はい、よーいスタート。
トップライバー達の追跡から死ぬ気で逃げ切るRTA、はーじまるよー。
今回は月見ヤチヨ主催、ヤチヨカップ終盤のイベント「踊る! 落武者大包囲網」を逃走者ルートで走っていきます。よろしくお願いします。
それでは早速、タイマースタート。
「!? 消えた!?」
「ちょっと! カラスのおねーさんどこ見てんの!?」
「え……?」
「後ろに抜けてる!!」
「はぁ!?」
まずは序盤の壁、乃衣とカカの弓職コンビによる包囲網を突破しなければなりませんが、ここでいきなり高難易度グリッチを使用します。
その名も「BWS」。後方に宙返りをしながら前転をすることで位置情報をバグらせオブジェクトの当たり判定を貫通し、本来侵入できない建物の中から裏世界に入れます。
ツクヨミではこの手の壁抜けバグがいくつか存在しますが、慣れてしまえば最も安定するこのBWSを、本チャートではこれから何度も使用します。
安定するとは言っても、位置調整をミスるとそのまま壁の中に埋まってしまって出られなくなってしまい大ロスです。なので、失敗した時点でリセットとなります(2敗)。
ちなみにBWSは“Backward somersault”の略称です。自分がツクヨミに来て1週間くらいで見つけました。本RTAは走者が自分一人なのでルート開拓も全部一人でやっています(血涙)。
こんな神ゲーなんだから画面の前の兄貴たちも走ってくれよな〜、頼むよ〜。
「こら! 逃げるなぁ!!」
「あーもう! 速すぎ!」
そうこう言っている間に二人とは大分距離を離せたので、このまま走ってこの場を離脱──。
ヴォエ!!
「え!? な、何もないところで倒れたわよ!?」
「……よくわからないけど、チャ〜ンス!」
「って、また消えた!」
走り出した瞬間、見えない壁にぶつかってしまいました。
加えて体に力が入らず、その場に倒れ込んでしまいますが、アドリブで特定動作を反復。地面に向かってBWSを使って床抜けします。床抜けは壁抜けに比べて猶予が短いですが、なんとか成功しました。
これは恐らく、ヤチヨの妨害ですね。透明なオブジェクトを出現させて動きを止めたところに麻痺状態にする殺意マシマシコンボです。
なるほど。ヤチヨは自分の位置を把握できませんが、ツクヨミのプレイヤーの視界内に入れば位置を把握できるということでしょう。つまり逃げ切るだけじゃなく、見つからないようにする必要もあると。
はいクソー。二度とやらんわこんなクソゲー。
とも言ってられないので、ルートを絞り出来るだけ敵に見つからないよう裏世界を慎重に進みましょう。
裏世界では一切視界が確保できないので、感覚頼りに進むしかありません。しかし、自分はこんなこともあろうかと(万能)予め裏世界での脱出経路を頭に叩き込んでおいたので問題なく移動できます。
問題は裏世界から出る瞬間です。どこに出るかを選ぶことはできても、出た場所に誰かがいるかなんてわかりません。ワンチャン、プレイヤーだらけの場所にしゃしゃり出てそのままお陀仏なんてことになったら目も当てられない事態。
普段はプレイヤーの気配もないような場所でも、絶賛鬼ごっこ開催中の今はプレイヤーに見張られている可能性があります。出る場所は慎重に選ばなければなりません。
というわけでしばらく移動時間なので、退屈な み な さ ま の た め に ぃ 〜
今回のレギュの解説をしていきましょう。
「踊る! 落武者大包囲網」は自分をひっ捕えて脳内真っピンクなヤッチョが(※自主規制)するために開催した鬼ごっこイベント。鬼は自分以外のプレイヤー全員。捕まったらツクヨミ強制ログアウトとなるでしょう。
そうならないため、主催者かつラスボスのヤッチョまで辿り着きなんらかの手段で彼女を無力化できればクリアーです。
無理ゲー! 終わり! 平定! ってなった画面の前の視聴者諸君に朗報。
マジで無理ゲーです(絶望)。
そもそもゲームマスターとプレイヤー全員を同時に相手取るとか、そんなんあのキリの字ですらやってません。こんなド変態レギュを走ろうとするなんて、よっぽどのマゾなんやろなぁ……(遠い目)。
まともにやってもヤッチョのご尊顔を拝むことすらなく、その辺でとっ捕まってザエンドってね。
というか、クリアさせる気がないんだからそんなん当たり前に決まってるだろ! いい加減にしろ!
