チ。二次創作/料理問答   作:すう

3 / 3
ポトツキさんのお家にフベルト、ラファウの三人で住んでる設定です。
お米、美味しいよね。


米。問答【フポラ親子】現パロ

米。問答

「ポトツキさーん。お届け物でーす」

「はーい」

 手が離せないポトツキに代わり、ラファウが玄関に顔を出した。

「重いよ。気をつけて」

「ありがとうございます」

 配達員の手から渡された荷物は、ラファウの腕にずしりと乗る。

 フベルトの実家からである。

 食欲の秋。

 今年もこの季節がやってきたのかと、頬を緩ませる。

 ポトツキの家では、届いた米をご飯のお供とともに、まずシンプルに味わうのが、恒例行事となっている。

 土鍋で炊くという、こだわりぶり。

「そろそろかな」

 充分に蒸らし終わったところで、土鍋の蓋を持ち上げる。

 三人で覗き込む。

 土鍋から食欲をそそる湯気が溢れる。

 一瞬真っ白になる視界。

 そこに現れる艶やかな白い粒の輝き。

 フベルトとラファウはお茶碗に盛られる白米を、期待に満ちた目で見つめる。

「僕、おこげが食べたいです」

「私も」

「まあ待ちなさい」

 ポトツキが笑う。

 準備が整ったところで、まずは一口。

 新米ならではのふっくらとした食感と、鮮やかな香り。

「んまい……」

 吐息と共に、感想が口から溢れた。

 ポトツキがご飯のお供をテーブルに並べる。

 たくあん。

 浅漬け。

 梅干し。

 佃煮。

「ご飯のお供って、何が一番最強でしょうね?」

 たくあんをぽりぽりと頬張りながら、ラファウが何気なく呟く。

「味噌汁。一汁一菜。具沢山なら栄養も申し分ない」

 自信満々に、ポトツキが言い放つ。

「先生。汁はお供じゃない」

「そ、そうか?」

「まあ、確かに。味噌汁はお供っていうよりおかずですね」

 しょんぼりと佃煮に手を伸ばす。

「……鮭、じゃないか」

 フベルトがボソリと言った。

「あ、いいですね」

 そこにポトツキは待ったをかける。

「鮭はそれだけで主役となりうる。お供というより主役を食ってしまう、いわばライバルではないか」

「確かに」

 ラファウが頷く。

「明太子や卵、ウインナーなんかも、ライバル枠ですね」

「た、卵もか」

「はい。議論はあくまでお供。白米と対等であるのが最低条件としましょう」

 ラファウは箸を止め、じっと机上を見つめる。

「……塩?」

 フベルトの箸が止まる。

 ポトツキも固まる。

 塩っ気のあるものは、白米によく合う。

 ならば、究極塩でいいのでは。

 フベルトが茶碗の中を見つめる。

「それは、ちょっと寂しい」

「そうですか?」

 梅干しをつまみ、米の山に乗せた。

「海苔なんかどうだ?」

 ポトツキが味海苔を取り出す。

「存在感はありつつ、主役足り得ない役どころだ」

「海苔は……なんか、衣装? って感じです」

「おにぎりに、巻くしな」

「お前たちの基準がよく分からん」

 フベルトがおかわりに立つ。

「そういえば昔、旅行でままかりというのを食べたな」

「ままかり?」

「魚だ。あまりの美味さに隣からご飯(まま)を借りてくる、という意味だそうだ」

「発想はいいけど、魚かぁ。卵や明太子と同じライバル枠です」

「ずいぶん手厳しい」

「ドンマイです。米を食べるためのもの、という視点は評価高いです」

「お前はさっきから何目線なんだ」

 おかわりから戻ったフベルトが再び席に着く。手には新たに塩昆布としば漬けがあった。

「こら、塩分過多だぞ」

「今日だけだ」

「年を考えろ」

 年齢を重ねると、健康診断の結果に戦々恐々となるらしい。ラファウは二人のやりとりを、和やかな目で見つめる。

 箸に乗せた白米を頬張る。

 ふっくら、もちもち。

「あ」

 ラファウの出した声に、塩分の取り合いをしていた二人が振り向く。

「空腹こそ最高の調味料です」

「それは」

「養父さんの養子になるまで、こんなにお腹いっぱい食べたことがなかったから。

……幸せだな」

 思わず目頭を押さえる二人。

「もっと食べなさい」

「しば漬けいるか?」

 結局その日、三人は土鍋を空にした。

 

 米。問答。

 どっとはらい。

  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。

評価する
※参考:評価数の上限
評価する前に 評価する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。