鹿目まどかの兄だった   作:紡縁永遠

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チーズケーキ

No Side

 

 「まさか、退院ができるとはね……」

 「ああ、退院予定は今日だったんだ」

 「そうか、ところで、その箱チーズケーキか?」

 「え?そうね、はい」

 「どうも」

 

 鹿目まどかが退院をして、病院の外へ、その場には上条恭介の見舞いに言っていた美樹さやかもいる。

 

 「そっか…確かに、喜べないね」

 「……退院おめでとうまどか」

 「キュゥべぇ?!」

 「勧誘に来たのなら帰って」

 「違うよ、孵化しそうな卵があるからソレを伝えに来たんだよ、ほら、あそこ」

 

 インキュベータがまどかの退院を祝福するように現れる。実際には、孵化しそうな卵の報告だ。インキュベータが指さす方向にはグリーフシードが刺さっていた。

 

 「一つ聞きたい、ここに卵があるのはお前らが原因か?」

 「違うよ、これは偶々だ」

 「そうか……」

 「君の過去はボクも多いに興味がある」

 「勝手に聞き耳でも立ててろ……淳子さん、」

 「わかった、行ってきな、ただし、確実に帰ってくること、まどかとさやかは私達と一緒に「ちっ!間に合わなかったか、」……?!」

 

 孵化まではしなかったが、その場にいた全員が結界に巻き込まれる。

 

 「はぁ、最悪だな、使い魔がまだいないことが救いか……護衛人数考えて共に行動、または、二人護衛に回して、俺が元を断ってくる……どっちがいい?」

 「近くにいれば守れるんだろう?三人中二人は遠距離型なら、親として全員生存できる方法をとってくれ」

 「わかった、共に行動」

 

 先頭をつるぎ、左右後ろをマミとほむらが警戒、そのなかに鹿目家とさやかを配置、最大限の警戒を行い進む。

 

 「お菓子ばっかりだな」

 「そうだね」

 「そういえば、チーズケーキが…?!」

 「それがキーワードか、なるほど……」

 

 沢山のお菓子が乱立する結界内には唯一チーズケーキだけがなかった。本来ならば気づきもしないくらいには豊富にあるが、マミがつるぎに依頼されたケーキが手元にあったためである。

 結界内にはお菓子だけではなく、手術室を彷彿させる看板がちらほらとある、つるぎが目をつけたのはそこだった。

 

 「なるようになれ、次が最深部だ、覚悟はいいな?」

 「うん!」

 「大丈夫!」

 「よし、絶刀・鉋、飛刀(ひとう)(いすか)

 

 飛刀・鵭、計二十本のグレードソード、先端が交差するように曲がっており、小さな返しになっている。刀身にプロペラがあり浮遊が可能、未完成形変体刀988本のうち一振りである。

 

 「拘束するわ、攻撃お願いね」

 「ええ」

 

 巴マミが拘束をしてほむらが攻撃、この一連の攻撃で、小さな魔女は倒されることはなかった。それどころか口から別の魔女が出現したのだ。

 

 「なっ?!」

 『知っていたけど、出てくるところを見るのは初めてね』

 「報復絶刀……回復…いや複製か、」

 

 新たに出てきた魔女を、つるぎは突き刺したが、魔女の口が空き、また脱皮のように無傷の魔女が出てくる。冷静に分析するつるぎが次に打った手は、飛刀による限定奥義だった。

 

 「刀飛投射(とうひとうしゃ)

 

 浮遊していた二十本のグレードソード、飛刀は隊列を組んで、魔女の口を縫い合わせるように刺さっていく。だが、外皮はいくらでも傷ついてもいいように、縫い合わせた穴を広げて口を空け、また無傷の魔女が。

 

 「……そうか、側を攻撃しても意味ないか……」

 「ごめんなさい、私じゃ相性が悪いわ」

 「私もね」

 「なら、あっちを!双刀・鎚…ぐっ……」

 

 この時、非戦闘員の鹿目家と戦闘可能なつるぎ達三人には距離があり、さらに魔女との立ち位置がちょうど三角になるような位置関係であり、それを理解したのか魔女はまどかのもつ紙箱へと向かって行った。

