5回の転生を経て元の世界に戻ることに成功した俺、脳を焼かれた奴全員登場して大変なことになった件。   作:黒芋炒め

10 / 12
第9話 『ルビーの魔法少女』大倉愛理⑦

 そこからの事は、よく覚えていない。

 気がついたら全てが終わってて、私たちはルース団を壊滅に追い込んだ英雄として讃えられていた。ニュースや新聞、ネット記事でも称賛的な意見で溢れかえっている。

 

 でも、私にとってはどうでも良かった。

 結局約束も守れないまま、1番の立役者は私たちの前から消えてしまった。

 

 彼の葬式にも出た。そこまで大規模ではなかったが、確かに彼は皆に愛されていた事を実感した。もう全てが過ぎたことだったが。

 

 彼の両親にも会った。私は何度か家に訪問した事があったので、彼との関係性をよく知っている。口喧嘩が多い母親も、あまり喋らないけど確かに彼を愛していた父親にも会った。

 葬式では2人とも酷く泣いていた。初めて見る顔だった。でも、私にとっては全てがどうでもよくなっていたことだった。

 

 彼の両親に会った時、私は責められると思っていた。それに、私の勝手な願いとは分かっていたが責めて欲しかった。お前のせいで和也が死んだんだ、と。お前の顔なんて2度と見たくない、と言って欲しかった。

 でも、彼の両親には感謝された。貴方がいたから和也は日々楽しそうだった、と。本当にありがとう、と言われた。

 

 その言葉を聞いて、私はまた泣き叫んだ。私のせいで彼を殺したというのに、感謝されてしまった。私はごめんなさいとか言えなかった。

 

 葬式の帰り道、雪がシンシンと降り積もっていた。寒くて凍えるような冬の夜は、まるで私の心を表しているかのようだった。

 夜の闇に呑み込まれそうだった。いっそ、呑み込んで欲しかった。でも脳内にこびり付いている彼の明るい笑顔が、私を照らし続けていた。

 結局何もできない私は、また1人で泣き叫んでいた。

 

 私は自分の赤い髪が嫌いになった。赤い髪があの時に見た赤色の池を表しているようで、見るたびに思い出してしまう。でも、彼が褒めてくれた鮮血のような髪色を変える事は出来なかった。

 

 

 彼の死から1ヶ月後のこと。

 私はまだ死んだかのように生きていた。

 ベットから起き上がる。何も変わっていない。

 今日も何もしないのだろう────

 

「あら愛理、今日は和也くんのところに行かないの?」

 

 朝、母親に話しかけられるまではそう思っていた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 彼は嘘だと思っているのだろう。

 私がこの家に居座るという事を。

 彼の両親は、彼が一度亡くなったという事を綺麗に忘れていた。周りの人に聞いてみても、覚えていたのは私と幼馴染の計3人のみ。

 おそらく、由梨ちゃんも覚えているだろう。あれから連絡は取っていないが。

 

 私はもう、2度と間違えない。約束を破らない。カズくんのために、彼のために血の一滴まで使うと決めている。

  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。