5回の転生を経て元の世界に戻ることに成功した俺、脳を焼かれた奴全員登場して大変なことになった件。 作:黒芋炒め
私、大倉愛理は日本の中学校に通うごく一般的な少女である。小学校から仲良しの3人がいて、自分を入れて3人で1人の男の子──カズくんを取り合っていた。
いつから好きだったかはよく覚えていない。ただ、好きという気持ちを自覚した時は覚えている。
きっかけは些細な事だった。小学校3年生の時、いつもの4人で公園で遊んでいる時ボールがコロコロと道路に転がっていたのを、私は無邪気に追いかけていた。
横から自転車が来ていたことに気づかずに。
「危ない!」
「愛理ちゃん!」
やばい、轢かれる──
「ほい」
「え?」
そう思ったその時、私はカズくんに抱き抱えられて助けられた。
「大丈夫ですか?」
「あ、ああ。ありがとう少年。」
自転車に乗っていた大人の人がこちらにごめんね、と声をかけていたがそんな事は頭に全然入ってこなかった。
「大丈夫か、愛理」
「う、うん」
「なら良かった…。ったく、急に飛び出すなよ、次も俺が助けれるとは限らないんだからさ」
私の胸の鼓動はどんどん速くなっていた。
「好きだ!俺と付き合ってくれ!」
「ごめんね。好きな人がいるから」
自分で言うのもなんだが、私は結構可愛い方だと思う。さらさらの赤色の髪に、キリッとした目。スタイルにはそこまで自信はないが、誰とでも話せて距離が近いことからか、中学に上がってからは告白される事も多くなった。
そんなある日の事だった。
「なに、これ…?」
いつも通りの下校中、よく分からない仮面をつけた人に暴力を振るわれそうになった時に生じた炎に対して漏れた言葉だった。
ただ襲われるのが怖くて、でも足が動かなくて心から嫌だ、と思った時に生じた炎だった。
そこからは怒涛の日々だった。
何故か私と幼馴染2人だけ魔法が使えるせいで、いつしか私たち3人は戦場を駆け巡るようになった。
気づけば魔法少女とルース団という悪側に分かれた戦闘になっていた。
負けたくない一心で戦い続けて市民を守り続けた結果、いつしか私たちは英雄として祭り上げられていた。
それでもルース団の奴らを倒す時はただ消滅するだけで、血を流さなかったことで続けれていたと思う。
行きたくないとも言えず、いつ負けて市民達から批判を浴びるか分からない恐怖の中で戦い続けた。恐怖を押し殺しながら。
それでも、カズくんだけは誤魔化せなかった。
「なあ愛理」
「ど、どうしたの…?」
「怖かったら、怖いって吐き出して良いんだぞ」
「……そ、そんなこと…」
「ないわけないだろ」
カズくんは、私の方を優しく見る。
「なりたくもない英雄として戦うやつの内心なんて、ネガティブな感情しかない事を俺は知ってる。もちろん、それでも戦い続けないといけない時はある。でも、」
「………」
「誰か吐き出せる場所がないとダメだ」
「………」
私はこの言葉で我慢できなくなった。堪えていた涙の全部流れて、今まで嫌だと言えなかった事を全て明かした。その中にはどうでもいい愚痴も入っていたと思う。最早言葉にもなっていなかったかも知れない。
カズくんはそのどうしようもない私の姿を、優しく抱きしめながら相槌を打って聞いてくれた。
「俺は何があってもどんなことがあっても、お前らを必ず1番応援してるから」
そこからは今まで以上に活発的に動いた。
好きな人に応援されながら、嫌なことを全部うち明かして頑張り続けた。いつしか恐怖よりもカズくんの応援の力が勝っていた。
このまま幹部も倒せるようになる────そう思っていた時だった。
「────次はこいつに決めた」
そこには、私の大好きなカズくんと仮面をつけた悪側の人間が話しながら歩いていた。