5回の転生を経て元の世界に戻ることに成功した俺、脳を焼かれた奴全員登場して大変なことになった件。 作:黒芋炒め
そこからの事は、よく覚えていない。
気がついたら全てが終わってて、私たちはルース団を壊滅に追い込んだ英雄として讃えられていた。ニュースや新聞、ネット記事でも称賛的な意見で溢れかえっている。
でも、私にとってはどうでも良かった。
結局約束も守れないまま、1番の立役者は私たちの前から消えてしまった。
彼の葬式にも出た。そこまで大規模ではなかったが、確かに彼は皆に愛されていた事を実感した。もう全てが過ぎたことだったが。
彼の両親にも会った。私は何度か家に訪問した事があったので、彼との関係性をよく知っている。口喧嘩が多い母親も、あまり喋らないけど確かに彼を愛していた父親にも会った。
葬式では2人とも酷く泣いていた。初めて見る顔だった。でも、私にとっては全てがどうでもよくなっていたことだった。
彼の両親に会った時、私は責められると思っていた。それに、私の勝手な願いとは分かっていたが責めて欲しかった。お前のせいで和也が死んだんだ、と。お前の顔なんて2度と見たくない、と言って欲しかった。
でも、彼の両親には感謝された。貴方がいたから和也は日々楽しそうだった、と。本当にありがとう、と言われた。
その言葉を聞いて、私はまた泣き叫んだ。私のせいで彼を殺したというのに、感謝されてしまった。私はごめんなさいとか言えなかった。
葬式の帰り道、雪がシンシンと降り積もっていた。寒くて凍えるような冬の夜は、まるで私の心を表しているかのようだった。
夜の闇に呑み込まれそうだった。いっそ、呑み込んで欲しかった。でも脳内にこびり付いている彼の明るい笑顔が、私を照らし続けていた。
結局何もできない私は、また1人で泣き叫んでいた。
私は自分の赤い髪が嫌いになった。赤い髪があの時に見た赤色の池を表しているようで、見るたびに思い出してしまう。でも、彼が褒めてくれた鮮血のような髪色を変える事は出来なかった。
彼の死から1ヶ月後のこと。
私はまだ死んだかのように生きていた。
ベットから起き上がる。何も変わっていない。
今日も何もしないのだろう────
「あら愛理、今日は和也くんのところに行かないの?」
朝、母親に話しかけられるまではそう思っていた。
彼は嘘だと思っているのだろう。
私がこの家に居座るという事を。
彼の両親は、彼が一度亡くなったという事を綺麗に忘れていた。周りの人に聞いてみても、覚えていたのは私と幼馴染の計3人のみ。
おそらく、由梨ちゃんも覚えているだろう。あれから連絡は取っていないが。
私はもう、2度と間違えない。約束を破らない。カズくんのために、彼のために血の一滴まで使うと決めている。