5回の転生を経て元の世界に戻ることに成功した俺、脳を焼かれた奴全員登場して大変なことになった件。   作:黒芋炒め

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プロローグ

「ウガアァァァァァァァアアア!」

 

死に物狂いだった。

 左足は千切れているし、両肩の骨はとっくに折れている。今も視界は自分の血のせいでほぼ見えていない。

 始めて戦闘した時は何が起こっているのか全く理解できないまま秒殺され、次に戦闘した時は思い通りにいかないことに恐怖して死んだ。

 

 ただ、5回目ともなると恐怖は消える。

 いや、消えてはいないがそれでも迫ってくる死の気配に慣れるものだ。

 女神は俺の心臓をめがけて光線で攻撃してくる。それを俺はわざと喰らい、その場に沈み込む。

 

(来いよ、女神。良い加減ケリつけようぜ)

 

 予定通り、女神は俺が死ぬ寸前だと思って近づいてくる。俺を確実に殺して、異世界での記憶を消すために。

 5回こいつと戦って分かったのは、女神にダメージを与えることができても致命傷になり得る攻撃ができるのはこのタイミングしかないことだった。俺を確実に殺すための魔法を使う、少し油断をして両手を使うこの時だけ。

 

 女神は俺の1m前あたりで立ち止まる。

 ゴミを見るような目をこちらに向けている。

 

「───────────」

 

今しかない!

 

「うおおおおおおおおおおおおおっーー!!」

 

 雄叫びを上げながら剣を持っている右手を振り上げ、思いっきり振り抜く。

 

「────!?」

 

 女神が驚いて後ろに倒れる。

 

「うぁぁぁああああ!!」

 

 倒れた隙を見逃さず、迷わずに剣を突き刺す。何度も、何度も突き刺し、振り翳して────

 

 

 

 

 

 

「はっ!!!!」

 

 飛び起きて周りを見る。

 

(見覚えのある天井、見覚えのある壁、見覚えのあるパソコン……)

 

(そっか、ようやく俺は元の世界に戻れたんだな…)

 

 俺は─徳岡和也は、転生したことのある人間である。しかも5回もだ。

 テンプレのような女神転生を果たした1回目は典型的なRPG世界で、魔王討伐を目標として勇者のパーティーの一員として努力した。

 その後もダンジョンや魔法少女、貴族に冒険者といろんな事をしたものだ。我ながら本当によく頑張ったと思う。

 

(それにしても、新女神にお願いしたことはこの世界で叶うんだろうか…)

 

 俺をここまで異世界を転々とさせられた理由はあの女神──俺は悪女神と呼んでいるが、あいつのせいである。

 あいつは俺のように人間を異世界で転々とさせた挙句、無様に死ぬ姿を見て楽しんでいた。何ともまあクソ野郎である。

 本当にあいつを倒すのにとてつもなく苦労した。俺は何度も心を折らせそうになったが、それでも挫けずに頑張った。

 

(自我が消滅するまでに青春を謳歌せず死にたくなかったからな!)

 

 そう、俺は5回転生して異世界にいたにも関わらず彼女が出来たことも、ましてや修学旅行イベントを完遂したこともないのである!

 元の世界に戻った今こそ俺は余生を自由に楽しみたいのである!

 

 ちなみに、悪女神は天界でもルールを守らないカスだったらしく、倒した時には新女神非常に感謝された。天界にルールがあるんだ…と思いつつ、アレでも不正や破ったルールなどを隠すのはうまかったらしくずっと追放できなかったらしい。

 

 そのお詫びとして、新女神には何個かお願いを聞いてもらった。元の世界の人には悪いが、俺くらいは許してほしい。てへぺろ。

 

(再来週から高校か…)

 ついに、俺が青春を謳歌できる時が来たのだ。これまでの血と泥に塗れた日常とは違い、平和な空気を吸いながらクラスで団結して彼女とキャッキャウフフな生活ができる。

(俺の輝かしい未来はここからだ!!!)

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「──嫌だ!カズヤはもう離さないのっ!私とずっとずっと、一緒に過ごしていくんだからっ!!」

「あの時庇えなくてごめんなさい…!私をあれだけいろんな場面で庇ってもらって、私に逃げ場を作ってもらったくせに、何も出来ずに死なせてごめんなさい…!本当に、本当に、ごめんなさいっ!」

「何もしなくて良いんです、リーダー。だってあなたはこれまで凄く頑張ってくださったんですから。あなたに今まで頼りすぎていたから、ボクが何もしなかったから消えちゃったんですから…。だから何もしなくていいんです。」

 

ふーっ。

俺は一体どこで間違えたんだ????

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