5回の転生を経て元の世界に戻ることに成功した俺、脳を焼かれた奴全員登場して大変なことになった件。   作:黒芋炒め

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第4話 『ルビーの魔法少女』大倉愛理②

「カズくん……?」

 

 私は恐る恐る声をかける。出来れば嘘であって欲しいと思いながら。

 

「愛理!?」

「なにを、してるの…?」

 カズくんは目を泳がせている。

 いつもこっちを真っ直ぐ見てくれるのに、今日はこっちを見てくれない。

 

「これは、その、だな…」

 

 カズくんは何かを言っているが、何も入ってこない。でも、あれだけ優しかったカズくんが悪側に堕ちる訳がない。親御さんに会った時も優しそうな方達だったし、私の恋の応援もしてくれた。

 カズくんが内緒で借金をしている様子もない。これまでずっと見てきているからだ。もし借金があれば、小学生から今に至るまでに何かしら現場を目撃する事があったはずだ。

 

 それだけ長い時間あって遊んできたのに、見落とすなんてことはありえない。つまり原因は──

 

(間違いなくあの女だ)

 

 カズくんの隣でオロオロしている仮面をつけた女。きっと純粋なカズくんはこいつのせいで誑かされて悪に堕ちてしまったのだろう。

 

(絶対に許さない─)

 

 間違いない。カズくんの有耶無耶な発言や、女の態度からそう思い込み、静かに手に炎を纏わせて素早く女へと手を────

 

「ッ愛理!」

 

 最愛の人の手で止められた。

 

「何してるの和也さん!」

「何してるのカズくん!」

 

 カズくんの手が少し焦げている。私の魔法の炎のせいだ。それにしてもカズくんはどこまでこの女に誑かされているのか。だから、次こそは女に当たるように────

 

「話を聞けよ!愛理っ!」

「ッ!?」

 

 次の一手も最愛の人に止められた。

 

 

 

 

 

「なるほど、つまりカズくんは諸事情があってルース団にいないといけなくなっていると」

「ああ、とんだ不幸な話だ」

 病院で手の治療を済ませた後、カズくんの家で私たちはゆったりと話す。

 

「申し訳ない、私からも説明すれば良かったものの…」

「いや、気にしないでいいよ由梨さん」

 

 カズくんのそばにいた女───もとい綾野由梨さんが申し訳なさそうに謝罪する。

 聞いた話によると、カズくんにはどうしてもルース団にいないといけない事情があり、表向きは悪側にいるということにしているらしい。ただ、市民を襲ったりするのではなく逆に市民が襲われている時に助けたり、安全に避難できるように誘導したりしているそう。

 

 そして私がルース団へと誑かしたと思っていた由梨さんは、行き場をなくして死にかけていた所をカズくんが助けてあげたらしい。

 

(良かった…。カズくんは完全に悪に堕ちた訳ではなかった)

 

 それを聞いた私が始めに思ったのは安心だった。もし本当にルース団に堕ちていたら、いずれ私は最愛の人をこの手で下さないといけないところだった。

 

「それにしても愛理」

 窓から入ってくる涼しい風を感じながら温かいコーヒーを飲んで一息ついていると、カズくんから声をかけられた。

 

「今回は状況が状況だったけど、その思い込みの癖は直したほうがいいぞ」

「…………確かに」

「今回の件で狼狽えるなってほうが無理ではあるが、いきなり魔法まとわせながら殴るっていうのは流石にやりすぎだ」

「以後、気をつけまする……」

 

 素直に謝った私を嬉しそうに頷くと、彼はアイスを買いに外に出て行った。

 部屋には私と由梨さんの2人。由梨さんは2人きりになった状況に相変わらずオロオロしているが私は聞きたい事が一つあった。

 

「ゆーりちゃん!」

「ひゃ!?な、なんですか?」

「由梨ちゃんはさ、カズくんのことは好きなの?」

 

 1番気になったことだった。私の推測だと7:3で好きになっていると思っている。なにせ彼は非常に気がきくし、長く一緒にいればいるほど好きになってしまうのは最早仕方のないことだと思っているからだ。

 そんな軽い気持ちで私は由梨ちゃんに聞いた。

 

「私ですか?」

「そうだよ!」

「私は…。私には分かりません」

 

 まだ自覚ができていないのかな?私はこの言葉を聞いた時にそう思った。

 

「へー。由梨ちゃんはカズくんのちょっとした動作に目で追ったりはしないの」

「してます」

「なら、それはす─」

「何故なら私にとってあの人は恩人であり、目標であり、生きていくための道標だからです」

 

「私、綾野由梨にとって和也さんは、死にかけの何もできない少女を救い、怪人化させられずにいる事ができた要因であり、遂げたかった復讐をこの手でさせていただいた、大恩人なのです。彼こそが私の生きる意味であり、命に変えてでも守るべき対象なのです。」

 

「そのお方を恋愛対象として見ているのかは、私にもよく分かりません」

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