しかし泣き言は言ってられません。こちとらいきなりヤッチョに襲われた(意味深)かと思ったら、直後にこんなイベント起こされてもう退路は絶たれている状況です。
プレイヤーに「粉⭐︎バナナ!」と必死に弁明する? あるいは大人しく捕まって情状酌量の余地にかける?
全て論外です。
自分の今までの経歴を正直に話せば、圧倒的に分が悪いのはこちらの方。相手がツクヨミで最も人気があると言ってもいいトップライバーなら尚のこと。
自分は知っています。保身や隠蔽のためなら人はどこまでも残酷になれるのです。平気な顔をして嘘をつき、世論を味方につけて弱者を徹底的に追い込む。そして正直者がバカを見た後で事の元凶は知らんぷりして日常に戻っていく。
それが罷り通るから、自分はこの味方のいない世界で生き残るためにそれなりに真面目に過ごしてきたつもりではありました。少しでも味方を増やすために。
まぁ、そんな努力もこうなってしまっては水の泡。命を天秤に乗せた上で逃げ続けるしか出来ることはありません。ダメだったら諦めましょう。
さて、色々と考えましたが、ここに出ることに決めました。出た先にプレイヤーがいたら即アウトです。お祈りタイムと行きましょう。
イクゾッ! デッデッデデデデッ、カーン!
裏世界から出て、素早く周囲の確認です。誰もいないことを確認したら、これまた素早く周囲の物陰に身を隠します。
当たりパターンですね。アクシデントもありましたが、なんとか最も厄介な二人を撒くことができました。結果オーライです。
嘘です。再走という概念がない本チャートではあまりにもリスキーな逃走経路でした。猛省いたします。
ですが逃げ切れた事の意味は大きいです。弓矢連射による弾幕で行動範囲を狭めてくる乃衣と上空から追跡してくるカカは厄介でしたが、逆に言えば他のプレイヤーは大した脅威ではないからです。
それもこれもツクヨミでは自分に匹敵するほどの速度を出せるプレイヤーがいないので。
帝アキラがギリギリ喰らい付いてくる可能性があるくらいですが、何度も戦っているので彼の思考パターンは読めています。
自分がここまで速い速度を出せる理由もBWSとはまた違うグリッチ技の応用の結果なのですが……解説すると長くなるのでまたの機会に。
今はとにかく、ヤチヨの居場所を把握して彼女に近づく手段を……って。
これマジ?
「落武者!!」
……信じられないことにカカが追いついてきましたね。自分が隠れてる建物の上を飛んでいます。
どういう理屈でしょうか。裏世界に入った時点で完全に視界から消えたはずですが。この穴場がカカに知られているとも思えません。
本来まだ行く手段がない孤島に建っている小屋の中にいるんですから。
まさか、カカは自分の位置を把握できているとでも言うんでしょうか。
「落武者! いるんでしょう? 返事をしなさい!」
あーもうめちゃくちゃだよ。
ここがカカに見つかったんだとしたらほぼ詰みです。もう一度裏世界に入って逃げる? でも逃げた先でまた捕まるのでイタチごっこになります。
こりゃ詰みましたかね。投了です。対戦ありがとうございまし……。
「私の視界はヤチヨと繋がってないわ。あなたを突き出す気もない。だから、早く出てきなさい」
……はへ?
「私は、あなたの味方よ」
流れ変わったな。