音は無かった。
「さすがに暗部の耳は疑えんな、火影様に報告してくる、ご苦労だった」と言いイビキは退席した。
この時は誰もヒナタは魂で肉体を操作している状態であったと知る由もなかった。