 その攻撃は間一髪でつるぎが防ぐごとに成功し最も重い双刀・鎚で殴り返す。

 

 「双刀之犬悪い、少し危険になる」

 「うん」

 「列刀(れっとう)(やり)列刀巻(れっとうかん)

 

 つるぎが取り出したのは槍でり、仕込みとして多節棍、が組み込まれている。鞭のように伸びるが故につるぎは鹿目家から離れて攻撃を開始する。

 離れた、邪魔をするものがいなくなった。これにより、横合いから来る攻撃を無視して、またまどかの持つ紙箱へと向かっていく。

 

 「やっぱり虚刀・鑢」

 「虚刀流…梅」

 「え?」

 「中のケーキくれ、」

 「え、は、はい」

 

 狙いがまどかの持つ紙箱だということを理解したつるぎは自身の影に呼びかけるように、完了形変体刀を呼ぶ。

 つるぎ影から現れたのは、銀髪銀眼、のクラシカルのメイド服を着た女性だった。

 スリットの入った右側の脚で綺麗な回し蹴りが行われ、魔女を吹き飛ばす。

 

 「さてと、欲しいのはチーズケーキか?」

 「?!」

 「やっぱりか」

 

 いきなり現れたメイドに動きが止まる一同だが、その後に発せられたつるぎの言葉は、目を剥くものであった。手には巴マミが作ったチーズケーキ、それ以外は何も持たずに、ただ立っているだけだった。

 

 「何をするつもりよ!」

 「黙って見ていてください、主の考えに間違いはないです」

 

 魔女はやはりというべきか、つるぎの持つチーズケーキへと向かって大きく口を開ける。もちろんつるぎもただ掲げるだけでなく、開けた口の中にチーズケーキを放り込む。

 魔女はその場で止まり、空気が抜けるようにしぼんで、弾ける。そこには、白髪の小さな子供が眠っていた。

 

 「え?」

 「ウソ……」

 「インキュベータ、今夜うちに来い」

 「……分かったよ」

 

Sideマミ

 

 病院にて、孵化前兆のグリーフシードがあることをキュゥべぇから聞いたので、倒す事にした。問題は、戦えない鹿目家とさやかさん達を巻き込んでしまったこと。

 結界に入ってからは、戦うこともなく進み、チーズケーキがキーワードだと言っていたつるぎは何も言わずに、魔女との戦いになってしまった。

 最初の姿は戦えるようなものではない、人形のようで可愛かったけれど、その口の中から現れた魔女は回復能力が高く、苦戦を強いられた。まどかさんが持つチーズケーキを執拗に追っていた為に、攻撃はしやすく倒せないなりに、攻撃はしてきた。

 その時に、つるぎはチーズケーキを食べさせる為に動き始めて、なぜかつるぎの影からメイド服の女性が現れたりもしたけど、ソレよりも、なんでチーズケーキを食べた魔女が少女に変わったというの?

 今まで倒してきた魔女は女の子だったの?

 

 「どういう事?」

 「はぁ、面倒だ、仮設はあったが、先にこっちを説明しようか……」

 

 つるぎはそう言って、白髪の女の子を背負ってしんげつ荘へと向かっていく。他のみんなも動揺が隠せないみたいだけど、それは私も同じで、おぼつかない足取りで、ついて行った。

 

 「さて、魔法少女は魔女になる、これに相違はないな?」

 「そうだよ、」

 「分かった、巴、その銃を降ろせ、」

 「でも!」

 「魔女にはならないようにしてある、方法もある、気にするな……」

 「どういう事?魔女から魔法少女に戻す方法なんて」

 

 私は魔法少女が魔女となる事実から、自殺をしようとした。だって魔女になって人を殺すなら、いないほうがマシだから、それに沢山の人間を殺してきた私は生きている意味がないから、生きていちゃだめだから。

 でも、それを止めてくれるつるぎも、それを知っていたようなほむらさんも、周りで聞いていたまどかさん達も、なんで受け入れているの?

 

 「受け入れているわけじゃないだろ、暁美は別として、他は魔法少女じゃないから、ダメージは少ない、お前だけ注意していれば、やりようがある、

 「それで、魔女から魔法少女に戻す方法だったな、これは卵が先か、ニワトリが先か、という卵ニワトリ問題に基づくものでな。

 「魔法少女だから願いを叶えられるのか、願いを叶えたから魔法少女になるのか、と置き換えた場合、後者となる、

 「つまり、願いが叶えば、願いを叶えれば、魔法少女になる、魔法少女になるときに願った物を、魔女になったときにもう一度叶えれば、魔法少女に成ると言うわけだ。

 「図にすると、願い→魔法少女→絶望→魔女→願い→魔法少女こういうことだ。

 「誰かを生き返らせたいという願いなら、さすがに無理だけど巴の【生きたい】という願いは、魔女を半殺しにした後に回復させれば、【命を繋ぐ】という事柄をクリアして、魔法少女に戻れる。

 「【生きたい】という曖昧な願いに対して、巴のリボンは、【命を繋ぐ】という意味合いを持つ、なら問題はない」

 

 そんな方法で…でも、私の願いをそんなふうに曲解して問題ないのかしら、助かる方法というには、あまりにも都合が良すぎる。

 

 「それで、私は戻れるの?」

 「なら、答え合わせといこうか、孵卵器、巴の【生きたい】という願いをどう受け止めた」

 「【命を繋ぐ】確かに君の言うとおりだ、マミが扱うリボンはそれを背景にしている、命を繋ぐという事柄はマミにも伝えていないんだけどね……本当に恐ろしいよ」

 「これで、対処可能ということが分かったな、さて、起きてるだろ?」

 「はいなのです、」

 

 つるぎが私が助かる方法を確実なものとしてくれた。でも、やっぱり触れなければならない、つるぎが救った魔法少女のことに。

 

Sideつるぎ

 

 「一応聞いておきたいんだが、君の親ってどうなってる?」

 「えっと…」

 「言いたくないのなら言わなくてもいいよ、なら君は……いや、やめておこう。魔女だった頃に記憶はあるかい?」

 

 病院、チーズ、これである程度わかることがあったけど、それは俺が言うことじゃない。なら、魔法少女として今後どうするかを決めなければならない。

 

 「あるのです、でも、私は魔法少女です。かつて希望を運び、いつか呪いを振りまく者、それを理解したとしても、魔法少女でありたいのです」

 「……分かった、戸籍とかはできる限りのことをしよう、やろうと思えば俺と同じ方法がとれる……鹿目詢子さん、その顔はどっちですか?」

 

 魔法少女を含めても、重い表情をしている。そうだ、この中で一般人であり、大人だ、知久さんも大人ではあるけど、何を言うべきか迷っていると言ったところだろう。

 

 「いや、どっちもだ、こんな小さい子が魔法少女として命をかけていることも、魔女となって殺されてしまうことも、魔女を殺してきたこともだ。

 「穢れをためるのはマズイと思って、命を最優先に戦っていいと、戦ったときは報告をしてくれと、そう、二人に言った……、

 「でもな、戦ってほしくないな、ある意味では、穢れをためない為の方法として、許可したことは正しいんだろうけど、それでも、子供だろ……」

 

 子供、親だからこその意見、正しよ、それは正しい、でもそれでも、俺はその意志を曲げさせてもらう。

 

 「分かりました。ですが、今の俺は八花つるぎです、鹿目つるぎではありません、そして、今から語る事柄は、魔法少女とは無関係で、それでも俺が背負っていく傷です……

 「魔法少女については、また考えるとして、ここからは、一人とは言い切れませんが、鬼の物語を、傷物語を聞いてください」




次回、傷物語

今回の魔法少女の魔女化対策とは言い切れませんが自分なりに対処をしてみました。

魔法少女だから願いを叶えられるのか、
願いを叶えたから魔法少女になるのか、

前者の方法は、別の物語、【半人半妖に救えるものはあるのか】にて取り上げております。
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